「すごい人間になる必要なんてない」 Facebook・ザッカーバーグ氏が学生に贈ったメッセージ

Facebook Founder Mark Zuckerberg First Public Q&A #4/4

Facebook創業者のMark Zuckerberg(マーク・ザッカーバーグ)氏が公開Q&Aを行い、会場やネット上から寄せられた数々の質問に答えます。本パートでは、Facebookがシリコンバレーを代表する企業へと成長した理由は自身の能力ではなく、多くの人々の助けがあったからだと語るマーク氏が大切にしてきた仕事観について語りました。また、「いつも同じTシャツを着てるのはなぜ?」「どうやって仕事への情熱を持ち続けているの?」といった質問に対してもマーク氏が答えました。

同じTシャツを着ているのは決断の回数を減らすため

Facebook社員・チャールズ氏(以下、チャールズ):それでは会場のみなさんが質問を考えている間に、ひとつ質問を読み上げましょう。イタリアのソレントから、アントニオさんの質問です。

「どうしてあなたは毎日同じTシャツを着ているのですか? ひょっとして1枚しか持っていないのですか?」

(会場笑)

マーク・ザッカーバーグ氏(以下、マーク):実は同じものを何枚も持っています(笑)。この話はシェリルにしてもらいましょうか。

シェリル・サンドバーグ氏(以下、シェリル):7年間マークと一緒に働いていますが、私は聞かれるたびに「マークはあのTシャツをたくさん持っているのよ」と何度も答えました(笑)。

マーク:ありがとう、シェリル(笑)。これは単純なようでいて、奥が深い質問です。コミュニティにおいて、どのように責務を果たすべきだと考えているか、ということに繋がっているからです。

私は生活の全てをクリアにしたいんです。できるだけ決断の数を少なくしたい。朝食に何を食べるか、今日は何を着るかといった小さな決断でも、人は疲労してしまうということが心理学の研究によって明らかになっています。

私はとてもラッキーな立場にいます。毎日朝起きて、何億人という人に関わる決断をしていますから。変なことや余計なことに少しでもエネルギーを使うと、正しく仕事をしていないような気分になるのです。だから全てのエネルギーを、素晴らしいサービスとプロダクトを作り出し、ゴールを目指すために使いたい。誰もが愛する人や大切に思う人と繋がっていられる世界を作るというミッションを達成することが私の責務です。

毎日グレーのTシャツを着ている理由としては、奇妙に聞こえるかもしれません。しかしこれが真実なのです。歴史には、同じアプローチをした人が他にもいます。スティーブ・ジョブズや、バラク・オバマがそうです。私の場合は、とにかく全てのエネルギーをコミュニティに振り向けたいということです。

成功の2つの鍵「信じること」「グリットを持つこと」

チャールズ:それでは再び会場から質問を受け付けます。こちらの方。

ジョナサン・スーザ:私の名前はジョナサン・スーザ。サン・ホセ州立大学で電子工学を学んでいます。あなたはとてもハードワーカーだと聞いています。どうやってその情熱を維持しているのか、学生として気になります。

マーク:いい質問ですね。大切だと思うことをひたすらやる、というところからはじまると思います。会社を作る理由は人によって違います。私の場合は、会社を作ろうと思って作ったわけではありません。最初にFacebookをはじめたときも、会社としてではなくひとつのプロジェクトとしてスタートしました。会社にしようと思ったのは、やらなければならないことがたくさん出てきて、助けが必要だったからです。Facebookをよりよいものにするために、会社として組織化し、人を雇い、資金を生み、それによってまた新しい人材を獲得し、コミュニティに貢献してもらいました。

私が出会ってきた尊敬する起業家たちの中にも、会社を作ろうと最初は思っていなかった人が多くいました。会社を作るというのは大変ですし、そんなに楽しいものではありません。しかし世界を変えようという思いは、長い間モチベーションとなりえます。

最近教育分野で注目されている考え方に「グリット」というものがあります。会社や個人を成功に導くのは、辛いことを乗り越える能力だというのです。会社を作ることは、思い通りに行かないことばかりです。Facebookは順番にステップを踏んで大きくなったわけではありません。

私は自分の生活でもFacebookでも数多くのブレイクスルーを経験できて幸運でした。それでも、毎日あらゆる方面から驚くような困難ばかりが降りかかります。技術的な問題があったり、データセンターが停電して予備の発電機を回さなくてはならなかったり。政府、競合、協力してくれている企業との関係もありますし、ビジネスが上手くいっていなければ投資家たちは怒り出しますし、本当にやりたいことに集中するだけでなく、資金を得ることも考えなくてはなりません。あらゆることを考えなくてはならないのです。

私は、鍵になるのは以下のふたつのことだと思います。ひとつ、自分がやろうとしていることが世界にとって重要だと信じること。もうひとつは、困難を乗り越えるグリットを持ち、同じようにグリットを持った人と協力してチームを作ることです。誰もひとりで何かを達成することはできません。このふたつによって成功している企業は世界にたくさんあります。

いいニュースは、Facebookは特別な企業ではないということです。毎年Facebookのような企業が生まれているわけではありませんが、100年単位で歴史を遡れば、自分が信じるものを実現しようとしてきた人たちはたくさんいます。だからこの世界に必要な変化について、真剣に考え続けてみてください。そして実現してください。

シリコンバレーには女性が少なすぎる

セドリック:こんにちは、マーク。私はオークランド・ケーパーセンターのセドリックです。Facebookは民主主義の理想のような素晴らしいチームを作り上げていると思います。テクノロジー・セクターにおけるチームの多様性についてはどうお考えですか?

マーク:これは私たちが取り組んできた非常に重要なトピックですね。毎四半期に、会社の全ての人を集めたミーティングをしていますし、誰でも参加可能なQ&Aを毎週行っています。先週あった3つのトピックのうちのひとつが、多様性の重要さについてでした。文字通り全ての人々が多様なチームを組んでいるかに注意を払っています。

さまざまな研究によって、取り組んでいるタスクに関わらず、多様性がチームのパフォーマンスを向上させることが明らかになってきました。世界を繋げて、多様性が高いチームを構築することは、この助けになります。同じくらいの給与を従業員に支払っているふたつの会社があるとします。片方は多様ではなく、もう片方が多様なら、高い成果を生み出すのは多様性に優れた企業です。

テクノロジー業界、具体的にはコンピュータ・サイエンス・エンジニアリングの領域には、非常に大きい問題があります。他のセクターに比べて多様性に欠けるだけではなく、女性の数が非常に少ないのです。これはどうやって解決するか難しい問題です。

ひょっとしたら女性はコンピュータ・サイエンスの教育を進んで受けようとしないのかもしれませんが、私は現在この領域に女性が少ないということそのものが問題だと思っています。女性がコンピュータ・サイエンスをやろうとしないのは、コンピュータ・サイエンスに女性がいないからです。こうしたスパイラルを断ち切るために、私たちは大きな努力をしなくてはなりません。

Facebookでは、この問題に取り組んでいる特別なチームがありますが、私の視点を最も変えてくれたのはシェリルでした。ご存知の通り、シェリルはマイノリティや女性の問題について一冊の本を執筆しています。ここでシェリルにも、私たちやこの業界が何をすべきか聞いてみたいと思います。

シェリル:この会場には、女性プログラマーも出席しています。立っていただけますか? これが答えです。数学と科学が得意だと言われて育った女性は、数学と科学が得意になります。多くの女性は男性の方が数学と科学が得意だと言われて育ちます。つまりこれは期待の問題なのです。

今もコンピュータ・サイエンスの世界に若くして関わるたくさんの素晴らしい女の子たちがいます。彼女たちに目を向け支援することが必要です。労働市場は過酷化していますが、私たちを含めて多くの企業がテクノロジストを求めています。将来を約束された職業に就きたいと思うのであれば、コンピュータ・サイエンスに関わることはいい選択です。私たちは、コンピュータ・サイエンスに関わりたいと思う全ての女性に協力したいと考えています。

エボラ出血熱を食い止めるのは今しかない

チャールズ:ここでひとつタイムリーな質問を読み上げたいと思います。ニューヨークのジェニーンからです。

どうしてエボラ出血熱との戦いに協力したのでしょう?

マーク:世界にはいろいろな重要な問題があります。そして、誰もその全てに注力することはできません。私がエボラ出血熱に関わろうと思ったのは、10,000から13,000人が危機に晒されているという規模の大きさからです。今関わることで、アフリカ、インド、パキスタンなどの拡大を止めることができます。

逆に今止めなければ、HIVやポリオのように、世界的な危機となるでしょう。大規模になる前にこうした病原体の拡大を止めるという発想は、あまり持たれていないように思います。もし私が70年代に戻ることができたなら、HIVがこれほどの規模に拡大する前に食い止めるでしょうが、そんなことは不可能です。不可能になってしまう前に、機会があるうちに手を打っておく必要があります。

もっと支援すべき重大な問題がある、という人もいるでしょう。確かに短期的にはそうかもしれません。死者の数がとりわけ多いというわけではありませんから。しかし長期的な視座で見た場合、今だけがこの拡大を食い止め小規模なものに止めるチャンスなのです。私は何百万人もの命を危険に晒すことを考えれば、いろいろな人が対策するに値する問題だと考えています。

働きたいと思える場所を作ることが大切

チャールズ:残り5分ほどになりましたので、最後の質問にしましょう。さあ、どうぞ。

カーラ:はじめまして、マーク。私の名前はカーラです。女性にモバイルアプリケーションのプログラミングを教える世界最大の団体に関わっています。さまざまな研究によって、人材のスキルを向上させるプログラムの有無が企業の経済的な状況にダイレクトに影響を与えることが明らかになっていますが、Facebookでコミュニティを作りスケールさせていくために注意していることはありますか?

マーク:興味深い研究ですね。知りませんでした。私たちは実際にエンジニアを育成し、コミュニティに結びつけるプログラムを持っています。ほとんどは地理的に近くにありますが、誰でも来て学ぶことができるインターンプログラムもあります。

私たちは継続して能力を開発していくことを重要視しています。Facebook内部で力をつけていくこともそうですし、別の視点を持った外部の企業からよい影響を受けることも大切だと思っています。シェリル、何か付け加えることはありますか?

シェリル:私たちの作っているプロダクトは、基本的には無料です。そのため非営利に協力してくれる人がたくさんいるのです。寄付ボタンを開発したチームは非常によく努力してくれました。世界を繋げるという理念に共感してくれる人と共に、サービスを作り上げているのです。

私たちが毎日構築しているプラットフォームは、素晴らしく人々の役に立つものです。もちろんその上のコンテンツは単にひとときの楽しみを提供するだけのこともありますが、プラットフォームそのものは人々に貢献しているのです。これは非常に明快なミッションです。マークがFacebookの初期から行った重要なことのひとつは、働きたいと思える場所を作ることだったと思います。

すごい人になる必要なんてない

チャールズ:質問がたくさんあるので、もうひとつだけいいでしょうか。こちらの学生にも質問する機会をあげたいと思います。

メリーサ:私はメリーサ・ゴメスです。8年生です。ふたつ質問があります。

会社をここまで育て上げる上で、どんな障害がありましたか? そしてその障害に一体どうやって諦めずにやる気を出して立ち向かったのですか?

マーク:とても素晴らしい質問です。

(会場拍手)

最初にはじめたときは、会社を作りたかったわけではありませんでしたし、会社を作ることについては何も知りませんでした。ご存知のことと思いますが、私は大学生のときにFacebookをはじめました。そしてその後、シリコンバレーに引っ越しました。さまざまな素晴らしいテクノロジー企業がシリコンバレーで活躍していることを知ったからです。でもそのときは、Facebookがそんな企業のひとつになるとは思ってもみませんでした。

せいぜい会社の体をなせば御の字だろうくらいに思っていました。うまくいかなかったらまた戻ればいいと思っていたのですが、さまざまな面白い人たちに出会いはじめたのです。アドバイスをくれる人や、チームをサポートしてくれる人……そうした人たちの力を借りて、自分1人ではどうしたらいいのか全くわからない問題を解決することができました。こうしてこの10年、挑戦に次ぐ挑戦に次ぐ挑戦を突破してきました。

私が思うに、実は超人的な能力で物事を解決する人などいないのです。集中しないとと言い聞かせたり、他のことに惑わされないようにしてはきましたが、私も人間でした。いえ、まだ今も人間です(笑)。いつも集中できるとは限りません。ではどうやって困難を乗り越えるのか。それは周りの人の力によるものです。

これについて、興味深いデータがあります。たくさんの創業者がいる会社は、成功しやすいというものです。私が思うに、これは1人でなんでもやるのは難しいということを意味しています。どうやって取り組んだらいいかもわからない難問だらけなのです。

メディアが誤っているのは、1人の人間がやったかのように描いてしまう点です。なぜこのQ&Aが実現しているかというと、私のチームが来てくれているからです。私は全ての答えを知っているわけではありません。答えはみんなで作り上げていくものです。これはとても本質的なことだと思います。1人でなんでもやろうとすればするほど、どうしようもない困難に出会ってしまいます。なぜなら万能な人間などいないからです。

しかし友達、家族、従業員、いろいろな人たちにその都度協力してもらうことができれば、それが壁を突破する力になるのです。私を困難から救ってきたのは、そして救い続けていくのは、こうした力です。

だから、すごい人になる必要なんてないんです。諦めず、自分が実現すべきだと思う理想に共感してくれる人を探し、そして挑み続ければいいのです。

ありがとうございました。

制作協力:VoXT

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