即時審査でリスクのない金融にはデータが必要

孫正義氏(以下、孫):次のインダストリーを見てみましょう。

例えば金融。金融はあらゆるものを記号でトランザクションしているわけです。だとすると、AIにはより適しているはずだということです。物を動かさなくても、記号でお金をトランスファーし、データでその人の信用を判断することができる。

従来の金融では審査が遅い、リスクが高い、確率的な商品しか出せない、だから儲からない、だから金利も高く取らなきゃいけないという状況がある。これに対して、即時審査でリスクがより減って、かつ確率的なものではなくカスタマイズされた状況で商品が提供できるとすれば、今よりも安く、今よりも便利に、今よりも素早く金融サービスを提供することができるようになります。

鍵はデータです。インドのPaytmは、中国のアントファイナンスのAlipayと連携し、Alibabaグループの資本、ソフトバンクグループの資本、そしてノウハウ、いろんなものが融合して、今インドで一気に爆発的に、支払い・決済の手段を提供し、ユーザーが伸び、革命を起こしつつあると。

今日は創業者、起業家のVijayが来てくれていますので、直接話を聞きましょう。Welcome。

(会場拍手)

決済分野でパラダイムシフトを起こすPaytm

Vijay Shekhar Sharma氏:ありがとうございます。

時折、若い人のチームが既存に対して反対をして、このようなことは許さないと。例えば決済とか、今お話しがあったような自動運転の分野で新しいプラットフォーム、新しいアイデア、新しいパラダイムを起こすことが必要になります。Paytmは技術、ビッグデータ、AIを融合させることで、支払い決済を、例えば第三世界の国インドなどでできるということです。

支払い決済は、みなさんが店舗に行って、そして通貨で払うというものでした。一方、カードやなにか別の方法といった新しい支払方法の場合、有料で手数料がかかるという世界でした。インドでは、1ルピーの節約が企業や消費者にとって重要な節約になります。

支払い決済の基本的なものをまず作らないと、その上に新たなサービスを取ることができなかった。ところが、AIと決済がそれを可能にしたわけです。PaytmはAIによって世界のビジネスモデルを変えるという1つの例です。銀行は加盟店に対して手数料を請求します。つまり、支払い決済を可能にするために手数料を支払わせるわけです。

決済手数料が小さな商売を潰してしまう

ところが、例えば野菜を屋台で売っているような商店の場合、数ドルくらいしか毎日稼げない。手数料を払うことでさえ、生き残りの問題になってしまうわけです。それがテクノロジーとしてのAIの美しいところです。我々がサービスを提供できる、あるいは構築できる。サービスの規模があるからこそ、新しいビジネスモデルがデータと、そして新たな技術によって生まれるわけです。これが世界の支払いの進化です。

先ほど孫さんが為替の時代という話をしましたが、我々はまだある中央銀行の銀行総裁がサインをして、発行している通貨を使っています。これ(発行された通貨)を誰かに与えて、れを通貨として信頼してもらって、使っているわけですが、データが残らないという意味で、使っている人、通貨、それから銀行自体がまったくダメです。つまり、インテリジェントではないわけです。

一方、片方がデジタル化してカードが発行されました。カード自体はインテリジェンスではないんですが、店舗側で小さなコンピューターの端末が導入された。でもこれはなんの魔法でもありません。例えばインドや日本などですと、実際カードで支払いをする人は非常に少なく、もしかしたら世界の5パーセントから7パーセントぐらいでしかないのです。

世界から汚職をなくす、新たな通貨のトラッカビリティ

モバイルフォン、つまり携帯によって技術は発展しました。つまり、クラウドと接続しているエッジデバイスの導入です。それによってみなさまのトークンがスマホの中に入っているわけです。そして、店舗側のQRコードが店舗に設置されていますが、その組み合わせによって決済が可能になりました。

つまり決済は、通貨からカード、そしてモバイル決済へと移っている。モバイル決済は、みなさんのデバイスが何であるか、この場所がどこにあるか、どういう店舗で支払いをしているか、どういう支払いか、どういう取引かということを知っている。結果として、その店舗に対してよりスケーラブルなサービスを提供することができる。そして今まで不可能であったリスクなどをすべて解消することができるわけです。

この新たな通貨のトラッカビリティにより、もしかしたら世界の汚職がなくなるかもしれない。つまり、今のビジネスモデルの付加価値として、過去は支払手数料、パーセンテージに基づいていましたが、新しいビジネスモデルが可能になりました。

店舗は、例えばローンなどを出すことができるようになった。それ(ローン)を使ってショッピングをしている消費者は、クレジットカードだけでなく、電話を使ってクレジット、つまり信用を得ることができるようになったわけです。

診療の支払いは医療保険からダイレクトに

例えば、病院や薬局に行って支払いをする時に、ポケットからお金を出す、あるいはクレジットで払うのではなく、保険で払う、医療保険です。つまりその場で医療保険から瞬時にお金が下りるといったことが可能になります。そうすると、支払い決済を超えたサービスが可能になってくると思います。

ある技術の一番重要な役割は問題を解決すること。そして大規模なかたちで社会にインパクトを与えることです。テクノロジーにはまさにそれが可能です。

スマホの能力、スマホからクラウドに送られるデータ、そしてその周辺のシステムによってまさに世界中の金融サービスの民主化が可能になると思います。2014年から2018年までのたった4年間に、何千パーセントもユーザー数・加盟店の数が増えています。

また、Paytmの加盟店ベース、つまりPaytmの支払い決済を受け付けている店舗は、カード会社ネットワーク全体の5倍になっています。なぜこれが可能か。それは非常に理論的にスケーラビリティがあるからです。また、加盟店・消費者がそれを受け入れて、従来の銀行などができなかったようなリスクの評価が正確にできるようになったからなんです。