「嘘をつき始めたら崩壊する」
仕掛け人らが見た、セルフプロデュースが失敗する瞬間

『多動力』を仕掛けた男・セルフプロデュースの方法 #6/6

多種多様なクリエイターが登壇し、メソッドや哲学を学ぶ学校「QREATOR SCHOOL」で、堀江貴文氏の『多動力』や見城徹氏の『たった一人の熱狂』、最近では『お金2.0 新しい経済のルールと生き方』を手掛けた編集者・箕輪厚介氏によるプロデュース講座が行われました。数々の著名人を口説いてエッジある書籍を送り出す箕輪氏のコンセプトづくりのこだわりとは? また、書籍のみならず、自身のプロデュースについての考えなどを語りました。

『多動力』は世に出したくなかった

佐藤詳悟氏(以下、佐藤):本を出してお客さんに届くじゃないですか。そのときの快感ってないですか? その瞬間の。

箕輪厚介氏(以下、箕輪):いや、もうさすがにないですね。どっちかといったら……。

佐藤:最初はあった?

箕輪:いや、本当にここだけの話、『多動力』も世に出したくないと思っていたんです。

佐藤:へえ。

箕輪:僕の中では、もう恥ずかしすぎる。クオリティが低すぎるし、「箕輪がこれ出したって思われたくない!」「恥ずかしい、恥ずかしい!」「できるだけ拡散もしたくない」と思って。でも売れたので「えっ、売れるんだ?」みたいな。

(会場笑)

「ああ、よかった」という安堵のほうですね。

佐藤:へえ、それはなんでそう思うんですか? なんでそう思うというか……。

箕輪:正直まったく詰めきれてなくて、もう恥ずかしくてしょうがないという。「こんなの出すんだ」と思われたくないというのはありました。それは『多動力』に限らず毎回。毎回が不安。

もう延々にずっとそれが加速しています。でも忙しいから、もう満足値の2パーセントぐらいで出しています。だから売れてうれしいというよりも、「よかったな」「バレなかったな」という。いや、本気で作っているんですが、不安ですよ。

佐藤:(笑)。

本がヒットしても「よかった! 響いた~!」とは思わない

佐藤:でも、あれを読んで人生が変わる人もいるわけじゃないですか。

箕輪:めっちゃいる。もうだから震えますよ。

佐藤:それに対してはどう思うんですか?

箕輪:「マジか?」と。

佐藤:そっち?

箕輪:いや、正直こんなことを言ったら大失礼ですけど、あれで会社……ダメだな。こんなことを言っちゃ(笑)。

(会場笑)

(『多動力』を読んだ人が)「会社を辞める」とかってすごく言われるんですけど、でも、そういう人は、本を読もうが読むまいが、なんでも会社を辞めると思うんですよ。そのきっかけを探していただけで……。

佐藤:では、そのきっかけを作っていることに対してはうれしいんですか?

箕輪:うれしくもうれしくなくもなくて。単純にエッジが立っているからそうだろうなとは思うけど。う~ん、でも「会社を辞める覚悟が浅ければ、次も成功しないだろうな」とは思う。

佐藤:ああ……それは深いですね。それは深い。

箕輪:最低ですけどね(笑)。せっかく本を読んで会社を飛び出た読者がいるんだとしたら。でも要は本当に歯を食いしばって……。結局、ホリエモンだってなんだって歯を食いしばってがんばっている部分はあるわけで。

だから、編集者がこれを言っちゃ終わりだけど、「よかった! 響いた~!」とは思わないですね。そんなにピュアじゃないですね。

「本を読んで感動しました!」は本と著者へのもの

佐藤:でも、届いていることに対してはうれしいですよね?

箕輪:う~ん……それがそんなにうれしいかな。そんなにうれしくもないんですよねえ。わかんない。本当にそんなうれしくないですね。なんでだろう? いや、うれしいんですけど、本が出るまで頑張って、売るのも頑張って、あとの感想は僕へのものではなく、本と著者へのものです。なので、感想を分析することはあっても、僕個人の喜びにはならないですね。

佐藤:へえ。

箕輪:「読みました。人生が変わりました」と言われても、本にとって、著者にとって誇らしいことだとは思うけど、僕個人の心としてはなんにも思わないです。感想を冷静に分析することはしますけど。

佐藤:それがいいんですかね。その感じが。

箕輪:純粋にうれしいとかはない。

佐藤:僕も一つひとつにうれしいと思えない感じになっちゃっていますもんね。

箕輪:うん。なんか……これ、どこで放送するんでしたっけ?

佐藤:これは、ちょっとわからないですね(笑)。

(会場笑)

佐藤:生配信はしてないです。

箕輪:それで言うと、『多動力』を読んでもない女の子が、本が売れていることを「すごいね」と言ってくれるほうが、僕個人はうれしいです。

(会場笑)

身を切るような努力をしないと、キャラは成立しない

佐藤:これじゃあ、結局、セルフプロデュースはどうしたらいいんでしたっけ?

(会場笑)

自分のやりたいことを決める。やりたいことというか、自分の本質……。

箕輪:もうまとめますね。それでいうと「なんのためにセルフプロデュースするか」がないと、そもそもする必要がないと思うしできないと思うんです。

僕の場合は、編集者の仕事が今後、映画監督のように個人の名前で仕事が来る職業になっていくと明確にイメージできたんです。そこから逆算すると、セルフプロデュースが必要だとなった。だからまず、セルフプロデュースがなんのために必要かを定義する必要がある。

じゃあそれをどうするかといったら、自分を分析して「この一点のテーマで押せば、名が立つ」というのがどこか見極める。僕の場合、最初は1年目にして堀江貴文、見城徹を口説いた。その一点だなと思ったから、それを短期集中させてインタビューも強引に同日で発信してガッといってそこでバズった。

だから、その2点ですね。自分のために……セルフプロデュースはなんのために必要か考える。必要だとした場合、自分はなんのキャラクターだったら世の中において「◯◯の〇〇さんですね」となるか。それを強引に見極めてやりきる。

佐藤:その2つさえ決まったら、手段は今いっぱいありますもんね。

箕輪:手段、めっちゃありますね。というか、この2つが決まってできなかったら、単純に素材が足りないだけなので自己研鑽を積むしかないですね。

佐藤:しかも今ね、起業とかいろんな今までなかった手段も無数にあると思うので。

箕輪:ある。でも、やっぱりここに来てくださっている方は優秀だから必要ないと思うんですけど。1つあるのは、自分の身を切るようなことをしなければそんなキャラクターにはなれないということですね。

要は、ケーキが好きだからケーキで一点突破しようとしても、ケーキ女子で一点突破しようとしても無理。それは、本当に超カワイイ子がケーキが好きすぎてブクブクに太って、もう糖尿病で死にそうみたいならまだしも、生半可なことを言ってもキャラなんてつかないんです。

やっぱり僕もなんやかんや言って、1年目で見城徹と堀江貴文に行くって、僕はリスクだと思ってなくて無邪気にやってますけど。周りからはすごく止められたんですよ。「本を作ったことなくて、見城さんの本を作りたいなんていって、そこでミスしたらもう一生編集者として生きづらくなるよ」と散々言われたけど、「そうしたら別にリクナビ登録してテキトーな会社行きゃいいや」と思っていたぐらい、もうリスクなんて考えずにガーッ行きました。

そこで成功したから、それがあるわけで。要は、そこで身を切ってまでなにかを成し遂げないといけないというのは前提ですね。

「やめること」を決めると、やりたいことが明白になる

佐藤:さっきの長期スケジュールもけっこう冒険できるんですよ。「ここでやらなきゃいけない」と自分で決められるので、冒険ができる。そういうことが大事ですよね。

箕輪:うん、大事。僕も1年のあれとかは作っていますし。今日の行きの電車でも書きましたよ、僕。やっぱりね、書くって大事ですよ。3大目標。なんだっけな。僕、家を追い出されてて。

(会場笑)

佐藤:今ですか?

箕輪:いやなんかね、週末にやっと帰ったんですけど。

佐藤:それ、さっきお母さんのメッセージがそれなんですか?

箕輪:そう。

佐藤:ダメですよ。浮気は。

箕輪:まったくしてないのに、誤解されてるんです。全家族に。今年後半の目標は、やめる。イケハヤのなんかに書いてあったんです。なんかやめることって大事だなと。増えすぎているんですよ。だから、やめるとやりたいことが明白になる。先送りしないできちんと終わらせる。

佐藤:(笑)。

箕輪:でもやっぱりね、そういう思考を整理するのは大事ですね。

佐藤:書くのが大事ですね。

箕輪:そう、後悔しないですよ。目標を見極めて、やりきった後の失敗なら。

クリエイター登録は知り合いづてが多い

佐藤:ということで、なにか質問というか、なにかあれば。

箕輪:大丈夫かな。質疑なんでも。……こんなに質問が出ないことってあります?(笑)。

(会場笑)

佐藤:はい。

質問者1:佐藤さんに質問です。ハヤカワ五味さんや四つ葉少女など、そのへんのちょっとバズってきている人をけっこう所属みたいな感じにしてるんですけど。そこらへんはどうやって自分で発見されたりしているんですか?

佐藤:QREATOR AGENTのQREATORSですよね。登録していただいている方の中でも、さっきみたいにすごく深くやっている方とやっていない方はあるんですよ。今挙げていただいたお2人は、基本的にはご本人たちががんばっている。だから、うちは「なにか案件があれば紹介させていただいている」という感じなんです。あの……。

(会場笑)

なんだろうな。さっきの箕輪さんの……。

箕輪:嘘だって言ってるから?

佐藤:箕輪さんの話のような方で、うちに登録していただいている方、けっこういるんです。でも、その友達や知り合いでそういう人たち多いんですよ。

箕輪:でも、半分以上そうなっちゃいますよね。

佐藤:つながっているというか。

(会場笑)

なので、そういう人たちから紹介を受けて、お手伝いできる部分はお手伝いしている感じですね。

質問者1:例えば、逆に箕輪さんをタレントに所属としかして。

箕輪:してくださいよ。

佐藤:箕輪さんはでも、がっつりやるならできると思いますけど。

箕輪:『5時に夢中!』に出たいんですよ。

佐藤:すぐ出れるんじゃ……。僕が言うのもあれですけど、けっこう出れるんじゃないですかね。

質問者1:わかりました。ありがとうございます。

ブレることより「決めないこと」のほうが問題

質問者2:ありがとうございます。決める必要があるという話をうかがって、決められる人と、けっこう世の中の人って決められないことが多いと思うんですけど。決めるためにどうすればいいのか、心構えとかあれば。

佐藤:けっこうみなさん決めていると思うんですよね。例えば、ここに来ると決めていたり、明日朝7時に起きると決めていたり。

箕輪:俺、明日マジで始発ですよ。

(会場笑)

まあ、いいや。

質問者2:逆に決めたことを守らなかったり、そういう方は……。

佐藤:そうですよね。ブレる人が多いですよね。

質問者2:どうブレないためにやればいいのでしょうか。

箕輪:別にブレてもいいです。決め続ければいいんじゃないですか。ブレることなんて、なんの問題もないですもんね。

佐藤:ぜんぜん。

箕輪:目標が変わるだけだから。

佐藤:ただ、決めていない状態でふらふらするのはあまり……。まあ、いい状態もあるんでしょうけど、ここぞというときは決めないと人もついてこない気はしますけどね。

箕輪:うん。サッカーと同じかわからないですけど……いや、サッカーと同じじゃないか。なんでもないです。

(会場笑)

うん……はい(笑)。

佐藤:すいません。

質問者2:ありがとうございます。

自分×マーケットをずっと壁打ちし続ける

箕輪:質問してください。寂しいから。

佐藤:(笑)。

質問者3:はい。

箕輪:あ、いいですね。

質問者3:セルフプロデュースで自分を客観視する、人からどういうふうに評価されるかは大事だと思うんですけど。一方で人の目を気にしない、人からどう思われているかを軸に自分がないいけないという話でした。

そのへんは似ているようですが、どこが境目なのかが難しいなと思うんです。「人からこう見られたい」「見られたくない」など、そこのバランスをお2人はどういう考えているのでしょうか。

箕輪:ああ、いい質問ですね。

佐藤:……ちょっと、もう1回言って(笑)。

(会場笑)

箕輪:要は、エッジを立たせすぎたときにどう見られるか気にするか、みたいな話ですか?

質問者3:そうです。それもありますし、そもそも人からどう見られるかを軸に自分の意思決定をしていくことって、セルフプロデュースとはまた違う気がしているんです。

箕輪:それでいうと、ちょっと誤解を生んだかもしれないですけど、もう軸は自分です。ただ「刺さるポイントはどこかな」は人の意見を聞いて、「あ、ここが刺さるんだ」みたいな。

人が「ここいいね」と言っていても、自分にその種がなかったらどうしようもないので、自分が発信しても嘘じゃないことが大前提で、ほかの人が「箕輪さんのここおもしろいよ」というところを強引に「今はここで突破していこう」と思う。

本もまったく同じです。著者のおもしろさ自体を嘘ついたら絶対に売れない。それはもう本当に、著者に種火があるかどうか。なので、自分×マーケットをずっと壁打ちしている感じですよね。本もそうです。著者の才能×マーケット。「この人はどの切り口で売ったら……」。

だから、ホリエモンだったら宇宙とかいろいろあるわけじゃないですか。でも、宇宙だったら1万人。でも、多動力だったら20万人。それがいわゆる、それだけマーケットが広いということを壁打ちしながら気づいていく。

別に宇宙がしょぼくて、多動力という切り口がいいってわけじゃないんですよ。ただ、マーケットの広さが違うので、そこはもう壁打ちして「どこが刺さるんだろうか」を考える。でも根っこには、そこに本質が本人の中にあるかどうか、みたいなものは考えますね。

嘘をつき始めたらセルフプロデュースは崩れる

箕輪:だから……与沢翼は本当に苦労してて。

佐藤:へえ。

箕輪:僕、与沢さんが一番輝いている時代はほぼ毎日彼といたんです。彼はインタビューで、「毎日寿司の出前のランチをしている」「寿司屋が出張で来てくれる」と言っていて。俺も聞いてて「いや、すごいっすね。与沢さん」と言っていたんです。

1日中密着の日があって、ランチに誰も来なくて「あれ、今日の与沢はなに食うのかな?」と思ったら、見ちゃいけないものを見たんです。ローソンかなんかのかつ丼をカーッと食べていた。

佐藤:ハハハ(笑)。

(会場笑)

箕輪:「こいつも苦労してんだな」って(笑)。

佐藤:そういうのいいっすね。それ、おもしろい(笑)。

箕輪:でも、まあだから、そういう苦労してる部分もある。だから崩壊したんだと思うんですよ。やっぱり着飾っちゃダメなんですよ。

僕が大物を口説くというのも、360度どの方向から質問に来られても別に恥ずかしくはない。それは事実だから。伝え方の妙はあるけど、そこで嘘をつき始めたらセルフプロデュースは崩れますね。

「世の中からどう見られているか」を人に例える訓練

佐藤:僕は人から見られるみたいなところでいうと、人を自分がどう見ているかはけっこう気にしています。

例えば、堀江さんが今世の中でどう見られているのか、それこそ箕輪さんが今世の中からどう見られているかを人に例えてけっこう見ている。そうすると、自分がどう見られているかがわかりやすくなっていくというのはあるので、その訓練をけっこうしているかもしれないですね。

テレビなどをパッパと見ていて、「この人って今、世の中にとってどう見られてるか」を考えていくと、結果、自分がどう見られているのかがわかる。それってけっこう意識を……。

箕輪:すごい。中学の時からやっていた人の分析はそういうことですね。「この人って今クラスの人気者だろうけど、実はクラスの8割がもうつまらないと思ってて、2週間後には誰も相手しない」みたいな。

佐藤:それ、ありますね(笑)。

箕輪:でも、ずっと思っていて。要は有吉(弘行)さんのあだ名芸って、それをついてるじゃないですか。テレビ的なフレームで見てるんじゃなくて、視聴者の本音をずばりと言うから笑うみたいな。それはね、ずっと意識してました。

佐藤:確かに。

箕輪:要はそれを言い当てたら、まあヒットですよね。マーケットの心理みたいなの。

質問者3:ありがとうございます。

箕輪:ありがとうございます。

佐藤:ちょっと1回締めましょうか。

箕輪:OKです。

佐藤:ということで、ありがとうございました。

(会場拍手)

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