1分動画で世界の約10億人とつながったピコ太郎

藤原和博氏(以下、藤原):(世界の50億人が10年以内にスマホでつながるという)このイメージがつかみにくい人は、たった1つの例を挙げれば、そういう社会でなにが起こるかすぐわかります。

これはなにかというと、みなさんが最近目撃したある事件ですよ。なにかというと、Apple-Penのおじさんですよ。わかります? Pineapple-Penのおじさんです。

あのおじさん、1分間の動画をYouTubeにぶち込んで……。もちろんこれはなにげなくやったんじゃないですよ。ものすごく計算されているのです。

AppleとPineappleというのが、日本人が英語で言うとすごくおかしいというのは昔から知られていたことなの。吉本でもすごくそれは英語の中で一番利用されていたランゲージなの。それをうまく使っているということだから、すごく計算されているのですが。

それはともかく、最初はそんなに日本では話題にならなかったのですよ。それがおもしろいことに、1分だったのがよかったというのもあるのですが、ジャスティン・ビーバーが「いいね!」と言った途端に1億人が見ちゃった。結局、その年のうちに紅白歌合戦じゃないですか。

こんなこと、ありえる? なかったのですよ。どんなにテレビが多チャンネル化しても。どんなに衛星放送ができても。要するに、スマホの動画で今、約10億人がつながっていますよね。その状態であれが起こっているのだから、50億人がつながったときにどうなるか。

つまり、歌の世界だけじゃないと思いますね。ダンスでもそうだと思いますし、もしかしたら俳句や和歌、そんなものも出てくるかもしれません。

あらゆるパフォーマンスで、ここにいる人たちでさえも一瞬にして世界のスターになっちゃって、紅白歌合戦かどうかはわからないよね。でも、いろんなものがあると思いますよ。本当に。

家電も車も「ロボットくん」

そうした、つまり天才の発見というのが格段に高くなり、しかも天才の定義も変わってくるようになる。ああなるとね。わかります?

3歳の赤ちゃんだって、あの現象の中に巻き込まれる可能性があるわけですよ。「超かわいい」というだけで。一瞬にしてスターになっちゃって、グラビアアイドルになっちゃうような。わかります?

そうしたことから、あるいはInstagramのブームもそれを少し加速させるのだろうと思いますし、世界はそっちを向かっていっているわけです。これは非常に大きいですよね。しかも、そのネットワークにAI武装したロボットがつながるというところがミソなのですよ。

みなさんはよく、今の小学生や中学生は将来、ロボットと共生する世代だ、ということをよく言うのですが、それは違いますよね。もうすでに始まっているわけです。みなさんが持っているスマホはもう完全に“通信くん”という名のロボットですよ。違います?

2020年前後に、たぶんもうしゃべっただけでいろんなことをやってくれるようになるでしょう。今はちょっと認識が甘かったりしますが、これは絶対にそうなるし。

東京オリンピックのときには、おばちゃんでも、何語で話しかけられてもここに日本語が出るくらいの、これは絶対。日本のメーカーが徹底的に今やっていますから、それはすごく細かいものが出てくると思います。ですから、まあこれは“通訳くん”というロボットですよね。

それからどうですか。ちょっと聞いてみようかな。家で“お掃除くん”。お掃除ロボットを使っている人はどれぐらいいる?

(会場挙手)

見てくださいよ。もうおそらく5パーセントはいっているのですよね。ということは、7パーセントを超えるとブワーッと一定の普及率を超えて、だいたい13人に1人というような感じでそうなる。自分の知り合いで絶対1人は使っているやつがいるということになるのですよ。

それが良いということになると、もうあっという間に15パーセントぐらいになり、それを超えるともう臨界点に達するわけです。グワッと。あとはもうコストの問題だけですよね。

たぶん、もうあと数年もしない間に、あのお掃除ロボット、ルンバやルーロは目を持つでしょうね。カメラ搭載。外から家の中の様子を見ることができるという。そうしたロボットはもう今いますが、ルンバがそうなると思います。

ロボットくんたちに手足がつくと……?

さらに、手かなにかがついて収納するところがついたら……。犬を飼っている人はよくわかると思いますが、犬を飼っていると2泊などで旅行に行けないじゃないですか。餌をやらなきゃなんないから。それをたぶん自動的にやってくれるような感じ。

つまり、そこまでいけば“留守番くん”というロボットになりますよね。そうでしょ? 例えば餌出して、「お手、お座り、よし!」みたいな。

(会場笑)

いや、昔だと「オテ。オスワリ。ヨシ」みたいな電子音。でも、もうそうじゃありませんから。おそらく5年もしないうちに、完全に飼い主の声で擬似的にやってくれるという。それぐらいのことは、もう基礎技術としては全部できているのだから。あとはコストだけの問題です。

冷蔵庫も“冷蔵くん”だし、洗濯機も“洗濯くん”じゃない? もうロボットですよね。今、すごいじゃないですか。あの学生服でさえも、夜中に入れておいたら朝ピシッとしてアイロンをかける必要もないというね。

そうした状態に今なっちゃっているわけだし、冷蔵庫なんて今、バーコードを読み込んで賞味期限切れを教えてくれるじゃないですか。もうすぐ、賞味期限切れを勝手に廃棄して勝手に注文するような、余計なことまでやる冷蔵庫が出てきそうな感じがありますよね。

ロボット社会は未来の物語ではない

そんなわけで、これをブレストするのは非常に楽しいのではないかと思いますが。もう1つだけ言うと、自動車はもう完全にあれ、“移動くん”という名のロボットですよね。乗り込むタイプのロボットですから、もうガンダムに近いわけです。

ちょっと聞きたいのですが、昨日も聞いていたのだけどね、ここ2年ぐらいの、一番新しいものが一番そうなのですが、わりと新しいプリウスに乗っている人はどのぐらいいる? いない? あ、みんな、車に関心がないのか。

プリウスを正面から見ていただければ、いかにガンダムかがわかりますよ。完全に顔がガンダムだもん。要するに、そういう世代のやつらがデザイナーをやっているということもあるのですが、車というのはロボットだということはもう結論づいたということ。

一番表明していなかったトヨタでもついに、2020年代に絶対やると言っていますから。高速道路での自動運転と渋滞時の追尾、それから車庫入れ。とくに女性が非常に不得意な縦列駐車など。それはもう今だってベンツの中型のやつでボタン1発ですからね。

だんだんそうなっていくでしょう。そうするとあれ、ガソリンで走っている必要もないし、そんなエンジン馬力で競争するみたいなものは、団塊世代で昔、スピード狂になりそこねた親父だけだと思うので。

(会場笑)

今の若い子は車なんかにぜんぜん興味がないもんね。うちの息子たち……3人子どもがいてが、全員免許を取りにいきましたが、1人も乗っていません、ぜんぜん。車の話なんてまったく興味ありません。

もう“移動くん“という名のロボットになっちゃいますから、そういう意味ではもう電気で十分じゃないですか。電気自動車にいくでしょうね。だからイーロン・マスクの勝ちという感じではないでしょうか。

そうしたロボット社会は、別に小学生・中学生・高校生が大人になったらというような未来の話ではないということね。もう始まっているわけですから。

10年以内になくなる仕事はなにか?

そうすると、そのロボットたちが、人間が50億人つながるネットワークにつながってきてなにをやるかといえば、当然、仕事を奪っていきますよね。処理仕事はどんどん奪われるでしょう。

ではみなさん、このチームでどんな仕事がなくなるか。これは例えば、オックスフォード大学と野村総合研究所の調査、あるいはハーバード大学の調査などいろいろあるのですが、それは一応置いておいて、みなさんがどう思うか。

僕はこのセッションの最後に「であれば、教員はどうなんだ?」と。なくなる仕事なのか、なくなりにくい仕事なのか。それを最後にもう一度議論してもらいます。最後にね。

でも、それはちょっと取っておいて。とにかくこの場では時事放談会で、「これなくなる」「あれなくなる」と、相手がなんの仕事をしているかなんて思わないで。「万が一それを言っちゃたら失礼じゃないか」といった気遣いはなし。

(会場笑)

学校の先生だと、保護者とはそういった会話はできないと思っているでしょう。でも、いいじゃない、もう別に。とにかく「これはなくなる」と大げさに言ってください。