複数のインタビューを同日に公開する

箕輪厚介氏(以下、箕輪):セルフプロデュース論でいうと、僕が最初に世にインタビューで出ていったのが……なんだっけな、「1年目にして見城徹、堀江貴文を口説いた」「若手なのに大物を口説く方法」みたいなインタビューがけっこうバズったんですよ。

僕自身、これからは編集者もこの時代だと思ったんですよね。本を宣伝するときに、インフルエンサーに献本してツイートしてとお願いするんだったら、編集者がインフルエンサーになれば最強じゃないかと。そこから意識して世に出て行きました。

僕は著者にやるプロデュースを全部自分にしようと思って。僕がなにを著者にやるかといったら、一点集中するんですよ。同日、同じテーマで、同じようなインタビューを集中させる。そのことによって世の中が、その話題で埋め尽くされているように演出して、バズらせるみたいな。

だからインタビューも、僕レベルになると別に取材している側もいつ掲載でもいいんですよ。だからこっちがお願いする日に設定してもらう。3つぐらいのインタビューを同じ日に設定するんです。

佐藤詳悟氏(以下、佐藤):出る日が?

箕輪:そうです。しかも全部同じテーマで。

佐藤:でも、さっきのあれですよね。検索とかそういうことですよね。そのイメージになっていくという。

箕輪:まさにそうです。そして、一気にバズるという。着火させる。

佐藤:その一点の見つけ方はどうでするんですか?

箕輪:それはもうやっぱり依頼が来たり、ツイートしたりしてる中で「ここが刺さるんだ」を嗅ぎ分けていく感じですね。自分発信よりも、周りから見て……要は僕のどこを世間はおいしいと思って食べてくれるか。それで「大物を口説く」が最初だったんですよね。別に他にもおいしい部分ありますけど、誰も僕を知らなかったときは、唯一その部分にニーズがあった。

佐藤:なるほどなるほど。そっか、そういうことか。

箕輪:うん。

著者の「異常な一点」を見つける方法

佐藤:著者の人の一点を見つけるには、どういう質問をしていくんですか?

箕輪:著者の一点を見つけるには、本当にこう、しゃべったり、サウナへ行ったり、ご飯を食べたり。

佐藤:サウナ?

箕輪:僕、水風呂が好きで、サウナ……。

佐藤:著者とサウナに行くんですか? すげえな。

箕輪:青木真也とか。格闘家の。

佐藤:へえ。

箕輪:彼も僕も水風呂が好きなので、そうやってグダグダと話していると「この人、異常だな」という一点が見つかる。その違和感が、世間でもバズるんじゃないですか。

そもそも、世間との摩擦や違和感がなければ世に出す必要がないわけで。この世と交わらない一点をしゃべりながら探していく。だから意外と本人が気づいていないことのほうが多いですね。「あなた、そこ異常だよ」みたいな。

佐藤:例えば?

箕輪:青木さんでいうと、骨折ったり、格闘家で変態として有名だったりするんですよね。骨を折っちゃったり、骨を折った相手に中指立てたり、すごく嫌われていたりする。でも、その異常性って別に格闘家としての異常性なので、それ自体は別に本にはならないなと思って。

一緒にサウナへ行ったりしてた時に、青木さんが言ったんですよ。「友達ってなんですか?」「友達?」みたいな(笑)。

佐藤:(笑)。

箕輪:「ご飯って人と食べに行くものなんですか?」みたいな話をしていて、「ああ、なんかちょっと異常だな」と思ったんです。

佐藤:それ、でも超わかりますよ(笑)。

箕輪:佐藤さんも、そうかも(笑)。でも、そういうことを言う人はいっぱいいるので、まあまあ青木さんも確かにそういう人だろうなって思っていたんです。

箕輪氏が見つけた、青木真也の異常性

箕輪:年末のRIZINという格闘技イベントの、もう一番日本で大きいイベント、年末格闘技でフジテレビの一番いい時間に放送されるメインで、桜庭和志と戦ったんですよ。

勝って、終わって「その日、夜なにしたんですか?」と聞いたら、普通は無傷で一瞬で勝ったのでこっちのイメージとしては「よし、飲みいくぞ!」という感じなんですけど。普通に控え室の崎陽軒のシウマイ弁当を探し歩いて、「余ってるのあるだろう」と言って4つ5つ抱え込んで家へ帰って1人で食ったと言っていたんです。

そして弁当を食ったあと、ずっとエゴサーチしていたんです、「青木真也」というのを。そしてリツイートしていたというのを聞いて「あ、これは異常だわ」と。

佐藤:(笑)。

箕輪:同時に、僕は妻からママ友の相談を受けていたんです。幼稚園のお迎えとかで、「みんなでこういう話をしないとダメだ」「ランチはみんなで行きたくないのに行かなきゃいけない」って話を聞いていました。要は、そのタワマンの下のママ友軍団、やりたくもないけど空気を読んでいる集団に青木真也の価値観をぶつけたいと思ったんです。

佐藤:ああ、なるほど。

箕輪:この組み合わせ、かけ算だったら本になるなと思いました。世間の大多数である、やりたくもないことをやっている人に向けて、やりたくもないことを完全に日常から排除しちゃって、世間から完全に浮いてしまった異常な人間の価値観をぶつける。これは作品としてありだなと思った。

「本人がやりたいものなんて、なんにもおもしろくない」

佐藤:それ、本人にどうプレゼンするんですか?

箕輪:いや、まあプレゼンはする必要はないんですけど。うーん、なんだろうな。人によるんですけど、青木真也みたいな人は猛獣なので、別にプレゼンする必要はないですね。こっちで勝手に企んでやっちゃえばいい。話だけ聞いて、必要な素材だけ集めて勝手に本にして出しちゃうという。素材だと思ってるので。魚に、どう料理するか伝える必要はないのと同じように。

佐藤:なるほど、なるほど。

箕輪:堀江さんもそうですね。さすがに本人も自分は多動だって思っていると思うけど。こっちはこっちで「ホリエモンという素材をどう料理するかな?」と何年も考えてて。

高城剛がTwitterで「次から次に移ってしまう力、多動力がこれからの時代、必要だ」と書いているのを見て、「あ、これをパクろう」「これ、ホリエモンに書かせたら絶対に売れるな」という、そのかけ算とかですね。

佐藤:こっち側からだったんですね。

箕輪:もう全部。

佐藤:そうなんだ。

箕輪:だいたいあっちから来るのって、クソ企画です。

佐藤:(笑)。

箕輪:まあ間違いなく。だいたいそうじゃないですか。佐藤さんはわかると思う。本人がやりたいものなんて、なんにもおもしろくない。本人が嫌なものとかが、世間が見たいもの。

佐藤:世間でいうとそうですね。

会社員のタレント化

佐藤:会社員の人で、別にそれも性格だと思うんですけど、それこそセルフプロデュースして会社内でも目立つと、企画が通るとかあるじゃないですか。

箕輪:ありますね。

佐藤:たぶんここから常にそうだと思うんですけど、自分……。

箕輪:そう、会社員のタレント化が進むと思います。

佐藤:そうなったときにどうしたらいいと思います? 今、会社員の人で書籍を出してる人とかいるんでしたっけ?

箕輪:います、います。TBSの藤井健太郎さんとか、僕が作りました。

藤井さんは、僕がお願いしに行って言ってたのが……「アメトーーク!」の加地(倫三)さんに言われたのが、「社内でいろいろ言われることがあると思うけど、社外の評価が異常に高いと社内の人もあまり言わなくなるよ」みたいな。

それは僕、NewsPicksの佐々木(紀彦)さんに言われて。要は、なんて言っていたかな……。「箕輪さん、社内で嫉妬とかされます?」と言われて、「僕はそういうものに気づかないし気にしないので、わからないですね」という話をしていた時に、「でも、社外で有名になったら終わりですよ」「それが突き抜けたときに、もう社内の人はなにも言えなくなりますから」みたいな。

だから、それは大事だなと思いました。社外の評価が完全に上がっちゃっていたら、もうそこで足を引っ張ろうなんてやつは単なる本当の足の引っ張りなので、そこは1つ方法としてはすごく強いですよね。

佐藤:それをやるにはどうしたらいいんですかね?

箕輪:どうっすかね。難しいのが、オオカミ少年みたいなもんですけど適当なこと言ってわーわーと騒ぐ。本当に適当なことをずっと言って、実力がなんにもなかったら、やばいんですが。

佐藤:まあね(笑)。

箕輪:そこを強引にどうにか辻褄合わせる。そうすると実際に仕事としても社内で評価される。単純にすごい仕事はしてるし、社外でも有名だ……みたいなことですかね。

正直、だって僕は幻冬舎に始発で行ったりしてますからね。みんなが出勤してくるときに僕はもう会社を出てる。「さすがにこれだけ量もやっていたら、言えないっしょ」みたいなものはありますね。

でも、双葉社の時はインタビューしか出てなくて、実際社内ではなんにもやってなかったから、その時差はありますね(笑)。「実力はないけど、わーわー騒いでた」みたいな時代ですね。