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SESSION 2 Fashion ほんとうに欲しい見た目はなにか?(全3記事)

服を着るときの「自分のルール」は心地よさ モデル・ラブリ氏らが語る、ファッションへのこだわり

2019年9月15日、「trialog summit 2019 Alt.Rules」が開催されました。世の中には、物事を円滑に進めるためのいろいろな「決まりごと=ルール」があります。時代に合わないルールをただアップデートするのではなく、「そもそも、そこにルールって必要なんだっけ?」と問うことに着目し、「情報・見た目・会社・アイデンティティ」の4つのキーワードから、ほんとうに欲しい社会や生き方について考えるイベントです。人は見た目がすべてではありませんが、ファッションは自分を表現し、社会と接続するための手段でもあります。周囲が決めた紋切り型の「かわいさ」「美しさ」に抗い、自分らしくあることをどのように肯定すればよいのか。文筆家の佐久間裕美子氏、スタイリスト/ファッションディレクターのShun Watanabe氏、モデル/アーティストのラブリ氏が、服を着るときの「自分のルール」や、参加者から寄せられた質問に答えました。

服を着るときの「自分のルール」は心地よさを意識

佐久間裕美子氏(以下、佐久間):さっき、逆にルール破りみたいなことも言いました。自分が服を着ていく中で、大切にしてる「自分のルール」みたいなものとかはある?

ラブリ氏(以下、ラブリ):自分のルール……自分が似合うと思ってる服を着てるかも。でもそこに行き着くまでにはすごくいろんな形を着た。別にあえて冒険しようとはしてない。

佐久間:心地よさ。

ラブリ:そうそう、心地よさのほうを意識してる。あんまり「似合ってるか似合ってないか、わかんないかも」みたいなので外出ちゃったら、1日不安じゃん(笑)。

佐久間:そうね、わかる(笑)。

Shun Watanabe氏(以下、Shun):「変えればよかった」みたいな。

ラブリ:そうそう、変えればよかったとか。

佐久間:帰りたくなったりするもんね。

ラブリ:そう、帰ったりするしね(笑)。

Shun:早く帰る。いっつも着替える。夜と朝に着替える。

ラブリ:そうそう。結局着替えに帰った服って、ふだん心地いいから楽で着てる服だったりとかするから、あんまり無理しないということかな。

佐久間:無理しない、ね。

Shun:着替えたかったら着替えればいいんだよね。「もっと見せたい」「かわいくない?」って。

ラブリ:そうそう、見せたいときには見せるし。使い分けるというか、無理に強がらなくていいというか(笑)。

スタイリストとしてのこだわりは「色」

佐久間:そうだね(笑)。Shun君は何か、自分の中のルール的なものはある?

Shun:やっぱり、年のせいで体型が変わってくるからさ(笑)。

佐久間:そうね、エイジング(笑)。

Shun:「あれ、これ着られたのに(今は)着られない」って。そうすると「でも、これだとオッサンっぽいな」とか、シルエットも変わってくるわけ。好きな色とかがあるから……でも、それもやっぱり「半年前はこれが好きだったけど、今は違う」とかなるじゃん。

ラブリ:うん、あるある。

Shun:でも、結局ばーって見ると、今とか昔買ったやつとか、わざと混ぜる。今これを着たらおいしい、とかさ。でも、スタイリストだから、やっぱり色だね。

佐久間:色。

Shun:この組み合わせとか、この色を入れたいとか。ガチャガチャ派手になっても、靴とバッグを黒でまとめるとか。

佐久間:うんうん。昔はちょっと「なんとなく統一されたルックがいい」みたいになったけど、さっきのニューヨークからの流れで言うと、もうバラバラ。

Shun:派手でいることがすごく重要、みたいなのあるね(笑)。

佐久間:折衷主義という。そうすると本当にもう、自己表現競争みたいになっちゃう。

ラブリ:なってるね。

Shun:そう。だから、この格好だとこれだけど、ドラァグクイーンやったら「あ、光り物着られる」って。キラキラ(笑)。

佐久間:はいはい(笑)。

Shun:今は、そこでの「いっぱい着られる!」みたいなのはあるよね。だから、もうANA DIAMONDCLASS用みたいな感じで、全部スパンコール。

佐久間:派手派手しいやつね。

Shun:派手みのやつで。でも、こっちもちょっとそれになってくる(笑)。

ラブリでも白濱イズミでも服装は変わらない

佐久間:うんうん。ラブちゃんは白濱イズミさんのときとラブリさんのときで、服装変えたりするんですか?

ラブリ:そこは変わんないかも(笑)。

佐久間:そこは一緒(笑)。

ラブリ:そこはぜんぜん一緒かも。

Shun:でも、超かわいい、「ラブリ」みたいな服を着たいとか思わない?

ラブリ:えー、ないかもね(笑)。

Shun:あ、ないんだ。

ラブリ:うん。でも基本的に私はチェックが好きなの。

佐久間:ああ、いつもチェック着てるね。

ラブリ:そうそう。だからチェックを着てるとなぜか安心するの。だから基本着てるかも。

佐久間:それって何か、幼少のときの思い出とかが、関係あるの?

ラブリ:関係ないね(笑)。

Shun:僕はあるある。

ラブリ:あ、そうなの?

Shun:チェックがすごく好きなのは、親がラルフローレンだったから。

ラブリ:あっ、なるほどね。

Shun:チェックが多かったんだよね。

佐久間:はいはい、そういうのあるよね。

Shun:だから、チェック全部、みたいにしちゃったりとかする。

佐久間:だからほら、さっき「好きなもの着ればいいんじゃん」と言ったけど、自分の好きなものって幼少期のこととかを思い出すとけっこう出てくることがある。

Shun:あるある。いまだにチクチクしたニットとかイヤ、みたいなのあるもん。かわいいけど、かゆくなかったら着るんですけど、みたいな。

佐久間:はいはい、子どものときに着せられて「ひー!」みたいな。

Shun:もう超ヤダ、みたいな。

アイデンティティは自分が気づかない間に蓄積しているもの

佐久間:私も昔住んでいた家が青い屋根だったのかな? うちの母が黄色い車に乗ってて、今日は違うんですけど、それ以来ずっと青と黄色、青と黄色。青と黄色が一番好きな色だったりする。

ラブリ:でも、靴下が青と黄色だね。

佐久間:あ、靴下が青と黄色(笑)。

(一同笑)

そういう自分のアイデンティティって、けっこう自分で気がつかない間に蓄積してると思う。

ラブリ:それはあるかも。ちっちゃいときとか。

Shun:好きな色も変わるしね。

佐久間:私はあんまり変わらないな。

ラブリ:あ、本当?

佐久間:やっぱ男の子色が好き。でもこの「男の子色」みたいなのも、青や緑が男の子色だと思っている時点で、もうけっこう古い。

Shun:世代って感じ(笑)。

ラブリ:ランドセルとかね。今カラーがたくさんあるじゃない。

Shun:今うちの甥っ子とか姪っ子とか、レインボーが好きみたい。欲張り。いっぱいある、みたいな(笑)。

(一同笑)

佐久間:全部いきたい、みたいなね(笑)。という感じで、あっという間に時間が過ぎちゃいました。質疑応答。何か、急に振られて困……。

(会場挙手)

あ、あそこで手が挙がってますね。はい。

就活でのフォーマルな服装の概念はいつまでなくならないのか

質問者:貴重なお話をありがとうございました。私的なファッションについていろいろお話を聞かせていただきまして、僕としてちょっと聞いてみたいのが……フォーマル、公的な格好の概念はいつまでもなくならないのかなと。自分は大学生なので就活していて、やっぱりスーツを着ることが多いんです。

それでも夏などは本当に暑いので、ネクタイを外していいのか、ジャケットを脱いでいいのか、というところでけっこう悩んだりして、そこで失敗することも多かったりするんです。

佐久間:ちなみにどんな失敗?

Shun:暑すぎる、みたいな。

佐久間:汗かいた人が来ちゃった、みたいな感じになるってこと? あるある、私もよくある。

質問者:そうですね、あとやっぱり外は暑いので、外ではジャケットを脱いで、ネクタイとか締めなくて。

Shun:機能素材を着ればいいと思う。

佐久間:ちょっとハイテクっぽい素材だと、そういう汗とかに対応してくれる、みたいなこともあるかも。

Shun:でも、夏にそんなスーツで行って……大変じゃない?

佐久間:そうそう。だからもうそもそもリクルートスーツ着ないといけない……。

Shun:そんなこと言う会社は行かなくてよくない?(笑)。

佐久間:そう、そうなの。そんな会社に行きたいかどうかという。

質問者:あ、はい、すみません。

(会場笑)

ラブリ:いちいちだもんね。

Shun:だから自由なところは、自分の好きな服で行けばいいと思うよ。「オシャレじゃないですか?」みたいなほうが「採りたい」「おいしいね」ってやっぱりなるじゃん(笑)。

自分らしい服で行けば受かる会社を探してほしい

佐久間:今ね、#KuTooというキャンペーンをやってる人がいますね。女だったらパンプスを履かないといけないとか、男はスーツを着ないといけないとか、ネクタイしないといけないとか。本当に「それ、何のためのルール?」という世界があるじゃないですか。

Shun:バカみたいな(笑)。

佐久間:それに行きたい人はいいと思うんですよ。そういうルールが決められた世界に行きたい人はそれでもいいけど、私はそれ自体がけっこうナンセンスだと思う。

Shun:女の子のほうが大変かもね。男の人はスーツといったら、けっこうなんでもあるけど、女の子はタイトスカートにジャケットにシャツっていう、就活の服みたいなのがあるじゃん。

佐久間:あるある、就活ルックね。あれ本当に馬鹿馬鹿しい。

ラブリ:あれって日本だけ?

Shun:あれを逆に、よく見たら超おいしい、みたいなファッションストーリーをやりたいと思う。

佐久間:ブランドを作っちゃう(笑)。

Shun:そこだったら「え、これ何? このスカートもしかして……」みたいな。

佐久間:……って答えになってる?(笑)。

Shun:(笑)。

ラブリ:答えになってないかも(笑)。

Shun:自分らしい服で行ったら受かると思います、という感じかな?

佐久間:いや違う違う、自分らしい服で行ったら受かる会社を探してほしい。

ラブリ:そのほうが楽しいよね。

Shun:絶対そのほうがいいよ。

質問者:はい、わかりました……。

(会場笑)

佐久間:負けないでがんばってください(笑)。

Shun:そういう感じで。

バラエティに求められているのは娯楽

佐久間:はい、Twitterからの質問。「バラエティが本人の人間性をそこまで必要とせず、作られた人間性を求めるなら、いずれバラエティから真の人間が必要なくなるのでは」という質問が来ています。

Shun:それ、質問なの……かな?(笑)。

(会場笑)

佐久間:意見?(笑)。

Shun:意見。そうだよね、バラエティが何かという話だよね。

ラブリ:バラエティに求めるものって、ただ楽しいとか、そのときの娯楽だよね。だから、そこで楽しい人はそこにいればぜんぜんいいと思う。

Shun:楽しくなかったら消してください、という感じだよね。

ラブリ:そうそう。

Shun:違うもの見れば? みたいな。

ラブリ:そう。私はほかで発信したいことがあって、そこに対する見た目のイメージとの違和感を覚えたから、テレビを辞めたような感じだから。

Shun:あんまり見ないよね。

ラブリ:そう、私テレビ(が家に)ないからね。

佐久間:テレビがどんどんそうやってガラパゴス化していくというね。みんながだんだんテレビを見なくなる。

Shun:Netflixとかもテレビに入る?

佐久間:入らない、入らない。

Shun:でも、テレビで見るじゃん。

佐久間:箱はそうですけど、テレビには入らない(笑)。

Shun:地上波みたいなこと?

佐久間:そうそう。

ラブリ:でもさ、やっぱりその中でもがんばってる人って絶対いるじゃん。

Shun:いるよね。NHKとか見てもおもしろい番組あるもんね。

佐久間:うん。そこに1人。

ラブリ:「変えてやろう」じゃないけどね。

佐久間:ある箱の中でがんばるという、本当そういう人にはリスペクトしかないです。

表現や人間性の基準は「かっこいいかどうか」で判断する

佐久間:もう1個。「好き嫌いがはっきりしてる、自分が疲れないようにする。すべてを持つ必要はないけれど、いずれかの『自分がどうしたいか』を持っているのが強い?」……これも意見? 強いね。

Shun:それは強いよね。じゃないと難しいと思う。

佐久間:本当にこの世の中で、あんまり自分という存在をつらく思わずに生きていくためには、「自分がどうしたいか」ということがあるのが大切。

ラブリ:でも、好きか嫌いかって、すごくシンプルだよね。

Shun:超シンプルだよね。

ラブリ:私、最近はいろんな基準を「これはかっこいいか、かっこよくないか」で判断してる。話すこともそうだし、表現することもそうだし、人の人間性もそう。「この人はかっこいいか、かっこよくないか」という、すごく簡単な(基準)。

佐久間:「何がダサいか」みたいなのって、それこそ本当に主観的なことだよね。

ラブリ:そうそう。

佐久間:でも、自分の中での「これアリ」「これナシ」みたいなものが、1つの軸としてあるといいよね。

ラブリ:ちゃんとできあがってくる。

Shun:あと反対意見があっても、「こういう意見があるんだ。自分は嫌いだけど好きなんだ、オッケー」みたいな感じ。

ラブリ:そうそう。否定し合うんじゃなくって、お互いの正しいという部分を話し合えたり、認め合えたりするほうが楽しいよね。それは何にでも言えるよね。

「日本だからね」を作っている、存在する理由がわからないルール

佐久間:すみません、もう1個。「人間の不完全性の妥協と文化の境界線はどこにあるのでしょうか」。

Shun:難しい問題(笑)。

佐久間:何を聞かれているのか、よく分からないな(笑)。

(会場笑)

Shun:え、何? 境界線?

佐久間:「人間の不完全性の妥協と文化の境界線はどこにあるのでしょうか」。

Shun:「ぜんぜんわかりません」って言いそう(笑)。

(会場笑)

佐久間:これ、若さん(若林さん)どうですか? 私たちは何を聞かれてるんですかね。頭のいい人に聞いてみる。若さんでもわからない。わからないということでいいですか。

Shun:文化が違うと、とかということ? わかり合えないということ?

佐久間:まあちょっと、本当にわからない(笑)。

Shun:(笑)。「もうちょっとくだけて言って」と言えばいいんじゃない?

ラブリ:(笑)。

佐久間:はい。もうちょっとくだけた感じで聞いてください。もう1個。「『日本だからね』とよく聞くけど、何が『日本だから』を作っていると思いますか?」。

ラブリ:ああー。

Shun:おじさん(笑)。

(会場笑)

おばさん、みたいな。わかんない(笑)。古い考えの人?

佐久間:ルールだよね。存在する理由がわからないルールっていうの?

ラブリ:決めつけられた中のルールみたいな。

佐久間:うん。「ルールだから」というのは、例えばじゃあ、このルール……「これは危ないこと」、例えば「危険であるからルールです」というんだったらわかる。

Shun:わかるわかる。聞きます、みたいな感じになる。

ラブリ:死ぬか、死なないかとかね。

佐久間:それだったらすみません、ってなるんだけど、「えっ、何そのルール」……。

Shun:「そのルール知らないから!」みたいなやつもあるじゃん。

佐久間:ある。それで「なんでそのルールあるの?」って言うと、最近よくあるのは、「コンプライアンス上の」というすごく便利な言葉がある。

Shun:でもそのカタカナわかんない、みたいな。

佐久間:そう、それこそわかんない。ふわっとされてる。だから、理由のわからないルールがあるということかな。

ラブリ:そうそう、しかもそういうものだとして押し付けるよね。

Shun:わかる(笑)。

佐久間:うん。そのルールに参加しなくてもいいよ、という気持ちをみんなに持って生きていってほしいと思います。というわけで唐突ですが、この辺で私たちのセッションは終わりにしたいと思います。どうもありがとうございました。

Shun:ありがとうございました。

ラブリ:ありがとうございました。

(会場拍手)

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