過労死認定の基準が低くなりつつある

高橋恭介氏:この記事は、関係者の会社さんがいらっしゃったら大変申しわけございません、実名で出ておりましたので、そのままお持ちしました。光通信さんの記事であります。

労災認定の記事、これは新聞にもかなり何度も出て、光通信さんに対して私は何か言いたいということではないので、関係企業の方がいらっしゃって、お気分を悪くしたら大変申しわけございません。

これは、大阪高裁が一審の大阪地裁の判決を支持し、いわゆる「業務と発症との関連性は相当程度存在する」ということで、心不全で死亡した社員の過労死が認定されたという裁判でございます。

私がここで言いたいのは何かというと、男性が死亡するまでの6ヶ月間、時間外労働の1ヶ月当たりの平均が62時間であったというところです。これは過去の労働裁判における労災認定、損害賠償請求額も然りです。和解金は、一説には2億円前後と言われておりますが、60時間でございます。

時間管理は1分単位ですし、9時前の早出もすべてカウントした場合は、9時~17時で、もし就業時間を設計されていらっしゃる会社さんで言うと、19時台、19時過ぎに毎日帰っていたとしても、朝8時ちょっと過ぎくらいに来ていた場合は、60時間が積算されるわけでございます。

夏場であればまだ外が明るい時期に帰っている。深夜残業というレベルではなくて、それくらいの労働時間で今国の1つの判例で、これを前提条件にこれからの労働審判が下される可能性が高いと言われている象徴的な記事でございます。60時間でございます。

皆さんの会社様はいかがでしょうか? 私も実は他人事ではなく、残業削減を一気に進めている状況でありまして、みなし残業も削減していく。そして、きちんと時間内に終えられるというオペレーションに今だからこそ取り組まなければいけないと、進めているわけでございます。

これは今まで80時間、ひと昔前まで100時間と言われていた時間外労働の労災認定のバーが、もしかすると50時間代、そして40時間代までに下がっていくのではないかということです。

そもそも36(サブロク)協定では45時間でございますから、やはり60時間以上はもうかなり法的に危うい時代が遂にやってきたなと。

「遂にやってきたな」という言いかたは、今日は経営側のセミナーという前提で、従業員さんからしてみるとそんなに働かせてふざけるなという話かもしれません。

人事評価制度はモンスター社員対策に極めて有効

ちょっと経営側に寄ったお話をさせていただいているかもしれませんけれども。皆さんどうでしょうか? 2億円の請求を遺族から受ける可能性があると。

うちの会社はそんなことはないと思っているかもしれませんが、もしかするとあるかもしれないというところです。

そういう視点からも、私が最近唱えているのは、サイバーエージェントさんのように業績を向上するための施策であり、社内を活性化するために人事評価制度をやるのは、当然性善説のアプローチであり、大切なことではあるんですけれども。

より今必然性が高まっている1つの要因は、人事評価制度というものがモンスター社員対策に極めて有効であるとうことでございます。すなわち、企業防衛のエビデンスとして人事評価制度は使われていくと。

皆様のお手元の中にワードで、評価制度における判例という記事があります。弊社の、労働法にかなり詳しい顧問弁護士にオピニオンデータをいただいたものです。

実際に評価制度の周知徹底、絶対評価への運用、いくつか前提条件はありますけれども、マイナス査定や降格基準で不利益変更、それに伴う損害賠償請求を棄却し、企業側の主張が受け入れられるケースはほとんどが人事評価制度をしっかりと作られ、全社員に周知徹底されている。

しかもその期間が長ければ長いほど、裁判においては勝つという判例が、今たくさん出ております。

サイバーエージェントさんの退職勧奨の話を聞いた時には、サイバーエージェントさんだから大丈夫なんだろうなと私は思いました。やはり評価制度をしっかり行い、PDCAを回し続けている。

先ほどありました、「びっくり0」というのもありましたけど、本人が驚かない。これは就業規則の懲罰のところにもあると思います。

退職の勧奨のところも、採算のある業務遂行レベルに到達しないことを指摘し、改善を促した結果としてそれに到達しない場合には、企業側も退職勧奨や解雇事由に相当することが、就業規則等にも明文されているわけでございます。

ブラック企業VSモンスター社員といわれる時代の人事評価制度

やはり人事評価は最近のブラック企業VSモンスター社員といわれる時代においては、会社、経営者を守っていく、最大のツールではないかなと思います。

皆さんいかがでしょう? 最近の就業規則のトレンドを見ていただくと、思い返していただくと、100条近くあると思うんですね。最近の企業の就業規則は条数がかなり多く、80条から90条くらいあるのが一般的だと思います。会社さんによっては、100条越えている、こんなに分厚い就業規則が今一般的になっております。

私が起業した7年前のものを見返したんですけれども、17条しかなかったです。ぺらぺらな就業規則でした。でも、就業規則が分厚くなっている。なぜか? 行間を読まれるからです。行間を読む社員がいるから行間を埋めるんです。

1つわかりやすい例で言うと、休職。休職の規定の中に、医師の診断書の提出を義務付けると。ここまでで終わっている就業規則は、その支払い義務は会社側になります。

これはほぼ100パーセント会社側になります。会社は払いたくないから、「その負担は自己負担とするものとする」という1文を入れるわけです。

今のは氷山の一角ですけど、すべては従業員と会社側の権利と義務を細かいところまで明示していかないと、「行間の部分を主張されたら負ける」これが今の労働情勢のトレンドでございますから、会社を守っていくために、就業規則は分厚くなっていった。

人事評価制度も同じだと思います。やはり、きちんと明文化し、周知徹底し、運用してからこそ、サイバーさんでいう、マイナス査定、ミスマッチ制度というものもしっかりと運用ができるのではないかというところでございます。

弊社顧問弁護士の見解を次の16ページに入れています。企業の目的に即した適切な評価制度を構築し、その制度を適切に運用することが、企業にとって何よりの防衛策になるというところです。

留意点はいくつかございます。評価項目や評価基準が明確になっているか、基準が合理的なものか、評価方法が適切なものか、評価者によるばらつきがないか、評価結果に著しいばらつきがないか、ということでございまして。

まさに運用化規模。制度を作っただけでは何の対処にもなっていかない。きちんと運用し、甘辛を排除し、そして、社員が納得をする形で評価フィードバックを行い続けていくこと自体が企業防衛策の神髄ではないかなということでございます。

未払残業請求が来る可能性もある

これは本当に、タラレバを言うとキリがないと思いますが、今過払い金返還が時効を迎え、今年度から来年度にかけては司法書士、弁護士の先生が一斉に未払残業請求に向かいます。

ラジオやテレビで未払残業を請求しようみたいな、そんなアナウンスがくる日がくるかもしれない。「未払残業請求」とYahoo!やGoogleで打っていただくと、弁護士や司法書士の先生方のトップページに飛び、クリックをすると一番大きいところに、内容証明郵便のPDFが張り付いている。そんなホームページが沢山ありますので、本当にうかうかしていられない。

そして訴えられたらほぼ負けるというのが、最近の弱者救済、民主党政権から作られてきた現状の労働法の行政トレンドでございますから、なかなか企業側は太刀打ちができないのではないか。

備えあれば憂いなし。就業規則や賃金規定だけではなく、もう1つ人事評価制度が企業を守っていくというキーワード、これを1つ今日お伝えしたかったわけでございます。

具体的には3つございます。ノイズ研究所事件といわれているものに関しては、合理的な評価制度と運用により合法であると、個人の請求を棄却すると。この賃金減少の損害賠償訴訟は企業側が勝ったと。

実名が出ていますが、マナック事件とマッキャンエリクソン事件というものについては、それぞれ規定を逸脱した評価運用により違法、根拠不明確な評価方法により違法ということで、個人の請求が通り会社側が負けたという判例でございます。

最近の労働裁判では人事評価制度という視点で裁判所の審判が下されるというトレンドが続いてきております。ですので、再度お話をさせていただいております。備えあれば憂いなしというところでございます。

人事領域における4つの経営課題

ディフェンシブなこととして捉えていくことも当然大切なことですが、私自身は人事領域における経営課題、この4つを解決することが評価制度の適切な運用ではないかということを常日頃お話をしております。皆さんの会社はいかがでしょうか?

この4事象、課題のないという経営者の方も当然いらっしゃると思いますが、昨今の時代においては4つとも課題だと思っていらっしゃる経営者のほうが数が多いのではないか、という事柄でございます。

社員の生産性を上げていきたい、管理職のマネジメント力を上げていきたい、採用力を向上させ、特に若手優秀人材の離職率を下げていきたい。この4つの課題が解決されれば、皆さんの会社はいかがでしょうか?

評価制度の期待効果を次のページで。業績の劇的アップ。手をつけていなくて利益が出ている会社はすごい素晴らしい会社ではないか、今までよりも必ず利益は上がっていくのではないかと私は常にお話をしているわけです。