努力をしていたつもりでも、偏差値は35

西岡壱誠氏(以下、西岡氏):今日は、「結果の出る努力とは何か」ということをテーマにいろいろお話をしていきたいなと思うわけですが、なにを隠そうですね、この僕はですね、もともと、高校3年生の模試の偏差値が35でございます。

相生昌悟氏(以下、相生氏):おおお。ちょっと見たことない数字ですよね……。

西岡:見たことないはやめろよ(笑)。ホントに……。英語3点。

相生:3点?

西岡:英語3点だと、100点満点中3点だと、偏差値いくつになると思う?

相生:これ……27くらいですか。

西岡:お、すっごい寄せてきたね。26.9。

相生:おおお、すごい

西岡:本当ね……っていうくらいの偏差値だったの。で、俺よく聞かれるんだけど、「いやー。そんなに勉強してなかったんですね」って言われるんですけど。いや、してたんだよ。俺の主観だったら努力してたの。

相生:ほんとですか?!

西岡:ほんとほんと。だから、その時の僕に「何で勉強の成績が悪いんだ」って聞いても、「いや、勉強してるのになぜか成績が上がらないんです」「努力が報われないんです」って回答したと思うんだよ。「努力が報われる」っていう言葉って、実はいろんな解釈があるよね。

努力をしないと結果は出ないが、間違った努力をしても結果は出ない

相生:そうですね、まず、その質問にお応えする前に、最初にまず皆さんにお伝えしておきたいんですけど、『東大式 目標達成思考 「努力がすべて」という思い込みを捨て、「目標必達」をかなえる手帳術』という本は、自分の努力が結果に結びつくためにはどういうことを考えたらいいのかっていうのをお伝えする本なんですけど、これは、決して、努力の量が少なくても結果が出るよっていう意味ではないんですよ。

東大式目標達成思考−−「努力がすべて」という思い込みを捨て、「目標必達」をかなえる手帳術 

西岡:なるほどね。

相生:あくまで、「努力はします」と。「でも、間違った努力をしても、結果は出ないよ」っていう話であって、努力しなくても結果がついてくるなんて、そんな甘い世の中じゃないと。

西岡:まぁ、そうだよね。

相生:そう。だから、努力はしますよと。そのうえで、どういうふうに努力したらいいのかっていう話を、これから僕たちが今からしていくというふうに思っていただければと思います。

西岡:なるほどなるほど。

相生:はい。で、いただいたご質問。「どういうふうな努力が報われるか」という話なんですけど、僕自身も高校生時代、勉強してたんですよ。西岡さんと一緒で、努力めっちゃしてたんすよ。でも、結果出なくて。

西岡:えー! 出なかった時期があるの?

相生:そう。全然思ったような結果が出なくて。だから、僕もおんなじなんですよ。最初から自分の努力が正しかったってわけではなくて、自分でいろいろ考えながらやって、この方法を見つけたってことなんです。

西岡:なるほどなるほど。

「努力は報われる」のではなく、「正しい努力は報われる」

相生:えっと、そうですね、どこから話そうかな。

西岡:努力ってさ、……なんかさ、「努力は報われる」って言葉から、僕らは考えたいと思うよね。

相生:そうですね。

西岡:よく言われることだし、「報われないじゃないか」「頑張っても報われないじゃないか」みたいなことで、虚無感というか、諦観を持っている人は結構いると思っていて。両方間違ってると思うんだよ。努力が報われるっていうのも、報われないっていうのも、何か間違っている気がして。ていうのは、努力の質の違いなのかなと。

相生:うんうん、そうですね。

西岡:そこらへんちょっと考えたいなと思うんだけど。

相生:努力は報われるって、すごい世の中の人の支えになっている言葉というか、この言葉を信じているから頑張れるとか、あるじゃないですか。でも、正直言うと、これ、多分正確じゃないって僕は思っていて。この、「正しい努力は報われる」っていうふうに考えた方がいいと思うんですよね。僕は。

努力が報われるために必要な4つの要素

相生:これは、「今でしょう」で有名な林修先生がすごい分かりやすいことを言っているので、これをお伝えしようと思うんですけど、あの人は「努力が報われる」ためには、「正しい方法で、正しい方向に向かって、正しい場所で、十分にした努力は報われる」っていうふうに言ってるんですよ。

西岡:結構多いな(笑)

相生:そう、多い。4つあるんですよね。

西岡:まず、「正しい方法」。Howだね。

相生:How、そう。武器ですね。次に「方向」。なので、ゴールが向こうにあるのに、後ろ向いてたら、どんなにそっち進んでも仕方ないよねって。で、正しい「場所」。目標地点。今の自分がこのくらい離れてるのか、それともこんなに近くにいるのか、もっともっと遠いのか。こういう場所によってやることが変わってくるよと。めっちゃ先の場所で雑魚の味方を連れて行っても勝てない。

西岡:ラスボスの前にスライム倒してても経験値たまんないしね。

相生:最後、十分な量っていうのは、ある程度、レベルを上げないといけないよってことですよね。

西岡:なるほどね。確かに「努力」ってひと口に言うんだけど、「正しい努力」って考えると、こんなに考えることがいっぱいあるっていう前提に立たなきゃいけないってのがまず強くあるんですね。そう考えたときに、この4つの努力が必要なんだということを相生さんはこれで知ったわけなんだね。

相生:僕はこれを高校2年生の時に知ったんですけど、それまでは僕もめっちゃ努力したんだけど、思ったような結果がついてこないと。で、それを聞いて、自分でどういう意味だったのかを解釈して。そういう中で受験時代に自分が確立したのがここに書いてある、「目標達成思考」ということなんですね。

努力の仕方を考える時の3つの軸

西岡:なるほどね、この本もいろんな構成があったと思うんだけど、一番は「方向」「場所」「方法」だったりという要素を内包している3つの戦略という考え方があるじゃないですか。これをちょっとお話いただけますか?

相生:そうですね、この本では、努力の仕方を考える時に、3つの軸を大事にしようといってるんですね。表紙にも書いてるんですけど、1つめが「現状分析」。2つめが「理想把握」、3つめが「方法論構築」。

難しい言葉でカッコつけて書いてるんですけど、簡単に言うと、「現状分析」は、今の自分がどんな自分なのかを分析する。つまり、過去と今をみるということ。

次の「理想把握」ってのは、今自分が抱えている課題を克服した上で、どういう自分になりたいのかを把握しようと。「方法論構築」は、現状を分析して、理想を把握して、その間をどうつなぐために、ギャップを埋めるために具体的に何をしたらいいのかを決定したらいいのか、ということ。

めちゃくちゃ簡単なイメージでいうと、電車の乗り換えアプリ。実はあれとやってることは同じなんですよね。みなさん、使っているところを想像していただきたいんですけど、最初、現在地を入れますよね、次に目的地を入れる。で、経路検索して、いろんな経路が出てくるよと。で、一番安い行き方、早く着く行き方、あるいは、山手線乗りたいからこれ、みたいな…いろんな経路の中から、自分が実際に行動するような方法というのを選ぶと。

この3つのステップというのがあるんですけど、これはさっき言った3つと対応していて、現在地を入力するのは、自分の現状、自分がどこにいるのかを把握、分析すること。目的地を入れるのは、理想を把握するということと一緒。

その間のギャップを埋めるために、実際どう動くのかを決めるのが、経路を検索して、その中から選ぶということと同じなんです。なので、ちょっと難しいなと思われた方は、今の電車の乗り換えアプリをイメージしていただけると分かるかなと。

受験生に多いのは、「方法論」ばかりの努力の仕方

西岡:乗換案内型の努力ってことだよね。

相生:そうですね。

西岡:でもこれって、すごく重要だと思ってて。乗換案内ってのもわかりやすいし、カーナビでもいいよね。現在地があって、目的地があって。でも、割とよくやることが、なんかよく分からないだけど、どこ行きたいのかが分からないからとりあえずここら辺を散歩してるとか、なんかよくわかんないけど数学やろうとか、なんかよくわかんないけどこの資料とりあえず作ろうかな、ということがあって。

まず、どこ行きたいのかが分からないと、どこにも行けない。もしかしたら同じどころをぐるぐる回っちゃうかもしれない……と考えたときに、絶対、現在地と、理想のとこと、目的地ね。ここを入力したら、現在地からそこまでの道のりが立ってるんだったら、どんなにゆっくりであったとしても、いつかは歩いていれば目的地には着くんだよね。「努力は報われない」とは言うけど、どんなに歩みが遅くても歩いていればいつかはつくんだよね。

相生:だから、受験生とか見てて思うのは、3つ目の「方法論」ばっかりやってる人がかなり多いんですよね。数学の参考書を3頁やるとか、問題を10問解くとか。センター試験の過去問やるとか。でも、それって、この間のギャップを埋めるためにやらなきゃいけないから、そこだけやってても意味はない。

西岡:今の自分に本当にやるべきものなのかどうかということを考えなきゃいけないんだよね。

東大生が必ずやっている、現在地と目標の2つの点数設定

西岡:これ、今の話を聞いてて思うのは、東大生って、この現状分析と理想把握の部分が凄く強いと思うんだよね。

理想把握のところですごいなと思うのは、東大生って過去問の、英語だったら、東大だと5題あるよね。5題の中で1のやつが2つに分かれてて……とか、いろいろあるんだけど、各科目の目標点数だけじゃなくて、各科目の、各大問の目標点数を2つくらい決めるんだよね。

相生:決めますね。

西岡:俺、これ、びっくりしたの。東大入ってびっくりしたのが、みんなそれやってるんだよね。これやってないで東大受かったっての、俺まだ会ったことないよ。

相生:まず何を2つ書くかというと、本当に自分が取りたいっていう点数をまず書くのと、最低でもこれだけは死守するっていう目標の2つを立てるんですよね。

西岡:死守するところと攻めるところね。

相生:そうそう。10点満点の大問があったとしたら、どんなにしくじっても、6点は取ろうと。目標は10点だと。…っていう感じなんですよね。

西岡:なるほどね。みなさん、今の話を聞いていて、現在地を入れて、目標を入れて……とかっていうのが「当たり前じゃん?」て思うかもしれないけど、当たり前じゃないんですよ、割と。できてないですよ。

相生:できてないですよ。

西岡:結構受験生でよくあるのが、勉強していて、「この勉強って本番で1点でも高くなるっていう実感があるの?」っていうやつ。それで1点も上がりそうにないんだったら、やる意味ないよね、本当は。そこに時間をかけたって絶対にうまくいかないよねって。でも、そういう努力ってしちゃってる可能性高いんだよね。

相生:ありますね、学校でこういうのって教えてくれないから。分からないのも仕方ないのもあるけど、そういう子はやっぱり多いですね。

西岡:この、「東大式」って名前つけてるけど、やっぱり、東大生はみんなこれやってると思う。

相生:やってますね。

頭の中だけで思考できる人は、東大生でもほんの一握り

西岡:そうそう。それが、外部から言われてやってるっていう場合と、自分からやってる場合と、両方あると思うんだけど。塾は割とこれに近いところがあるような気がするから。でも多かれ少なかれやってると思う。

相生:そうですね。みんなやってると思っていて、違いがあるのは、どれだけこれを徹底してやったかくらいですね。めちゃくちゃ手帳とかに書き込んでやったよって人もいれば、頭の中で何となくイメージしてやってたって人もいますけど。

西岡:そこでいくと、どんな人でも実はやってるんだけど、頭のいい人ほど、何かできちゃうから、頭の中で。だから、あまり言語化されずにここまできたのかなと。

相生:そこねー。そこ、すごい思うところがあるんですけど。頭の中で思考するのって、みなさんできますか?

西岡:俺はできないね。

相生:そうなんですよね。案外、これ、できないことがほとんどなんじゃないかって思ってて。

西岡:東大生でも一握りだよ。

相生:そうなんですよね。頭の中で考えて、全部計画立ててやりましたって人がいて、「それホントか?」って。絶対、それ、感覚……勉強量で押し切ったろ、って思うところがあって。やっぱり人間の思考って、紙に書いて、1個1個紡いでいくことで展開されるものだと思うので。自分は頭の中でできてるぜって思う人ほど、こういう紙に書いて整理してみてほしいと思うんですよね。

西岡:そうだよなー。

努力の仕方のフォーマットは、受験もコンサルティングも同じ

西岡:それで言うと、この本は手帳術だもんね。手帳に落とし込むんだもん。

相生:そうなんですよ。この思考を頭の中でやるんじゃだめだよというところなんですよね。

西岡:まぁそうだよなー。受験っていう話をベースにして話をしてきてしまっているんですけど、実はそんなこともないよね。

相生:全然そんなことないですね。

西岡:やってることは、コンサルもそうじゃん?

相生:そうですね。コンサルと全く同じなんですよ。

西岡:「御社はこういう目的があって、でも、こういう現状があるわけなんですから、だからこうこうこういうふうにやったらいかがですか」って。現状分析の手段とか、コンサルはめっちゃ持ってて、この4つのマトリクスで考えてみましょうとか、そういうふうにいろいろやってる。やってることの典型はみんな同じっていう、フォーマットは一緒っていう感じだよね。

相生:そうですね。それを、コンサルしか使っちゃいけないなんて誰も言ってないから、自分の日常生活に取り入れちゃえばいいじゃん、ってことなんですよね。

東大生の本棚−−「読解力」と「思考力」を鍛える本の読み方・選び方