創業時からほとんど面接はしていない

佐俣アンリ氏(以下、佐俣):僕すごい興味あるんですけど、創業期に来てくれた人じゃなくて、新しいフェーズで人を呼んだ時に、どういう人に活躍してほしいですか?

今、クラウドワークスって知名度も高いんで、いっぱい働きたい人が来ると思うんですけど。

どんな人を採用して、どういう人がリーダー的になっているかというのをお伺いしたいです。

吉田浩一郎氏(以下、吉田):これはよく他の社長さんに驚かれるんですけど、創業から今までほとんど面接してないんですよね。

入社してから「初めまして、私が社長です」「ちなみにどういう経緯でいらっしゃった……?」と(笑)。

佐俣:志望理由とかもあまりわからない?

吉田:わかってないですね。

佐俣:じゃあ「今日から入社のなんとかさんです」というと……。

吉田:「ああ、初めまして、吉田です」っていうケースが多いです。いきなり役員クラスとか部長前提の人は、会うことはありますけど、そこで私自身がジャッジすることはほとんどないですね。

創業から現状の正社員の100人の中で、私が推奨したのは現執行役員の田中と大場の2名くらいですね。

それ以外については、基本的にみんなが採用したい、一緒に働きたいという人を採用しています。

20世紀型の仕事観

吉田:これにはやっぱり理由があって、先ほどの「透明性のある時代」の話じゃないんですけれども、今の時代は「個人がいかに納得するか」ということが非常に重要な時代だと思っています。

これはお金の考え方の面からもあって、もともとお金がない時代には、人ってその日暮らしだった訳ですよね。その日お腹が減ったから、狩りに行って獲るとか、貯蔵も限られているわけです。

お金によって、未来っていう時間軸ができましたと。今余ってるものを誰かに売って1000円手に入れて、お腹が減ったときに1000円払えば、労働しなくてもご飯が食べられる。

ということで「お金が生まれて、未来のために今貯めよう」っていう働き方が20世紀の非常に大きい考え方だったわけなんですね。

だから、「今大変かもしれないけど、頑張れば家が買える」とか「年収1000万円になると車が買える」とか「電子レンジが買える」とか「冷蔵庫が買える」とか、そういった形で「未来のために今我慢しよう」という働き方が20世紀でした。

「3.11」でお金と仕事の価値観はどう変わったか

吉田:ところが今、「3.11」の東日本大震災のときに、2時間かけて会社に通っていたけれども、いざというときに家族のそばにいられないのってやっぱり意味がないんじゃないか、生きていて意味がないんじゃないかとか。

そういう中で、限られている人生であれば、自分の生まれ故郷をもっと助けたほうがいいんじゃないかとか、あるいは親にもっと貢献したほうがいいんじゃないかっていう正社員以外での働き方の多様性を求められるようになった。

要は「未来のために今我慢する」ではなくて「今をよりよく生きよう」と。だからやっぱり、お金の価値が相対的に薄れてきていて。

お金を貯めて家を買ったとしても、年収が1,000万円になったとしても、必ずしもそれが幸せを規定するものではないということが、みんなわかってきているわけですね。

それよりは、今納得いく仲間と、納得いく家族と、納得いくユーザーさんに向き合って、納得いくサービスを提供しようとしている。それが「今」ですね。「今」にすごく働き方のフォーカスがあたっていると。

それから考えると、基本的には、自分が100パーセント決めてやってみて、成功か失敗かで、失敗だったらそこから学んでいくということで組織ができていくと思っているんですね。なので、さっきの話に戻るんですけれど、採用に関して私が介入しないんです。

佐俣:なるほど。

求められるのは「変化に対してポジティブな人」

佐俣:そういう期待値の中で入ってきて「こいつはすごいな」っていう人ってどういう人なんですか?

吉田:今のタイミングですごく重要なのは「人は変われる」とか「人は環境によって変化できる」っていうことを信じている人がすごく重要ですね。

すごく抽象的で、あの……具体的なスキルとか、正直あんまりわからないんですよね(笑)。

佐俣:いきなりぶっちゃけないでください!(笑)

吉田:具体的なスキルとかは、副社長の成田とか取締役の野村とかそれぞれが見てるので。すみません!

私は今組織づくりに集中している中で、第2創業でやっぱり「新しく組織を変えていくんだ」「今の現状ではなく、変わり続けるんだ」っていうことに対してポジティブである人。

中途の方であれば、過去の会社で何か環境変化があった人、成長していくということを目の当たりにした人なんかは変わっていく。

実際に、今ウチの人事をやっている人間は、入社してまだ3ヵ月ぐらいです。その彼は、大手のシステム開発会社で環境や人事制度を変えていくことで200人ぐらいのエンジニアの働き方がとか考え方が変わったっていう経験を持っているんですね。

その200人の、大手で見ているものを「自分自身として関わって、自分自身が主体となってやってみたい」というふうに入って来て、入社3ヵ月で人事部のGMです。そういった形で、やっぱり人を変えることに対して積極的であることが必要です。

佐俣:「自分が見てきた組織はこうだ」とか「こう変えるべきで、変われるよ」みたいのをポジティブに働きかけられる人。

クラウドワークスの3つの意識

吉田:他人に働きかける。それはつまり、チームとして機能するか、チームとして働きかけられるかってことなんですね。

ウチの会社は4月1日に3つの意識のランクというものを明確に打ち出しています。

まず第1は「個人の仕事感で仕事をしている人」。

第2は「ミッションに基づき個人として成果を上げる人」。

第3は「ミッションに基づきチームを率いて成果を上げられる人」というふうになっています。

第1創業の今年の3月末までは、第1段階と第2段階の人しかいなかったんですね。要は、チームとして他人に働きかけて「こういうことやっていこうよ」とか、「こういうふうに盛り上げようよ」という人がいなかったんですよ。

これってやっぱりすごく労力がかかりますし、自分の中でその人を率いるための未来を描かないといけないんですね。

第2創業においては、企業の未来、チームの未来、その個人の未来というものを率先して描いていくということに対して時間を使う人が必要なので、そういう意味でこれからは、第3段階の人が評価されていくと思っています。

佐俣:「基準が変わりましたよ」ということですか。

吉田:そうです。ミッションに基づき個人として成果を上げられる人っていうのは、我々上場まではすごく賞賛していました。ところが4月1日からは「組織です」と。

組織をつくるってことが、これからの3兆円を目指す上で最も重要なので、組織をつくるっていう観点で貢献できる人を最も評価しますということで、4月1日で評価軸がガラッと変わりました。

佐俣:なるほど。ここまで「クラウドワークスの今」ということで伺ってみると、99パーセント組織のことしか話されてないので、本当に今、組織にフォーカスさせてるんだなっていうのが、みなさんに伝わったかと思います。

吉田:そうですね(笑)。