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Management Summit 2024 スペシャルセッション 成長企業になるための法則(全4記事)

逆風の時にガタッと崩れる会社と踏ん張れる会社の違い 苦しい時でも現場が持ち堪える強い組織をつくるポイント

株式会社識学が主催した経営者や管理職向けのイベント「Management Summit 2024」。「成長企業になるための法則」と銘打たれたスペシャルセッションには、元「マネーの虎」出演者の南原竜樹氏、株式会社サーキュレーション代表の福田悠氏、そして識学社長の安藤広大氏が登壇しました。今回は、持続的に成長する組織の共通点や、会社による違いが最も顕著に現れる部分などが語られました。

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持続的に成長する組織の共通点

後藤翔太氏(以下、後藤):安藤社長にうかがいたいのですが、持続的な成長を遂げる組織やうまくいかない組織がありますが、持続成長を遂げる組織には共通する要素や法則性がありますか? 組織を作るにあたってのポイントを教えてください。

安藤広大氏(以下、安藤):大きく2つあると思います。1つは、属人化されていない組織の仕組みです。先ほど南原さんがおっしゃったように、しっかりと権限委譲ができていて、オーナーのパワーで回っていない組織が重要です。

もう1つは、トップの事業の目的意識が金儲けだけになっていないことです。事業の目的が明確で、そこに向けてPDCAがしっかり回っている会社は、事業成長を遂げるのではないかと思います。

後藤:なるほど。

安藤:金儲けばかりに走ると、焼畑農業のようになって、どこかで必ず止まります。組織の仕組みとトップの目的意識、この2つがしっかりしていないと難しいですね。あとは、トップが個人の欲求を優先して、自分がたくさん遊ぶことや社員の人気者でありたいという気持ちが強くなってしまうと、やはり成長は止まっていくのではないかと思います。

南原竜樹氏(以下、南原):そんなの論外だよね。

安藤:でも、けっこういますよね。

悪い時にガタッと崩れる会社と踏ん張れる会社の違い

後藤:南原社長におうかがいしたいのですが、『マネーの虎』で、投資や融資をされる際、もちろん事業を見て判断することもあると思いますが、組織やリーダーの思考を見て判断することもありますか? ビジネスモデルは良くても、これには投資しないといった判断基準はありましたか?

南原:あの番組に限って言うと、僕はシビアにビジネスモデルだけを見て判断していました。そうしないと駄目な人もいますからね。例えば、なんでんかんでんの川原さんは「俺は人を見て投資するんだ」と言っていましたが、「そう言えば、あいつどうなった?」と聞くと、「金を振り込んだ途端に連絡が取れなくなった」と言っていました。

「ぜんぜん人を見る目がないじゃないか」と思いましたね。だから僕は人を見る目よりも、事業の内容だけを見て判断していました。

後藤:福田社長はいかがでしょうか? 持続的な成長を遂げる組織を作るにあたって、こういった要素があると成長できたと感じるご経験はありますか?

福田悠氏(以下、福田):先ほど安藤さんがおっしゃったようなポイントが一番大事だと思いますが、私なりに最近もう1つ大事だと思うことがあります。会社経営には良い時も悪い時もありますが、悪い時に組織がガタッと崩れる会社と、なんとか踏ん張れる会社の違いは何だろうと考えることがあります。

持続という意味で考えると、踏ん張れるかどうかが重要です。例えば、退職を考えている社員がいた場合、会社のビジョンや事業の成長も大事ですが、それだけではなくて、その社員が「この会社で働き続けたい」と思えるかどうかが鍵になると思います。

最後の最後は、一緒に働いている人たちが「この人たちと一緒に働きたい」と思えるかが、踏ん張るには非常に大事だと思っています。最近よく言われる自己肯定感という言葉を転用させてもらうと、組織で働く意味や肯定感、「この上司のためにがんばりたい」とか「この仲間がいるからもう1年がんばろう」と思える仲間がいるかどうかが、最終的に踏ん張れるかどうかの違いになると思います。

もちろん、会社の成長やビジョンは非常に重要ですが、現場の踏ん張りが効く組織こそ、持続的な強い組織だと最近感じています。

南原:でもそれはおっしゃるとおりだよね。僕はよくビジネスについて「商売は自動販売機じゃない」「所詮人間が動かしているんだ」と言っているんだけど。人の気持ちとかそういったものを大切にしないと駄目だし、福田さんの言う、「この人と一緒にやりたい」って思えるのは絶対に良いことだよね。

新人との食事をやめた理由

後藤:こういったところで成長する中で、時代によっていろいろなことが変わってきます。南原社長も冒頭におっしゃっていましたが、昔やっていたことと今とがすべて同じではないかもしれません。しかし、成長企業の仕組みを考えると、時代が変わっても変わらない原理原則というものがあると思います。

南原社長は時代を通じてさまざまなご経験をされていますが、その中でやはり変わらないものというのはありますか?

南原:まあ確かにある。福田さんの言う、仕事をする上での人間関係みたいなものとかね。ただ、それがどんどん希薄になっていて、今は在宅勤務が増えて「ほとんどの社員が在宅しています」という会社も増えている。そういった元来の原理原則みたいなものがどんどん変わっていると感じるね。

後藤:なるほど。

南原:例えば、昔は出世したいと誰しもが当たり前に思っていたけど、今アンケートを取ると「出世したくない」という人が多い。「なんで?」と聞くと、「給料がちょっと高くなっても責任が増えるし、労働時間も長くなるから」とか。これって、めちゃめちゃ原理原則が変わっているよね。

もちろん組織の原理として、権限を委譲していかないといけないとかは当たり前で、権限のない組織なんて絵に描いた餅と同じだし、責任のない組織も絵に描いた餅だから、権限と責任を両方持っていないと駄目という原理原則は必ずあります。

でも例えば昔だったら、僕が新卒の社員とご飯を食べに行ったら、役員に呼ばれたんですよ。当時、日産自動車から来た役員に「社長、新人とご飯を食べるのをやめてくれ」って言われて。

「なんで?」と聞いたら、「今の新人と僕の知能指数を比べると新人のほうが高いかもしれない。あいつらのほうが頭が良いかもしれない。でも僕があいつらの上に君臨できる1つの大きな要素は、社長の情報を彼らよりも早く僕が的確に取れることだ」「社長、飯を食いながら何かしゃべるでしょ?」「『こんなことをしようと思うんだ』とか言って。そうしたら組織は回らないよ」と言われて。

「なるほど、確かにそのとおりかな」と思って、新人とご飯を食べるのをやめたりしたんです。でも今の時代ってメールでCCをつけて送るし、グループLINEもやったりするから、本当に原理原則が変わっているよなと思うね。

成長を促す環境づくり

後藤:そのへんは安藤社長はどうお考えでしょうか?

安藤:いや、南原さんの言うこともよくわかるし、時代が変わってきているのも理解しています。ただ、僕らは時代が変わったからこそ、例えば成長したくない若手をどう扱うかという部分を再度考え、成長しなければならない環境に持っていくというのが僕らの考え方です。

なので、もちろん時代が変わって変えるべきところはあると思いますが、組織として人が集まっている以上、時代背景で変わってしまった部分を含めて、変わらない部分をしっかり残していくことが重要だと思います。

南原:なるほどね。

後藤:ここからはQ&Aで、いただいている質問にお答えいただきたいと思います。まず1つ目は、「起業当初から続けている習慣や、ここ最近でやってみて良かったことはありますか?」という質問です。

福田社長、起業当初から続けている習慣や、これをやって良かったということは何かございますか?

福田:そうですね、起業してから非常に勤勉になりました。本をたくさん読むようになりましたし、経営者として成長しなければ会社を大きくできないという自覚があります。自分に対する戒めのようなものがあって、インプットを大切にする習慣は創業以来続けています。

あと、少しプライベートな話になりますが、冒頭でお二方がモチベーションはあまり関係ないとおっしゃっていましたが、私はモチベーションを高く保つことが重要だと感じています。特に月曜日の朝にはモチベーションをマックスにするために、体の健康にしっかり投資しています。これも起業してから気を遣うようになったことの1つです。

後藤:南原さんにもご質問が届いています。「大きな挫折はサバイバルスキルが問われる良い経験だったと思われますか? それとも経験しない方が良かったと思いますか?」という質問です。

南原:だから先ほども言ったようにピンチはピンチだって。そんなもん、ピンチにならないほうがいいに決まってるだろうに。

(一同笑)

南原:例えばローバーが潰れなかったら、当時野村証券さんが主幹事で、今頃上場して大きな会社になっていたかもしれないからね。たらればで言ったら、例えば僕も福田さんと同じように健康のためにけっこうトレーニングをやっているんですよ。

実を言うと、ライザップの元のジムを作ったのは僕なんです。簡単に言うと、それをライザップにパクられて「しまった、あれにもうちょっと力を入れとけば、ライザップを凌駕できたのにな」とか、いろいろ考えますよ。後悔はいっぱいしています。でも、ピンチにはならないほうがいいです。

経営者として一番悔しいこと

後藤:もう1つご質問をいただいています。「有力な人材ほど、キャリアアップのために転職や独立に動いてしまうと思います。そのような人材とはどのような距離感を取るべきでしょうか?」という質問ですが、こちらは安藤社長、いかがでしょうか?

安藤:できる限りそういう人でも「この会社でチャレンジしたい」と思える会社を作れるかどうかに尽きるかなと思います。

後藤:なるほど。

安藤:僕らも会社を辞めて独立しているわけなので、その行為自体は否定することはできないんです。これは経営者として一番悔しい部分です。ここは従業員との勝負だと思います。居たいと思える会社にできるかどうかが鍵です。ただ、残したい社員に会社のルールを合わせるわけにはいかないので、そのバランスが難しいところですね。

南原:僕がよく言うのは、その会社で働いたほうがもっと大きな仕事ができるという会社に経営者がしなきゃいけないということです。

安藤:そうですね。

南原:例えば、自力でやったら売上が1,000万円、2,000万円、1億円にしかならないけど、この会社にいれば1,000億円の商売が自分でできると思えば、そっちのほうが楽しいだろうということです。

安藤:規模もそうですし、他のことも含めて、独立するよりも良い環境を提供できるようにしなければならないと思います。

南原:例えば、こんな人に会えるとか、いろんな理由がありますよね。例えば、雑誌社にいると取材で相当いろんな人に会えますからね。

会社による違いが最も顕著に現れる部分

後藤:お時間も差し迫っておりますので、最後のご質問にしたいと思います。「会社理念は必要だと思いますが、理念を押し出し過ぎると今のVUCA時代において採用がなかなか伸びないのではないか」という質問をいただいています。福田社長、この点についてどうお考えでしょうか?

福田:私の主観も含んだご回答になってしまいますが、今の時代こそビジョンと企業理念が必要だと思っています。特に、今のZ世代と言われる若者たちは、キャリアや給料よりも社会貢献を重視する人が増えています。

会社の理念やビジョンは、その会社が社会にどういう影響を与えたいかを示すものだと私は解釈しています。これを打ち出さないと逆に選ばれない会社になってしまう可能性があります。ですので、ご質問者様の意見とは逆になりますが、今だからこそビジョンと企業理念が必要だと感じています。

後藤:今の福田社長のご回答を受けて、安藤社長はどのようにお考えですか?

安藤:今の時代だからこそというか、どんな時代でも理念は必要だと思います。会社というのは、基本的にどの会社で働くのも大差なく、その差が一番出るのは創業者の思いだと思います。

南原:うちの会社なんかだと、会社の理念は長ったらしく書いていたけど、一言で言うと「車を楽しく乗ろうぜ」みたいな会社理念なんですよ。そうしたらけっこう車好きが集まってきて、もううちの会社は車好きばかりで経営していましたからね。

安藤:だから、僕も理念は必要だと思いますし、理念がないというのはあり得ないと思いますね。

後藤:ありがとうございます。ということで、あっという間にこのパネルディスカッションが終わってしまいました。私もいろいろとご質問をする中で新たに質問したいことがどんどん増えて、みなさまからのご回答に非常に刺激を受けました。本当にファイナルセッションとして、楽しく刺激的な時間を過ごすことができました。ご参加いただいたみなさんにとっても有益な時間になったのではないかと思います。

本日はお忙しい中、ありがとうございました。

南原・福田・安藤:ありがとうございました。

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