2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤原和博氏(以下、藤原):40人の教室だとすると、わかる人、意見のある人、質問のある人というようにやったときに、手を挙げるのはだいたい小学校の頃からずっと手を挙げ慣れている成績優秀児5人と、目立ちたがり屋の3人ぐらいなのですよ。
目立ちたがり屋のほうは答えなんかはないくせに、「はいはいはいはいはい」。指すと「あ、すいません、忘れました」。それから「意見を言ってみろ」と言うと、「微妙」「ぜんぜんわけわかんない」。「微妙」と言えば済むというね。そういうようなことじゃないですか。
これが日本の一斉授業の最大のデメリットであり、最大の問題なのですよ。このハードルを超えなければ、アクティブラーニングなんて起こるわけがないのです。ICTを入れてなんだか知らないけど、教師が見せたいウェブや動画を生徒に見せて「これでアクティブだ」と言っている人がいるのですが、それはパッシブ(消極的)に決まっているじゃないですか。
要するに、画像が動いているからアクティブなだけで、生徒たちの脳はアクティブになっていませんよ。そんなICTではぜんぜんダメなの。とにかく、これをなんとかしなきゃいけないの。全員が意見を言うように。
今からやるのが未来の授業です。このようにやるのですよ。全員に考えがあるんですよ。だから、それを言わせるということです。いい?
僕に対して、最初のさだまさしのように。今回は揃わないと思いますが、自分のオリジナルの案でもいいし、人が言ったものですごくインパクトがあったものをパクってもいいです。
ぜんぜんかまわないので、全部抑えのような人がなんて言おうが気にせずに、僕に対して「白い商品で黒にしたらこれは面白いんじゃないの」というものを、でかい声でバッと言って。いい? でかい声で言うのがミソですからね。これ、誰か裏切りが出ると目立っちゃうの。全員がでかい声で言えば、どうせ聞こえない。そういうわけで、いい? そちらのほうも全員に行きますよ。
はい。白い商品が当たり前なのですが、黒にしたら、これは面白いんじゃないというのを1つ、考えを述べてください。どうぞ。
(一斉発言)
それでいいです。はい。これでいいのね。
40人も生徒がいて、バーっと言われて、聞きわけられねえだろうと。だって、聖徳太子でさえ10人以内なんだから、無理だっていうでしょう。ところが、これを聞き分けられる道具が出ちゃったの。それが、ICTなのですよ。わかりますか?
一条高校でなにをやっているかというと、生徒のスマホを持ち込ませて、授業に使っているの。
だけど、教員が見せたい動画を見せるなんてしてませんよ、そんなの。そんな動画や画像を見せりゃいいなんて言うのであれば、絶対にテレビに勝てるわけがない。それはNHKがなんぼの金をかけてあの番組を作っていると思っているの。それはテレビでも見たほうが、よっぽど感銘を受けますよ。
そうではなく、スマホから意見をとっちゃうわけ。今のようなときに、みなさんスマホを出して。例えばですよ。僕が言ったあるURLに全部メールのような形で打ち込んだとしましょうか。30字以内で、みなさんのアイデアを聞かせてと言って、それで発信ボタンを押すでしょう。ざっとここに並ぶようなソフトが出ているの。
一条高校が入れているのは、Cラーニングというソフトなのですが。要するに、生徒が朝(教室に)来ますね。授業のときにWi-Fiにアクセスしますと、GoogleとCラーニングのポータルが立ち上がるのですよ。それに、スタディサプリというリクルートのサービスもあるのですが。
Cラーニングをやりますよね。クリックしますよね。そうすると、とにかく授業がない任意の時間に意見を聴取するアンケート機能があるのです。どんなアイデアでもいいので打ち込んでといってやりますね。そうすると、ザーッとここに並ぶわけですよ。
これ、なにがいいかというと、まず無記名なのです。要するに、くだらない案や考え付かなかったやつでもいいの。それから、男の子なんかだと、みなさんもわかると思いますが、フルセンテンスで言える自信がないと手を挙げないのですよ。女の子はちょっと違うんだよね。
男の子はしゃべっている間に考えを語れるようなところあります。ここが女の子と男の子のコミュニケーション能力の差なのですが、男の子はやっぱり最後まで言える自信がなければ手を挙げませんよ。だけど、打ち込み始めちゃったら別に途中で意見がまとまらなかったら止めちゃってもいいわけじゃん。誰だかわかんないのだから。わかる?
それから、必ずしも道徳的なことを述べなきゃなんないということはないですよね。要するに、極端な意見を言うわけです。
例えば、山中の授業には自殺や安楽死の是非をリベートするというような授業もあるのですが、そういうときはものすごく極端な意見もやっぱり出てほしいわけですよね。「自分の命なのだから、それはどうしようと勝手じゃね?」という、それだっていいわけですよ。
子どもたちというのは、極端な最右翼の意見と最左翼の意見の間に自分のポジションをとっていきますから。安心していていいの。そうしたわけで、ザッと並ぶということができるのですね。
これを使うと、例えば友人の茂木健一郎が、去年授業をしに来てくれたのですが、「はい、質問は」と言って出ないですよ。質問なんて出そうと思えば出ますよ、学級委員に仕込んじゃえばいいんだからさ。普通はそれをみなさんやるじゃないですか。生徒会長などに仕込むのですが、それをやらないで自然にやったら質問は出ませんよ。
ところが、「はい、全員質問ね」と言った途端にスマホに打ち込みますよ。軽度の発達障害の子どもでさえも。全員からの質問が画面にブワーッと並ぶわけ。その中には「茂木さん、その髪の毛は天然ですか」なんて質問もあるの。僕でさえ仲良くなっても絶対に聞けないような質問も出てくる。これは、本当は聞きたいのは聞きたい。
あるいは、河瀨直美という映画監督。『あん』の監督ですが、今は『光』というのをやっていますが、たぶん数年以内にカンヌでパルムドールをとるでしょうね。
これが一条高校の先輩ですので、河瀨直美が授業をやってもらったんです。しかし、先輩でさえもそれは遠慮するから、「質問は」と言っても、いかに女子でも質問はしませんよ。
でも「はい、全員質問ね」とやるじゃない。その中に、バーっと見ると、例えば「映画は半年かけて、あるいは1年かけて撮るというけど、途中で『これは駄目だ』『映画になんねえ』と、そうしたショックを受けたことはないのですか」「もし、そういうことがあるのであれば、どのように自分をもう1回モチベーションするのか教えてほしい」といったような。高校生の質問ですよ。俺なんか驚いちゃったけど。
それに河瀬さんが真面目に答えていました。どのように自分を盛り上げようとするか。やっぱり本当にそういうことがあるのだそうです。やべえな、これ、できそうもないといったような。
要するに、全員が脳を働かせて、自分の持っている情報を先生のほうに逆流させるというところにICTを使わなければ駄目だということです。
これをもっと革新しておけば、11月24日に、教員であれば1,000人規模の研究大会がありまして。1、2年の9クラスずつの18クラスを2コマ、午後から全部対応します。6時間目、7時間目、8時間目に僕が口頭で講演をするという。奈良市とそれから大阪府と京都市による共催の研究大会がありますので、それを見に来てくれれば、生徒がどのようにスマホを使うかも見ることができると思いますよ。
非常に面白いのは、教員の中にこうした先生も混じっているのですよ。一条高校は45分なのですが、45分間つなぎっぱなしにさせて、いつでもいいから授業に対する評価を入れろという。それを、なんと毎時間、毎時間、自分のすべての授業を評価させている先生がいるの。
生徒は慣れているから、30秒もあればババッと書くし、2分もあったら200字も打ってくる子がいるのですよ。本当に今の子どもは人種が違うと思ったほうがいいよ。200字がどういう文字数かというと、これでだいたい6行ぐらいですよ。全員がそんなに打てるようになったら、読むのだけで大変だから、やめてほしいぐらいです。
そうしたら、やっぱり2行までにしなさい、100字までねなど。今度はセンター入試で共通テストがあったときに80字から120字なので、ツイッターぐらいにしなさいということを指導したら、それはそれこそ共通テスト対策になります。しかも、僕が観察したこの2年間、やればやるほど、どんどん論理性が上がっている。要するに、文章がうまくなってくる。
とにかくそういうことで、その先生は評価をとっているのですが、それを授業の最後に評価するのではなく、いつでも打っていいと。4段階評価です。よくわかる・わかる・よくわからない・ぜんぜんわからない、という。それにフリーコメントというものも書いていいことになっている。
そうすると、すっごく面白いのですが。僕も見せてもらったら、とにかく「眠い、眠い、眠い、眠い、眠い、眠い」と書いているやつがいるわけ。僕、すごいなあと思って。普通だったら、そういうのは授業としてどうなのかといって、ケチを付ける人がいるじゃない。だから、僕はもう本当に笑ったのです、「これは、すごいね」と。生徒が寝不足と戦っているというのが、実況中継をされているわけ。
その生徒は、もしそういう道具を持たなかったらどうするのかね。わかるでしょう。その表現が封じられたら、もっと違うことをやるんじゃないですか。僕だったら、これをやるかもしれません。あるいは(教室を)出ていっちゃうかもしれません。
このように、児童、生徒から情報をフィードバックする道具としてICTは使うべきだということです。わかります? これ、納得感のある人だけちょっと拍手くれる?
(拍手)
時間がオーバーしていますが、あと7〜8分で終わりたいと思います。ここまででわかったらなのですが。あと2人だけ、ちょっとブレストしてもらいたいの。
処理力と編集力、もうみなさんはわかったのですね。みなさんわかったのですが、これを子どもたちへ伝えるのに、ちょっと処理と編集という言葉遣いは難しいじゃん。こんがらがっちゃうじゃん。ですから、もうちょっと優しい言葉遣いで、子どもたちにもわかるメタファーを使いたい。
情報処理力の代わりにあるゲームを提示したら、「編集力はこうしたゲームのことを言うのよ」と言ったほうがわかるじゃない。つまり、相手が理解するというのは、相手の世界観の中の言葉で、それを組み替えてあげるとよくわかるわけなのですね。わかります? こっちの言葉遣いで「それを覚えろ」というだけじゃ絶対に身に付かないので。
それで、僕はこの情報処理力については、このように言っているのですよ。ジグソーパズル型学力ね。それはなにかというと、要するにジグソーパズルは正解が決まっているでしょう。ミッキーちゃんとミニーちゃんのようなね。それを200ピースから2,000ピースにバラッとばらして、正解をもう1回戻すゲームなのですよね。つまり、正解主義型のゲームなんですよ。いいですか。
だからこそ、もうわかったと思いますが、日本におけるこの70年間の教育というのはなんだったのかというと、情報処理力偏重ですよね。正解主義変調ね。つまり、ジグソーパズルでババッと正解を作れちゃうのが得意な少年少女を大量生産していたのですよ。
だから、欧米のキャッチアップが流行ったの。日本人が追いかけていたミッキーとミニーちゃんの図柄はなんだったのかというと、アメリカンタイプですよ。アメリカンのように豊かになりたかったのだから。
それが1980年代にはある程度できちゃったので、次へ行ったほうがよかったのに次の図柄が提示できなかった。
なぜならば、日本の官僚たちが、みんな情報処理力の権化だから。情報処理力の権化の人、ジグソーパズルがすごく速い人には、できないことが2つあるのです。それは、世界観そのものを作ることが不得意。かつ、変更ができない。
だって、ミッキーとミニーちゃんの図柄をバッと作っていて、飽きちゃったからドラえもんを入れるわけにはいかないじゃない。最初にできている。だから結局、世界観そのものは、ジグソーパズルメーカーか、出版社が決めちゃっているのよね。それが決まっているときには速いの。わかるでしょう、日本人の特性。
ですから、これからはこっちを鍛えなければならない。つまり、世界観そのものを作ったり、途中で目標をどんどん変更して納得できる解に持っていくこと。こっちは、もっと創造的なゲームなのですよ。
そうすると、ジグソーパズルに対してなんのゲーム、なんの遊びで例えると、スパンと説明できるでしょうかという。いい? これを議論してください。行きましょう。バカな案からでいいのです。1分だけ。3、2、1。はい、どうぞ。
(議論)
(答えが)出てますね。もう出てますね。もちろん、例えば砂場遊びでもいいし、それから粘土でもいいのですよ。
ですが、ジグソーパズルに対する収まりからすると、僕が本に書いているもので一番みんなが納得してくれるのが、これ。レゴ型ですね。つまり、レゴはピースが、種類は少ないのですが、組み合わせ1つで文字通り、宇宙船が作れれば家も作れる。レゴランド、街全体を作らせることもできますよね。ですから、これがすごく大事。
ただ、間違っちゃいけないのは、みなさんは先生で、これは保護者の前で、例えばこういうことを言ったときに、今の保護者のパターン認識もこっちの頭の人が多いので、子どもからジグソーパズルを取り上げて捨てちゃって、レゴを買いに走るというね。わかるでしょう。これは注意しておいたほうがいいです。
要するに、あくまでもバランスです。「7対3だからね」ということを言わないと、本当にこれを買いに走りますから。
それと同時に、もう1つだけ余計なことを言っておくと、今の子は、すごく変わったことをやるようになっています。レゴもスター・ウォーズあたりから完成品を組み上げて売っているわけですよ。
要するに、ダース・ベイダーはなにとかの、スターなんとかシップのそれが作れるレゴといったように。それを完成させると、崩さないというのですよね。わかる? 完成させて崩さないということは、レゴがジグソーパズル化しちゃったの。わかります?
僕らの頃はいろいろと作りましたよね。あれ、作ったもので買ってきても、それをバラして違うものが作れるということをやったじゃない。それをやらせないとこっちの力にならないよね。わかりますよね。というようなことをぜひ、覚えておいてもらいたいなと思います。
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