IDEOと取り組んだクリエイティブの実験

濱口秀司氏(以下、濱口):次、どうやってクリエイティブに考えるかですね。どう考えるんですか? 1つ事例を紹介します。これは口頭でいきます。コンペティターのお話なんで。IDEO対Hideshi Hamaguchiですね。

10年以上前なんですけれどもIDEOのティム・ブラウンって、今社長なんですけれども。ティム・ブラウンと僕とで、おもしろい実験をやったんですね。何かっていうとIDEOのプロセス改善をしようと。

もう超例外条件でIDEOのブレスト、本読まれた方は知ってると思うんですけど、むちゃむちゃ速いブレストですわ。1時間で7人集まって100個アイデアを作ると、自慢げに書いてるやつなんですけれども。

その実はね、ブレストに僕参加したんです。参加っていうかオブザーバーです。7人いて、ファシリテーターがいて、ティム・ブラウンと僕が後ろの席にいて、で、実験をやるんです、ガーって、リアルケースで。

で、改善していくと。すごいんですよ、本当に。1時間でぴったし100個。7人で、それもかなりバラエティに富んだやつ。

その1時間の終わりに差し掛かったときに何が起きたかというと、ファシリテーターが「グッドジョブ、みんな」と。まあアメリカ人ですからグッドジョブと褒めて、ポストイット渡すんですね。1人3枚ずつ「はい、はい、はい」と。

で何を言ったかというと「その中でクールだと、すごいいいな、と自分が好きなアイデアを3つ選んでください」と。「選んでポストイット貼んなさい」と。これ自動投票システムですね。

そのアイデアの何がおもしろいかを考える

壁に、これ、これ、これって貼って投票されると。で、ファシリテーターが「あ! これ票が5つも集まってるからグッドアイデアだね! グッドジョブ! さよなら!」て言ったんですよ。

これ何かおかしくないですか!? 僕ね、何かこれおかしい! と思って笑ったんですね。そしたらティム・ブラウンが「何で笑ってんねん!」って顔して、大阪弁じゃないですけどね、英語で。で、かなりね、ムカついてるんですね。

で、「おかしいんじゃない?」って言うと「何がおかしいの?」て言うから「だってさ、ブレストのゴールはすごいアイデアを思いつきたくてやってるんでしょ?」と。

「もしそのミーティング中にすごいアイデアが出たら、そんなのね、投票しなくてスゲー! っていうか、先ほどのコントロバーシャルであれば、半分の人間は大好きで半分の人間は大反対って言ってるけど大好きなやつは本当に大好きなんで、君んとこの有名なプロトタイプ、いきなりここで始まるんじゃないの?」と言ったわけですね。

これね、その時点で盛り上がってプロトタイプにしないってことは、全然おもんないってことですわ、アイデアが。おもんないアイデアに投票して、「これが一番」って言って、「よくやったね」って言うのはサラリーマンじゃないか!? と。あ、サラリーマンってみんなサラリーマンですけど。「おかしいんじゃないか!?」と。

という話をしたらティム・ブラウンが「じゃあ、君どうすんの?」って言うから、「待ってよ。じゃ、まだ帰んないで」と。「いや、ファシリテーターは座れ」と。「お前はもうだめだ」と。

で、何をやったかっていうと、もう一度ポストイットを配ったんです。はい、はい、はいって3枚ずつ。その瞬間の7人の顔のくもりよう。同じことやらすんか、こいつって(笑)。この東洋人は、と。

で、もう1個言ったんですね。「何でおもしろいか考えてください」と。で、「そのおもしろい理由をこのフォーマットで書いてください」と。棒1本引っ張って「こっちがこうだからおもしろい。というふうに書いてください」と。

「例えば、普通はそれは女性向けの商品だけれども、男性向けにしたからおもしろい。普通はそれを5個のパーツで作ってるけれども、1個にしたからおもしろい。何かおもしろいというクールファクター、おもしろいなと自分が思ったのを書いて、それを貼ってください」と。

宗教の違いでアイデアの出し方も変わる!?

これ何かというと、アイデアがおもんないと。しかし日本人としてですね「八百万の神」を信じている僕はですね、そのつまらんアイデアの中にも、何かおもしろいもんがあるはずだと。それを引き出そうとしたんですね。で、実はそれを組み立てることはできますよね。クールファクター2つ組み合わせて強くすることができますよね。それをデモンストレーションしたんですよ。

アメリカ人はそれ、なかなかしないですね。絶対神を信じてるから、すぐもう投票してこれがいい! って決めるんですけど、僕は全部とにかく取り込みたいと。しかしアイデア全部取り込むのは無理なんだけれども、そのおもしろそうだとみんなが思ってる、えも言えないような切り口を塊にして持つ、ということをしたんですね。

で、それでブレストして「例えばこんなアイデアできるよね、この切り口を組み合わせると」ってみせると「おぉ、おもしろいじゃんこの東洋人」となるわけですね。で、それで終わりそうになったんですね。「待て、待て」と。「君たちがこのあとこのブレストをあと5回やったら、たぶんここにたどり着いて、その方向で考え始めるよ」と。

これ何かというと「バイアス」です。そのIDEOのプロフェッショナルがクールだと考じる方向で、どんどん考えていくはずなんで。「これがバイアスだ」と。

で、それは構造化しても見えてるんで、その場で「例えばこんなふうに壊してさ、こんなアイデアどう?」って言ったらみんな「えーっ!?」って言うわけです、さっきの車と一緒で。「えー!?」みたいな。「二人乗りだけど自由度ないの?」みたいな。で、説明すると「おぉ、おもしろいじゃん!」と。

これが実はね、IDEOと僕とのセッションの1つの例なんですね。これ、何を意味してるか? ブレストのプロセスがあります。IDEOの最初やったプロセスっていうのは、これですね。

この記事は無料会員登録で続きをお読み頂けます

既に会員登録がお済みの方はログインページからログインして下さい。

登録することで、本サービスにおける利用規約プライバシーポリシーに同意するものとします。

SNSで会員登録

メールアドレスで会員登録

パスワードは6文字以上の文字列である必要があります。