ICTで世界第2位の農産物輸出国になったオランダ

大前研一氏:ここまで説明した全てを足してみるとどうなるかっていうと、あらゆる産業が実はICT産業になると。オランダの農業を見てください。もうICTの塊ですよ。オランダって、九州ぐらいの面積しかないんですよ。世界第2の農産物輸出国なんですよ。3つの商品に集中してるんですけど、トマトとかそういうものに。

でも、付加価値の高いものに集中して。そして九州ぐらいの面積しかないのに、農協も7つに集約してしまって、そしてものすごいリサーチをして、そしてICTでもって管理して、そして輸出競争力を持つと。世界第2の農産物輸出国。アメリカに次いで2位ですから。

普通皆さん、アルゼンチンとかオーストラリアだと思うでしょう? 違うんです。オランダのほうが多いんです。ということで、オランダの農業を見ると、完全にICT化と、こういうことですね。ですから農業までもが、当然漁業なんかもそうですね。釣った瞬間に、もうセリ落とすという。そういうふうなところに行ってきてます。

ですからもう今では、介護とかなんかそういうところも、もちろんそうです。中国でさえも今、健康保険制度というものを使って、療養を長期でやるとか、そういうとこの場所を選んで行くとか、そういうふうなシステムは、日本より進んでいます。

もう独禁法がないからね。どんどんとデータを使って、そういう商売を始めてるという、こういうことですね。ですから、あたしのうちは関係ねえよというところは、残念ながら、あんまり見当たらない。

関係ねえよと思ってるのは学校の先生でしょうけど、私はオンラインの大学を経営してますから。てめえら見てろ、という気持ちが、実はあるんですけどね。それを言うと、みんなが私を憎みますから。「ははあ」って文科省にお辞儀をしながら、文科省に触らないようにしてやってます。

それから自分の会社の再建費が必要になりますね、こういうことですから。GoogleもAmazonも、もう生まれたときの姿とは様変わりと。Appleなんかもそうですね。

セコムなんかいらなくなる? ビッグデータを活用しよう

セコムなんかも日本では、老人介護とかそういうところで、警備だけじゃなくて。1人住まいのじいちゃんばあちゃんのところが、一発でもってなんか助けを呼べるとか、そういうふうなとこにいってますし。

本当はセコムなんかいらなくなるんですよ。本当にスマホ、ITベースでもって、いわゆるIoTというやつで、センサーをドアの外に付けて、誰かが入ったとなったらすぐにわかるとか。ビッグデータで顔を認識してみたら、あいつは前科3犯のやつが入ったとか。

1人住まいの女の人が、表、ドアの外に誰かいると怖いわっていうようなときにも、センサーをこうやってやっとくと。カラスがパーって飛んでも起動しますけど、そこを映像解析でやると、そんなのわかるじゃないですか。

前科3犯なんていうのがいるとすぐにもう警察に。セコムに行かないんですよ。警察に行ったほうがいいです、そういうのはね。というようなことで、警察のビッグデータと照合すれば、大体誰かってのがわかるようになってます。

ですからこの領域は皆さん、セコムになったつもりで、セコムをつぶすにはどうしたらいいかと一生懸命、考えてください。土曜日の午後みんなで集まってやったら、200ぐらいアイデア出てきますよ。全部センサー。

センサーってのは、マシンtoマシンですね。いわゆるパケット通信網が、どこに行ってもありますから。それを使ってやってったら、結構いろんなことができると。既存の会社を倒すという命題で、土曜日の暇な午後にでもやってください、ぜひ。

セールスフォースオートメーションが営業マンを助ける

それからナンバーワン企業ってのは、自社の研究心が頼りないんで、どんどんと新しい会社を買ってきてます。先ほど言ったAmazonなんかも、Kiva Systems(キバ・システムズ)という物流のマテハンのすごいロボットを買ってますよね。だからAmazonの物流倉庫ってのは、もうものすごいスピードで動くようになってますけども。

こういったようなものが、これからは非常に重要になると。クラウドの領域を少し眺めてみると、Amazonがナンバーワンです。用もないのにサーバつくってる。なんだっつったら、いつの間にかクラウドコンピューティングで、シェアトップですね。

それからGoogle。金があるんでいくらでもという。それからMicrosoft。それからSalesforceはアプリ。ソリューションを含めたクラウドですよね。セールスフォースオートメーション。CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)。

これとFacebookなんかを組み合わせて、セールスマンの今日の行動ルートを推奨して、行く会社の社長さんの最近のニュースも全部そこで見られるようにしたりね。「社長! この前、見ましたよ! いい記事ですね!」ってそれ、来る途中で見ただけなんですけど。そういうふうにやると、やっぱり3分話がつながると。「15分、ちょっと入れ」と、こうなるわけですよ。

「社長! なんかいいのありませんか?」って言ったら、またおいでって言われて終わりでしょう? この差がでかいですね。それが、セールスフォースオートメーション。

CRM(カスタマー・リレーションシップ・マネジメント)なんかでは非常に重要で。システムそのものだけじゃなくて、そこにコンテンツがこうやって入ることによって、セールスマンがテリトリーを変えても世継ぎができるし、今のようなところで話が最初の3分もったら、こっちの勝ちだと、こういうことですね。

クラウドビジネスは1社が駆け抜けると、2番手は苦戦する

クラウドの場合は、電子メールが非常に多いんですけども、ファイル共有っていうやつが、その次に出てくるんですね。それから経理とかいろんなことで、どんどんいきますけどもね。そこでいくつか、紹介したい会社っていうのがあります。Evernote。これもファイル共有ですね。

SugarSync、Dropbox。皆さんもDropboxみたいなの使ってると思いますけども。あらゆる種類のものを預かってくれる。非常に安い。最初のお試しは、何ギガまでは無料とかね。そのうちに、どんどんと値段が上がってっちゃうという、そういう話なんですけども、このようなサービス。

今、MicrosoftとDropboxが提携してますんで、パワポとかああいうやつも、全部そこの中で。iOSを使うと、パワポ、化けちゃうんですよね。これがなくなると。

医療系の人にちょっと紹介したいクラウドベースの会社があるんですけども。Practice Fusion。この会社はやっぱりすごい会社です。ライアン・ハワードっていう人がつくって。

私もこれ、創業2年ぐらいのときに行きまして。いいなあ、この会社、と思ったんですね。で、投資させてくれって言ったら、oDeskとおんなじで、もう利益出てるから要りませんと言われました。

何やってるかっていうと、開業医の電子カルテです。それをスマホベースでもってやれるようになってる。しかも、フリーミアム。無料なんです。無料でもって開業医にシステムを届けて、そこでカルテかなんかを出す。処方箋も出すと。

開業医はシステムを買う金がなくて困ってたら、結局無料ということでもって、今では11万人の会員がいる。

お客さんがぶら下がってんのが2,200万人。2位がもうないんですよ。昔から電子カルテをやってたのは、中小病院、大病院でしょ。こういうとこは有料でやってたんで、無料で来られると対抗できないんですよ。うちのほうがいいシステムだって言っても、これは手遅れなんですね。無料。

で、どこで稼いでんのっていうと、2つあります。1つは処方箋を書いて、GPSと連動させてこの処方箋を売っている薬局はここですと。傍のやつをGPSで教えてくれるようなふりをしながら、お金くれてないとこは示さないと。これ、いいじゃないですか。そうするとそこへ行きますから。ここに金を払って、そっちから稼ぐと。

それからもう1つは、ちょうどカルテの1番下、スペースの空いてるところに、広告のスペースを出したり。Googleもそうですけどね。AdWordsとかああいうのも、みんなそうですけども。こういうところで広告を出させてやると。

この2つがビジネスモデルですから、お客さんも開業医もタダです。11万人の開業医、フランチャイズしたらもう勝負あったと。

クラウドっていうのは1社が駆け抜けたら、2番目はなかなか難しいと。皆さんも、自分の会社の商売で、これは自分の会社が素晴らしいと思ってるシステムだといったら、フリーミアムでやるってのがいいと思いますよ。これでああいうふうに駆け抜けていただくと。

日本のハードウェアメーカーは「チャイワン(China + Taiwan)企業」に負けた

それでこういうところを見ていると、Googleがかなりこの領域ではハードも含めて優勢になってきてる。データも集めてる。こういう感じですよね。Googleなんかはソフトの会社のくせに、なんでハードつくんのっつったら、EMS(Electronics Manufacturing Service)ですよね。

要するにシステム、ちゃんと設計したらつくってくれる鴻海(鴻海精密工業 / Foxconn Technology Group)とか、ああいう会社が山のようにありますから。ということで、今ではスマホセントリックのエコシステムができあがってると。

個人でもメイカーズムーブメント、メーカーにもなれるとこういう時代ですし。例えば格安スマホ、Xiaomiみたいな会社があっという間に世界3位になりましたけども。こういうようなところは、Media Tekみたいな台湾の会社に設計してもらって、石までつくってもらって1万円ぐらいでもって提供すると。

こういうことができるようになった。つまり今では、ソフトの会社でもハードウェアができるし、ハードの会社でもソフトっていうのを無料で、Androidみたいなものを持ってくることができると、こういう時代です。

ですから自分の会社はメーカーだというふうに思ったら間違いですし、1人メーカーズという動きもあるように、1人でもメーカーになれるということで、結局EMSを使うことによって、ハードもみんなワンセットで持つようになっちゃったと。

MicrosoftもGoogleもAmazonも。いずれも、鴻海が裏でつくってると。Xiaomiの携帯も、やっぱり鴻海がつくってるんですね。鴻海は、中国でチャイワン企業と言われてる。台湾の会社ですが、中国でやってる。100万人の雇用をつくってますから。

だから、そういうふうなところがあるために、ハードウェアっていうのは、昔のように大きなハードがないです。日本のハードウェアメーカーが、みんなぶっとんじゃった理由ってのも、チャイワンにやられてるわけです。

これが3Dプリンタとかロボットの部分ですね。いわゆる、1人メーカーズというふうなことです。