役員の1位から最下位を公表
CA藤田社長が審査する新規事業バトル「あした会議」

あしたのチーム×サイバーエージェント 共催セミナー #3/6

「21世紀を代表する会社を創る」をビジョンに、今も成長を続けるサイバーエージェント。新たな事業を次々と生み出せる理由は、社員が新規事業を提案し、優勝者は100万円を手にすることができる「ジギョつく」、役員対抗の新規事業バトル「あした会議」など、新規事業を生み出しやすい土壌があることが挙げられます。「あした会議」では7人の役員に対して藤田晋社長が審査し、1位から7位までを決定・公表を行うというとてもシビアなもの。経営陣も社員も挑戦をし続けられる社風が、サイバーエージェントの成長を支えているということがうかがえます。

「制度」ではなく「風土」を作る

高橋恭介氏(以下、高橋):それでは人事制度の運用についてというテーマで行きたいと思います。サイバーエージェントさんの人事制度を作る時に考えていることを3ついただいています。武田さんのほうからお話いただければと思います。

武田丈宏(以下、武田):人事制度は流行らなければ意味がないと思っていますので、まずは「成果の定義を決める」ところから始めます。これは経営陣と、何ができたら成功かというのを最初にセリフを決めます。

それに合わせて、いろいろな企画を考えるのですが、最初の企画はだいたいうまくいきません。「企画2割、運用8割」と思っていまして、運用でも人事制度を成功させるというふうに決めています。

ぼくらは「制度」ではなく「風土」を作ると心を決めてやっています。制度をリリースするだけでなく、社員が家族とか周りの人に「うちはこういう制度がある」みたいなことを自慢するようになると風土ではないかと思っています。

例えば、採用面接に選んだ面接官が学生とかに「サイバーエージェントはどういうところがいいところですか」と質問されて、「新規事業をどんどん提案できるから、そういうチャンスがあるよ」というようなことを面接官から一番目に出てくる。

新規事業を出す制度もたくさんあると思うのですが、今言ったようなことは風土だと思います。そこまでやり切るということです。

とは言え、人事制度をやるときに、7000人いて、男性・女性、年齢差、エンジニア、ビジネスみたいなことがあるので、リリースにおいてはけっこう「白けのイメトレ」というのを人事でリリースする前にけっこうやっています。

具体的には「ホワイト」を書き出すのですが、誰にどんなセリフが含まれるみたいなものを書き出します。全部の白けのセリフに対処できないので、経営的にインパクトのある「ここは対処しなければいけない」というものを決めて、それをQ&Aとか、事前に説明しにいったりということで、白けのイメトレをやっています。

挑戦と安心はセットで考える

高橋恭介(以下、高橋):ありがとうございます。これは私もまったく同感でして、やはり成果だけで評価するというのは、さまざまな職種がある中で、特にエンジニアの方に、営業会社ではないというお話もありましたので、そのプロセスをしっかり見ていく。

何ができたら成功かというところをきちんと細かく握っていき、それをGEPPOが支えていくということ。あとは、運用がすべてだという武田さんのお話も、もうちょっと極端に、制度は1パーセントで99パーセントは運用だという話もしているのですが、定着するにはそれなりの経営陣の想いとイメトレまでをしっかりして、どう伝わるかというところにこだわり続けている。

それくらいトップの想いをこめて、意志をこめて落とし込んでいくからこそ、初めて伝わるというところだと思います。

サイバーエージェントさんの人事制度にはかなりおもしろいところもあります。人事制度を作るポイント「挑戦と安心はセットで考える」というところから、ポインターを武田さんにお渡して、時間の許す限り進めていただきたいと思います。

武田:まずわれわれ人事の中で定期的にアップデートしているマッピングがあります。横軸を右に行けば「挑戦」、左に行くほど「安心」。上に行くと「非金銭的な報酬」、下に行くと「金銭的な報酬」という四象限のマッピングです。

わかりやすいのは、左下の「家賃補助」とか「金銭的な報酬で安心を与える」というもので、「退職金のインセンティブ」もそれになると思います。右上の挑戦軸で「非金銭」がわれわれも空白ゾーンになりがちなので、ここを重点的に意識して作っています。

「挑戦」でかつ「非金銭」の象限を説明しますと、「ジギョつく」という自分で事業を作れるという挑戦で、出したからと言って大金持ちになるわけではないのですが、新規事業を生み出していく風土を作ろうということで「ジギョつく」というものがあります。

優勝は100万円です。これは2004年くらいからやっていまして、役員が審査するということで、私も2013年から責任者としてやっていたのですが、多い時は1000件くらい新規事業がありました。このように、新規事業を応募するという風土は会社の中にできたと思っています。

内定したときに「ジギョつく」のグランプリを取って、そのまま内定社社長をした人間もいたり、事業責任者をやっていたり、「ジギョつく」で活躍すると抜擢のチャンスが増えることもあります。

ただ致命的な課題がありまして、人材の発掘にはよかったのですが、事業の発掘がまったくできていませんで、発案された事業で残っているものはほとんどないという状況です。

「捨てる会議」でいらない事業をデトックス

武田:昨年6月に「捨てる会議」というものがあり、役員総出で会社の中の形骸化していて9割だめだけど、1割いいから残しているみたいなものを1回全部デトックスしようということをやりました。そこである役員から、「ジギョつく」が全然出てないみたいな話で捨てられることになりました。

そこから変わって、いま新しい取り組みということで「NABRA」(ナブラ:新規事業研究会)というものを新しくスタートさせました。

もともと事業化がなかなかできていなかったということもあったので、役員に「こういう事業はどうですか」という事前当てができる機会を設けて、あとは役員8人の前で決勝プレゼンをしていたのですが、それがプレゼン合戦みたいなことになったので、それを1回やめました。

でも、役員に対してハイプレッシャーの中でしっかり事前当てをした確度の高いものをプレゼンしようということで、決勝プレゼンを役員にできる機会を復活したりしました。

あとはアイデア賞みたいなものを出していたのですが、それをやめようということとか、リクルートさんと合同でやっていこうということで、リクルートさんから数十人、われわれからも数十人集まってMeet Upイベントをして、そのあと事業化を一緒に考えて、リクルートさんの役員の方、弊社の藤田宛に決勝プレゼンをするということで作りなおしています。

役員対抗の新規事業バトル「あした会議」

高橋:「あした会議」についてもぜひお願いします。

武田:挑戦の非金銭的なものとして「あした会議」と呼ばれるものがあり、年2回、役員対抗の新規事業バトルをやっています。「ジギョつく」が人材発掘、「あした会議」が事業発掘という立ち位置です。

高橋:役員の降格要件に抵触するといううわさですが。

武田:7人の役員に対して藤田が審査をし、1位から7位までの順位が対外的に公表されます。チームに選ばれると役員が必死になるので、選ばれる側はすごく大変です。

だいたい2ヵ月くらい前にチームが組成されて、各役員がA君がいい、B君がいいというふうにドラフトして、各チームが4人から5人で1チームを作って新規事業と社内の新しい制度を考えて、藤田にプレゼンをするというものです。

ちょっとだけ脱線しますが、実際にどういうものかというと、プレゼンは1泊2日で各チームが3案持って行きます。プレゼン時間は1案3分なので、3×7チームで1回30分くらいで終わります。

1案目を提案すると、藤田がすぐその場で点数を付けます。2案目も30分で終わるので、1時間くらいで2案のプレゼンが終わります。

その後に、3、4時間くらいかけてブラッシュアップタイムがあります。藤田は各テーブルを30分くらいずつ回って、どこがだめだったとか、ここをもうちょっと磨き上げたら行けるかもしれないので、もうちょっと詰めてみて、とか、1案目も2案目もだめだから、他の案はないの、とか。他の案を出すと、これも違うとか、これはいいということを言います。

役員も役員以外も藤田と直接話せる機会となるので、藤田の事業への考え方とか感性みたいなものに触れて、磨かれるような気がぼくは参加していて感じます。

各事業部でアメーバ版のあした会議をしたり、インターネット広告事業本部版のあした会議をしたりするので、そういうときに自分たちが今度チームを持つ側になったりするので、そういう時に藤田の考えが、本番のあした会議を通じて培われていくような気がします。

実際、ここから立ち上がった事業もすごくあります。スマホのゲーム事業も、こういうものから立ち上がっています。

高橋:サムザップは年商470億ですね。

武田:そうです。あと、あした会議で副次的にいいと思うのは、現場の社員を巻き込んで経営判断ができることです。

例えば、先ほど言ったエンジニア評価制度みたいなものの課題であるとか、実際、エンジニアから評価制度をちゃんとやってくれといった声を聞くので、われわれがやったのはエンジニア版あした会議です。

そこで、お題として「あなたたちが考える評価制度はどのようなものか」といったことで、現場を巻き込んでいくことができます。

女性社員が特別休暇を取得できる「macalon(マカロン)」

最後に、安心軸のほうで「macalon(マカロン)」というものを作りました。女性が月1回の体調不良の時に取得できるエフ休(F:Femaleの特別休暇)、妊活休暇、妊活コンシェル、キッズ在宅、キッズデイ休暇の5つをパッケージにしたものです。

ネーミングは、「ママ(mama)がサイバーエージェント(CA)で長く(long)働く」ということから付けられたもので、これも1人50案くらいを持って行き、ダメダメダメみたいな感じで、けっこうこだわって作りました。

マカロンもきっかけはあした会議でした。ぼくが提案したのですが、藤田の採点で15点満点のうち5点と残念な結果に終わったのですが、でもこういうのは大切だからやろうということになって。

そのとき藤田が「他の会社でやっているようなことは流行らないし、将来、これは誰が作ったみたいな感じになるから、われわれらしいものを考えようよ」と言ったときに、当時、「民活」というワードが出ていたタイミングでもあり、「民活休暇」みたいなヒントだけがあってそのあした会議は終わったのですが、それを持ち帰って人事で改めて作ったというものです。

高橋:形骸化しがちな、いわゆる社員アンケートを各社さんともES(従業員満足度)調査ということでやられていると思いますが、より活性化し、トップも巻き込んで自発的に意見を言う仕組みをかなりやられて、たぶん終わっているものだったり廃案になっているものも山ほどある中で、採用されているのは氷山の一角だとは思うのですが、やはり考え続けているというところですよね。

武田:マカロンも、F休とか妊活休暇、妊活コンシェルとか全部、毎月1回、数字をアップデートします。前月、何件取られていたか。それで件数が減ったらテコ入れを考えたり、使われていなかったらすぐやめるということをしています。

高橋:武田さん、ありがとうございました。最後のまとめになります。

サイバーエージェントにとっての成長するための人事評価制度のポイントはということで、おもしろ人事と言いますか、さまざまな施策のほうに目が行きがちだったと思うのですが、最後に人事評価のポイントをまとめさせていただきました。

「組織成果を出すためのマネジメント」であるというところ。いわゆる査定のため、すなわち給与を決めていくための年に2回のイベントではないということを明確に打ち出しているというところ。

そして「目標達成度の可視化」ということで、そもそも目標にいることがマネジメントの仕事であり、それを支えていく月報が、ライト版ではあるものの、そこはかなり工夫をされ、そしてトップマネジメント層まで届く仕組みを作り上げているというところの見える化の施策、そして「評価サイクルのPDCAを高速で回す」ことをし続けてきたという事実。

私がやはり大きいのは「ミスマッチ制度(マイナス査定)」をしていない会社が多い中で、この規模でここまでマイナス査定、ミスマッチ制度をやり続けているところが、この制度を牽引していくキモではないかと思います。

あとは、「運用をイメージし、組織風土ごと変える」。先ほどのワーディングのイメトレもトップを含めてやっているというくらい組織風土を変えていく。

人事制度の根幹に評価というものが位置づけられて、さまざまなところから派生する施策を打ってきているというところで、7000名を超えた御社においても、創業トップである藤田様を筆頭に経営陣が社員に向き合っている、一人ひとりの社員が会社の主役であることを、まさに人事制度で体現しているのでないかと思いました。

リップサービスではなく、おそらく21世紀を代表する会社になるのではないかというところで、今日は貴重な時間を武田さんからいただき、1時間強で人事評価制度および創業からの人事制度の変遷についてお話をさせていただきました。

武田さん、ありがとうございました。

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