キングコング西野の発想「仕事・相方・会社。身近にある面白さに気づき、より面白くするためにぶっ壊して再構築する」

西野亮廣氏と語り尽くす会 #2/3

西野亮廣氏と語り尽くす会
に開催

2015年9月30日に開催された、REAL×法政大学「西野亮廣氏と語り尽くす会」において漫才師・西野亮廣氏、法政大学・田中研之輔氏、バリュレイト・松本直樹によるパネルディスカッションが行われました。会場に集まった100名以上の学生・社会人に向けて、「キャリア」や「教育」について語り合いました。本パートでは、「テレビの企画はおもしろくなくなったのか?」という質問に対して、西野氏が現在のテレビ業界やお笑い芸人が陥っているジレンマを明かしました。また、相方である梶原氏や吉本興業とのエピソードを振り返り、コンビ・ピン問わず幅広い活動を続ける、自身のお笑いへのモチベーションを語りました。

提供:株式会社バリュレイト

テレビに逆らえない芸人のジレンマ

西野亮廣氏(以下、西野):最終的に町をつくりますよ。町をつくらないと意味がない。意味がないというか、つくったほうがお笑いをもっとおもしろくやれる。

高橋信次氏(以下、高橋):やっぱり全ての行動原理はお笑いなんですか?

西野:そうなんですよ。僕はぜんぶお笑いなんですよ。でも、そういう周りの整備をしないことには……。

芸人さんが今陥ってるところって集客なんですよね。集客ができないから、テレビで売れるしかなくなっちゃって、みんな「テレビ、テレビ」ってなっちゃってるんですけど。

意外かもしれないけど、知名度と集客力ってぜんぜん違うところにあるんです。結局自分で集客できないから、テレビに出ないといけない。だから、テレビ側の言うことを聞かないといけなくなるんですよね。

そうなったときに、テレビ側の企画の良し悪しの問題になるんで、こじんまりしちゃうんですよ。自分が思い描いた枠よりもちっちゃくなって。これが芸人がすげえ弱ってることだなと思ってます。

AKB48とか、EXILEは「いやいや、俺らは客呼べるから」みたいなのがあるから問題ないんですよね。ジャニーズさんもそうです。

「呼べるからいいよ。テレビ出なくても」っていう状態をつくってるから、テレビと交渉ができて、「その内容だったら、ウチはやりませんよ」ってことが初めて言えるとおもうんです。

芸人はこれができてないんですよ。芸人が「次これやんないと」って考えたときに集客ができないから強く出れない。そう考えると……やっぱりイオンなんですよね。

(会場笑)

田中研之輔氏(以下、田中):しっかり経済圏をつくってくださいよ。

西野:はい。それをやんないと弱っちゃうし、テレビで、「出ない」っていうカードが切れないから。

お笑いに対するモチベーション

高橋:ちなみに、西野さんのお笑いに対する情熱ってどこからくるんですか? 源泉というか、何かきっかけみたいなのがありますよね?

西野:まず、セックスをしたい。

(会場笑)

西野:違う違う。

何か世の中にあるものがみんな素通りしたり、ムカついたらブーブー言うだけで終わってると思う中で、何でももっとおもしろくなるんじゃないかと思ってます。

例えば、箱根駅伝の話も「もうちょっと、これをこうやったらおもしろくなるんじゃないの?」ということがいっぱいあるから、それを片っ端から直していこう、もっと楽しくしてやろうって。

田中:思考的には完全にイノベーターですよね。既存のものを1回ぶっ壊して、創造的破壊というか。もう1回つくり直すっていう。それは小学校のときから?

西野:そうだったかもしれないですね。

アロンアルファにハマっていた高校時代

西野:俺ね……高校のとき、むっちゃアホやったんですよ。みなさんみたいに大学入れないですよ、アホやから。

みなさん高3って何してました? 受験勉強ですよね? 多分、みなさんすげえ頭いいでしょう? 俺、高3のときにアロンアルファにハマっちゃって。

(会場笑)

西野:あの2〜3秒ぐらいで離れなくなることにむっちゃハマって、「アロンアルファすげえ!」って。

それで住んでたとこが田舎だったんで、カマキリを3匹くらい捕まえてきて、カマキリの背中と背中をアロンアルファでくっつけて、どこから攻められても大丈夫みたいな。

それで「よっしゃー」って言ってたんですよ。めっちゃ興奮したんですよ。「うわー、これ強い!」とか。それ高3です。

キングコングの結成秘話

高橋:すみません……時間が結構押してるんで、何か質問ある方。

質問者:お笑いやってて、うれしくて泣いたことってありますか?

西野:うれしくて泣いたこと? ちょっと長くなってもいいですか?

(会場笑)

田中:いいですよ。

西野:さっきも言いましたけど、相方の梶原ね。本当にアホで、嫌いなんでけど。でも、キングコングを組むぞっていうときは好きでしたね。「にっしゃん」「かっちゃん」なんか呼んだりして、コンビ組みたいけどなかなか組もうって言えなかったんです。要は恋愛と一緒。

組みたいけど、「組もう」って言ってフラれたら、そのあと梶原とギクシャクするのも嫌だから言えないなと思って。僕ずっと梶原のことが好きやったんですよ。

田中:どれくらいの期間言えなかったんですか?

西野:3ヵ月ぐらいずっと言えなくて。毎日遊んでるんですよ。それこそ公園で犬のうんこの投げ合いをずっとしてるんですよ。

(会場笑)

西野:すげえ楽しかったです。ぜんぜん言い出せなくて、今思うと気持ち悪いんですけど。

毎日夕方まで遊んで家帰ってから、梶原とまた長電話するんですよ。「かっちゃん、なんか俺の友達が『西野とかっちゃんがコンビ組んだらおもろいかもな』とか言うてたわ」って。もう遠回しに遠回しに。あとから聞くと梶原も僕と組みたかったらしいんですよ。

松本直樹氏(以下、松本):両思いじゃないですか。

西野:梶原もその電話に対して「にっしゃん変なこと言うな」って思ったらしい。「でも、俺もにっしゃんとコンビ組む夢見たわ」「おい、変やなお前」とか言って。

田中:はよ言えよと(笑)。

西野:ぜんぜん言えなかったです。そんな日が3ヵ月ぐらいあって、あるとき2人で僕の地元、兵庫県の川西市にかっちゃんが遊びに来て、夜ずっと遊んでて、「かっちゃん、夜景見に行こうか」とか言って。男2人で行ったんです。

関西の夜景スポットに2人で行って、僕がなにげなく「うわーっ、すごい光があるな。こんだけの人笑わせようと思ったら大変やな」ってポロッとつぶやいたんですよ。そしたらかっちゃんが「俺たち2人やったらできるよ」って。

(会場笑)

西野:きたーーーーっ!

両想いじゃん! 「俺たち」って言ったやん! 俺しかおらんやん! そのときはちょっとウルっときましたね。

田中:高校生の恋愛みたいな感じですね。

西野:そうです。そうです。いや、あのときはうれしかったですよ。

田中:そこがコンビ愛のピークなのね。

西野:そうですね、ピークですね。

田中:それからもう倦怠期。

西野:そうそう。ずっと下り坂。

相方・梶原の失踪事件

高橋:ちょっと聞いていいかわからないんですけど。

西野:なんですか? どうぞ。

高橋:そんな中、梶原さんと今でもコンビ組んでいる理由って何ですか?

西野:漫才したかったんですよ。テレビっていうか、実は梶原は一度マジで失踪してるんですよ。

田中:3日ぐらい連絡つかなかったって聞きましたが?

西野:そうなんですよ。大阪で売れてすぐ東京に来て、20歳のときに『はねるのトビラ』っていう番組がスタートしてすごく忙しくなって、21〜22ぐらいでもう目が回るぐらい。それが3年ぐらい続いたんですよ。

実力があって売れてたらまだいいんですけど、ちょっと違うじゃないですか? そんときの勢いで売れちゃってるから、どこに行っても結果が出せなかったんです。

漫才の番組とか行っても、ぜんぜんダメでしたね。他の先輩たちはずっとやってましたから、ネタのストックがありますけど。

僕らはコンビ組んだのが昨日の今日で、出番20分前ぐらいに「まだネタないぞ」と。そういうときだったんです。そのまま出ていっても、もちろん結果なんて出るわけないねすよね。

仕事はあるけど結果が出ない時期がずっと続いて……梶原が突然失踪して、1日でレギュラー番組が7本なくなったんですよ。

松本:1日で!?

西野:「終わったな」と思って、彼も失踪して「もうお笑いする気はない」みたいなことを言ってたんで、どうしようかなと思って。別に僕はピンでも良かったんですけど。

でも、多分どっかで漫才やりたくなるなと思ったんですよ。コンビでやってたらピンの活動もできるけど、ピンでやってたら漫才やりたくてもできないじゃないですか。結局、漫才やりたいからってことで、失踪した梶原を3〜4ヵ月ぐらい待ちました。

田中:そんなに?

西野:そうです。3〜4ヵ月仕事なかったんですよ。

松本:その間、連絡を取ってたんですか?

西野:ぜんぜんないです。梶原も続けるつもりがなかったんで。連絡は取ってないんですけど、ちょいちょい噂は入ってくるんですよ。失踪中に「結婚した」とかね。

(会場笑)

田中:寿退社だったんだ(笑)。

西野:そうそう。なんか「結婚した」っていう情報が入ってきて、あと「バイクの中免取った」っていう話を人伝いに聞いて。

(会場笑)

西野:あとは宝塚のほうのボウリング場で、「すげえスコア叩き出す奴がいる」みたいな。それで聞いたら、梶原が今ボウラーとしてすごい名を馳せてるみたいな。

(会場笑)

西野:接触はしなかったんですけど、情報はちょいちょい入ってましたよ。

松本:何て言って帰ってきたんですか?

西野:梶原は僕が待ってるって知らなかったみたいなんですよ。これだけ迷惑かけたら、「もう西野は完全にキレてるし。絶対もう解散ってことになってるやろな」と思っていたと。

確かに最初の1ヵ月ぐらい超キレてたんですよ。何であんなチビが……。あいつネタも一文字も書いてないんですよ。お前がコンパとかパチンコとか行ってる間に俺はずっとネタ書いてるんですから。「何でお前が先にしんどいみたいに言うねん」と思って。

最初の1ヵ月は超キレてたんですけど、「結婚した」って話で「ええっ!?何でやねん」と思って、その後、バイクの中免取ったあたりから「あいつ、おもろいな」と思って。

(会場笑)

西野:だってそんなことします? しまいにはボウラーとして名を馳せてるって。これ、失踪中にやることですか?

俺、それで笑っちゃって。結局、僕が待ってるってことを3ヵ月か4ヵ月後に知って、続けるつもりはないけども、謝りに来たんですよ。僕の家に来て土下座して「すまんかった」って謝りに来たんですけど、笑っちゃって。「こいつ今、ボウリングすごいんやろな」とかいろいろ。

(会場笑)

西野:ゲラゲラ笑っちゃって、それで雪解けです。

田中:いい話や。

西野:「もう1回やろうか」みたいな。

西野氏が吉本興業へ所属する理由

田中:今個人の活動と、コンビの活動の割合はどのくらいなんですか? 端から見ると個人の活動のほうが多い気がするんですけど、そうでもないんですか?

西野:個人のほうが多いかもしれないですね。6:4ぐらいですかね。

高橋:結構、個人でお仕事されてるじゃないですか? 今質問があったんですけど「何で吉本興業に所属してるんですか? これ聞いちゃって大丈夫ですか?

西野:ぜんぜんいいですよ。昔はあまり知らないですけど、吉本は最近あまりいい会社じゃないなと思ってたんですよ。

高橋:ちなみに会社員なんですか?

西野:契約社員ですね。最近の吉本は企業としては弱いなと思っていて。1つ良いのは劇場を持ってること。

大阪になんばグランド花月っていう劇場があるんですけど、大阪のど真ん中に850人くらいは入れる劇場があって、ここが連日満員なんですよ。3回転しててずっと満員なんです。

「こんな劇場はもう誰もつくれないだろうな」と思って。集客できる箱があるっていうのが、吉本の良いところ。とはいえ、今年の頭に1回辞めようと思ったんです。

別に俺1人でも行けるかと思って……ほとんど個人事務所みたいな動き方してますから。そしたら、いい話があって。今年の4月に「独演会」っていうトークライブのニューヨーク公演があったんです。

準備に1年ぐらいかかってニューヨーク公演をやって、すごい大変だったんですが、現地のスタッフさんが公演の翌日に「学校を訪問してくれないか?」と言ってきたんですよ。向こうの日本人学校の幼稚園と小学校「授業やってよ」みたいなことを言われたんです。

独演会の翌朝8時集合ですよ。1年間かけてやったニューヨーク公演の夜ぐらい朝まで飲みたいじゃないですか? 飲みたかったんですけど、すごくお世話になってるスタッフさんの頼みだったんでグッとこらえて、翌朝8時に幼稚園に行ってきました。

園児60人ぐらいの前で「西野さんは絵本も書かれてるんで、絵本の読み聞かせをしてください」と言われて、「ああ、わかりました」って言って、『腹ペコ青虫』を渡されたんです……俺の絵本でもないんやけどね。

(会場笑)

西野:1時間ぐらいかけてちょっとふざけ気味の『腹ペコ青虫』を読んで、声ガラガラですよ。

次が小学校のほうで100人ぐらいの生徒相手に「何かしゃべって」みたいな。小学生がまた話聞かないから大変なんですけど、とにかくおふざけしながらまた1時間半ぐらいしゃべったんですよ。計2時間半、独演会の翌朝ですよ。

ひたすらしゃべって、さんざんバカなこと言ってやったんですよ。それで帰国のときに、「おバカ授業終わりました」って言って、学校の門の前で写真を撮ってTwitterにあげたんです。

そしたら日本に帰ってきたら、マネージャーが血相変えて「西野さん!大変な事になってます」「何?」って聞いたら、「Twitterで『おバカ授業終わりました』みたいことをつぶやきましたよね? あれ、向こうの学校の学長さんからクレームが来てるって。

「おバカとは何なんだ?名誉毀損だぞ」と。自分がおバカなことしたから「おバカ授業」って言ってるだけで、学校批判なんかしてないんすよ。

でも、向こうの校長がとにかくキレてるんですよ。「謝ってくれ。名誉毀損だから」と言って。「マジか!?」と思って。僕はあんだけ打ち上げもやらずに、声を枯らしておバカなことを散々やって、「何で謝らなきゃいけないんだ?」って。

「ちょっと待て」と。確かに普段は謝らなきゃいけないことを散々やってますが、これに関しては「1ミリも悪いことしてない」って言ったんです。マネージャーの言葉も寂しかったんですよ。「何でお前が言い返してくれないんだ?」って。

すっげえ寂しくなって、「俺は今回は悪いことしてないから謝れないし、謝らないぞ」とマネージャーに伝えたんですが、マネージャーが謝罪文を書いたんですよ。「この度は弊社所属のキングコングの西野が……」みたいな。

それを書いてたら、吉本興業の大﨑(洋)っていうダウンタウンさんを生んだ大社長が、「何やこれ!?」って激怒したんですよ。「何してんねん!!」って言って。

うちの会社、社員むっちゃいるんですけど、みんなの前でマネージャーに激怒して「ふざけるな!!」って。「西野は悪いことしてない」と。

「西野は芸人として呼ばれておバカなことをやったんだ。西野は何も間違ってない」と。いちタレントのためにキレてくれたんですよ。「社長ーーー!!」ってなるじゃないですか?

(会場笑)

西野:俺、会社辞めようとしてたけど、「社長ーーー!」ってなったんですよ。

社長は僕のためにキレてくれたんですよ。「ふざけるな!吉本興業はおバカを売ってきたんだ。おバカを100年間売ってきて、ここまで大きくなったんだ。ここで謝ったらこれまでの吉本興業、先輩たちが築いたものを否定することになる。吉本興業はそれだけはしない。うちはバカをやる会社なんだ!」って言って、「吉本興業としては謝れない。それを先方に伝えろ!」って。

高橋:かっこいい!

西野:トップダウンでバンと跳ね返したんですよね。そしたらマネージャーも「そういうことで、謝ることはできません」って向こうの学長にバシンってぶつけたんですよ。学長に「ざまあみろ」って言って。

そしたら向こうの学長が「訴えますよ」って言ってきて ・ ・ ・ ・ ・ ・ すごい謝ったんです(笑)。

(会場笑)

西野:大﨑はもうすごい謝ってましたね(笑)。「訴えるとか、違うじゃないですか〜」って。すごいっすよ。俺、謝罪文書かされて「申しわけございません」って書いてたら、大﨑が横から「お前『誠に』をつけんかい!」って。

(会場笑)

西野:「ちゃんと謝れ」みたいな。こういうかっこ悪さも含めていい会社だなと思っています。

田中:やっぱりいい会社だね。

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