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CFOナイト#1 スタートアップCFOというキャリアを考える(全5記事)

IPO・M&Aを経験した3名が語る、スタートアップCFOのリアルなキャリア事情

昨今、経営戦略の中心的役割として重要性がますます高まっている、CFOというポジション。そしてスタートアップの人材市場では、CFOが慢性的に不足していると言われています。一方で、“スタートアップCFO”というキャリアに興味がありながら、なかなか踏み出せない方も少なくないのではないでしょうか。今回お届けするのは、CFOを目指す公認会計士・税理士や、CFOを探す経営幹部の方に向けて開かれた、ケップルアカデミー主催「CFOナイト#1 スタートアップCFOというキャリアを考える」の模様です。スタートアップCFOとして実際にIPOやM&Aを経験された3名による、現場のリアルな体験談を交えた赤裸々なディスカッションが繰り広げられました。

スタートアップや投資家向けに学びの機会を提供するケップルアカデミー

藤原弘之氏(以下、藤原):それでは、さっそく始めたいと思います。よろしくお願いします。では、パネリストをご紹介させていただきますので、拍手でお迎えください。

まず、グロース・キャピタル株式会社代表取締役社長の嶺井政人さん、よろしくお願いいたします。

(会場拍手)

ありがとうございます。続きまして、株式会社キャスター取締役CFOの平川秀年さんです。

(会場拍手)

よろしくお願いいたします。最後は、株式会社ティーンスピリット代表取締役社長の宮地俊充さんです。

(会場拍手)

詳細な自己紹介は、後ほどご本人からお願いしますが、今日はこの3人に語っていただきます。

私は、今年の8月からケップルアカデミーという、スタートアップと投資家の方向けにこのようなさまざまな学びの機会を提供する、事業責任者を務めている藤原です。よろしくお願いいたします。

3人の自己紹介へ行く前に、私が何者なのか、サラッとお話をさせていただき、バックグラウンドを共有させていただきます。私は前職がNHNキャピタルという、もともとLINEと同じであったNHNのコーポレートベンチャーキャピタルでベンチャーキャピタリストとして働いておりました。

そこで、スタートアップのかなり前の方、シードやアーリーといった企業に多く投資をさせていただきました。唯一、W TOKYOさんという、東京ガールズコレクションを手掛ける会社が、レイターのほうでした。

W TOKYOは、みなさんもご存知の通り、当時親会社だったのが鷹の爪のDLEで、すこし色々とあった感じで、(スタートアップには)ハードシングスがありますが、そんな経験があります。W TOKYOのCFOとは、今もすごく仲が良く、先日も東京ガールズコレクションにもご招待いただいたり、かなり良好な関係が続いております。

一方、スタートアップの方々に取材をして、noteを書く活動もしています。スタートアップのことをもっと世の中に広めたいという思いから、半分は業務として、半分は個人の趣味のようなものです。日経新聞さんとKOL契約をして、報酬をいただきながら、こうした記事を書いています。

スタートアップの取材をさせていただきたいので、取材許可をいただけるスタートアップの方はぜひご連絡ください。昨日はプレティアというAR謎解きという新しいゲームを作っている、渋谷にある会社の記事を公開しました。次回はSecualという会社をご紹介する予定です。

日経電子版のトップにも転載していただき、スタートアップをどんどん広めていくという活動も、今やっているところです。よろしくお願いします。

事業を伸ばすため長期的に必要なスキルは「英語」と「ファイナンス」

藤原:それでは、パネリストの方々をそれぞれ詳しくご紹介したいと思います。みなさますごく有名な方ばかりなので、あまり必要もないかと存じますが、自己紹介をしてください。

すこし短いのですが7〜8分で、ご経歴、スタートアップのCFOとしてどういったことをやってきたのか、今まさにやられていることをお話しいただけますでしょうか。最初は嶺井さんですね。

嶺井政人氏(以下、嶺井):はい、改めまして、嶺井でございます。みなさんこんばんは。私の自己紹介からまずさせていただきます。グロース・キャピタルという会社を今年の4月に作り、現在、エクイティファイナンスの新しいサービスを作っております。

簡単に経歴をご紹介させていただきます。もともと学生ベンチャーをやっていました。当時、ライブドアの堀江さんがバッファローズの買収をやると名乗りを上げた時期で、若くして世の中を動かす経営者が世にどんどん出てきていたタイミングでした。

例えば孫さん、例えば三木谷さん、例えば藤田さん。そういった方が出てくる中で、「自分もあんなふうに世の中を動かす事業を作りたい」と思い、学生時代に学生ベンチャーをやっていました。

憧れの経営者たちのように、自分も世の中を動かす事業を作りたいと思ったものの、そこまで成長できなかったんですね。売上と利益はすこしは出ていましたが、なかなか自分が実現したい事業はできず、そこできちんと自分自身が事業を作る力を身につけようと思い、ちょうど買ってくれるという上場企業がおられたので売却し、就職をしました。

昔から興味・関心も持っていた分野でもあり、5年後、10年後に自分がどんな領域でチャレンジするにしても、大きな事業を作る上では「英語」「ファイナンス」が普遍的なスキルだと考え、それを学び、使える会社として、新卒で外資系の証券会社であるモルガン・スタンレー証券に入っています。モルガンでは4年間、投資銀行業務やクレジットリスク管理業務という、企業の資金調達支援や格付をつけるアナリストをやっていました。

そして2013年の3月、当時まだ40人ほどの規模だったマイネットに移り、CFOとして資金調達をしたり、上場準備をしました。マイネットはスマホゲームをM&Aして成長している会社なのですが、「M&Aをしていったゲームを伸ばすには、マーケティングが大事だよね」とマーケティングの部署を立ち上げたりしつつ、2015年12月にマザーズ、17年12月に東証一部まで上場させていただきました。

マザーズ上場後には、CFOから副社長に変わり、ファイナンスもフォローにまわり、私よりも年長者の方にバトンタッチして、事業の方に寄りました。

そして今年の春に退任し、今はまた1からチャレンジしています。以上です。

(会場拍手)

「これからの会計士は、会計監査だけをやって終わるのか、よく考えたほうがいい」

藤原:ありがとうございます。では平川さん、お願いします。

平川秀年氏(以下、平川):よろしくお願いします。株式会社キャスター取締役CFOの平川と申します。本日は足元の悪い中、おいでいただきありがとうございます。今、私はCFOとしては2社目になります。

前職は株式会社ジーエーテクノロジーズという会社で働いておりました。そちらで上場をしたという経歴の中、紆余曲折あり、失敗もあり、成功もあり、もう一度上場ステージを経験したいと、キャスターに転職しました。

やっぱり鐘を鳴らす瞬間は大変に興奮しますし、ベンチャーに飛び込んできた社員が「ようやくお母さんに報告できる」というような、そういった瞬間はすごくうれしいものです。その瞬間をもう一度味わいたいという思いから、「東証一部に鞍替えがあるじゃないか」という引き止めもありましたが、転職いたしました。

(会場笑)

キャスターにおける私の役割は、右往左往しながら、上場準備を進めているところです。

経歴をお話させていただきますと、2006年にあらた監査法人に入社しました。学生時代に「監査論」という科目の講師から、「これからの会計士は、会計監査だけをやって終わるのか、よく考えたほうがいい」と言われたことがあります。

その講師の方は、親身になって相談に乗ってくださったのですが、1つの道として監査法人でパートナーになるという道もありつつ、CFOという道に進むのもいいんじゃないかということも言われておりました。

……きれいごとで言えばそうした話になるんですが、当時監査を教えてくれた先生が「同期がどこかの会社で上場して、ストックオプションをもらいお金持ちになったのがうらやましくて」ということで「平川くんはそうした道を選ぶといい」というような、まやかしをいただいたんですが。

(会場笑)

監査法人時代は、大手電機メーカーで会計監査をザッとやったあとに、2009年からメガバンクの内部統制の構築支援アドバイザーとして従事しました。当時メガバンクいえば、外国上場するということで、「IFRSだ」、「米国会計だ」と騒がれていました。在籍していた法人でも、そこに従事する人間が出世していくというような状況がありました。

しかし私は、メガバンクの内部統制支援をできる機会があるのであればそこに行きたいと希望を出しました。すでにCFOの道に行こうと考えていたので、やっぱり一番深掘りしたスタンダードだろう考え、どうしても金融機関では内部統制を見習いたいと。2009年から約6年ほど従事して、コーポレートの基礎を習った次第となっております。

「不動産テック」で上場時の時価総額100億円

平川:ちょうどプロジェクトがひと段落した2015年にジーエーテクノロジーズに転職しました。

当時、営業20人、管理部門1人の会社に私が飛び込んで、1人目の管理部門の担当者になりました。もう本当に何もないという状況。それが私が転職するときに臨んだ姿でしたが、ゼロから立ち上げました。

監査法人出身で、CFOとしてのキャリアもない中で、金融機関との折衝であったり、上場準備などをさせていただきました。

IT系会社に片っ端から「CFOになりたい」メールを送った

藤原:では次に、宮地さん行きましょうか。

宮地俊充氏(以下、宮地):はじめまして。ティーンスピリットの宮地と申します。(スライドの)経歴を時系列に並べて書いたのは、CFOってどういったキャリアでなるものなのか、少しでも参考になればと思い、こと細かく書きました。僕自身、社会人1年目や2年目のときにずっとCFOになれるキャリアについて考えていて、色々な方のインタビューを読んでいたんです。

大学を卒業し、僕は就職活動もしていなかったので、ニートというような感じになってしまいました。そこから、TACに通って会計士の勉強を始めて、だいたい2年ぐらいで合格して、実は平川さんと同じPwCに入社しました。

入ってみて「監査法人にい続けてもCFOにはなれないかも」と思い、もう1年目ぐらいで転職活動をしていたのですが、たまたま2年目のときに、GCAという独立系ではNo.1のM&Aアドバイザリーの会社に入れました。そこでいわゆる会計だけではなく、財務や事業再生といった仕事もさせていただきました。

そして2010年頃、ちょうどFacebookが日本に上陸し、『ソーシャル・ネットワーク』という映画も公開され、「ITヤバい」というような雰囲気がありました。そのときに、やっぱりグリーの青柳さん(注:当時CFOとして、上場を果たした。2016年には退任。)にすごく憧れて、僕もITベンチャーにCFOで入り、それこそストックオプションをもらって、なにかドリームを叶えようというようなノリでした。

とはいえ、自分はもともと学生時代にベンチャーにいたとかではありませんから、ベンチャーとのつながりもなく、いろいろなIT系の会社に片っ端からメールを送り、「CFOになりたいのですが、いかがでしょうか?」などとお話をさせていただいていました。

そんな感じで動いていたら、ハングリードというeコマースのバックヤードのASPの会社の社長さんと意気投合をしまして、そこにいきなり役員で入れていただけて。入社時は、外部株主がいない会社だったのですが、VCからファイナンスをして、上場を目指したいという話でした。

CFOになり資金調達を経験し、起業の道へ

宮地:僕が入って、当時はまだ知る人は知る存在であったグローバル・ブレインという、今やトップティアのVCから調達させていただき、これからだという感じであったのですが、僕が比較的いろいろとやりたい人だったので、「そういったことであれば、自分で起業してみたほうがいいよ」と言ってもらえて、「確かにそうだ」と思い2011年に起業しました。

その会社では、オンライン英会話の領域で、レアジョブさんやDMM英会話みたいなスピーキングに特化したスクールと比べると、ライティングに寄せた事業を作りました。5年ぐらいやって、ご縁のあった会社さんにバイアウトしたという感じです。

その後は、エンジェル投資家や顧問業などをしつつも、もともと学生時代に音楽活動してて、エンタメが大好きだったので、音楽活動用のティーンスピリットという会社を作った感じです。以上です。

藤原:ありがとうございます。このハングリード自身も、楽天にバイアウトですもんね?

宮地:そうですね、僕が辞めてから3〜4年あとなのですが。

藤原:僕、実はこのとき、たぶん絡んでいるはずなんですよ。

宮地:あぁ、おっしゃていましたね(笑)。

藤原:実は僕、NHNでキャピタリストをやる前はスタートアップにいて、そこがド競合でした。僕のいた会社はグロービスに出資してもらい、ハングリードさんはグローバル・ブレインさんで。僕はそのあと何年かしてNHNに、当時LINEが分社化したばっかりのところで買いたいと言われて、そこでM&Aイグジットなので、なんか似ているというか。

宮地:確かに(笑)。すれ違った。

藤原:似ていると思いますね。では、よろしくお願いします。こうしたメンバーでやっていきます。では、ファイヤーサイドチャットと名付けているんですが、僕が勝手にやっていこうと思います。

Sli.doで質問を受け付けています。Sli.doとURLを打っていただいて、そこでもうなんでも聞いてください。

僕のほうでスマホをチラチラ見ながら、Favがついているような質問がかなりありましたら、それをインタラクトに挟み込んでいければと思いますので、ぜひお気軽になんでも聞いてください。今日はみなさん、口がすこし軽めになると思うので(笑)、このチャンスに聞いていただければと思います。よろしくお願いいたします。

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