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あしたのチーム×サイバーエージェント 共催セミナー(全6記事)

「このままでは優秀な社員から辞めていく」 人材の流動が加速する今、企業は何ができるか

転職市場活況で人材が売り手市場の時代に優秀な社員を採用し、離職率を下げるために企業はどうすべきなのか。会社に不満を感じた社員はすぐ辞めてしまう今、人材をつなぎとめている会社に共通する人事評価制度のポイントについて、株式会社あしたのチーム 代表取締役社長の高橋恭介氏が解説を行いました。なぜ今、人事評価制度が求められているのか。それは労働法の改正により、大企業も年功給から実力主義への流れにシフトしてきているということ、時間ではなく成果に対して賃金を支払うという流れになってきているということ。それによって、新たなものさしとなる、時代に適合した人事評価制度が必要になってきているのだと、高橋氏は語りました。

優秀な人材をつなぎとめている会社の共通点とは

高橋恭介氏(以下、高橋):あしたのチームの人事評価について、今のベンチャー企業の成長を支える勝ちパターン、人材をつなぎとめている、採用力を上げていらっしゃる会社さんに共通する人事評価制度のポイントを1時間弱という限られた時間ではございますが、お話をさせていただきたいと思います。

お手元の資料、このセッションに関しましては、パワーポイントをご用意させていただいております。見づらいページに関しましては、恐縮ではございますが、お手元の資料を参照いただきまして、お話にお付き合いいただければと存じます。

弊社の概要を簡単にお話させていただきたいと思います。2008年の9月25日、リーマンブラザーズ証券が破綻した10日後に、私が自宅のマンションで700万円という拙い手元資金で、たった1人で立ち上げた会社が株式会社あしたのチームでございます。

現状は、約3億3000万という資本金と、大和証券さんとあずさ監査法人さんのご指導のもと、1年以内の東証マザーズへの上場を目指している会社でございます。

現状は、まだ独立系で私が経営権を持っているという株主構成でございます。みずほキャピタル様や三菱UFJキャピタル様、あとは上場企業7社に、マイノリティー出資ではございますけれども、ご支援いただいている会社でございます。本社は中央区銀座、台湾の台北を含めて国内外で10拠点あります。

人事評価制度のクラウド型運用支援サービスという少し新しい切り口でやっており、管理従業員数10名未満の会社も全体でいうと15パーセント以上あり、中小零細企業での業績を向上させる人事評価制度の運用支援という切り口で、総勢正社員約100名の会社でございます。

私の略歴は先ほどもございましたので割愛させていただきます。プリモ・ジャパンという会社で人事を学びました。アイプリモという屋号で、ブライダルジュエリーの業界では今200億程度、ティファニーと並ぶくらいの企業に成長しています。

私は準創業メンバーの副社長職で、2002年には藤田社長とも会食ですとかで、お会いしていました。20代前半、半ばから、ベンチャー企業の最前線で私も働いていたという略歴を持ってございます。

導入実績に関しては2つです。お話したいのは、業種業界を選ばない、幅広い業界でご利用いただいている点と、管理従業員数が10名を切る会社さんにクラウドサービスをご利用いただいているという点です。

運用の悩みは尽きないところでして。いわゆる人材育成のために評価を考えていらっしゃる会社さんは、従業員の数に限らず、悩み、改善していこうという流れが生まれているところです。

今生まれているというお話をさせていただきました。それには時代背景が非常に関係しております。正直、全国展開をしたのがここ1年半でございます。それまでは我々従業員数20数名で、約6年間やってきて、ここ1年半で急速に全国展開に踏み切ったわけでございます。

切っても切れない雇用統計の数字は有効求人倍率だと思っております。1倍をわると中小企業の経営者は評価をないがしろにし、有効求人倍率1倍を超えると、少し評価というインターナルブランディング、内部施策に目を向け始めると。これはけっこうビビットに反応するものでございます。

1.25倍。東京都は1.8を越えるという。離職率は3.1パーセントという今歴史的に見て超売り手市場という中において、サイバーエージェントさんの素晴らしい、離職率5パーセント、離職率の低いことを課題としています。私も起業家の人生の中で一度は言ってみたい言葉であります。

何の対処もしなければ、優秀な社員から辞めていく

今、何の対処もしない会社は、優秀な人は取れないどころか優秀な社員から辞めていってしまうと。転職市場活況です。マイナビ転職、リクナビNEXTで有名俳優や女優を使い、交通広告、帯でゴールデンタイムのメディアに露出しているわけでございます。

今日は人材会社様も来られているかもしれませんが、適切な市場は5000億から8000億と言われる採用関連市場。一説には今は2兆円と言われておりまして、確実に1兆5000億は超えているという、まさに採用市場はバブルを迎えている。

そんな状態の中で、中小企業の経営者は採用力を上げること、離職率を下げることのために、何を取り行っていくのか。もしかすると、最後の施策、今までやってこなかったところが、人事評価制度ではないかというところです。今弊社も多くのお問い合わせをいただいている状況です。

6ページは少し小さいので、お手元の資料で是非ご確認いただければと思います。弊社がとりましたインターネット調査でございます。「辞めて欲しくない社員が辞めてしまった理由をお答えください」そして、「辞めて欲しくない社員」の後ろに(優秀な社員)という質問で、インターネット調査をさせていただきました。

中小企業の経営者104名、そして中間管理職の方が158名、様々なそれらしい質問を2桁ご用意させていただいた結果、1位が「給与と頑張りの連動がないことが原因である」とお答えいただいたわけです。

経営者の方も30パーセント以上の方が複数回答可で答えているということは、これは自責の精神を持たれているということです。これは経営者のせいなわけですけども、ご自身もわかっていながら、なかなか変えられなかった。

そういう反省の念も含め、お答えいただいたのではないかと。すなわち、離職率を下げ、優秀な人材を獲得する鍵は、給与と頑張りの連動にあるのではないかというところでございます。

次のページ、7ページです。皆さんの会社はいかがでしょうか? 平等という名の不平等。これが全くないと言える企業さんはどれくらいいらっしゃいますでしょうか? 日本社会を支えた終身雇用年功制。

この年功制というものが表面的には平等かもしれませんけども、年次の壁で給料のキャップがある。先輩社員よりもパフォーマンスも高く会社に貢献していても給料が上がらない。

この日本社会の構造上の課題が今国連からも是正勧告を受け、日本の労働生産性は年々下がっていき、昨年は遂にOECD平均34カ国中20位。そして、G7においては20年連続最下位という不名誉な形になっております。

安倍政権の施政方針演説でも1億総活躍という中において、同一労働同一賃金、日本の時給を1000円に上げていく、働き方改革、労働法の改正、賃上げ要請やブラック企業対策。

今まさに労働行政の転換期を迎えているわけでございます。この後ご説明させていただきますが、トヨタさんですら、日本を代表する製造業でも年功部分の大幅な圧縮というものを進めていると。

すなわち、給与と頑張りをきちんと連動する仕組みをより一層作っていくという観点でいえば、今取り行っている皆さんの目標の設定のやりかた、そして評価のやりかたが優秀人材のモチベーションに繋がっているか。

つなぎとめる方策として耐えうるか。過酷な採用戦略の中でプレゼンテーションできるレベルまできちんと根付いた運用ができているか。その辺が問われているのではないかと。

適切な目標設定と納得のある評価が必要

次はマズローの欲求の5段階。人間の本質的な欲求においても、まさに自己実現の欲求と承認の欲求を満たす。特に最近の平成世代、そして女性という労働人口においては承認尊重の欲求にどうアプローチしていくのか。

これが社員の真の満足感を高めていく切り札だと言われている中で、評価をきちんとする、認める、フィードバックをする、上司から話しかけられてきちんと指摘を受ける、適切な報酬をいただく、というこの評価を重要視する必要があるのではないか。

適切な評価をする上では、目標設定がなければ、ゴールなき戦い、ゴールを見いださずに走り続けていくということになりますので、振り返った時には当然ながら正当な目標設定が必要になってくるところでございます。

もう1つ、ハーズバーグの動機付け・衛生理論によっても、やはり衛生要因、どんなに労働条件を良くし、給与賞与を上げていったとしても、これは不満足の要素を解消するに過ぎず、満足度を高めていく上では、こちらの動機付け要因へのアプローチが必要になるわけでございます。

例えば、仕事の達成感。自己成長を実感できること、そして、会社関係者からの承認が上位概念にあるわけです。これも言い換えれば、適切な目標設定と納得のある評価が必要になってきているというところではないでしょうか。

まさに今衛生要因に瑕疵があるというのは、ブラック企業に認定されるリスクが極めて高い。そういう時代になっております。先週はドン・キホーテさんで出ました、かとく(東京労働局過重労働撲滅特別対策班)の調査で書類送検をされるという記事が日経新聞で大きく出ておりました。

昨年は、ABCマート原宿店の店長が書類送検されている。これからも政府厚労省、メディアがタッグとなり、ローコストオペレーション企業を中心とした長時間労働、最低賃金法違反の摘発を進めていくということは周知の事実ではないかというところです。

社員に納得感のある人事評価制度が必要

そんな中、なぜ人事評価制度のニーズが、中小ベンチャー企業の経営者の様々な課題の中で優先順位が上がってきているのか? これは世の中の変化が大きいと思います。ですので、皆さんの会社においても人ごとではなく、この売り手市場を勝ち抜いていく、そして、こちら1つのテーマです。賃上げでございます。

安倍首相は最低賃金を年率3パーセント上げていき、今800円の日本の平均最低賃金を1000円にすると公言しております。そのためには中小企業の生産性向上の支援、取引条件の改善に向けての対応を指示しているというところでございます。

3パーセントの複利で増していくと、2021年に1000円に到達するわけです。東京オリンピック前後という言葉を昨年12月に菅官房長官がお話しておりましたが、今年の安倍首相の施政方針演説でもまさに3パーセントずつと。3パーセントはすごい金額です。

ここ3年は19円ずつ上がり、東京都の最低賃金は907円でした。但しこれから3パーセントということになると、30円近い金額ずつ毎年上がっていくということになるので、今900円の東京都は1100円を超えていくということになります。

これは深夜の場合は1.25倍。まさに、すき屋や吉野家の深夜の時給が1500円、これは一部の店舗だけでと新聞に出ておりましたが、もしかするとすべての店舗で深夜のアルバイトの時給が1500円になっていく時代が東京都では間近に迫っていると。

そんな中で差をつけ、質へのアプローチで社員を評価していくということでいうと、今まで以上に緻密で社員に納得感のある人事評価制度が必要になっているのではないかということでございます。

次の11ページは労働法の改正でございます。こちらも1億総活躍担当相の大きな課題、同一労働同一賃金、ホワイトカラー・エグゼンプション、様々なメディアに踊っております。

私が見過ごせないのは、下段の「働き過ぎ防止」というところです。これは早ければ来年の4月から実際に法律が施行されます。有給休暇の年間5日間の消化の企業への義務。これが7日間に増え、8日間に増えていくと言われている。

日本の有給取得率の低さ、これを法律で改善していこうという流れの中で、中小企業の60時間以上の残業代の実質値上げでございます。脱年功給、脱時間給が進んでいく中で、我々中小企業の経営側はどのように社員と向き合い、何をものさしで賃金を支払っていくのか。

大企業も年功制から実力主義に

それではパフォーマンスとは何か。それを図っていくのが、やはり人事評価制度であり、目標設定であり、面談であり、評価であると。時代にあった人事評価制度があるのではないのかというのが私の見解でございます。

12ページ。ここから少し小さいのでぜひお手元の資料を見ていただきます。揺れに揺れている東芝問題。こちらも人事評価制度が根幹の要因だったということで、昨日また日経新聞の大きな記事が出ておりました。

第三者委員会のまとめた記事、これ実はかなり早いタイミングで日経新聞に出ております。

昨年の9月4日に、不正会計再発防止でまず第三者委員会は何をしたか? 役員陣の賞与、達成報奨金が数千万から1億円が1人当たりに支払われていた基準が期間損益だったと。

PLを守ればインセンティブが出ていた。これが不正会計を生んでいたということで、キャッシュフローの経営にする。現金収支で達成度を測っていくということをまず執り行ったわけです。

昨日の東芝さんの記事では、全社員にこの人事評価制度を適用すると大きく出ていたわけであります。人事評価制度のものさし1つで、社員あるいいは役員は動くわけであります。

そこに向かっていくということでいうと、我々、中堅中小ベンチャー企業は、人事評価制度を良いものさしとして、社員と向き合っていくものさしとして使わない手はないのではないかと思うわけでございます。

トヨタさんの記事、少し古い昨年のものですが、トヨタさん今期から工場従業員4万人の賃金体系の大幅な見直しを行いました。これは、製造業では難しいと言われてきた成果主義への第一歩でありまして。

トヨタさんですら優秀な若手人材の確保が競争力強化に繋がるということで、今回は人件費の高騰にも繋がり、組合の大きな反発もあった中で、果敢に実行していると。子育て世代に手厚くし、ある一定以上は年功部分を廃止するという記事がありました。

この後、昨年、パナソニックさんや日立さんが年功制を全廃するという動きになり、トヨタ系列の愛知圏の製造業は多くが右にならえということで、成果主義に振り替えを行っているという状況でございます。

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