財務状況を開示するつもりはあるのか

記者23:日経新聞のソカベと申します。2点ございます。まず1点目が、先ほど来2度ほど質問が出ていてお答えいただいていないことだと思うんですけれども、御社の財務状況に関しては、開示されるおつもりというのはないのでしょうか?

それから2点目に関して、先ほど来、業容の拡大に追いついてこなかったというふうにおっしゃってましたけれども、そうしたなかで、先ほど少し出ましたが、テレビCMを打たれたということもございました。

こうしたことをなさってるなかで、先ほど来のお答えをうかがってますと、外部、市場が拡大したからお客さんが増えていったんだというふうにお答えになってましたが、完全にそのように言い切れるのかというところに疑問符も生じると思います。そのあたりについてどのようにお考えかということをお聞かせください。よろしくお願いいたします。

和田晃一良氏(以下、和田):財務状況については、現在のところは開示の予定はございません。ただ、NEMの補償にかかる資産については有しております。

2点目についてなんですけれども、広告に関しましても、先ほどのNEMの取扱いの開始と同じく、まずは仮想通貨の利用者を増やすことが業界の発展につながると私たちとしては考えておりました。そのために、広く一般の顧客の方に認知ができるテレビCMというものを行っておりました。

日本円での補償となった理由

記者24:日経ビジネスのヒロオカと申します。NEMの補償についてなんですけれども、分別管理の基本的な考え方からすると、NEMで返すのが当然なんじゃないかという考え方があると思います。

例えば、証券会社がA社の株を預かっていて、A社の株を盗まれてしまいましたというときは、市場でA社の株を買い集めて返すのが当然なんじゃないかと思うんですけれども、なぜNEMを御社の判断によるレートで日本円に換算して返すのかということですね。

それから2点目が、日本円で換算して返したときに、それに対して税金がかかるんじゃないかというような話が出ています。こちらについても、どのようにお客様に対して思われているのかということを教えてください。

和田:補償の方法に関しましては、複数の法律事務所と相談した結果、このようなかたちとなりました。NEMで補償することについては、それを行うことへのマーケットのインパクトであったり、それの実現の可能性であったり、そういったところを踏まえまして、今回のような日本円での補償のかたちということに決定いたしました。

2点目の税金につきましては……。

大塚雄介氏(以下、大塚):税務に関しましては私のほうからご報告させていただきます。税務に関しましては、今、国税庁とお話しさせていただいて、そこも含めてどうしていくかというのを確認させていただいているようなかたちになっております。

マルウェア感染の原因は

記者25:『金融財政事情』のイソヤマと申します。調査結果のところで、マルウェアの感染というのが原因ということだったんですけれども。根本的な原因といいますか、感染が起こってしまった背景ですとかを究明するという部分も求められていたかと思います。その点をどのように認識していらっしゃるのか、という質問が1点目です。

あと、業容の拡大について、例えば利用者数ですとか取り扱いの規模ですとか、どの程度かというのを教えていただければと思います。

大塚:私のほうからご回答させていただきます。1つ目の、原因の究明に関しまして。起こった事象といたしましては、先ほど私のほうで説明させていただきました、マルウェアの感染が起こったところと、それを踏まえてそのようなことが起こってしまった、我々のリスク管理体制が甘かったというのが1点ございます。

すいません、もう1点のご質問をもう1度よろしいでしょうか。

記者25:業容の拡大ということで、利用者数がどれだけ増えたですとか、取り扱いの規模がどれだけ増えたですとかっていうのが教えていただければ、と思うんですけれども。

大塚:はい。私のほうからご説明させていただきます。我々のほうで……業容の拡大、2017年の7月からですね。取引高に関しますと、7月時点で2,868億。で、8月が6,512億。9月が7,619億。10月が、1兆282億。11月が、2兆5,268億。12月が、3兆8,537億。というかたちで、急激な高騰をしたかたちになります。

ユーザー数全体に関してましては、トータルではあるんですが、累計で170万口座ございます。

記者25:ありがとうございます。今の取引高というのは、御社のすべての、という理解でよろしいんでしょうか。

大塚:当社すべての、ビットコインないしアルトコインも含めて全部、と認識していただければと思います。

記者25:ありがとうございます。

取引所でのカウント方法について

記者26:共同通信のヤマザキといいます。すいません、まず始めに今の質問に対するお答えで、もう1度。数字を聞き取れなかったので、うかがえますでしょうか。口座数170万というのは、いつ時点のなんの口座なんでしょうか。

大塚:本日時点のアカウントの数とご認識いただければと思います。

記者26:これがすべての仮想通貨のウォレットの数、ということですか?

大塚:そうです。弊社コインチェックのアカウントの口座の数、というかたちになります。

記者26:あとごめんなさい、先ほどおっしゃった取引高の部分なんですけれども、この取引高というのはどういう定義でカウントしているんでしょうか。

大塚:ご説明が不足しており申し訳ございません。取引高というのは、先ほどの我々のビジネスモデルにおける、取引所と販売所、それらを全部含めた取引高というかたちになります。

記者26:それは、取引所だと売り買いがあると思うんですけども。その売り買いで1つの取引、というふうにカウントされるんですか? それとも売り1つ、買い1つ、とダブルカウントするんでしょうか。

大塚:売りと買いは、1個1個のカウントでございます。

記者26:1つの取引に対して2つカウントされるということですか?

大塚:申し訳ございません、それでいうと1カウントになります。売りと買いがありまして、それで1ですね。

記者26:売りと買いで1セットで、1カウントですね。

大塚:はい。

マルウェアに感染した経緯

記者26:あとすいません、マルウェアに感染した経緯なんですけども、外部からメールで送られたということなんですが。結局はこのメールを従業員の方が開いてしまった、ということでよろしいんでしょうか。

大塚:左様でございます。

記者26:通常そういったものは開かないようにとか、いろいろ教育をされているものだと思うんですけども、御社ではどういった対応をされていたんでしょうか。

大塚:セキュリティに関しましては全社、社内で教育をやっておりまして、「こういうことはシステム上リスクがある」という教育は行っていた次第でございます。

記者26:これを開いてしまった従業員……。先ほど「複数のパソコンが感染した」ということだったんですけども、開いてしまったのが複数人いるということなんでしょうか。

大塚:左様でございます。

記者26:このメールはどこから来たものか、というのは既に判明しているんでしょうか。

大塚:判明はしているんですが、ちょっとそこは捜査の関係上で、お答えできないかたちになっております。

記者26:海外からなんでしょうか。

大塚:そこらへんも含めて、捜査上でお答えできません。申し訳ございません。

記者26:あと……。

司会者:申し訳ございません、次の質問で最後の質問にしてください。

記者26:あっ、最後。すいません。「価格の下落に関しては補填の責任を負わない」という発言があったと思うんですが、御社の都合で取引が停止されてしまい、お客さんとしてはなにも為す術がないまま、下落するのを指をくわえて待ってる状態だと思うんです。それに対しても責任を負わないというのは、どういった理由なんでしょうか。

和田晃一良氏(以下、和田):そちらにつきましては利用規約上の根拠がございまして、この場で詳細なことを申し上げることは難しいのですが、別途弁護士を通して回答させてもらえればと思います。

司会者:では、次の質問に参ります。なお大変恐れ入りますが、時間の都合上ご質問を、残り3名様とさせてください。それでは次のご質問の方、お手をお挙げください。

(会場挙手)

NEMの取り扱いも再開する方向

記者27:NHKのナカノです。1点目が、来週から一部サービスを再開するというところで、これは仮想通貨の売買も含むのかということ。それと、その場合NEMの取り扱いというのはこれから先、サービスの再開後も続けられるのかどうか、というのが1点目です。まずこれにお答えください。

大塚:はい。サービスの再開に関しましては、詳細なやり方含めまして、来週のリリースの中で詳しく説明のほうをさせていただきたいと思います。ですので、本日はちょっと控えさせていただきたいと思います。

あと2つ目の質問で、NEMの取り扱いに関しましても、再開に向けて今準備のほうを進めているようなかたちになります。なので、ほかの通貨と同じようなかたちになっております。

記者27:もう1点なんですけれども、御社について「保有していないNEMを販売していた」というような報道もありますけれども、NEMを取り扱い始めて以降に、「NEMの保有額以上に販売した」ということは実態としてあったんでしょうか。

大塚:はい。私のほうからご説明させていただきます。一部報道にあったような、我々が持っていないものを販売したという事実はございません。

記者27:ありがとうございます。

フィッシングメールが送られる兆候は

記者28:『ビジネスインサイダー』というWebのメディアで記者をしてます、キモトと申します。メールなんですけども、何時に受信されたのかというのと、これまでこういったメールが送られる兆候があったのか、ということを教えてください。

あと、既に出金・送金申請をしている方がいると思うんですけども、これがこれまでの取引高のどれくらいの割合を占めるのか、というのを教えていただきたいです。

あと1点、補償のレートなんですけども。Zaifの88.0,という相場を採用された理由を、改めて教えてください。

大塚:私のほうからご説明させていただきます。メールのほうはあれですよね、マルウェアのところの。すいません、こちらのほうちょっと、先ほどもお答えさせていただいたんですが、時間のほうが手元になく、後ほどご説明させていただければと思います。

そういう兆候があったかというと、決してそういうような兆候というのは、過去には見当たってはございません。

あと、日本円の出金の額のお話だと思うんですが。ちょっと割合はあれなんですが、今我々のほうで、現時点では600億ほどですね。出金のほうを対応させていただいているようなかたちになっております。

最後の仮想通貨のレートに関してなんですが、こちらも我々のほうで加重平均というかたちを取らせていただいて、こちらを元に弁護士の方とお話をして、これが妥当というところでご提示のほうをさせていただいているかたちになります。

記者4:出金・送金のことなんですけども、送金と言ったほうがいいのかもしれないんですけども……仮想通貨自体をほかの取引所に送金する申請をしている方がいると思うんです。それがどれくらいの額になるのか、というのを知りたいんですけれども。

大塚:我々が止めている間に、ということですね。すいません、ちょっとそこが今、手元の数字がございません。

司会者:それでは次の質問に参ります。大変恐れ入りますが、次を最後の質問とさせてください。

(会場挙手)

それでは手前の、奥の方。お願いします。

コールドウォレット化の方法

記者28:『コインポスト』のイケムラです。先ほども通貨のリスクの洗い出しについて質問させていただいたんですけども、通貨を削ることも視野に入っているのか、ということが1点。2点目がセキュリティの改善に関してなんですけども、コールドウォレットからオンラインに接続する時の施策などは、どのようなかたちをお考えでしょうか。

大塚:(和田氏に)これ、和田からか。

和田:はい。通貨の取り扱いに関しましては、私たちが現在取り扱っている仮想通貨が13種類ございますが、それぞれに対してどのようなリスクがあるのか、それを取り扱うことが問題ないのか、という点で検討してまいります。そこがどのような結論になるのかというところについては、まだ決定されている事項はございません。

2点目に関してですが、コールドウォレットに関しては私たちとしては基本的に、署名をする際にもオンラインにする必要がないようなかたちを考えており、なるべくどの通貨についてもそのような方法を取っていきたいと考えております。

記者28:削ることは、実際にありそうですか?

和田:そこについて、まだ決定している事項としてはございません。

司会者:ありがとうございます。それでは、以上をもちまして質疑応答を終了させていただきます。お時間の都合により、すべてのご質問にお答えできなかったことを深くお詫び申し上げます。

以上で、本日の記者会見を終了させていただきます。恐縮ですが、登壇者が先に退出させていただきます。