他人を推薦・紹介する人は気づいてる?
言葉に表れる無意識のバイアスが評価に与える影響とは

Stanford Graduate School of Business Advancing Women's Leadership: Blocking Bias at Work #3/4

男女平等は常識であり、男女差別を公言した場合、批判は免れません。しかし、実態としてビジネスの話や政治の世界で男女平等が達成されているかというと、いかがでしょうか。アメリカでの調査では、CEOや国会議員の男女比は、女性が大きく少ないというのが現状です。今回、Stanford Graduate School of Businessに登壇するのは、ロリ・ニシウラ・マッケンジー氏。人が他人を評価したり、推薦したりするときに使う言葉に表れる、無意識のバイアスについて具体例を交えながら解説。バイアスを乗り越え、女性がリーダーシップを発揮する場を作るために、私たちができることについても語りました。

バイアストレーニングのゴールは何か

シェリー・コレル氏:ここにいる全員が、この点に関係する組織を運営しているわけではない、というのはわかっています。それではローリーに交代して、より実力主義的な社会に向かうために、これから個人に何ができるかという話をしていきます。

ロリ・ニシウラ・マッケンジー氏(以下、ロリ):ここまでの研究から、我々の社会には文化的な共通観念があることをおわかりいただけたと思います。それはプレゼンテーションの中で、熱意が下降するポイントだと言われることもあります。

私の仕事はその熱意を再び持ち上げることです。それでは一緒に見ていきましょう。みなさんには見えないものを見ていただこうと思います。それについて考える時、私はこのパズルを思い浮かべます。

おばあさんの顔に見える人はどのくらいいらっしゃいますか? では、若い女性の顔に見える人はどのくらいですか? 面白いですね。これをテクノロジー企業でやった時は、大体若い女性で手が挙がったんです。おばあさんの方はあまりいませんでした。

シリコンバレーには年齢バイアスのようなものがあるのかもしれませんね。興味深いのは、この両方の顔を見るには少し時間がかかるということです。

これを見たことがなかった青年は、1分ぐらいかかりました。年を取るほどそれに気づくのが難しくなっていると思うことがあります。良いニュースは、一旦脳が両方の絵を認識すると、二度とその認識は消せないんです。

私は5年間はこのパズルを見ていませんでした。でもまたこれを見ると、おばあさんも若い女性も、両方わかるんです。

つまり、バイアストレーニングのゴールは、バイアスを忘れないようにするための見方を身に付けることです。それからバイアスをブロックするツールを持つことです。

自分が思うトップパフォーマーを言葉で表現してみる実験

では言語の実験から始めます。みなさんに質問をするわけではありませんが、実験を一緒にしていきたいと思います。まず言語の実験をしていきます。言語は家族やコミュニティ、職場の文化を維持し、複製するための最も一般的な方法ですからね。

ここに入ってくる時に、紙を渡されたはずです。それを使う必要はありません。ご自分のデバイスを使いたい人もたくさんいると思いますからね。紙と、それからペンもあります。

みなさんには、トップパフォーマーを書いていただきたいんです。職場で考えると、それはみなさんのチームの、いつも頼りにしている人になるかもしれません。

みなさんのコミュニティの人かもしれません。私の場合はいつもブロック・パーティのホストをしてくれるご家族がいらっしゃるので、この家族にします。

みなさんのご家族の方でもいいですね。私の家庭での仕事は、休暇のプランを立てることです。その点で言えば、私は家族の休暇プランニングのトップパフォーマーと呼ばれてもいいかもしれませんね。

どんな場面でも構いません。トップパフォーマーを考えてみてください。その紙に1分ほど、数単語でその人の行動と姿勢を表してみてください。

完璧な文でなくても構いませんよ。トップパフォーマーを表す単語だけで大丈夫です。それが家庭なのか、職場なのかも書いてくださいね。ああ、ペンを渡してくださってありがとうございます。

(参加者記入)

一般的ではなく、具体的な人を思い浮かべてくださいね。みなさん最低1単語は書けましたか? これは思考実験です。これから2人の人物の描写をお見せします。

これらは意図的に異なる書き方がしてあります。なので実生活で現れるものとは多少異なりますが、とりあえずこの実験の旅に私と一緒に付いてきてくださいね。

言葉はいかに人の評価に影響を与えるか

2人の人物の描写をお見せします。それから、そのどちらかをみなさんのトップパフォーマーと入れ替えてもらいます。

たとえば、私の家庭の場合、もし私がもう休暇のプランを立てないことになったら、家族には「最高の休暇プランを立てられる人を探して」と言いますよね。

職場のみなさんのチームでも起こり得ます。その人が引き抜かれて、チームを去り、その代わりを探さないといけないと。

みなさんにAかBを選んで、自分のトップパフォーマーと置き換えるように言いますからね。

それでは、Aとトップパフォーマーを置き換える人は何人いらっしゃいますか? 15〜20パーセントぐらいでしょうか。Bはどうですか? 75パーセントぐらいですね。

面白いですね。私が何度もトップパフォーマー、トップパフォーマーと言うことで、前もって入れ知恵していたのを気づいていましたか? これでいかに言葉がその人のタイプを形成しているかがわかりますね。

その人の代わりを考えるように言われた時でさえ、たったの4つの言葉で80パーセントの人がAが残ることを選んだんです。その代わりに、あなたが必要とするときに最も頼れる人を思い浮かべてください。

それが同じ人だったとしても、みなさんは違う描写の方を選んだかもしれません。シェリーが言ったように、言葉がいかに関連付けに影響を与えるかおわかりいただけたと思います。たったいくつかの言葉で判断をするんです。

リーダーシップを表す言葉に見られる傾向

では、なぜこれが問題なのでしょうか? ライス大の研究者は、病院のチーフへの400通の推薦状に目を通しました。病院のチーフとは、たくさんの人の生死の判断を下す人ですよね。

研究者は、描写Aの方に、よりコミューナルな言語が使われていることに気づきました。「we(我々)」「community(コミュニティ)」「collaboration(コラボレーション)」などですね。

逆にエージェンティックな言葉とは、「I(私)」です。私は1人で結果を出しましたと。よりコミューナルな言語が使われると、その候補者は押し出されなくなります。

リーダーシップに関するプレゼンテーションをやっていることを考えてみてください。コミューナルな言語でどのような人物が描写されるでしょうか?

女性ですね。まったく同じ条件です。手紙を書いた人は、もっともこの人物がトップ候補として見てもらいたいと思っている人です。ところが、よりコミューナルな言語を使うことによって、その推薦の効果が薄くなってしまったんです。

なぜこれが問題なのでしょうか? シェリーは、我々は認識のショートカットとしてステレオタイプを使っていると言っていました。ここにロシア語のネイティブスピーカーはいらっしゃいますか?

いないですね。ロシア語には青色を表す言葉が2つあります。何か青いものを見せたとき、もしみなさんがロシア語のネイティブスピーカーだったら、少し時間がかかるはずです。

その青は明るい青なのか、暗い青なのかと考えるからです。でも英語では1つしかありませんね。もし青いものを見たら、より早く青だと思えるわけです。

物事がバイナリーになるほど、脳はより早く決断を下せるようになるんです。グレーな部分があるほど、認識のプロセスは遅くなります。起ころうとしていることの一部は、その他が存在しないこのバイナリーな世界です。

人を薦めるときの言語にもバイアスがかかっている

もし私がみなさんのことを、とてもコミューナルで良いチームプレイヤーだと推測したら、決断を家に持ち帰りたいと思っているんじゃないかと思うかもしれませんね。

もしみなさんがエージェンティックなら、私は「優れたチームプレイヤーになることもできるのではないか」と思うかもしれません。これはリーダーシップに関することです。

ある人のリーダーシップについて即座に決断を求められた時、我々はリーダーをエージェンティックな特質と結びつけがちです。たとえリーダーシップに多様な質を求めていたとしても、このような認識のショートカットを行ない、エージェンティックなものに頼ってしまうんです。

自動的な機能としての言語の活用法がこれでわかりますね。同等に評価されていても、前に出てくるのは異なる能力です。リーダーのポジションとして評価されるときの現れ方は異なります。

ここにリストがあります。みなさんのハンドアウトの裏にもあります。私の友人もよく使うので、私は手紙や推薦状を大学に入る人に書いて、Common Applicationに提出しました。

その手紙や推薦状に使った言葉の種類にはかなり気を配りました。LinkedInのプロフィールを見て、経歴をどのように表現しているか見たりする人もいますよね。またはLinkedInのエンドースメントを見たりする人もいます。どのくらい早くエンドースメントを得られるかと。

私にはプロジェクトマネジャーの友人がおり、彼女はとても影響力があります。彼女は「みんな私のことをフレンドリーだと言うけど、戦略的だと言ってくれる人はいないの」と言っていました。彼女もアジア人なんですが、アジア人はタスクを得意にしていると思われています。

だから彼女を見る人は、彼女のタスク志向性を見るんです。そして彼女が戦略的であり、どんな風にイベントを計画したかも忘れてしまいます。

彼女がプレゼンテーションをした後、LinkedInのエンドースメントを依頼しました。彼女はその人に自分の能力について、少し話をしました。それでようやく彼女は「タスクをこなすのに優れている」という記載のないLinkedInのエンドースメントを得られたんです。

推薦状に書かれている言葉からわかること

もう1つ例を挙げたいと思います。我々の機関には、非公式な推薦状が来ることが時々あります。誰かを雇う時、文書が送られてくるんです。その人たちは、その人物がその仕事にとても向いているということを知っているんです。

それを少しお見せして、そこで使われている言語を分析してみます。忠告もあるんですが、スクリーンに映し出されたくなかったら、私には推薦状を送って来ないでくださいね。

(会場笑)

冗談です。これは米国議会で働く人のためのものです。我々にとっては最上級職のひとつで、マーケティングディレクターのポジションです。この人は私に辿り着くまでに、いろんな人のところに行きました。

何故ならご覧のように、この人物には相当高い評価がされているからです。

いくつかの言葉を解説していきます。黒い太字になっている部分は、この推薦されている方の最も強いエンドースメントです。

薄くなっているところを見て下さい。専攻は何なのでしょうか? どんなプロフェッショナルが、どんな成果を上げたのでしょうか?

これだけ高い評価があっても、この手紙からはそれ以上のことは知ることができません。ここからわかるもう1つのことは、人は成果よりも性格で描写されるということです。

性格が描写されると、より曖昧になってしまうこともあります。ビジネスの成果などは記載されていません。これが我々の研究からわかったもう1つのトレンドです。

女性のパフォーマンス評価に見られる、ある傾向

「actually(実際に)」という単語を見て下さい。「実際に、私は彼女と一緒に働きました」とありますね。我々の研究から、女性のパフォーマンス評価には、疑いを起こすような文章が多いということがわかっています。

「彼女はなんとか良いチームを作り上げた」とか。「彼女は良いチームを作り上げた」ではなく。「最終的に、彼女はなんとかそのプロジェクトを納期内に仕上げた」とか。なぜ「最終的に」などと言う必要があるんでしょうか?

「最終的に」という言葉は、それが常に上手くいってはいなかったということを暗示していますよね? このような疑いを起こすような文章が、女性の評価にはよく見られます。

最後にこの人物の特徴を見てみましょう。後からわかったのですが、この方はとても良い成績を収めた学者さんでした。議会に行くという目標を叶えるために奨学金を使っていました。

それについては一言も書かれていませんでした。私がわかったのは、情熱的で献身的で、決断力があるということだけです。でも女性としての人物像はわかりません。

私は底知れぬほど献身的だと言われることもあります。何かのコードなのかもしれませんが、その女性のパフォーマンスを評価するときに、より一般的に底知れぬほど献身的だと符号化されるんです。

私がいつも面白いと思うことの1つは、我々は天才を称える文化の中にいるということです。次のスティーブ・ジョブズやスタートアップが求められています。

この天才を称える文化の中で、それがあなたに期待されていて、残りの私たちは死ぬほど働いて尽くすんです。

(会場笑)

我々が行なったこの研究は、パフォーマンスの評価に関するものです。ジェンダーは除いて、言語の使い方で評価しました。我々がこれをクレイマン・ジェンダー研究所で行なったのは、企業がバイアスをブロックできるように実用的な解決法を提示したかったからです。

大まかに言っておくと、過大な賛辞はしないでくださいね、というのが1つのポイントです。もしみなさんの会社に、まさにそのような曖昧な賛辞がありますと私が言ったら、そのような賛辞を使わないように社員を教育できるようになるでしょう。

女性が具体的なフィードバックを得る機会は少ない

これは最近ウォール・ストリート・ジャーナルに掲載されたものです。

我々が取り組んでいる2年間の研究プロジェクトの一部で、どのようにバイアスが働くかを正確に理解するためのものです。これまでお話した内容もありますよね。

女性が受けるフィードバックは少なく、それもあまり詳細ではありません。だからこれはフェイクだと思いましたが、実際に引用されたものでした。

ある女性は、それを仕事でもっと見せるように言われました。それが、彼女が受け取ったフィードバックでした。私は何故かよくわかりません。結果がどうなるのか、私がより多くの結果を生み出すために何が提供されるのか。

一方、ある男性は新しいプラットフォームに打ち上げるのを手助けするために、テクノロジーAをテクノロジーBと結びつけるように言われました。

曖昧な指示で仕事を円滑に進めるのは難しいですよね。女性が具体的なフィードバックを得る機会は少ないんです。コミュニケーションのスタイルに関して、より多くの批判も受けます。

シェリーが好感度ペナルティについてお話したのを覚えていますか? 好感度ペナルティが職場において現れるのは、エントリーレベルでは明快でも簡潔でもありませんし、シニアレベルでは不快な感じでもありません。

だから好感度ペナルティとして現れるコミュニケーションの方法に、パフォーマンス評価の段階で気づくんです。我々はこの新しい研究が、3段階で発表されるのをとても楽しみにしていました。

もっと楽しみだったのは、これが2017年3月のナショナルサミットの一部として発表されることでした。GSB卒業生や、ブルース・ゴールデン、彼の奥様のミシェル・マーサーの寛大なサポートのおかげで、すべての職場におけるバイアスをブロックするために、これをNational Conversationとして発表する予定です。

女性がリーダーとして認められる状況を生み出すには

これが我々のプレゼンテーションの最後です。質問の時間を取ってあると約束しましたからね。シェリー、ステージに戻ってくれる?

ああ! 明日からできる1アクションがありました。シェリーが、私が明日からでもできる解決法をお教えすると言いました。

みなさんができることの1つは、女性をエンドースすることですね。シェリーが、「自己PRしなければ好かれない」と話したのを覚えていますか? ある実験が終わって、教授が「こちらが私のTAです」と彼女の名前を告げるとします。

また別の条件では、教授が彼女の代わりに褒めるとします。彼女がいかに素晴らしいか、どんな研究をしたか、なぜ彼女の言葉に耳を傾けるべきかなど。

この条件では、彼女の評価は上がります。だからたとえ女性が好感度ペナルティを伴いながら自己PRをしたとしても、みなさんが彼女の代わりにPRすることはできるんです。

だから常に女性を紹介しながら、能力を保証することが、彼女がエキスパートやリーダーとして認められるためにみなさんができることの1つなんです。

他にもみなさんができることは、言語が自動的に使われるのを防ぐことです。考えなしに推薦状を書かないとかですね。

これは私の子供たちにも言えますが、ジェンダーに関わらず公平に扱うことです。最後に、履歴書やLinkedInのプロフィールを更新することもできますね。自分のだけでなく、みなさんがご存知の、他の人の履歴書やプロフィールを更新してもいいでしょう。

真の成果を反映することが、リーダーシップに必要とされるものを得ることにつながります。

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