2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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今野穣氏(以下、今野):上場後初めてですか、表舞台は?
佐藤航陽氏(以下、佐藤):たぶんそうですね。
今野:今日のタイトルが「佐藤航陽氏と対談」ということで、中身が全然特定されていないので、何でもしゃべっていいということだと思います。
まず、アイスブレイクになりますけど、上場日にSNSに何かかっこいい言葉、書いてましたよね(笑)。
佐藤:承認日ですかね(笑)。
今野:何て書きました?
佐藤:「時間だ、始めよう」っていうふうに書きました。
今野:かっこいいですね。そのセリフはどういう思いで出たんですか?
佐藤:そうですね。今まで「結構ブレーキをかけて事業をやってきたかな」と思っていたんですね。私もまあまあいい歳になってきたので、そろそろ勝負してもいいんじゃないかなという意味で……まあ一区切りですかね。その意味を込めて、あの言葉を書きました。
今野:今まで我慢してたんですか?
佐藤:結構我慢してましたね(笑)。やっぱり非上場である限りは、VCの方々とか、ある程度ブレーキをかけないといけないところがあるじゃないですか。
それはたぶん(株式)公開しても同じことだと思うんですけども、ただ自分なりには「100パーセントかというと、そうではなかったな」と感じてましたね。
今野:暴れるぞと。
佐藤:(笑)。
今野:実際上場してみて、まだ1週間しか経たないですけど、どうですか? 何か変わりました?
佐藤:気持ちは変わりましたね。「新しい場所にきたんだな」という感覚はあって。言ってみれば、小学校から中学校に上がったみたいな感じに近いですね。
今野:2月でしたかね? 50億前後の結構大きなファイナンスをして、それから半年経たない間に上場という状況で、「早いかな?」とも思ったんですけど。何でこのタイミングに上場を持ってきたんですか?
佐藤:いくつかの理由があるかなと思っています。シリーズCのファイナンスで40~50億円くらい調達をしましたけど、事業を拡大するためには大体100億円くらい必要かなと思っていて、感覚的にはそれを公開時と非上場時で分けたっていうイメージですね。
今野:同一のラウンドみたいな感じですか?
佐藤:感覚的にはそんなイメージですね。
今野:景気が悪くなるとか、そういう読みはあったんですか?
佐藤:まあ、「そういう流れにはなりそうだな」っていうのはありましたし。
今野:著書を拝見していると、現在の資本主義自体に疑問っていうわけじゃないですけど「転換期にきてる」みたいなことを書かれたりしてると思うんですが、
上場を目指した一方で「資本主義そのものに対する今後」っていうのはどんなふうに描かれているんですか?
佐藤:そうですね……。私はお金のあり方をすごく研究してきて、自分なりにも一番考えてきた事柄ではあるので、「今後100年ないし200年くらいで、経済の見方が大きく変わるだろうな」とは思ってました。
私はお金の本質を理解したいのであれば、自分自身がお金を扱う株式市場に飛び込んでみないとわからないと思っています。
自分の仮説や理想が正しかったのかどうかっていうのもわからないと思います。「だからその中に飛び込むべきだよね」っていうのがまずありましたね。
今野:実際に、ポスト資本主義ってどんな世界をイメージしていますか?
佐藤:「これ」っていう確実なイメージがあるわけではないんですけど、私は「経済が選択可能になるのかな」って思ってますね。
昔は人間って物事をいろいろ選べなかったじゃないですか。誰と結婚して、どんな職業に就いて、どこに住むかっていうのも、基本は誰かに決められて選べなかった。それが数百年経って、人間は選べるものが増えていってると。
現状、私たちは経済って選べないんですね。どの経済システムで生きていこうかなっていうのも、まだ人間が選べないと思うんですけど、今起きていることっていうのは、経済が選択可能になっていっているんじゃないかなって。
今野:例えばどういう?
佐藤:つまり、自分が「この経済システムが一番合うよ」と言うのであれば、今の資本主義の中で生きていってもいいですし、あとはシェアリングエコノミーみたいなものもあれば、ビットコインみたいな電子マネーもありますし、本当は経済の見方っていうのは多様性があって、いろんな見方があってもいいと思うんですけど。今までは「それは1個だ」とみんな思い込んでいただけなのかなと。
その幻想がようやく薄れてきて「ちょっと違う見方とか、もう少し便利なものがあるんじゃないか?」っていうのが、インターネットを中心に広まってきている。それがちょうど今のタイミングなのかなと。
今野:じゃあ、そのポスト資本主義に欠かせない触媒っていうのは、いわゆるテクノロジーというか、インターネット関連のイノベーションが前提になるという感じなんですか?
佐藤:そうですね。私はこの世の中はテクノロジーを中心に動いていると思っていて、今の生産性を10倍以上拡大するような、爆発的なテクノロジーが生まれた瞬間に、それを起点に社会が切り替わっていくと思っています。
そういう意味では、インターネットができてから約15~20年くらい経って、最初は情報だけだったのが、今は資本であったり、労働であったりという領域まで進出してきてると。
直近10年間で言うと、私は資本というか金融の領域が一番大きく変わっていくのかなと思っていますし、うちの会社がフォーカスしているのもそこですね。
今野:テクノロジーでいうと、今バズワードになりつつあるのが人工知能、AIみたいなものだと思うんですけど、その辺って今どんなビューを持ってますか? あれって人間超えるんですかね?
佐藤:……ちょっと超えるかどうかは(笑)。まあ超えるとは思うんですけど、そこはどちらでもいいかなと思っていて。
テクノロジーの流れで言うと、私はInformation Technology=ITは将来的にIntelligent Technology、いわゆる知性のテクノロジーになるっていうのは間違いないと思います。
今野:その中で足元のビジネスを見ると、アプリの収益化事業の「metaps」と決済まわりの「SPIKE」。あと他に投資してる部分もあるかもしれないですけど、それだけビューが広い佐藤さんが最初その2つにポジションした背景っていうのは、どんなことを考えてそこを選んだんですか?
佐藤:まず「人間がなぜお金を払うのか」っていうところを科学したいっていうのがありましたね。アプリのマネタイズ、マネタイゼーションって語源はマネーからきてるんですよね。
SPIKEはお金のやり取りをインターネット上でもうちょっとスマートにしていくというプラットフォームで、コアはもうマネー。「お金っていうのは何なのか」「価値っていうのは何なのか」っていうことを焦点に当ててましたね。
人工知能とかビッグデータもそうなんですけど、データが絡む領域が一番シナジーがあって、その中で最も即効性があって、すぐに効果がわかるものだったら、僕は広告と金融なんですね。その2つがデータだけで完結するプロダクトでありえるので。
なので「じゃあ、ここにフォーカスしよう」って言って、それぞれ名前をつけましたね。それが「metaps」と「SPIKE」です。
今野:今、AIにも適応領域っていう、反復継続する単純作業ではもう人間を超えるかもみたいな話がありますよね。
佐藤:はい。たぶん、汎用性のある知性、私たちみたいに何でも考えて、学習してっていうようなところまでは結構な時間がかかると思っていて、私は今そこを取り組むべきではないと思っているんですね。
単純作業というか特定の作業ですね。このインダストリーのこの作業みたいなものに関しては、この10年でかなりの領域までは自動化されちゃうのかなと。
今野:やっぱりテクノロジーでいうところのビッグデータを集めて、そこをマシンラーニング、ディープラーニングをして、人工知能的なところにパフォーマンスを出す領域が、(そういったことに)近い広告であったり決済であったりという感じですか?
佐藤:そうですね。そこでまず土台をつくったあとに、そのノウハウがハードウェアとか、自動車とか、はたまた家電みたいなものにまで応用可能かどうかっていうのはまだまだ議論の余地があると思いますけど。
今私たちが、eコマースのお客様とかアプリのディベロッパーにやっていることっていうのは、将来的には今の日本の家電メーカーとか、自動車メーカーに対してもやっていけるものかなっていうふうに考えてやっていますね。
今野:宇宙にも投資しているんでしたっけ?
佐藤:そうですね。それも一緒ですかね。
今野:どんな文脈で?
佐藤:結局、衛星から取れるデータっていうのはただのデータなんですよね。あれだけ見ていても「新宿のビルがちょっと高い」みたいな話しかわからないんですけども、あそこのデータの解析をしていくと、「今後はどこら辺に魚が集まりそうだ」とか「地震が起きそうだ」とかいう予測もできるようになってくるのかなと思っていて。
コストもどんどん下がってきてはいるので、たぶん10年後、20年後ってスパンで考えると、インターネット企業が宇宙産業に進出するのは当たり前の話になっていると思いますね。現にもうトップ企業は進出してますしね。
今野:そういう意味でいうと、上のビッグ4ですか。Google、Apple、Facebook、Amazonにメタップスが勝てる日が来るんでしょうか?
佐藤:勝つ必要はないと思っていますね。
今野:なるほどね。
佐藤:むしろ彼らこそ乗っかるべき対象であって、彼らはプラットフォーマーとしていろんなものを整備してくれているので、彼らといかに競合せずに協業できるかっていうのが、今後ベンチャー企業とかスタートアップの取るべき戦略かなとは思ってますね。
今野:白旗というわけではないんですか?
佐藤:はい。一緒に成長するべきかなと。あと私たち、ビッグ4と言われるああいう企業が「本当に世界中のシェアを取ってるか?」って……マーケティング上はそう思わされてますけども、「実際はそうではないな」と思っていて、中国っていうのもものすごく特殊な空間で、めちゃくちゃ大きい市場があって、私の中のグローバルっていうのは中国とその他なんですよね。
今野:うん。
佐藤:その他っていうのがアメリカを中心とした英語圏。もう1個の市場が中国を中心とした中華圏。この2つで二分されていて、見た感じは結構五分五分だなと思いました。
アメリカの企業が必ずしも優位かっていうと、私たちがその中にいるので優位に見えるんですけど、全体を見た中では力関係は結構拮抗していると思いましたね。
今野:実際に今、中国のビジネスってどんな形になっているんですか?
佐藤:今、私たちも売上の拠点では中国が一番大きいですね。
今野:そうなんですか。
佐藤:やっぱり回ってるお金のケタが違いますよね。なぜ百度(バイドゥ)とかテンセントがあそこまで大きくなるのかっていうのも、直で見てよくわかりましたね。「ああ、こういうことなんだな」と。
今野:例えばどういう?
佐藤:そもそもユーザーの数が違いますし、スマホでいうと、日本で今、6000万台くらいユーザーがいて、利用者がいて、100万ダウンロード、200万ダウンロードでそこそこのヒットじゃないですか。
ただ中国は現状でも6億台あって、彼らのヒットは1億ダウンロードくらいを言うと。ケタが違いますし、そこに対する投資金額がもう0が1個多い。
日本の企業だと1億円突っ込むのにも躊躇っていうところを、すぐに10億円突っ込める企業が何社もいるとなると、中国のお金が回ってる量っていうのは、やっぱり日本の10倍、もしくは20倍くらいあるんじゃないかなって。
今野:一方で、外資で中国マーケットにドミネートすることって、相当難しいと思うんですけど、なぜできたんですかね?
佐藤:やっぱり中国企業になるっていうことかなと思っていて。外資として参入するっていうのは、現地にどれぐらい溶け込めるか。
やはりマネジメントも中国人、メンバーも中国人。これはまあ必須かなと思ってますし、あと彼らの信頼関係をお金以外の部分で握れるかどうか、これもすごく重要ですよね。
今野:佐藤さんって、10年後は何をしてるんですか?
佐藤:うーん……どうでしょうね。あんまり考えたことがないです。
今野:日本にいるんですか?
佐藤:それもわからないですし、生きているかもわからないですね。
今野:決めるときの判断で、大事にしているものって何かあるんですか?
佐藤:一番は「難しいこと」っていうのはありますね。自分が今できそうなことじゃなくて、できなさそうなこと。あと、天井が見えないところ。
「この市場ってこれくらいで、こうやったら成功するよね」っていうのがわかった瞬間にもう自分のタスクではないと思っているので。まあフロンティアを求めているっていうのが一番強いですかね。
今野:決済の次に狙っている市場ってどこかあるんですか?
佐藤:まずは金融ですかね。
今野:ああ、金融ですか。
佐藤:はい。
今野:決済以外の金融ってことですかね?
佐藤:全体ですかね。さらに言えば、ハードウェアですかね。私たちがつくるのか、はたまたつくっているお客様と一緒に何かをするのかっていうのは置いといて。
たぶん現実世界にネットがどんどん普及していくと思うので、そこでチャンスは無限に広がっているのかなと。
今野:金融ってどんなことを考えてるんですか?
佐藤:まあ全般ですかね。銀行とか証券会社の領域もそうだし、結構非効率って多いんですよね。
ただ一方で、参入のレベルがものすごく高いので、ただのベンチャー企業ができる領域ではないじゃないですか。
逆に言うとそこに入れれば、結構いい競争ができそうだなっていうのと、あとそれがグローバルになったときのスケールってどれほどのものなのかなって考えてみると、ベッドする価値はあるなと思っています。
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