「大企業ならいつでも戻れると思って」 Google出身者がキャリアより起業を選んだ理由

若手起業家対談 #1/2

TOKYO STARTUP GATEWAY2014
に開催

東京から世界を変える。ウェブ・テック、ソーシャルビジネスなど様々な分野を超えて「世界」を変える起業家を輩出するスタートアップコンテスト「TOKYO STARTUP GATEWAY 2014」。そのパネルディスカッションに、freee・佐々木大輔氏とREADYFOR・米良はるか氏が登壇し、起業家を目指す後輩に向け自身の経験や成功の秘訣を語ります。

クラウド会計ソフト「freee」3つの特徴

山内幸治氏(以下、山内):これからパネルディスカッションを進めていきたいと思います。今日は事前の情報だと9割がた社会人の方がいらっしゃっていて、特に、いつか自分も起業したいと思っている人たちが多く来ていらっしゃるということも聞いています。

今日は佐々木さん、米良さんにお越しいただいていますから、まず、前半はお2人のスタートアップのお話について少しお伺いした上で、これからの、この日本でどうやったら起業家精神が広がっていくのか、それぞれ考える2020年に向けてのビジョンは何なのか、そんなお話を聞いていきたいなと。

短い時間ですのでちょっとコンパクトに進めていければなと思っています。よろしくお願いいたします。さっそく、佐々木さんの方から簡単に自己紹介を含めて、今やっているサービスと、なぜ始めたのかっていうあたりをまずお話いただいてよろしいですか。

佐々木大輔氏(以下、佐々木):佐々木と申します。僕は、全自動のクラウド会計ソフト、freeeというものを提供しております。

こちらのfreeeといものはまず、今まで会計ソフトっていうのは、パソコンにインストールして使うのが常識だったのが、それをクラウド型にして中小企業の方、個人事業主の方が誰でもインターネットさえあれば使えるようにしたというのが1つ目。

2つ目の特徴として、簿記ですとか経理の知識がない人でも会計ソフトを使えるようにしたいと。そういうことで専門用語は一切ない会計ソフトというのが2つ目の特徴になっていてます。

3つ目に、銀行とかクレジットカードですとか、こういったもののWebの明細ですね、これとデータを同期させて自動で会計帳簿が作れると。

こんなクラウドで簡単で自動でできるっていう、こういう3つの特徴を持った新しいタイプの会計ソフトを去年の3月にリリースをして、すでに14万以上の事業所の方にご利用いただいます。

freee を開発するに至ったきっかけ

佐々木:この事業をやっていく上で、会社組織としても急激に成長していくといったところで、この14万の事業所の方に使っていただくっていうところを支えていて、資金的にも海外のベンチャーキャピタルなんかを含めて、すでに17億円ぐらい調達をしてやっています。

このビジネスを始めるきっかけになったのが、僕がこのfreeeという会社を2年ちょっと前に立ち上げているんですけれども、その前の前の仕事で、ベンチャー企業でCFOといって税務の仕事をしてたことがあったんですね。

ただ、当時20人ぐらいの会社で、CFOで財務だっていっても、そんなに財務の仕事自体は資金調達している時以外はないんですよね。

そうすると、どれだけ自分でビジネスに付加価値を与えられるようなことができるかっていうことが重要で、そうじゃない経理の部分は、なんとしても最小コストでうまくまわせるようにしたいということをやろうとしたんですが、なかなか当時使っていたソフトウエアだとこれって実現できないよなと思っていました。

そこが問題意識の発端だったんですけれども、結局その当時は自分でソフトを作るなんて難しいなと思って諦めていたんです。その後Googleっていう会社に入って、もう社内全部クラウドのツールしか使わないと。

そんな環境の中で仕事をしていて、何かの巡り合わせか中小企業向けのマーケティングっていうものに出会って、中小企業の方にインターネットの素晴らしさを伝えていくとか、そんな仕事をしていたんです。

そうすると、いろんな国の中小企業のインターネットの利用状況だとか、インターネット関連のツールの利用状況だとか、そういうのを一生懸命調べるんですけれども、日本だけどうしても中小企業におけるテクノロジーの活用って遅れているなと問題意識を持ち始めました。

あの時、すごい困っていた会計ソフトって、あの後どうなったんだろうって調べてみても、やっぱりまったく進化していないと。そういうふうに問題意識を持ったんだったら、とりあえず自分でやってみようっていうことで、自分でまずプログラミングを勉強するっていうところから始めて、このfreeeっていうプロダクトを作り始めました。

山内:ありがとうございます。

起業を決意したきっかけ

山内:佐々木さんとは大学生の頃に、ETICのインターンのプログラムに参加いただいて、私、担当のコーディネーターだったので、やんちゃっぷりからよく知っていたんですけど、なんとなく経歴を見ても起業するっていうことを意識していたタイプには感じなかったんですけど、その辺自分でやろうっていうふうに思ったポイントっていうのはどういうところだったんですか。

佐々木:1つは問題意識の中に、日本の中小企業マーケットっていうのを見た時にいくつか問題点があって、テクノロジーの浸透度が低いですよねっていうところと、もう1つは、開業率っていうか起業する人の割合が低いですよね。

そんな問題を思った時に、それをサポートすることをやろうっていうのはいろいろ言えるんですけど、それよりもまず自分でやってみることも1つ重要だなというようなことを思って、起業してみようと思ったのが1つです。

もう1つは、自分って会計とかそういうことに対する問題意識っていうのもすごく高く持っているし、中小企業のテクノロジーを進めなきゃいけないっていう問題意識をすごく強くもっているし、この掛け合わせで思っている人ってそんなにいないだろうなと、それだったら挑戦してみるかっていうことが、何か世の中に対する1つの貢献なんじゃないかなと思ってやり始めたっていう経緯がありますね。

山内:ある種、博報堂、Googleとキャリアを積んでいって、そのグローバルの中でどんどんビジネスとして勝負していくというか、そういう生き方もあった訳じゃないですか。そういうのはあんまり考えなかったんですか?

佐々木:そういうのも考えつつではあったんですけれども、ただ、そっちは結構時間がかかるなっていうのもありました。自分が本当にインパクトを与えられるようになるまでに、まだまだ時間がかかるなっていうのはありました。

ただ、自分が起業というアプローチをとることによって、もしかしたら世の中に与えられるかもしれないインパクトって、もっと大きいんじゃないかっていうことを思って、そういった意味でもやってみる価値ってあるんじゃないかなと思ったんです。

大企業ならいつでも戻れると思った

佐々木:もう1つは、そっちの大企業の世界って戻りたかったらいつでも戻れるだろうなって思ったんです。

それが別に、最終的に大企業の世界に戻りたかったとしても遠回りにもたいしてならないだろうと。というのはGoogleって会社にいると起業して失敗して戻りましたみたいな人って結構普通に世界中見ればいっぱいいるんですよね。

そういった意味で起業することっていうのが、まったく何かのメインストリームから外れることだっていうふうには、僕は個人的には認識してなかったっていうのはあります。

山内:ありがとうございます。そういう意味でいうと、いかに社会に価値を出すかっていうところを最短距離で考えた時に、起業っていう選択肢が自分の中ではピンときたというか、はまったっていうところだったんですね。

佐々木:そうですね。その時に、いいタイミングだったんじゃないかなと思います。

山内:ありがとうございます。

READYFOR・米良氏、自己紹介

山内:では、米良さんのほうにも簡単に自己紹介していただきます。

米良はるか氏(以下、米良):初めまして、米良はるかと申します。私はクラウドファンディングといって、インターネット上で少額を多くの人から集める資金調達の仕組みをREADYFOR というサービスで提供させていただいています。

私は2011年の3月に、READYFORというサービスを日本初のクラウドファンディングという形ではじめたんですけれども、もともと私は、大学4年生ぐらいの時に、ある方と出会うっていうところから私のストーリーが始まるんです。

パラリンピックのスキーチームの荒井監督という方に学生の時にお会いすることがありました。それまで私は、学生時代に起業をしたいとかそんなことを考えたことはありませんでした。

その監督にお会いした時に、彼がパラリンピックで何度も優勝をしているような、そんな強いチームだったにもかかわらず、なかなか練習環境の整備等が難しく、やはりお金がかかって勝負をし続けることがすごく難しいというお話を聞きました。

それまで私は、結構まわりに、いわゆる何かを作るとか、何かクリエイティブにものを発信していく人たちが、自分は家庭環境もそうだったので結構多かったんですけれども、自分自身はそういうことができなくて、すごいコンプレックスを持って生きていたんです。

何か踏み出すっていうことをするほど勇気もなくて、でもその荒井監督の話を聞いた時に、何か自分もやらなきゃいけないっていうふうに思いました。

そこでネットがあれば、なにか熱い思いをもって頑張っている人たちの思いを発信することができて、そしてそれに賛同した人が10円でも100円でも出していけば、1億2千万人が1円ずつだしたら1億2千万円になる訳ですけれども、そういうことがインターネットによって実現できるんじゃないかなというふうに思ったんです。

そして、その監督率いるチームに対して100万円のお金を皆さんから集めるというような活動を始めました。その活動は100万円を3カ月ぐらいで地道に集めていって、無事に集まって、そのチームは金メダル2個、銀メダル1個っていう快挙を成し遂げました。

起業に至るまでの経緯

米良:私自身が別にお金を集めたことによって、別にチームが優勝した訳ではもちろんないということはわかっているんですけれども、自分自身がすごく勉強になったのが、やっぱりいろんなことをやっている人たちっていうのに対して、自分もまず、一歩踏み出して何かやる当事者にならなければ世の中は変わっていかないんだなということをその時すごく思いました。

本当に小さな一歩だったと思うんですけれども、その時からやっぱり何か課題があった時に、私は踏み出す人間でいたいなというふうに意識が変わりました。

それから、大学院に進んだんですけれども、ちょっと縁があってシリコンバレーに行くことがあって、その後にスタンフォードに半年留学をしていて、そこでテクノロジーの勉強をしました。私も経済学部出身だったので、プログラミングとか全然できなかったので、スタンフォードでプログラミングの勉強をしたりとかやっていたんですけれども、自分で何かものを作るという本当に小さなことだったんですけどやり始めました。

荒井監督のような想いを持って、そして社会の中で活躍しようと思っている、そういった人たちに対して、みんなで応援できるような仕組みというところで、クラウドファンディングというのが、2009年頃からアメリカを中心に新しい資金調達の方法として広がってきているということを知りました。一方で日本国内を見渡してみれば、全然クラウドファンディングっていうキーワードもまったくネット上で出て来なかったんです。

そういうことやっているサービスも全然なかったので、これはもう私がやるしかないと思いまして、日本に戻ってきて、そしてサービスを立ち上げたっていうような経緯があります。

私はもともと、自分が学生時代から親しくしていたベンチャーの中で、1つのサービスとして立ち上げていて、今年の7月にスピンアウトして、READYFOR株式会社というところでサービスを展開するようになりました。

なので、本当に起業家になりたいとか、自分が世界を変えるんだみたいなことをそんなに強く思って始めた訳ではなくて、どちらかというと何か自分がやってみようっていう、カジュアルな形でスタートしたのが自分の動機だったかなと思います。

構想から9ヶ月で起業へ

山内:でも、実際に佐々木さんと違って、そういう意味でのビジネス経験を持って始めている訳ではないじゃないですか、そういう意味での不安とか、最初の難しさとかなかったんですか。

米良:すごいありました。本当にわからないことだらけで。私も同級生とかで、それこそコンサルティングの会社に入っていたりとか、有名な企業に入っている同級生の仲間たちが、ちょっと仕事の資料とか見せてくれると、例えばパワーポイントで1番上に何をタイトルで書くとかって作られているんですよね。

本当に仕組み化されているんだなっていうことに感動して、かたや私は、資料をもう本当にマイクロソフトの白いパワーポイントにどういうふうに作るといいのかっていうところから、本当に全部自分で勉強して、型を作っていくっていうことをやっていかなければいけない、そのあたりとかもすごく大変でした。

もちろん契約書を作るとか、そういう弁護士さんとかプロフェッショナルな方もお手伝いしてくれますけど、でも私自身が理解していないと全然通じないので、たくさん本を読んだりとかして、最初の2年ぐらいは本当にどこに向かっているのかよくわかんないような、でも必要だと思うことを地道に勉強してたなっていうふうに思います。

山内:構想してから、実際にサービスをスタートするまでって、お2人はどのくらいのスピード感だったんですか。

佐々木:構想してからでいうと、思いついてからすぐプログラミングとか勉強してやり始めて形にし始めると。そういうふうに取り掛かるのは1ヶ月ぐらいで、その後、一緒にやろうっていう仲間も見つかったので、そこから2ヶ月だから、だいたい3ヶ月ぐらいですかね。

山内:もうサービスをスタートしちゃった。

佐々木:サービスはスタートできないです。そこから創業して2人で会社を辞めて作り始めると。半年ぐらいかかって作って、作る間で資金調達みたいな話も合ったんで、それもやり、おおよそ半年って感じですね。だから本当に構想からいえば9ヶ月とか、そのくらいかかっています。

自由が増えたことによる落とし穴

山内:結構その間どうしているかって、始めた人はわかりますけど、始める前の人たちって頭の中で考えてはいるけど、どこからどう始めたらいいのかわからないとか、なかなかもんもんとした状態が続いているとかっていう人って意外と多いのかなと思うんです。

その9ヶ月間というのは、どんな感じだったんですか。もしくは、やろうとしている人たちに、もし何かアドバイスみたいなこともあれば。

佐々木:最初は、とりあえず、最悪自分1人でも作ってみようみたいな感じで思ったんです。だから、何かに依存するっていうようなことをなるべく作らずに、最悪自分1人でもできるみたいなことを最初はやってみて手を付けてみたんですけど、ただ、一方で仲間を見つけたいなと思って、いろんな友人に、こういうことやろうとしていて一緒にやってくれるエンジニアを探していました。Facebook経由で友人が紹介してくれて、出会ったのが一緒に始めたエンジニアだったんです。

いざ2人でやろうっていうことになって、会社を辞めて開発し始めるんですけど、そうすると、今度そこに罠があって、なんと会社を辞めて起業するとすごい楽しいんですよね(笑)。

自由になれた! ということで何を始めるかっていうと、すごい無駄なことを始めるんですよね。自分たちは今までなんとなく構想があったんだけど、せっかく会社も辞めて始めるんだから、もう1回ゼロから考え直そうとかっていって、結構もう詰まってきたものをゼロから考え直すみたいなのをやって1ヶ月ぐらい無駄にしたんです。

その結果どうなるかっていうと、何のブラッシュアップもされずにまったく同じことをやろうってことになる訳なんです。だからその1ヶ月間手を動かさなかったっていうのは、本当に無駄だなと。

ユーザーの声よりも自社の想いを大切に

佐々木:さらに、その次に今度何に取り掛かるかっていうと、ユーザーがサインアップする申し込みの時のフローから作り始めようって、あんまり重要じゃないところから始めちゃったんですよね。

それよりも、もっと本当にコアな、どうやって会計のソフトだったら会計帳簿つけるところの仕組みだったりとか、僕たちの場合、自動でできるっていうのが大事なので、どういう形で自動でできる場所のユーザーエクスペリエンスを作るかとか、こういうところのほうが大事なんですけど、そうじゃないところから始めてしまった。

まず、ユーザーさんが僕たちのプロダクトを知ったら申し込むよねと。だから、申し込む時のステップってどういうふうにしようって順番を追って始めてしまったっていうのが、これが大きな間違いだったなと思います。

それがないだけで、僕たち半年間かかったのが、たぶん、2ヶ月ぐらい短くなっていたと今だと思うので、3分の2ぐらい早く物事を進められたなと思います。

山内:いろんな人にアドバイスを求めに行ったんですか。

佐々木:それはあんまり意識的にやろうとはしていなかったんですけど、例えばユーザーさんになりそうな人にヒアリングをしに行くみたいなことはしました。ことごとくこんなの使えないとか、いらないとか、使っているイメージがわかないですねと。

5人に1人も僕たちのなんて使いたいって言ってくれなかったですよね。やっぱり現段階、本格的に展開していないものに対してみんなが欲しいって言っているか言っていないかっていうのは、なかなか判断軸にならないんです。

それよりかは結局、自分たちの想いとか、事実として僕たちの場合だと、経理の負荷が50分の1になりますっていうのは実験をした結果、強い自信を持って提案できたんですけれども。そういうことのほうが世の中に提案していく上では大事なのかなと思いますけどね。

新しい価値は顧客ニーズからは生まれない

山内:ある意味でニーズを求めすぎて。この前、ネットでリクルートのインターネットの新サービスを立ち上げているチームの話が出ていたんですけど、大事にしたいのはWILLの意志だと。

何を作るかよりも顧客視点だし、顧客視点よりも、まずWILL、自分自身が何をしたいのかっていうところからスタートしないと、本当にいいものは作り出していけないんだみたいなことが出ていましたね、そういえば。似たようなお話だなと思いながら。

佐々木:そうですね。本当にフォードの速い馬の話だとか、なんでも共通するところがあると思うんですけども、やっぱり新しくて大きく価値があるものっていうのは、そういう摩擦があるんじゃないかなと思いますね。

制作協力:VoXT

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