「シン・ゴジラ」に登場する2人の女性

山田玲司氏(以下、山田):そして、(『シン・ゴジラ』に)女の人は2人しか出てきませんね。1人が科学者。理研の方ですよね。あなた好きでしょう?

久世孝臣氏(以下、久世):僕、あれ大好き。たまらない。

山田:大好きなタイプですよね。あの方いらっしゃいましたよね。科学者の方が、女の人が。

久世:市川……。

乙君氏(以下、乙君):理研じゃないでしょう? あの人。

山田:ではないですけど……。

乙君:環境省の公務員だよ。

山田:そうそう。

久世:課長補佐とかでしょう?

山田:これをしゃべりだすと、「山田なにも知らないクセに」って。知りません。「なにも知らないくせに言ってんじゃねえよ」って、知らないのに言ってます。すみません。感想言いますね。

久世:(笑)。

山田:それで、出てくる人たちは俺から見てると、「みんなガイナックスの社員だ」って思うわけよ。「ガイナックスの人たちが出てる!」って思うわけ。

久世:(笑)。

乙君:ああ。

山田:ガイナックスが官僚になったとか、政治家になったとか、自衛官になったとか、みんな全員そう見えるわけ。だから、庵野秀明とその仲間たちが全部内閣を支配している世界がそこにあるわけだよ。それで、もうおもしろいんだけどね。オタク村祭りだから。

石原さとみが浮いている理由

そこで例の(石原)さとみ問題なわけよ。さとみだけがなぜあれだけ浮いているかというと、あの人だけキャラなんだよ。漫画とかアニメに出てくるキャラクターなんだよ。だから、あそこだけ2Dなんだよ。だから、本当はセルアニメ。あそこだけ。

久世:あ、なるほど。

だから、「ガッズィーラ」になるわけ。ていうか、映像としておかしいでしょう? あの浮き方は。

乙君:そう……映像というか、まあ演技ね。

山田:あとはみんなちゃんとにおいのする人たちなんだよ。なんか4DXだと、さとみのにおいがするらしいね。

乙君:マジ!?

山田:って噂聞いたけどね。これ大丈夫ですか? どこまで本当なんですかね。もう情報が錯綜しすぎてて。

乙君:ざっくりした番組です(笑)。

久世:いいわぁ。その嘘か本当かわか……。

(放送画面がフリーズする)

(コメントにて「止まった」「あれ」「さとみの呪い」「なんの力だ?」「ゴジラの呪い」「シン・フリーズ」「おーい」)

(放送再開)

山田:戻った?

スタッフ:「4DXでにおいが」あたりまで放送は流れてました。

山田:4Dのにおいは……。

乙君:いやー、それじゃない? それじゃない!? 

久世:それですよ(笑)。

乙君:あまりにも石原さとみをディスったことによって、あっち側の組織の方が(笑)。

山田:ディスってないよ!(笑)。

乙君:そう?(笑)。

さとみはプロの仕事をした

山田:あれ、みんな本当に石原さとみを責めたらいけないよ。

久世:俺もそう思う。

乙君:それは、そうですね。

山田:プロの仕事しただけよ。あれは。

乙君:超がんばってるもん。

山田:そして、あれはちゃんとしてるよ。

乙君:1人だけちゃんと演技してたもんね。

山田:ちゃんとアニメになってた。

乙君:アニメになってた? 実写映画で?(笑)。

山田:実写映画で(笑)。

久世:それはわかる。

山田:というか、それも込みであの映画なんだよ。村映画なので。だから、それに対して「あーだこーだ」言うのもほんと野暮だなって思って。

あとは、その村における一番大事なものってガジェットなんだよね。メカ、そして破壊みたいな。そこで、おもしろいと思ったのが、「未来派かな?」って思っちゃってんだよね。どっかでね。ダダイズムの。

乙君:なるほど。イタリアね。

山田:「すげー。メカ超カッコイイ!」「機械ってサイコー!」。そして「破壊ってサイコー!」みたいな。なんかもう、まさに未来派がやってたようなことをやってるなって。

だから、俺、庵野秀明の美意識って未来派なんじゃないかなと思うんだよね。崩壊、メカみたいなものとか。爆破とか壊れるとか。岡田(斗司夫)さんが言ってたけど、「壊れていく、失われていくことになにか感じるアーティストなんだ」ってのは、それは見ててすごくわかる。

乙君:庵野秀明?

「オタク村祭り」としてのシン・ゴジラ

山田:うん。昔からずっと庵野さんがやっているのは、壊れていくとか爆発していくとか、そういうものに美を見い出すことというか。実はこれはめちゃめちゃアートだったなと思うんだよね。

乙君:はいはい。

山田:そこで、「そうか。こういうアートとしてやってんだな」と思って見ながら、俺はオタク村祭りを楽しむことに決めたわけだよ(笑)。

そしたら、もうおもしろい。鉄オタは出てくるでしょう。地図オタは出てくるでしょう。それから生物オタクが出てくるでしょう。しかも、量子力学的なやつも出てくるし、塩基モデルも出てくるし、組織オタクも出てくるね。

乙君:組織オタ?

山田:いるんだよ。軍隊の組織が好きな人もいるわけ。

乙君:ああ。はいはい。

山田:だから、そういう意味で、めちゃめちゃタモリ倶楽部なの。

久世:(笑)。

乙君:そういうことか。

山田:タモリ倶楽部に出てる人たちなんだよ。みんな。

乙君:それでね。

山田:そう。観てる人たちもタモリ倶楽部の人たち。だから、あの「京急だけが……」みたいな時に、みんな「わー」って笑うわけ。鉄オタじゃなかったら、絶対わからない。関東限定の鉄オタしかわからないギャグが入ってくるわけだよ。

乙君:そうなんだ。

久世:あれギャグなんだ。

庵野監督がガチの鉄オタだからできるネタ

山田:だから、「在来線無人機」とか言うだけでも、みんな爆笑する。

久世:爆破はおもしろかった。

乙君:あれ、おもしろかったよ。うん。

山田:って思うんだけど、その前にちょっと京急ネタとか入れてくるわけよ。

乙君:京急ネタなんかあったの?

山田:そう。だから、「あなたの家のほうからゴジラがどうの」とか、あの時も、いろんな鉄オタ、マニア垂涎の映像ががんがん出てくるわけ。

乙君・久世:へー。

山田:これ、タモリ倶楽部じゃなかったら誰ですかって話だよ。これ、やってるの。

乙君:京急だけ止まってなかったんだ?

山田:そう。だからそれは京急あるあるみたいなのが入ってるわけ。

久世:そうなんだ。

乙君:止まらないんだ。京急は。

山田:それはいろんなことがあった時に……。(コメントにて「江ノ電」)そうそう、江ノ電も出てくるよね。

それは俺も詳しくない。ただ、鉄オタは……だから、庵野さん、鉄オタじゃん。なにしろ、リニアモーターカーの試乗会に個人として乗りに行ってる人だから。ガチなんだよ。

だから、電車が破壊される時に、電車そのものが壊れるというよりも、台座の部分だけガーっと落ちたり。ああいうところがもう、たまらないんだと思うよ。「今のキハ65だ」とか。

(一同笑)

人間ドラマは全カット

そういう人たちが楽しめるようになっちゃってるわけ。だから、アメリカ人が作ると「妻の思いを」とか「父さん、僕は……」とか、そういうやつに……。

乙君:人間の。

山田:人間ドラマにいくんだけど、もう全カットですよ。それはなぜかというと、オタクは結婚しないからですよ(笑)。

だから、繁殖を諦めて、俺は趣味に生きるって。もちろんオタクの人で結婚されている方もいますし、庵野さんも結婚してるんだけど、マインドがそこで止まってる人たちなんだよ。

だから、結婚していようが、今どうであろうが、周りに女がいようが、俺のマインドはDTのまんまというところでブレーキを、ガーっと半分ブレーキかけたまんま作っている映画がゴジラなの。『シン・ゴジラ』。

だから、これ、なにを言うんだよって話だよ。ほかの村の人は入れないんだよ。これ。

乙君:あ、入れないんだ。

山田:ただ、「入れねーな」って思いながら見るしかないわけだよ。なぜかと言うと、そもそもドラマって人間の内面的成長を描いたりするじゃん。一切カットですから(笑)。そういうのいらないんです。

乙君:だから、もう本当に誰でもいいじゃん、これっていう。