日本はまだFAX使ってるの?
クラウド型会計ソフト「freee」を生み出した日本企業への問題意識

スタートアップ・ピッチ3 freee

IVS SEEDS 2015 Summer
に開催

2015年6月26・27日の2日間にわたって、起業やスタートアップへの関心が高い大学生に向けて、起業家の生の声を届ける「IVS SEEDS 2015 Summer」が開催されました。初日のスタートアップ・ピッチに登壇した、freee・佐々木大輔氏は、簿記の知識がいらないクラウド型会計ソフト「freee」のプロダクトについて、Google時代に抱いた日本企業のテクノロジー化への問題意識を語りました。

中小企業の創造的な活動を支える仕組みづくり

はい、どうもこんにちは。freee株式会社の佐々木です。freeeという会社をご存知の方はどのくらいいますか? お、けっこう知ってる! すごいですね。ビックリしました、感動しました。

僕の会社のやっていることは、スモールビジネス……中小企業とか個人事業主、こういった方々が創造的な活動だけできるような社会を実現したい。そのための仕組みづくりをしています。

というのは、起業したりビジネスを経営したりしていると、例えばデザイナーの人だったらデザインをやりたい、飲食店を経営している人だったらメニューつくったり、お店の雰囲気を考えたりしたいのに、それ以外にもやらなきゃいけない煩雑な業務がすごくいっぱいあるんですね。

それらをテクノロジーを使って自動化して、小さなビジネスから新しいイノベーションをどんどんつくれる社会をつくる、そういったことに取り組んでいます。

じゃあ、「実際に何やってんの?」というと、クラウド型の会計ソフト……経理のソフトですね。あとは給与計算ソフト。それから、会社設立のツール。“会社設立が5分でできるツール”みたいなものを提供しています。

創業したのはだいたい3年くらい前ですね。来月7日には盛大な3周年記念パーティーを熱海でやろうと思っています。今では従業員が100人以上います。今までシリコンバレーのベンチャーキャピタル、あと小林(雅)さんのInfinity Venture Partnersさんから17億円以上の資金調達をして、大型の資金を集めながらどんどん投資をして、事業を成長させています。

大学生のインターンで得た成功体験

僕自身は、学生の頃にデータサイエンスを専攻していて、そのデータサイエンスを実践できる、データの分析をさせてくれるような会社で働きたいということで、アンケート調査をインターネットでやる会社でインターンを始めました。

そのあと実際に就職をすると……ベンチャーの後で大企業の博報堂に入って、投資ファンドに転職して、さらにスタートアップに転職する、といったように、20代の間はいろいろな転職を繰り返したんですね。

ここで感じたのは、ベンチャーで働いた後で大企業に入ると、何だかゆっくりした空気の流れだったりだとか……あとは自分に対しての期待値が低い。「お前どうせ新人なんだろ」といったような、期待値が低いなぁみたいなところで、なかなかそのギャップにうまく折り合いをつけられなくて、それでいろいろ転職をしたりしました。

その後にスタートアップの役員のCFOになったりしたんですけれども、最終的にGoogleという会社に入って、そこで中小企業向けのマーケティングをするようになりました。その後に起業をしてるんですね。

大学生時代にインターンをしていた頃を振り返ってみると、その頃は日曜日の夕方に会社に来て、土曜日の朝に帰る……その間、机の下に布団を敷いて寝る、という生活をずっと繰り返していました。

なんでこんなことをやっていたかというと、与えられたテーマや課題がすごくおもしろくて、その当時、自分が期待以上の成果を出すと、世の中にどんどんその価値が拡がってるなというのを実感できたんですよね。それがとてもおもしろくて、続けていくうちに新しい調査手法を開発したりすると、それが新聞に出たりだとか。

その後(インターンをしていたインタースコープは)マクロミルという会社に買収され、当時僕が開発した手法や商品も引き継がれているんですけれども、今でもマクロミルのWebサイトには、僕がつくったページがそのまま残っていたりします。

こういうのは非常にいい経験だったなと思っていて……自分の人生の中での、ある意味初の成功体験だったなというところがあって。僕はそれまで中学、高校、大学といろいろスポーツに挑戦しても全部すぐやめてたんですね。

なぜかというと、「トッププレイヤーには絶対なれない」というところに挫折感を感じて、いろいろ諦めてきたんですね。でも大学生でインターンをしていた頃には、「世の中、自分でもトッププレイヤーになれるし、世の中に貢献するということができるし、そういうフィールドってあるんだな」と初めて感じた、それが大学生の頃でした。

Google時代に気づいた日本企業の課題

その後、僕が人生を変えるきっかけになったのは、Googleという会社に入ったときです。さっき言ったように、Googleでは僕は中小企業向けのマーケティングをやっていました。

Googleは検索連動型広告、つまり検索結果のところに出てくる広告が主な収入源になっています。これは、中小企業でも個人事業主でも、誰でもオンラインで申込みをして使うことができるんですね。これを使うと、中小企業であっても世界中に自分たちの存在を知らしめることができる。

なので、小さなビジネスって弱い立場だと思われているんですけれども、そういう人たちでも大企業と平等に、あるいはそれ以上に戦えるようになるためのツールを提供する。このテーマって、とてもおもしろいなと思ったんですね。

ただ一方で、アジア全体のマーケティングをやっていると、まだまだ日本の中小企業が遅れている、テクノロジー化が進んでいないということに強い問題意識を持つようになりました。

この写真は僕がいたチームなんですけれども、真ん中にいるのが僕のボスだった人で、アメリカのGoogleの本社にいる人なんですけれども、たまに日本に来るんですね。

最初に日本に来たときに、僕が「FAXでお客さんから要望を受けた」という話をたまたましていたら、「えっ! FAX使ってるの!? I can’t believe it!」と言い始めてですね。すごいビックリして、「なんで日本ではFAXなんか今でも使っているんだ」ということを言われたわけですね。そこで、「それって変なんだ」ということを意識し始めたんです。

日本の中小企業では、いろいろなデータ、例えば僕たちがやっているようなクラウドサービスの利用率を見ても、なかなかテクノロジー活用が進んでいないということを、仕事をしながら問題意識に思うようになりました。

だったら、日本の中小企業ももっとインターネットやテクノロジーを活用して、大企業と互角に、あるいはそれ以上に戦えるような環境をつくれないだろうかと思っていたところで、僕自身がそれ以前にベンチャー企業でCFOをやっていたので、日々の経理の業務というのも自分の仕事で見ていたことを思い出したんですね。

経理の業務が大変だなということを僕自身もとても実感していて。僕が起業した後3ヵ月くらいも経つと、領収書とか請求書がすぐに溜まっていて、それを入力していくのがすごく面倒で大変な作業でした。これを手でやると大変だし、入力内容を間違えるようなこともありました。

さらに、今までの会計ソフトはこんな感じのインターフェイスで、すごく難しいんですね。僕自身、大学の頃は商学部だったんで、簿記も勉強したことがあるし、こんなの余裕だろうと思って使おうとしたんですけれども、まったく使うことができなかった!

こういったことにショックを受けて、それだったら「会計ソフトというものを変えることによって、世の中を変えることができるんじゃないか?」と思ったんです。

というのは、会計ソフトって、あらゆる会社が使わなきゃいけないものなんです。あらゆる会社が使わなければいけないものが、インターネットで簡単にできるよ、簿記なんかの勉強をしなくても自動でできるよ、というものがつくれたら、社会全体のテクノロジー活用度が一気に加速するんじゃないかと思ったんですよね。

簿記の知識がなくても使えるクラウド型会計ソフト「freee」

その結果できたのが、このプロダクトです。簿記の知識がなくても簡単に使えて、みんな銀行とかクレジットカードのオンラインの明細を見ると思うんですけれども、ああいった明細データを登録するだけで、自動的に会計帳簿をつくる。本当にクリックするだけでできていくというのが、この僕たちが開発したクラウド型会計ソフト「freee」というものです。

2年くらい前にリリースをしたんですけれども、リリース以来どんどん急成長を続けていて、今では34万以上の事業所に利用されています。これを徹底的に日本中に広めていって、さらに世界にも出る。

それから、今は会計給与計算、会社設立のためのツール提供をやってるんですけれども、その枠組みを超えて、スモールビジネスのバックオフィスを徹底的に自動化できる、ビジネスをする新しいプラットフォームをつくっていこうと考えています。

その結果として、クラウド会計ソフトの分野では圧倒的なシェアNo.1という状況になっていて、いろいろなところで使われています。

実際、こういったカフェを経営している方に、「今まで会計ソフトで入力しなきゃいけなかったものが、まったく入力しなくて良くなった」とか。

「70歳になって初めて組合の経理を任されたんだけれども、freeeを使うと本当に簡単にできたので、ぜひ私の世代に薦めたい」という方がいてくれたりだとか。

こちらは、夫婦で経営している小田原のスポーツ用品店の例です。奥さんもお店を手伝っていて、ずっと経理をしていたんですが、子供ができてからは家から動けなくなってしまった。なんだけれども、クラウド型の会計ソフトを使うと、インターネットを利用して家から経理ができる。

ここでおもしろいのは、お店のレジのデータが自動で全部freeeの中に入ってくるんですね。奥さんは家にいながら、お店の売上状況がリアルタイムでわかる。なので、子育てをしながら簡単に経理の仕事ができるようになったということなんですね。

こういったリアルタイムで売上が見えるようなシステムは、これまではコンビニとか本当に大きな会社でしか持てなかったものなんです。それが今では月980円程度で小さなビジネスでも利用できるようになった。働き方も変わって子育てが実現できるようになった。こういったインパクトを、僕たちは世の中に与えています。

freeeの組織体制

freeeはどんな会社かというと、まずこれは僕たちの経営陣の面々です。僕がGoogle出身なこともあって、Google出身のメンバーが非常に多いんですが、それに加えて、マッキンゼー、ソニー、ゴールドマンサックスといった会社出身のメンバーで経営チームを固めています。

会社の中の様子は、元々起業したときに僕のマンションの一室、居間で始めたので、その居間のイメージというものを残したくて、それが会社のカルチャーのコアになっています。

そういったリラックスできるような雰囲気をとても重視していて、卓球台があったり、自転車乗り入れ可なので自転車通勤している人がいっぱいいたり、ソファーで仕事をしている人がいたりします。飲み物は飲み放題。みんなで食べる夕ごはんも無料で出してます。

月に1回はオフィスの中で盛大に飲み会をするというような取り組みもやっていて、和気あいあいとした雰囲気で、日々頑張っていますね。

それから、僕たちの"行動指針"みたいなものがあるんですけれども、こんな感じの5つの価値基準というものを定めて、これに則ったやり方でやっていくのがfreeeらしいよね、僕たちらしいよね、ということをみんなで考えながらやっています。

この価値基準自体も、半年おきくらいにみんなで見直しています。「僕たちの価値基準はこれでいいのか?」ということを全員で議論して、どんどんアップデートしていってるんですね。

最近やっとこの5つに落ち着いてきたかな?って感じなんですけれども、「この"価値基準"はなんであるんだ?」みたいなことをギャーギャーみんなで議論しながら、みんなの行動指針を自分たちでつくっていくということをやっています。

僕たちは新しいビジネスをつくっているので……つまり、今まで日本にはなかったソフトウェアをつくって、それを今までにないマーケティングの仕方で販売をするビジネスをしているので、経験が必ずしも役に立つわけじゃないんですね。

それよりも、どれだけ新しいやり方を考えて、実行して、形にして、結果を出すか。これがすべてだと思っています。そういったこともあって、新卒やインターンの人たちも大活躍しています。

僕たちの仕事の中には、プロダクトを開発するエンジニア、それをプロモーションして広めていくマーケティング、それを実際にお客様に広めていくセールス、そしてカスタマーサポートといったような各役割があって、これらの役割の人たちが協力しながら、みんなで新しいプロダクトづくりや、既存のプロダクトの改善計画を企画したりといったスタイルでやっています。

それぞれのファンクションで、新卒で活躍している方が多くて、この一番左の方の場合、新卒といっても31歳から初めて働きましたという人の例なんですが、この方は司法試験3回落ちて、31歳で無職、職歴無しという状態で僕たちの第一号社員になったんですけれども、今ではエンジニアの開発部門の責任者をしています。

真ん中の彼は、新卒で2年前にfreeeにジョインしたんですけども、もうマーケティングのチームのリーダーをやっていて、彼を検索するといろんなところに出てくるんです。オンラインマーケティングの業界では非常に有名なマーケッターとして、新しい事例をどんどんつくってます。

右の大西くんは、まだSFCの大学5年生なんですけども、freeeの正社員でもあります。正社員としてトップセールスを歩むだけじゃなくて、プロダクトに対して新しいアイデアをどんどん提供していったり、カルチャー的にも大きな貢献をしている方です。このような形で新卒、インターンが活躍している環境です。

僕たちがfreeeでやっていることはすべて、仕組みから世の中を塗り替えるような、新しい仕組みづくりなんじゃないかなと思っています。最先端の仕組みづくりを一緒にやってくれる方、大募集していますので、ぜひよろしくお願いいたします。

あとで懇親会のほうにも僕は出席していますので、いろいろお話できたらと思います。ありがとうございました。

(会場拍手)

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