観光&美容業界におけるLINE WORKSの活用事例

篠田麻実氏(以下、篠田):みなさま、こんにちは! LINE WORKSの篠田と申します。本日は『会えなくても仕事が進む! Episode1 休業を乗り越えた経営者に聞く! 強い現場のつくり方』のトークライブにご参加いただきまして、ありがとうございます。

本日はモデレーターに『TECH.ASCII.jp』の大谷イビサ編集長をお迎えし、ゲストスピーカーである経営者の御二人にお話をうかがいたいと思います。イビサさん、よろしくお願いいたします。

大谷イビサ氏(以下、大谷):よろしくお願いします。大谷イビサです。私は角川アスキー総合研究所という会社で、20年近く、紙のメディアやオンラインのメディアの記者・編集者をやっております。

この10年間くらいは、クラウドサービスというのに非常に注目していてですね。最近、LINE WORKSとアスキーのコラボサイトを立ち上げて、篠田さんの協力をいただいて、いろいろ記事を上げております。よろしくお願いいたします。

篠田:よろしくお願いいたします。

ではここからは、本日のトークゲストの御二人をご紹介させていただきます。まず御一方目、株式会社和心亭豊月の専務取締役、杉山慎吾さんです。杉山さんはディズニーホテルでの勤務経験を経て、現在、箱根で創業70年を迎える人気老舗旅館の和心亭豊月を経営されています。

IT活用も積極的に取り組まれておりまして、コロナ禍での休業中の連絡手段としてLINE WORKSのフリープランを、急遽ご導入いただきました。そのように、さまざまな前向きな取り組みが注目されまして、最近では報道番組からも取材を受けていらっしゃいます。本日は観光業界からご参加の方も多く見られますので、貴重なお話をお聞かせいただければと思っております。

続いて御二人目のゲストですが、株式会社アンジェラックス最高人事責任者、大杉一真さんでいらっしゃいます。大杉さんは東京、長野、福岡に店舗を持つエステサロンをご家族で経営されていらっしゃいます。美容業界というのは離職率の高さが問題になりやすい中で、アンジェラックスさんは今年も「働きがいのある会社ランキング」女性部門で1位に選ばれております。

LINE WORKSについては、サービスリリースをいたしました2016年ごろからいち早くご注目いただきまして、社内の業務コミュニケーションツールとしてご活用いただいております。本日は組織エンゲージメントですとか人材教育の面からも、お話をおうかがいしたいと思います。

大谷:そのLINE WORKSってそもそも何ですか? という話をしていただくと。

篠田:LINE WORKSは、ビジネス版のLINEで、法人向けのビジネスチャットとして会社へ導入いただいて、従業員との連絡、チャットだけではなくてフォルダの管理でしたり、予定の管理などチームの情報共有も一緒にできるグループウェアのような機能を備えたサービスです。

最近ですと、特に中小企業、現場のお仕事が多い企業さんにも利用の広がりが出ておりまして、今回お招きした経営者の御二方も、現場でお使いいただいております。

大谷:実際にどうやって使っているのか、これからいろいろ聞いてみたいなと思いますね。

篠田:はい、そうですね。よろしくお願いいたします。

舞浜の“夢の国”勤務を経て、実家の旅館を継ぐ

大谷:よろしくお願いいたします。御二方、さっそくお呼びしたいと思います。大杉さん、杉山さん。

大杉一真氏(以下、大杉):よろしくお願いいたします。大杉です。

杉山慎吾氏(以下、杉山):よろしくお願いします。

大谷:よろしくお願いします。まず、杉山さんからお話しいただきたいと思っていまして。和心亭豊月について、お聞かせいただきたいと思っております。電車でこの会場に来るまでに和心亭豊月をちょっとググってみたんですけど、評価がすごいんですよね。

満足度が高いというのもそうですし。ホスピタリティが高いとか、家族に優しいとか。すごく高評価でこれは行ってみたいぞと。どのサイトも評価が高くて、どんな旅館なのかというのを聞いてみたいのですが、杉山さん、和心亭豊月について教えてください。

杉山:大変出づらい……困るんですけれども(笑)。その名のとおり、ただの温泉旅館です。箱根は芦ノ湖にありまして標高800メートル。かなり田舎にあり去年の10月の台風でも、大雨がひどくてニュースにもなりましたが。今日も大雨の状態で旅館が流されないかなと、ちょっと心配しながら過ごしております。普通の温泉旅館の親父です。よろしくお願いします。

大谷:杉山さんは、もともと社会人としてホテルマンの経験を経てから戻ってきた、という経歴をお聞きしました。

杉山:はい、そうですね。大学を卒業して、千葉の舞浜にある某夢の国のあたりで、今よりももっと素敵なキラキラしたところで働いておりました。7年程度働いていまして、そろそろ帰らないといけないかなと思いまして。実家がこの和心亭豊月ですので、2009年に戻ってきた次第です。

大谷:戻られたときのギャップは、すごかったんじゃないですか?

杉山:そうですね。もちろん同じ宿泊というジャンルではありますが、ぜんぜん違いますね。ここは魔法もないので。でも同じ宿泊業、ホスピタリティ産業というところでは、見え方は違うものの、そのときの経験が僕自身はいまだに大変役に立ってるなと思っています。

大谷:「ここは負けないぜ」「ここが豊月の売りだぜ」みたいなところとか、評価されているポイントは何でしょうか?

杉山:うちは15室の旅館です。そんなに大きくないですし、今、流行りの露天風呂付き客室なども用意していしてないんですね。

ただおかげさまで、この旅館で29年目の建物なんですが、約40パーセントくらいが、通年でリピーターさんのご利用でございまして、とても助けられております。そうしていられるのは、やっぱり私どもの社員みんなの力かなと。

売りを1つと言われれば、とにかく優しいです。お客さんに対しても周りのスタッフに対しても、優しい。これは自信を持って、今、スタッフの前じゃないから言えます(笑)。

大谷:「優しい箱根の温泉旅館」ということで覚えていただきましょう。

六本木のIT企業から美容業界へ

大谷:次にアンジェラックスさんにいってみましょう。ただ私、男性なのでエステサロン全然わからないので、篠田さんにいくつか質問をしてもらおうかなと思います。

篠田:アンジェラックスさんは、私が先日お会いしたときが「ちょうど明日から休業しなきゃいけなくなりました」というタイミングだったんですね。なので、その後どうなったかな? というところも、本日お聞きしたいなと思っています。

大谷:大杉さん、実際にアンジェラックスはどういう会社なのでしょうか?

大杉:すごく異色なエステティックの会社だよな、と思いながら経営しています。先ほども、別の業界からというお話が豊月さんのほうでもありましたが、僕も六本木でIT業界で働いていました。

大谷:そうなんですか~。

大杉:そこから長野に1回帰って、実家の建て直しというかたちだったので。有給も贅沢に取れるみたいな環境から「有給? 何それ?」みたいな世界観というところに入って、一から建て直しだったので。

ただ前職の経験もあり、エステ業界の中だけでなくて「ほかの一般的な会社と比べられても恥ずかしくない会社になろう」ということで、すごくがんばってきました。

その中で、僕は前職でも「働きがいのある会社ランキング」に入っているような会社に勤めていたので、自分たちもいつかそういう会社に……美容業界って今回「働きがいのある会社ランキング」でもエステの会社は2社くらいしか入ってないっていう中で、なんとか一般にも誇れる会社になろうというエステの会社です。

篠田:アンジェラックスさんも、リピーターさんが多いとおうかがいしています。

大杉:そうですね。母の代から34年目の、老舗のエステの会社なんですけど。リピーターさんが非常に多くてですね。今回もそんな話もあるかなと思いますが、コロナの中で本当にリピーターさんに助けられて、休業を乗り越えてこられたかなと思っています。

大谷:実際に今、アンジェラックスさんの店舗はどちらで展開しているんですか?

大杉:都内に4店舗、新宿、恵比寿、表参道、外苑前にあります。長野県に3店舗。軽井沢にホテル、スパがありまして、福岡に1店舗というかたちで、10店舗くらい展開しております。

大谷:都内だけに集中してるのではなく、長野、福岡にもあるという意味では、分散して展開されている感じなんですね。

大杉:そうですね。分散していて大変じゃないの? ということはよく言われます(笑)。そこでLINE WORKSが使えてるというところで、すごく助かっています。2011年の地震でしたり、コロナ禍などの状況では、遠隔でも会えなくても仕事が進むという。まさに話のちょうど中心のところにいるかな? と思っています。

大谷:まさに「会えなくても仕事が進む!」ですね。

beforeコロナから続く「業界の課題」

大谷:beforeコロナという話ですが、御二人にお聞かせいただきたいことがあって。今回のコロナでいろんなことが問題になってますけれども、以前から業界としていろんな課題があったと思います。

今回、コロナの話がすごく大きくフォーカスされてますけれども。観光業界は観光業界内でいろんな課題があり、当然エステ業界はエステ業界で……まずは、beforeコロナの業界の課題みたいなのをお聞かせいただきたいなと。杉山さんからお願いいたします。

杉山:宿泊業全体では、最近の動きとしてはやはりインバウンド傾向がありますね。国が推し進めていましたので、ここ10年間で急成長を遂げています。かといって、成長はしているものの昔から旅館はあまり変わってないので、働き手不足の問題、サービスの仕方でしたり、かなり急激な変化の中で耐える、もしくは成長しなきゃいけないというところでは、少し難しさがあったかなと思います。

具体的には、やっぱり働き手がいない。お客さんを呼びたいけど人がいない。働き方改革の部分も含めて、どうしても労働集約型の産業ですので人がいないと成り立たない。だけど人を確保するのはなかなか難しい。ましてやすぐに辞めてしまう。離職率の問題であったり。

あと我々の場所は地方が多いので、そこの住環境だったりとか生活環境、周りとのギャップということで非常に人に悩まされていたというのが、ここ数年の傾向でした。

大谷:続いてエステ業界から、アンジェラックスの大杉さん。beforeコロナの業界的な課題を教えてください。

大杉:業界的な課題。やはり「人」という部分はかなり大きかったですね。サービス業全体が働き方改革という面で、少し出遅れている業界でして。休憩時間が取れないという基本的なところから、整備が進んでいなくて離職率もは中小から大手まで、すべての会社で高いような状況がずっと続いている。

もう1つ課題を上げるのであれば、まったくデジタルトランスフォーメーションが進んでいないですね。いまだにすべて紙ベースのカルテだったり、Webから予約ができない。「電話でしか対応ができないよ」というところだったり。

また、自社で集客ができないから、すべて大手さんの集客のページに依存してしまっている。ブランディングというよりは、集客媒体依存というところも含めて、さまざま課題は乱立しておりました。

大谷:それが今回のコロナでいろんな問題に覆い隠されているけど、もともとあったということですね。

コロナで受けた売上、集客への打撃

大谷:次にwithコロナというか、inコロナですね。「コロナウイルスが来て、どうなったか」というところ。杉山さん、ダイレクトに聞いてしまいますが、実際、観光業は相当キツかったんじゃないかなと。実際に売上とか集客とかっていうのは、まずどうだったのでしょうか?

杉山:これは観光業全体の話になりますが、コロナの話が出始めたのは、1月くらいでした。春節の頃で、中国、アジア圏の方々が多くいらっしゃるタイミングで、コロナの話が出始めましたので、どうした!? みたいな状況でしたね。

3月くらいまではなんとか、ある意味、withコロナみたいなことをしながらですね(笑)。試行錯誤をして、このあとどうしようかなと考えていたところに、緊急事態宣言の機運が高まって。3月末から4月においては「いや~困ったな」っていうのが正直。見通しも立たないし。「なんだなんだ、どうするどうする」という状態で、コロナの緊急事態宣言を迎えてしまうんですけれども。

うちの場合は、4月の頭から休業をいたしました。まだお客さんは少しいらっしゃったんですけれども。お客さんの機運が下がってきたこともそうですし。果たして我々が、受け入れてどうしたらいいんだということ。やっぱり旅は楽しきものなので、このままじゃ全然楽しくないよねって。苦労ばかりでというところから、休業を決めました。休業になればもちろん売上がなくなります。4月の売上はそこからずっと休館してましたので、マイナス95パーセントですね。

大谷:95パーセント! 結構つらいですねぇ。

杉山:うちは5月の後半になってから営業再開しまして、そこまでの間、ゴールデンウィークも書き入れどきを逃して過ごしてました。それでもマイナス85パーセントですね。

4月5月で、なにも生まなかったというのが正直なところです。これはお客さんが来る来ないということもそうですが、観光業界の評判管理というか、もし観光地でコロナにかかってしまったら、お客さん自身も心配ですし、我々も今後のことを考えたら心配ですし。

国の方針でもあり、国民みんなでがんばろうというときだからこそ、自粛は止むないなと。旅館・ホテルって、基本的には自粛要請が出てない業種なんですね。生活衛生の観点がありますので。だけど多くの、8割9割の施設さんが今は我慢だなということで、自粛をしたという状況です。

大谷:なるほど。わかりました。苦難は続いているということですが、次にアンジェラックスさん。コロナの影響でどんな感じだったのかというのを、教えてください。

大杉:東京はやはり緊急事態宣言に入るくらいに休業を決めて、ゴールデンウィークくらいまでずっと休業していました。ただ、長野県は感染者数が10人くらいだったこともあって、長野県はずっと開いていて。福岡も休業で閉まっている中で「長野県だけで売上を立てよう」みたいなかたちで、長野のメンバーは奮起してくれました。

それでも4月は昨対50パーセント切るくらいまではいってしまったので、かなりの打撃ではありました。とはいえ5月になって開けてみて、思ったより客足は戻ってきてるなと思っています。

美容業界全体ではかなりまだまだ苦しいですね。それでも新規のお客さんがいなくなるかなと思ったのですが、休業前の8割くらいは新規さんも動いてきています。そういった意味では、回復が早いほうなのかなと思っている状況です。

「お客と直接やり取りしないと成立しない業界」の苦悩

大谷:今回興味深いのは、観光業も、エステもそうなんですけれども、直接お客さんとやり取りしないとできない仕事じゃないですか。お客さんが来ないというのと、どうやってサービスすればいいのかというところで、悩まれたんじゃないかなと思いますが。杉山さん、どうお考えですか。

杉山:そうですね。どんなにテレワークで自宅で待機してても、最終的にお客さんがここにきて初めて、役務の提供ができる産業ですので。バーチャル旅館とか、いろいろ最近出始めてますけども(笑)。その上でいくと「じゃあどうお客さんをお受け入れするか」お客さんを必ず迎えなきゃいけないという責任感の中でいくと、除菌対策はとことん考えましたし。これでもかっていうぐらいやってるほうです。

本来であれば、お客さんを菌のように扱うとか、我々としては絶対にしたくないことです。検温をすることも揉めたところですが、その中でもやらなきゃいけないという部分では、まだこれからも続くのかと思うと、ちょっとつらいなぁと。

今一番つらいのは、マスクが暑いです。これから夏に向けて、スタッフの熱中症などのことも考えると、今は試行錯誤、一個一個試しながらオペレーションを考えていってます。

大谷:はい。大杉さんにも同じ話ですね。やっぱり直接、まさにエステは対面しなきゃいけない商売なので影響大きいと思いますがどうお考えですか。

大杉:そうですね、消毒や従業員の検温、そしてマスクが手に入らなかったので、とにかくマスクをどう手に入れるのかという、裏側での経営層の「マスクをどう発注するのか」みたいな争いとか(笑)。「消毒液を確保する、がんばれ!」と動いていましたね。

顧客という話になりますと、マーケティングがもうできないんですよね。「来てください」って、自信を持って言えない。長野県は開いてはいたのですが、開いてはいるけどふだんはLINEで「空き枠ありますよ。来てください」と送っていたのですが、それができない。

そういう中で、顧客とは「この時期、どういう考え方で営業しているのか」2度ほど全リピーターの方に社長直筆でお手紙を出させてもらって。「こういう想いで東京は休業してます」と。「ふだんは『定期的に来ることが大事です』ってあれだけ言っておきながら、クローズする我々をどうぞお許しください」というかたちで東京はやりながら(笑)。「でも長野は本当にがんばって、細心の注意を払ってやってますので、もしご必要なときはいらしてください」というコミュニケーションで、やり過ごしました。

大谷:ある意味、開き直ったところがある、お客様には正直に「こういう状態なんです」と言ったということですかね。

大杉:そうですね、コミュニケーションを誠実にやる、といったところでしたね。

集まれない環境で、いかに従業員とつながるか

大谷:次は、実際に従業員とどうつながったかという話。今回のテーマ的には一番大きな肝になると。普通「こんなのできるのかよ」という話だと思うんだけども「LINE WORKSがあればできたよ」という話とつながるのかもしれないです。

まず杉山さんのほうからLINE WORKSの話を含め、どうやって従業員とコミュニケーションをとるのか。とくに従業員の人が来てくれないと仕事にならないという中で。だけどお客さんがいない状況の中で、どういうふうに仕事をやられたのでしょうか?

杉山:はい。もともと旅館はシフトですね。365日、ほぼ24時間動いてて、シフトで勤務時間がけっこうまちまちですので。みんなが一緒に同時に揃う、ってことがなかなかできない業種の一つです。うちも全社員が一堂に会してというのは、年1回か2回ぐらいしかできなかったのが現実で。日々のオペレーションのミーティングというのはもちろん、出ている者が対応しますが。そういうバックボーンがもともとありました。

大谷:そもそも集まれないってことですよね。

杉山:そうなんですよ。集まりたいです。普通の会社だったら「会議はするな」「短くしろ」みたいなことを言ってますが、うちはどちらかというと「会議したくてしょうがない」みたいな。会議で決めれば一発で決められるんだけど、また引き継ぎ、引き継ぎということが多いです。

そうすると我々経営者もそうですし、上の人間が決めた方針が浸透して、自分のものになるにはどうしても時間がかかりますし。最終的には違った情報で伝わってしまうということが、やっぱりよくありました。

理念、業務フローの浸透、意見の聴取など。うちも20人ぐらいの小さな会社でもグループウェア、社内イントラみたいなものを作って用意したいというのが、実は最初の出発点です。

その中でコロナが始まる3月になって、休業しなきゃいけない雰囲気で。さらにスタッフも休ませなきゃいけない、しかも会っちゃいけない、密になっちゃいけないソーシャルディスタンスのようなことを言われると、さあ、本当にどうやって連絡するんだ?「連絡する手段、電話しかないぞ」という現実味を帯びてきまして(笑)。

実は3月にLINE WORKSを導入したのですが、それもLINE WORKSを入れたくて入れたわけではなくて。

休館期間中は本当に会えないですから。仕事が進むかどうかよりも、生きてるか・生きてないかなにかお知らせを伝達する「休館の延長します」「お客さんにお断りの電話します」「シフトを変更します」も、すべて言えなかったことを、今回、結果的にLINE WORKSを入れることによってできました。

これがなかったら果たして我々、コロナの自粛中どうしてたんだろうと。どう連絡とってたのかなっていうのは、ちょっと私も今、想像がつかないぐらいですね。いいタイミングで入れられたのかな、というふうに考えてます。

篠田:ありがたいですね(笑)。

グループウェア導入への、現場の抵抗感

篠田:急遽ご導入されたのですが、従業員にデスクワークじゃないような方も、いっぱいいらっしゃる中での導入じゃないですか。それで、(ふだん使っている)LINEのようではあるけれども一応ビジネス向けのアプリというところで、導入される際は現場の抵抗感などはなかったですか?

杉山:「なにかしらグループウェア入れたい」ということははっきり言ってましたので、それはもちろん問題なかったですが。いくつか試したところもっと機能が充実したものもありましたし、パソコンに依存するものもありましたし。

いろんなものを試す中で、最終的にスタッフのみんなとギャップがあったなと思ってたのが……私は「プライベートに仕事を絶対持ち込むべきじゃない」と。家に帰ってなにか通知が流れるみたいなのって、絶対いやだなって。「スタッフもいやだろうな」と思っていました。

業務のものだから別のデバイスを用意してあげるべきだと思っていましたが、今の比較的若いスタッフたちはもう「そんなめんどくさいことしたくない」と。「なんか連絡あるなら通知があれば別にいいじゃないですか」っていうのと(笑)。「2台も携帯なんか持ちたくないです」と。「いいですよ、このスマホに入れますから」ということを言ってくれたのは、ちょっと私としては意外だったんですね。

登録時にも、すごく簡単に。LINE IDを使った最初の登録とか、すごくスムーズにできました。

大谷:経営側のほうにいる杉山さんと現場のほうで、実はツールのギャップがあったんですね。

杉山:そうですね。「ちゃんとしなきゃ」ってこっちは思っていましたが。

大谷:「業務で使うんだから」という。意外と従業員の人たちはわりとラフで「いいですよ一緒で、会社と俺もつながりたいんで」みたいな感じだったんですね。