最初のトークテーマは?

山田玲司氏(以下、山田):それでは、始めよう!

乙君氏(以下、乙君):では、いきましょう。

山田:今日は無料部分ではゴジラはしゃべれないかもしれない。

乙君:じゃあ、今日は久世さんに引いてもらおうかなぁ。

久世孝臣氏(以下、久世):いいんですか? 毎回毎回引かせていただいて。

乙君:質問コーナーはあとにして。

久世:質問はラスト?

乙君:なにが出るかわからないので、ゴジラの話はめっちゃ最後かもしれないし。はい、どうぞ。

久世:いきますよ。おいしょ! はい。来た!

乙君:俺!?

(一同笑)

乙君:これあとにしない?

山田:あとにしよう。うんうん。

久世:旅関係はあと?

山田:うん。じゃあ、旅関係外そうよ。やっぱり。

久世:外そう、外そう。いきなり話し出してもわからない。

山田:でないと、本当にYouTube関係とかいろんな人に申し訳ないので。

久世:ハッハッハッ(笑)。

乙君:YouTubeでタダで観てる人のために、あえてね。優しいな。

シンゴジラはタモリ倶楽部だ!?

久世:じゃあ、いきますよ。すみませんね。

乙君:これ3つしかないから(笑)。

久世:もう3つしかないけど。よいしょ。

乙君:あい! おっ、きた! 「シンゴジラはタモリ倶楽部だ!?」。

久世:あー、きちゃった!

山田:いきますよ。あのね、先週、だろめおん先生が放送直前に、『シン・ゴジラ』の台本をうれしそうに持ってきて、超はしゃいでいたわけですけど。もう番組が始まる前から相当なテンションで。

それで、「今季、最高傑作がきてしまいました」と言っていただけではなく、あいつは歌いながら、ゴジラも真似しながら、放送されてもいないのに、歩いてました(笑)。

久世:めっちゃおもしろい人じゃないですか?

山田:めちゃおもしろい。誰もツッコまないのに。そう、かなり本格的に。

できればスルーしたかったけれど

それで、「ああ、ちょっと待て」と。俺はちょっと「ゴジラはスルーしたかったなあ」って思ってたんだけど、あそこまで絶賛されるのはあまりないんだよ。

久世:へー。

あいつは超エヴァンゲリオンフリークなのに、俺と8年間一緒に仕事してきて、「先生、エヴァンゲリオン観てください」ってひと言も言ったことないの。それが、ここまで激推ししてくるというのは、今回初めてだったんだよね。こういう場合は逃げちゃいけないでしょう。やっぱり大人として(笑)。

あと、みんながしゃべってる時は、そういうのないふりするって手もあるんだけど、これあまりやると大人げないので(笑)。

久世:構ってちゃんみたいになっちゃいますもんね。

山田:あと、いろいろ考えたんだけど、「まあ、これなぁ」と思って。あともう1つ、クリエイターとして悔しいというのは、みんなが思ってることで、島本(和彦)先生だけじゃないと思うよ。

だから、それを無視するのかっていうのもどうなのかなって言って、こうやってしゃべっちゃってる段階で負け犬なわけよ。俺たちは。もう虫ですよ。

(一同笑)

久世::また虫(笑)。

山田:誰かが作った作品について、作り手なのに「あーでもない、こーでもない」言ってるようじゃダメなんですよ。

久世:はい。すいません!

山田:ダメなんだけど、「もうダメだ! しゃべんない。俺は!」って思ったんだけど、観ましたよ。そしたら、ニコ生をちょっと観たら、岡田斗司夫さんが、今まで観たことないようなうれしそうな顔をしてるじゃないですか。「ああ、そうかあ」って思って。

(一同笑)

『シン・ゴジラ』フィーバーはオタクの村祭りである

これはね、奥野さん、祭りなんですよ。いわゆる村祭りなんです、これ。

乙君:村祭り?

山田:それで、この村はどこの村かというと、50歳オタク村っていうね。50代のオタクの人たちの村というのがあって。そこでいろんなことが枯渇してたんですよ、エネルギーが。エネルギー問題があったわけです。なにも燃やすものがなかったんですよ。

そこに、シンのゴジラがやってきちゃったもんだから、みなさん、もう。だから、よく研究してもらえればわかるんだけど、今、大騒ぎしてるのは主に50代のオタクの方ですから(笑)。これがどういうことかというと……。

乙君:でも、だろ君、50代じゃないよ。あと大内ライダーもそうだし。

山田:あれは、そいつらの教団に入った連中なんだよ。

乙君:え?(笑)。

山田:だから、子供の頃にそういう人たちの教団に連れ去られてたの。

(一同笑)

久世:連れ去られて?

乙君:それ、50代オタク村じゃなくて、特撮村じゃないんですか?

山田:50代オタク村が小学生の時に、ゴジラから始める黄金期があるわけ。怪獣黄金期が。そこからヤマト、ガンダムにいたるまでの団塊世代、もしくは戦争を知ってる世代が作った濃厚なオタクカルチャーの原点みたいな、古典みたいなのがものすごい勢いでバンバン出てきた時代があるんだよ。

その時に大人だった連中はちょっと引いて観てるんだよ。子供向け映画だと思ってるわけ。だけど違うんだよ。岡田さんの世代は、本当の子供としてウルトラマンを観ちゃったわけ。「うわ~」って。庵野さんがまさにそうだよ。

それで、俺はもうちょっと上なの。ウルトラマンと同い年、66年生まれなので、セブンとか『帰ってきたウルトラマン』の頃にようやくわかるんだよ。こういうものがあった。それで、生まれにながらにして知ってるの。

でも、俺より上の世代はなかったんだよ、それが。

乙君:ああ、すでに……。

山田:ある日『ウルトラQ』始まっちゃうんだよ。だから、「ゴジラすげー。でも、年に1回しか観れない」みたいなものが、「ゴジラ毎週観れます」になっちゃうわけよ。ウルトラQから。

ウルトラQの売りって同じ円谷(一)監督のチームがつくってるんだけど、ゴジラを毎週テレビに出しますよって言って作られた番組なの。

乙君:へ~。

村の外の人たちには語る権利がない?

山田:オタク界ではこれ常識も常識なのね。

久世:知らない(笑)。

山田:そこで「知らない」って言ってる時点で、もう俺たち語る権利ないんだよ(笑)。

(一同笑)

久世:うそ、語らせて!(笑)。

山田:そうなん。もう本当に常識……だから俺しゃべるの恥ずかしいぐらいなの。この話。

『ウルトラQ』は出てきた怪獣が毎週違うんだけど、人間たちが解決しようとして解決できないかもしれない。したかもしれない……ドゥデドゥデで終わるわけ。

っていう、そういうちょっと大人のミステリーっぽい、怪奇物っぽいニュアンスがあったんだけど、解決させちゃえっていうのが『ウルトラマン』なんだよ。光の国から来た宇宙人が、「ヘアッ、ビー」って。

だから、毎回毎回怪獣は出てくるわ、カタルシスはあるわっていう、両方観れるようになったのが、直撃したのがあの人たちなんだよ。それで、あの人たちが「俺たちも作りたい」って言って作ったのがエヴァンゲリオンとかなんだよ。

乙君:ああ、はいはい。

山田:だから、90年代のコンテンツ、それを作った連中は、もうまさにあの頃子供でバーンと洗脳されたものを、いろんな要素を足しながら、ちょっとわかりづらくしたり、要するに、文学的なエッセンスとかを入れながら作ってるのが90年代のエヴァンゲリオンの庵野さんとかを中心とした一群。これがまとめて村になってます。

久世:でかい村だなぁ。

山田:それで、この村も「もうぼちぼちだろう」って空気があったわけ。なぜかというと、エヴァンゲリオンはなかなか始まらないし、新しい新鮮なコンテンツが出てこない。

乙君:そうですね。

お布施しないとカルチャーが死ぬ

山田:それで、アメリカ人が持っていっちゃうみたいな。なんか寒いことになってるとか。でも、みんな必死でついていこうとしてたわけよ。だから、岡田さんは「押井守の映画を見るのは、オタクにとっての税金だ」って言ってるわけよ。

乙君・久世・しみちゃん:ほー。

山田:オタク村の人たちは、同じオタク村の連中がなにかを作ったときに、観に行くのはもう義務なんだよ。

乙君:だから、もうそれで……。

久世:(笑)。

山田:だからもう、つらいんだよ。

乙君:一般には絶対普及しないんだから、俺たちが税金を収めないと、どうやってこの村を守っていくんだと。インフラどうするんだ、と。そういうことですな。

久世:年貢を収めてるわけですね。

山田:そうそう。それで、岡田さんが今回、「ゴジラを観なきゃいけない5つの理由」というのをニコ生でしゃべってるんだけど、そのうちの1個が「観に行かないと、もう観れなくなっちゃうよ」って言って(笑)。俺たちがお金を払わないと、こういうものがもう世の中になくなるから……。

しみちゃん:なるほど。

乙君:ああ~。

山田:何回も観て、献金しろって言ってるわけ。

乙君:まさに宗教じゃないですか!

山田:まさに税金なんだよ。そう、お布施なんだよ。ということなのね。

乙君:あ、それであれなの!? みんな2回3回とか見に行くわけ?

シンゴジラに出てくるのは全員オタク!?

山田:そうです。だから、ゴジラが大ヒットとしたのは、2回、3回見に行く人が支えた。『マッドマックス』と同じ状況が起こっていて、湘南乃風の連中は観てないわけだよ。

EXILEの人たちは、「ああ、わけわかんないしさ。ゴジラ超怖えー」とか言って。そういう感じなんだよ。だから、もうこの国はパラレルワールドでぜんぜん違うわけだよ。それぞれの村が。

乙君:なるほどね。しみちゃんを「ゴジラ観に行こうぜ」って誘うより、俺が2、3回見に行ったほうが早いと。

山田:というか、もうオタク村の人は諦めてるから。言ってもわからない人たちに言うんだったら、ちょっと時間空いたからゴジラ観に行こうみたいな。そういうことになるわけよ。でも、それを、あーだこーだ言うのはどうかって話。

乙君:まあね。

山田:それで、村祭り、観てて思ったんだけど、もう、だいたいご覧になった方はわかると思いますけど、出てくるのは役人、政治家、肝心なことは言いませんから。肝心な言っちゃいけない4つのことに関しては、絶対言わないですから大丈夫。大丈夫ですけど、出てくるキャラクター、まあ、よーく見てください。全員オタクですから。

オタクの特徴というのはよくしゃべるんですよ。難しいことを言うんですよ。そして、知識勝負ですよ。それで、こじらせ加減が半端ないという。