組織づくりはサービスづくりと同じ

武田純人(以下、武田):じゃあお二人、自己紹介をひと言ずつ。岩瀬さんからお願いします。

岩瀬大輔(以下、岩瀬):はい、ライフネット生命の岩瀬です。よろしくお願いします。

村上太一(以下、村上):株式会社リブセンスの村上です。よろしくお願い致します。

武田:今回、インタビューアーをやらせて頂きます、UBS証券の武田です。最初にですけど、この前にあったセッション、お2人お疲れ様でした。成長起業としての組織、チーム作りみたいな内容でしたが。

こちらでどんなことが印象的だったのか。学びみたいなものがあったのか。ちょっとお2人から頂きたいなと思うんですけど。じゃあ岩瀬さんから先に。

岩瀬:そうですね。皆さんのお話、面白かったんですけど。やっぱりサイバーエージェントの曽山さんのお話ってすごくいつも勉強になるんですよね。3000人を超える会社であれだけ生き生きと働く組織を作るのってほんとにすごいなと思うんですけど。曽山さんの話を聞いていると、人事制度だとか組織だとかを、あたかもプロダクトを作るように。

武田・村上:うんうん。

岩瀬:新サービスとか新商品を作るぐらいの気合と思い入れでやっていて、だからあれだけネーミングとかにもこだわるし。ディティールへの作り込みも上手いんだなって思うんですよね。だからそこはやっぱり本当に強い会社って、それぐらいの気持ちで、商品かサービスを作るぐらいのつもりで会社の制度を作っているので。

僕らも色々と学びながらやっているんですけど、なかなか上手くできないんですけど。今日も改めて村上さんの話もそうですけど、やっぱり成長している会社って、人をどう、みんなの力を引き出す仕組み作りのところにかなり工夫させているので。それが非常に印象に残りました。

言葉ひとつに組織のアイデンティティが表れる

武田:ありがとうございます。じゃあ村上さんも。

村上:私はあの、話すほうでいっぱいになって。何を話していたかっていうのが、もう記憶に無くなってしまっているんですけど。一応、印象に残ったのがマカロン。

武田:あ、マカロン。はいはい。

村上:サイバーさんの制度で、「ママがCAでロングで働く」(略してマカロン)。あのネーミングの部分であったりとか、あとはなんですかね。「何した?」っていうのが、ちゃんと組織内で話が出るようにとか。やっぱりお話頂いたように、1個1個のディティール詰めてるなっていうのと。

あとほんと言葉って大事だなっていうのが。日常的に話しやすいっていう。やっぱり組織を作っていくにあたって、普段使う言葉によって組織の風土はできてくるなと思っていて。お客様のことを「アイツ」とか言っていると、やっぱりお客様を変に扱う組織になっちゃいますし。お客様じゃなくて、じゃあなんて言うとか。やっぱりそういった言葉ひとつひとつに組織のアイデンティティが表現されるなと思っていて。その辺の工夫、見ていて勉強になりましたね。

岩瀬:それでいうと村上さんのね、「当たり前を発明しよう」。あれは秀逸だなと思いましたよね。「常識を疑おう」とか、「イノベーションを起こそう」というのは言い古されているんですけど。「当たり前を発明しよう」というのが、色々なものをすごく凝縮して表現しているような気がして、流石だなと。

村上:いえいえ、ありがとうございます。

ライフネット生命の企業理念

武田:ほんとに仰る通りで、なんか僕もセッション聞かせて頂いていたんですけど。すごく面白くて。村上さんの、その「当たり前を発明しよう」。これ去年考えられたんですよね?

村上:えーと社内、プラス外部も一部手助けをしていて。そのプロジェクトに関しては、外部の私が大学時代からお世話になっている先輩で、クリエイティブディレクターの方がいて、その方に一部入って頂きつつ、どういう議論をするべきだみたいな。骨子を作って頂いて、社内で話して議論しながらアウトプットができてきたっていうような感じです。

武田:うーん。そこですごく印象的だったのが、いわゆる企業理念というところに対して村上さんが、去年変えたわけですけど。元々、「始まった時のやつってもう覚えてないです」っていうぐらいで。

そういう意味でもちろん、企業のステージによって企業理念は変わる。あるいはそれをみんなが覚えて、みんなで組織の中で一緒の方向を向いて頑張っていく。そのために企業理念ってあると思うんですけど。逆に言うとね、岩瀬さんのところは多分企業理念にあたるのって、「子育て世代の保険料半分に」というところで。

ほんと明確に、創業の時から持っていらっしゃっていて。そこに突き進んでいくという形で、でも村上さんの場合は具体的に「これ」という感じじゃなくて。なんて言うんですかね、柔らかい企業理念みたいなものが。それも前からあるんじゃなくて、作り直していく。

そういうところって、組織運営だけじゃなくて、経営者として。あるいはもちろん、取り組んでいらっしゃる分野が違うから、というのもあるのかもしれないんですけど。その企業理念というところに対しての考え方って、だいぶ違うのかなと思って。そこら辺、ちょっとお2人にぜひ。

岩瀬:そうですね。僕ら金融業でかつ生命保険なので、単一の事業なんですよね。なのである意味、みなさんの話聞いていると羨ましいのは、サイバーエージェントさんもリブセンスさんもそうですけど、すごく広がりがあるから、ある意味広がりを持たせた定義になりますよね。

武田:はい。

岩瀬:僕らは生命保険会社なので、保険を軸に置くっていうのは違うと思うんですけど。僕らですね、それともうひとつ開業する前にマニフェストというものを作ったんですね。「こういう会社作りたい」っていうのを書いていって、それこそ外部の方にもアドバイス頂きながら。20項目か25項目ぐらいの「こうありたい姿」って書いていくんですね。これやっぱりすごく良くて、みんなが共通して立ち戻れる拠り所みたいなところなんですけど。ただちょっと問題があって、20個あると覚えられない。

武田:そうですね。

岩瀬:そこをもう少し工夫したいなという。ちょうど僕ら6年目終わったところで7年目入るので、村上さんの話なんかも聞いて、もう1回ブラッシュアップしてみるのもすごくいいかもしれないなと改めて思いました。

リブセンスの創業理念の原型は、文化祭

村上:そうですね。私の場合はもう創業時っていうのは、明確な理念、一応あったんですけれども。またちょっとニュアンス違うものだったりが、言葉としては出ていました。ただやっぱり創業時から創業メンバーが思っていたのは、今の理念である「幸せから生まれる幸せ」。多くの人に幸せになってもらうことによって感じる幸せ、そういったものを最大化していこうよというのは、思いとしては変わらずなのかなと。

この言葉が「幸せから生まれる幸せ」っていう理念自体に関しては、一番辛い時に「なんで会社をやるんだろう?」と思っている時に出てきた言葉なんですよね。会社を始める時に「なんで会社をやるんですか?」って言われたら、答えていたのが「やりたいからです」っていうあまり回答になっていない。その感情の部分だけを言っていたんですけれども。

いざ会社をやって、サービスを立ち上げ、とはいえ利用ユーザー増えないぞ、お客さん増えないぞ。どうしようっていうので、相当苦しい時期が。もう胃に穴が空くんじゃないか。実際、帰りの電車で、もう苦しくて苦しくて、「ああヤバい」と途中下車したり。

そういうような時期があって。その時になんで改めて「会社をやるのかな?」と考えていた際、幼い頃からこの軸あるよねと。多くの人に喜んでもらって、それが自分事のように嬉しいと。もう高校の時も文化祭とかをやって、お金とか儲からないけれども、約2万人ぐらいが来るような文化祭、高校でやっていたんですけど。

それで「来て良かったです」「来年も来ます」と言ってもらえると嬉しいみたいな。それをやっぱり最大化していきたいというのが会社だよね、っていうので言葉に落ちたと。思いとしては持っていたんですけど、言葉としたのはそういう時期でしたね。そういうような形で言葉にして、言葉にしていったのも創業1年目でやってから、いま約8年経ちますけど。やっぱりやっていく過程で、考え方もより深くなって、視座も高くなるっていう過程で、ブラッシュアップを一部していく。ただ根っこの部分はずっと変わってないなという感じですね。

最初から完璧なマニフェストはつくらなくていい

武田:今のお話、岩瀬さんにお伺いしたいんですけど。僕もセッションで村上さんが「言語化っていうのは後で、行動が先」。これ結構、明確なメッセージですごくググっと来たんですけど。岩瀬さんモデレーターやられていて、そこの発言とか。ご自身も経営者としてビジネスやられているなかで、あの発言ってどういう風に受け取りましたか?

岩瀬:そうですね。すごく共感するところがあって、僕らもですね。「子育て世代の保険料半額に」っていうキャッチコピーは、実は始めて2年目の終わりぐらいに出てきたところがあって。

武田:ああ、そうなんですね。

岩瀬:先にそのマニフェストがあったんですけど。

武田:ああ、そっか。なるほどなるほど。

岩瀬:やっぱり色んな表現の仕方ってあって。そういうことも考えて、色々なことを考えてやっていたんですけど。段々やっていて、口に出していく内に「なんか違うな」と。色々な言葉を投げてみて。それで「あ、これだな」と。それはつまり自分達のやりたいこと、目指す方向を表現しているし、周りの方も共感を得られるし。社員も求心力のある言葉ということなので。最初からそんな素晴らしい理念を持っている方もいるかもしれないんですけど、上手く表現できていないケースが多いので。逆に村上さんの話を聞いて、最初から全部綺麗じゃなくていいんだなと。

武田:そうですね。

岩瀬:やっている内に段々洗練されていくんだなって思いましたね。