コミュニティを作る→アプリに誘導する方法はうまくいくのか?

徳力基彦氏(以下、徳力):時間なのでどんどん行きましょうか。

古川健介氏(以下、古川):サクサクと。

徳力:「起業してアプリを開発している者です。本日の話を聞いて、Webサイトから始めたほうが、ニーズにマッチしているのかの検証がしやすいのかなと思いました。アプリのLPを出すより、サイトを運営しながら反応を見るほうがいいのでしょうか」という、かなり具体的な質問になっているんですけど。

古川:これはアプリじゃなくて、Webでやったほうがいいのかという話なのか、コミュニティサイトをやったほうがいいのかという話なのか、どうなんでしょう。

徳力:アプリを運営しているんだけど、いきなりアプリにつなげるよりも、Webサイト的なオープンなものを何か作ったほうがいいのか、という質問ですかね。けっこうアプリマーケティングって、アプリでいろいろやれちゃうじゃないですか。

古川:はいはい。

徳力:アプリのランキングをハックして、いきなりダウンロード増やすというやり方をしているケースも、たぶん多いですよね。

古川:僕が今やっている会社だと、漫画の好きな人が集まるコミュニティをFacebookで2,000人くらい集めてからやったりしたんですけど、それのほうが難易度高いので。

徳力:(笑)。

古川:コミュニティサイトをいきなり何千人も集められる人でない限り、二度手間な気はしますけどね。

徳力:アプリはアプリのマーケティングのほうでやるほうが、シンプルっちゃシンプルですよね。

古川:そうです。ユーザーを集めてコミュニティを作って、そこからアプリをやったほうがうまくいくんじゃないかと思うタイプいます。僕もよくやるんですけど、1時間くらいで2,000人が集まるコミュニティサイトを一瞬でつくれるんだったらいいと思います。その集客とかで困るぐらいだったら、やらないほうがいいと思いました。

徳力:そうですね。アプリを使ってもらいたいのに、コミュニティの集客のほうに四苦八苦するのって、本質が違いますよね。

古川:本末転倒になっちゃいますよね。

もし起業のためにSNSをはじめるならTwitterだけにする

徳力:次の質問です。「各種SNSの投稿は、どのように使い分けていらっしゃいますか? SNSごとの、反応をあげる投稿の工夫などもうかがえればうれしいです」。冒頭でけんすうさんが話していた話と被っちゃうんですけど。

古川:そうですね。でも、SNSごとにぜんぜん違うので、各論になりますね。Twitterだとやはり「いかにリツイートしたいと思うか」ですし、Facebookだとこういう見せ方するとか。

noteだとURLを拡散されるので、og:imageも大事だよねとか、いろんなところがあるので、ちょっと一概に言えないですけど。全部一緒にやるのは、無理だと思います。抽象的に言うと、全部最適な方法があるのでやるしかないですね。

徳力:けんすうさんも僕も複数のSNSを使っているから、聞いている人が混乱しちゃうかもしれないんですけど、もし、けんすうさんが今SNSまったくやっていなくて、起業のためにSNSを使うとしたら、複数使い分けることから始めますか? それとも1個に絞って使いますか?

古川:Twitterだけにしますね。Twitterをやっていなかった起業家に、僕の投資先のワンメディアという会社の明石ガクトさんがいるんですけど、彼に「絶対に明石さんはTwitterをやったほうがいいですよ」というので、最初ちょっと手伝っていたんですね。

徳力:けんすうさんが後ろにいたんだ(笑)。

古川:そうですね。

徳力:あのアイコン芸も、そういうことですね。

古川:僕も明石さんのアカウントでツイートしていたくらいなんですけど。

徳力:マジで(笑)。そこまでしてあげるんだ。

明石ガクト氏のTwitterからみる投稿のテクニック

古川:たぶん、彼の初期の投稿とかを見ると参考になります。なんで今6万フォロワーもいるかは、見てみるといいと思います。2016年とか2017年の頃かな。

徳力:明石さんがいきなり来たなと思っていたんだけど、けんすうさんがブレーンで付いていたんだ。

古川:ブレーンってほどでも。明石さんが普通にすごいんですけど。

徳力:そもそもインパクトがある人ですからね。実績もありますからね。

古川:最初は確か、「映像と動画は違うんだ」的なことを投稿し続けていたんです。

徳力:確かに確かに。

古川:「映像と動画が違う」と言われると、ちょっとドキッとするんですよね。「え、同じだと思っていた」みたいな。そこで「動画ってこういうもんだよ。僕はめちゃくちゃ動画に詳しいんだよ」みたいな話をしていると、「ちょっとフォローしておこうかな」という人が増えたというのはあったと思いますね。そういうことで、Twitterに絞って。

徳力:みんな今、けんすうさんにアドバイスしてもらいたくて仕方がない気持ちになると思います(笑)。やはりそういうテクニックはありますよね。

古川:テクニック、ありますね。

書く前の「検索ワード」の選定ポイント

徳力:次の質問に行きますね。「先ほど、けんすうさんはブログのテーマを社員の方に聞いて厳選するとおっしゃっていましたが、何かを書く前の検索ワードの選定は、人に聞く以外の方法でやられていたりしますか?」

古川:ブログのテーマじゃなくてタイトルですね。タイトルを30個見せて、本文を見ずにどれをクリックしたいかという調査をやっているという話なんですけど。

徳力:社員向けにやっているんですね。

古川:書く前の検索ワードの選定は最近やっていないんですけど、昔やりまくっていた時は、めちゃくちゃ仮説を立てて書きまくる以外はやれていなくて。例えば「Facebook 退会」というワードで上位をとって、めっちゃトラフィックが来たら、そこに来ている検索ワードを全部見て判断するというのをやっていました。

徳力:へえ。検索のリファラー(参照元)があまり取れなくなっちゃったから、やりにくくなっちゃったんですよね。

古川:やりづらいですね。そもそもSEOを狙うこと自体がたいぶ難易度が高いので、僕はぜんぜんお勧めしていないですね。

徳力:アフィリエイト系のサイトとか、めっちゃ増えましたしね。なるほどな。

検索上位が取れない今、新しいキーワードを生み出すほうが楽

古川:正直、かなり最先端の情報を手に入れて、文章をめちゃくちゃ書ける僕が、やらないほうがいいと言っているぐらいなので、フィットさせられる会社はけっこう少ないかなという気はしています。大変です。

徳力:検索で上位に来るのは、ご褒美ぐらいに思っていたほうがいいかもしれませんね。

古川:ご褒美ですね。もう、今はついていくのは無理なんじゃないですかね。

徳力:特にビックキーワードは難しいですよね。

古川:難しいですね。公式とか権威のあるメディアとかでない限り、難しいと思います。

徳力:そういう意味では、さっきのけんすうさんみたいに「新しいキーワードを生み出す」というのが、本来起業家の方に求められることの気がしますね。

古川:そうですね。それは楽です。プロセスエコノミーという言葉を作っちゃう。

徳力:新しいキーワードの話をしまくって、本が出たら検索して、そのサイトが1位に来るみたいなのは。

古川:これは簡単です。

徳力:簡単だというのが。逆に難しいですよね。起業家の方は今存在しないキーワードを狙うほうが、流行らせないといけないので大変ですけどね。

フォロワーの多い人にフォローしてもらうコツ

徳力:時間なので、これを最後の質問にしましょうか。この方は悩んでそうなので。

「超初歩的で恐縮ですが、お二人のフォロー承認の際のお作法の肌感を知りたいです。FacebookとInstagramを、知り合いとの連絡用にアカウントを開いたばかりです。けんすうさんのようなフォロワーの多い人にフォローしていただくには、どうすれば失礼がないのでしょうか。DMは時間泥棒なんだなと、本日学びました。よろしくお願いします」(笑)。

古川:僕らは「フォローしてください」と言われてもフォローはしなくて、めちゃくちゃおもしろい投稿があるとフォローするだけな気がするので。「フォローされたい」ではなくて、見てくれるお客さんがどういう投稿があればうれしいかを考え続ける。すごく教科書的に聞こえちゃうかもしれないんですけど、結局そこが本質的な感じがしますね。

徳力:そうだと思いますね。僕らにフォローしてもらわなくちゃいけないと思っていること自体が、目的が変わってしまっていると思うんですよね。起業されるかどうかわからないですけど、ビジネスにSNSを活かそうと思ったら、別に僕らにフォローしてもらっても、たぶん意味がないと思うので。

ただ裏のテクニックとして、僕が今までやってきたパターンを言いますと、その会社の商品サービスの話をnoteに書くとか。

古川:ああ、そう! それはある。

徳力:本を出していたら、その人の本の書評をnoteに書くとか、その人が登壇していた時に「この人の話がめっちゃよかった」と言ってツイートしたりすると、けっこうフォローされる確率は高いと思います。

地道な発信が人とのつながりを作る

古川:すごく正しくて。例えば、今日何百人かが聞いている中で、ハッシュタグを見ていると僕らもわかっているけど、ハッシュタグで投稿しないというのはもったいなくて。例えば、実名を出しちゃいますけど、なつみっくすさんという方が、「#起業に役立つ」でハッシュタグにいると思うんですけど。

徳力:はいはい。

古川:投稿しまくっているんですよ。この方はSNSの使い方が非常にうまい方の1人で、特に有名な方だったとかそういうのではないんですけれども、こういうイベントをしたときに、必ず僕らが喜びそうな投稿をちゃんとしているんですよね。

徳力:(笑)。そのためにやっているわけじゃないと思いますけどね。結果的にそうなっているという。

古川:そうですね。僕はやはりうれしいなと思いますし、役立つ感じでまとめてくれるので、リツートしようかなとなって、フォローしているんですよ。

徳力:noteもそうですけど、僕もこういうTwitterの使い方をお勧めしたくて。僕もイベントに参加して、その感想をツイートしたり、ブログにまとめていた人間なんですよね。

そうすると、イベントの主催者の人とか参加者の人が、「あいつは役に立つ」ってフォローしてくれるんですよね。そうすると登壇者の人とも仲良くなったりするんです。そのおかげで僕は今、NTTを勢いで辞めちゃった無名なサラリーマンから、こうやって皆さんに話を聞いてもらえる側に来ることができたんです。

意外にそういう地道なところから、有名な人とつながることができたりするんです。けんすうさんはどっちかというと当時から憧れの人だったんですけど、お互いやたらとネット上で情報発信しているから、お互いにブログ上で相手のことを何となく認識していて、初めて実際にあった時に「ああ!」となるという。

古川:ああ、そうですね。

徳力:質問者さんは、ヒエラルキー的に考えていると思うんですよね。僕らが喋っている人で、自分はそれを聞いている人と思っていると思うんですけど、想像以上にフラットですので、ぜひ勇気を出していろいろ投稿してみていただければなと思います。

古川:それがいいと思います。徳力さんのブログとか完全にそういう感じなので、紹介しやすいです。

徳力:人とつながるためにブログを書いてますから(笑)。

古川:あれはいいと思います。

イベントは勉強するよりツイートした方が得

徳力:ありがとうございます。ちょっと時間がオーバー気味になってしまいましたが、ぜひ画面の向こうから、けんすうさんに大きな拍手をいただければ幸いです。

古川:ありがとうございます。

徳力:ありがとうございました。お返しします。

司会者:ありがとうございました。徳力さん、けんすうさんのお話から、SNSを活用した情報発信について、非常に役立つポイントがいろいろあったと思いました。

最後に、けんすうさんから、起業される方へのメッセージ、お知らせなどがありましたらお願いします。

古川:(笑)。メッセージとかあまりないんですけど、でも、最後の話題が一番伝えたいことかもしれなくて。こういうイベントに出て、勉強している人はもったいなくて、ここで徳力さんが喜びそうなツイートをしまくると、徳力さんがリツイートしてくれたり、フォローしてくれて、今後の情報発信に得かもと考えるほうが正しいと思います。

このあとの10分くらいで、どんな投稿をしたら得かを考えるほうが、起業家としては正しい気がするので、ちょっと考えてみるといいかなと思いました。

司会者:ありがとうございます。徳力さん、本日のトークを終えて、ひと言いただけますでしょうか。

徳力:そうですね。本当に質問をたくさんいただいてありがとうございます。ちょっと拾えない質問もあってすいません。

古川:いっぱいありましたね。

徳力:幸いこのシリーズは、Startup Hub Tokyoさんで毎月やらせていただく予定になっていますので、来月もあると思います。note側でも「ビジネスに役立つnoteやSNSのつづけ方」というイベントがあります。

あと、僕はClubhouseに住んでいまして、そういうSNS系の質問に、毎日お昼ごろに対応していますので、今日質問し足りなかった方は、遠慮なく質問していただければと思います。今日はありがとうございました。

司会者:ありがとうございました。