2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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藤原和博氏(以下、藤原):改めまして。みなさん、こんにちは。「先生の学校」ということなのですが、学校の先生はちょっと手を挙げてみて。
(会場挙手)
半分ぐらいかな。わかりました。そのほかの人はなんでしょうか? (参加者を指して)なにをやっている人ですか?
参加者1:保育園です。
藤原:ああ、保育園の先生ですか。(参加者を指して)なにをやっている人?
参加者2:塾の先生です。
藤原:そういうことですか。要するにみなさん、先生なんだね。わかりました。
僕は、この10年間で1,280回ぐらいこうした講演を、授業とは別にやっているのですよ。そういう意味では、東京でも散々やっていますので、どこぞでみなさんと会ったことがあるかもしれません。例えば、つくばの教員研修センターでは7年に渡って、校長、教頭、副校長と、年間に300~400人に教えています。そうした意味ではもう2,000~3,000人は私の子分がいるわけですね。“校長先生の校長”とも言われています。
どこかで会ったことがある人もいると思うので聞きたいと思うのですが、今日、初めてナマ藤原に会うという人、手を挙げてみて。
(会場挙手)
ほぼ全員じゃん。
(会場笑)
もうね、10年に渡って30万人ぐらいの研修してるんだよ、俺。まだそんなにいるのか。すごいな。本当に。
(会場笑)
最初に聞いておきますが、初めて会ったとは言っても、顔をよく見てみるとあまり初めて会った気がしないんじゃないかと思うのですよ。夜、歌手として歌っているのではないかと。
(会場笑)
わかります? このぐらいの世代の人だとある歌手が浮かぶと思うので……隣の人と相談しないでいただいて。いいですか。相談しないでいただいて、僕が「どうぞ」と言ったらでかい声で自分がイメージした歌手をドカンと言ってもらう。後ろのほうの人は叫ぶように言ってもらう。いい?
(参加者らを指して)いや、相談しないで。いいの。間違ったっていいよ、ぜんぜん。イメージできない人は自分の好きな歌手名でいいです。もう誰でもいいです。AKBの誰でもいいし、困ったら北島三郎でもいいし、もうぜんぜん関係ない自分が好きな歌手を訴えたい。わかった人でも自分の好きな歌手を言いたい人はそれを言ってもいいです。
どれぐらいとにかく揃うか、乱れるか、ちょっとやってみたいと思います。いきますよ。私、ナマ藤原は明らかに九州出身のある歌手と似ています。それは誰でしょう? どうぞ!
(会場から「さだまさし」、「谷村新司」の声)
あのね、谷村新司というのがね、関西でやるといつも1割ぐらい本当に混じるの。私もそれ不思議なんだけど。まぁ基本は“さだまさし”でしょうね(笑)。
(会場笑)
とにかく、さだまさしさんということで。
私は27歳の時にリクルートの広報課長をやっていたのですね。宣伝課長と一緒に帝国ホテルでお茶を飲んでいたら、一番前の方で、僕とのこのぐらいの距離でさだまさしさんと湯川れい子さんがいたという。今やすごい作詞家ですよね。ポール・マッカートニーが来るときには、彼女が契約してやっているのですから。その作詞家と話していたわけです。
これはすごい偶然だなと思いまして。僕は“リクルートのさだまさし”としてはもう不動の地位を得ていましたので、これはちょっと声をかけてみようとしました。彼、僕のことを知らないはずだから。
後ろから近づいていって、声をかけました。「さださん、すいません、ちょっといいですか?」「ちょっと後で、もしお時間ありましたら……」みたいなことを言いました。そうすると、後ろをバッと向いて、すっごい顔をしたのですよ。
みなさんもちょっと想像してもらいたいのですが、このそばで自分が仲間とお茶を飲んでいて、後ろから声をかけられました。振り返った瞬間、自分と同じ顔の人がいたら、どう感じるかを。これね、僕も気づかなかったのだけど、後で聞いたら「恐怖だった」というの。
(会場笑)
弟よりも明らかに似ている他人がいきなり「ちょっと」と言ってきて。絶対に弟じゃないことはわかるわけじゃないですか。要するに「なんだろう?」。つまり、今起こっていること自体が理解できないような。それで僕のほうに来ちゃいまして、「名前はなんですか?」「なんの仕事をしていますか?」。当時はリクルートと言いましても、ヤクルトに毛の生えたような会社なので説明に手間取ったのですよ。
15分ぐらいしたら彼がなにを言ったかというと、「藤原さん、これはおかしい。明らかになにかあったはずだ」「今から親父のところに行くので付き合ってくれ」と言われまして。
(会場笑)
本当ですよ。マネージャーがいたので、その方の車で僕は拉致されて、当時の四ツ谷にありました……今は二番町にあるのですが、さだ企画というところに連れ込まれまして。ちょうどこれぐらい従業員がいたのですよ。全従業員と、それからお父さんが最後、社長ですから、出てきました。全員に指をさされて笑われたというですね。そういった栄光の歴史がありまして(笑)。
(会場笑)
それ以来、さだまさしさんのコンサートで僕はお金を払ったことがありません。とにかくすっごく便利だったのは……これには非常にコツがあるのですよ。もぎりというのがいるじゃないですか。チケットのもぎり。あそこで戸惑っちゃいけないの。ものすごく自信を持って「おつかれ」。これでもうだいたい向こうが勘違いしてくれる。本人とは勘違いされないのですよ。本人とは勘違いされないけど、絶対に関係者だというですね(笑)。
(会場笑)
それで、その何ヶ月後かな。お父さんはうちの父とはまったく似ていないし、僕とも似ていない。もっとすごくがっしりしている。実は弟がいて、弟は台湾でプロサッカー選手をやっていたぐらいなのでかなりがっしりした人で、彼とは似ていないのです。妹は彼と似ているのだけど。それで、僕も謎だなと思ったのですが。
ある日、NHKホールでコンサートをやるときに「お前ちょっと明日来い」などと言って、もうとにかくだいたい前日の23時ぐらいに電話がかかってくるわけです。それに僕もおもしろがって翌日の予定をキャンセルしてでも行くのですね。彼のほうが3歳年上なので、弟としてはとにかく気合を見せなきゃなりません。
「母を連れていってもいいですか?」と言うと「いい」と言うので連れていきましたら、彼も母を連れてきていました。そして、楽屋で母同士の遭遇ということがありました。そうしたら、母と母同士は似ていたのですよ。非常に無難な落としどころというか。そうしたことから、それ以来もうずっと30年以上お付き合いしております。
彼はご存じのとおり、僕が今住んでいる奈良の東大寺、あるいは春日大社とも非常に縁が強い。とくに國學院ですので、神道系の勉強もしていますし、ものすごく彼はくわしいのです。天皇家のいろんなことにもくわしいのですが。
去年の秋は春日大社の飛火野というところでコンサートがありまして、それに僕は母を連れて行く予定だったのです。しかし、雨が降りそうだというので、「今から雨が降らないようにお参りをするから、お前も来い」と言われて、2人で春日大社の宮司にお祓いを受けたわけです。
花山院さんという方なのですが、実はこの人が、僕が今校長をやっている一条高校のOBだったりします。一条高校という学校はおもしろくて、サッカーの奈良代表などでインターハイも行っていますが、別に仏教系でもなんでもないのに、実は興福寺、薬師寺、東大寺、春日大社、これらの貫主といったトップを生み出している。そういったちょっと不思議な学校でもあるのです。
とにかくお祓いをしたのはいいのですが、後から宮司さんに聞いたら、春日大社は“雨乞いの神様”だったのよね。雨が降らないようにお祈りするのに、逆にやっちゃったというような感じでした。これが効いたらしく、コンサートのアンコールが終わった直後に豪雨が降ってきたのでした。こうした、まあ不思議なことだったわけですが。
“リクルートのさだまさし”が、そのあと“教育界のさだまさし”ということで今日に至っています。では、入らせていただきます。
(会場笑)
ここまでが要するに前座ですね。みなさんと今日共有したいと思っているのは、1冊丸ごとこの『10年後、君に仕事はあるのか?』です。
これ、高校生に語りかけているような口調で1冊丸ごと書いているのです。しかし、実は誰に向けて書いているのかというと、その親たちです。40~50代の親と教師です。
「先生たち、言っておきますがこれだけロボット・AIがどんどん出てきていて、10年後にあなたたちが今のとおりの仕事ができると思っているの?」と。もしそう思っていたとすれば大間違いです。相当環境が変わると思いますし、先生という仕事の質が変わっていく。
先生がいなくなるとは僕は思っていません。しかし、その有り様は変わってこざるをえないでしょう。そのあたりを今日は一緒に考えていただきます。
これからいったいどんな力が大事になるのか。結論は、情報の処理よりも編集が大事になるということですね。これは僕が20年間ずっと唱えていることです。
今、文部大臣補佐官に鈴木寛という人がいます。かつて民主党政権の時に文部科学副大臣をやりまして、そのあと文部科学大臣補佐官をずっと4代〜5代かな、今日の林さんもそのままクビにしなかったようなので、文部科学大臣よりもほぼ影の文部科学大臣という。
彼のことは、もともと経産省にいた課長補佐だったときから知っていました。そのあと慶応大学の助教授になってから、参院選で出馬したわけですね。もう十数年タッグを組んでいて、鈴木寛が上から行き、僕が下から行くという、そうしたサンドイッチ作戦でこの教育改革をやっています。
すでに仕上げの時期に入ってきていまして、あと5年ぐらいで勝てるという感じになってきました。要するに、情報処理力偏重の教育から、情報編集力に少しシフトしていくということですね。どのぐらいシフトするべきかというのを後ほどみなさんと共有したいと思います。
ではその力をどういった授業によってつけていけばいいのか。ご存じのとおり「アクティブラーニング」という言葉がありますね。あれの元祖は私がやっていた授業で、それを名付けたのは鈴木寛だったりします。
ただ、英語でアクティブラーニングというものがすごく勘違いされた状態で伝わっておりまして。大学などではもう本当に大間違いのアクティブラーニング、用法間違いのところもあります。
すごく笑っちゃうのだけど、例えば1,000人~2,000人収容の講義講堂があって、そこで講義をするじゃないですか。その横に、ちょっとこういう感じのスペースを作って、丸いテーブルかなにかでカフェっぽくして、自動販売機を置いている。そこを「アクティブラーニングコーナーだ」と言って、僕に自慢して見せるような大学の学長がいたりするわけですよ。
どういうことだかわかります? 要するに、講義そのものは今までどおり一方的な感じで聞くわけです。それを後からチャットするのに、「コーヒーを飲みながらチャットできる」「そうしたスペースを作ったからアクティブラーニングだ」と言ってるの。「バカじゃないか」という感じじゃないですか。
だから日本の教育が……小・中学校は非常にまともですね。とくに小学校の教育は世界で一番まともなのではないかと思っているのですが、それが高校・大学と乱れてくるわけです。
高校が中学の延長のようになっちゃっている。「高校生とはなにか」ということが捉えられていない。大学がぜんぜん大学じゃないというような、これをなんとかしなきゃいけないということですね。
とにかくアクティブラーニングという言葉を、最近は文科省でも使わないようになりましたよね。ご存じかと……あの、気づいていると思います。日本語にしたのですね。すごく複雑な日本語にしちゃったので誰も覚えられないのですが、「主体的・協働的で深い学び」と言うのですね。それではみなさん、ちょっと言ってみましょうか。
(会場笑)
主体的・協働的で深い学び。リピート。
会場:主体的・協働的で深い学び。
藤原:ということなのですよ。本当に間の抜けた言葉ですよね。でも、気持ちはわかります。主体的、つまり生徒たちが自分で考える。自分で行動を起こす。自分で思考する。
協働的というのは、実は情報処理力はともかく、編集力のほうは1人でやってもダメなの。1人でう~んと考えても出ないことを出すための、そうした思考方法でなければダメなのです。だから、ブレインストーミングやディベートをやるといった手法を使います。
ブレインストーミングやディベートは、要するに1人ではできませんから、そういった意味で3人、5人と僕はいつも言うのですが、学校では班でといったように複数人が雁首揃えて、脳をつなげて自分の脳を拡張するのだと僕はよく言います。
「脳をつなげる」「脳を拡張する」というのは僕が独自で使っている用語です。それが情報編集力をつけるベースになります。それを協働的と言っているのです。
「深い」はどうでもいいと思います。だって、主体的・協働的で浅い学びなんてあるわけないと思うのだよね。だから「深い」はいらなかったと思うのですが。こうしたものはいろんな利害団体が出てきて「これを入れろ」とすごいのですよ。中教審の中でね。だから他教的なものになってしまうのですが。
やっぱり、学び方はそのように変わらなければいけない。大学はもう100パーセントそのようにしてほしいし、高校が5割ぐらいかな、知識を叩き込む授業と、本当は半分ぐらいアクティブラーニングの授業が行われるべきだと思います。
ただ、2020年で徐々にといった感じにならざるをえません。どうですか、2030年。まあ2025年ぐらいまでに高校も半分半分になっていたら、そうした世の中であればいいなといった感じですね。
小学校はまだまだ詰め込みが9割でいいと思っています。つまり、頭のメモリがまだまだやわらかいうちに、どれぐらいのことをこのメモリに入れられるのか、どれぐらいその知識を再現できるのかということをもう目一杯試しておくというのは、記憶力がグッと伸びるときには必要だと思います。中学もその延長で、7割8割はもう詰め込み偏重でも僕はいいと思っています。
その辺のバランスも含めて、非常に具体的な話をしていこうと思います。
今日は、そんなにノートしながらでなくてぜんぜんいいです。相手の目を見て、アイコンタクトで授業を受けたほうが絶対にいいと思いますから。もし本当になにか「言葉をメモしたい」ということがあればチャチャッとメモすればいいし、後からとにかく、この本を読まないとダメよ、絶対。
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