男性投資家が女性向けサービスをどれくらい理解してくれるか

磯村尚美氏(以下、磯村):今、ちょっと家庭の話をうかがったんですけど、逆にまだ男社会じゃないですか。その中にあって、女性起業家として、やっぱりいろんな苦労とかあると思うんですけど、何か感じられてることとかってあります? 私たちもやっぱりピッチイベントとかやるんですけど、女性が登壇してくることはほとんどないですね。やっぱり男性が(出てくる)。

河上純二氏(以下、河上):見てないなぁ。

和田幸子氏(以下、和田):なるほど。女性起業家だからというよりは、投資家のみなさんが男性のケースが多いじゃないですか。だから、女性向けのサービスに関して、どれぐらい深く理解してくれているのかなというところでちょっと心配なところはありますね。やっぱり、わからないものには投資したくないと思うことも多いだろうから。

磯村:ぜんぜん視点が違いますもんね。

和田:そうなんです。

磯村:女性はコミュニティってものすごく気を使いながら、多方面に気が行くけど、男性は直線的で。

和田:だから、そこが実はサービスの重要なところだったりするんだけれど、それが理解してもらえないというリスクはあるかなぁと思ったりもします。

河上:聞く側がそうだからなぁ。確かに俺も、タスカジについては女性の悩み解決だから、サイトを見たときには、当事者意識というのはなかなか芽生えにくいじゃない? だから、そういう面はあるよね。

「タスカジ」をマッチング形式のサービスにしなかった理由

和田:タスカジのWebサイトも、昔よく言われたのが、「なぜ検索させるようにしてるんだ?」と。「見つけるのがめんどくさいじゃないか」「勝手にマッチングして、適当な人を派遣してくれれば一番いいんだ」って言われて。

河上:ははは(笑)。

磯村:男性はそうかもしれない(笑)。

河上:言いそう。「だって、作業する人だから」という発想かもしれない。

磯村:時間をとりたい。ほしいから、検索する時間さえ、もはやもったいないっていう。

和田:時間さえもったいないじゃないかと。そうなんだけど、でも、やっぱり検索したいと思うし、したほうがいいような気がするってすごく思って、いろんなアドバイスももらったんですけど、最終的にマッチング形式じゃなくて、自分で検索するかたちに決めたんですね。

その時は、私自身もなぜそれがいいと思ったのかという言語化ができていなくて、人に説明できなかったんですけれど、その後1年ぐらいかけて、なぜ検索したほうがいいのかということをようやく言語化できて、それで人に説明できるようになったという。

磯村:女性の感覚を男性に説明するのって、難しいですよね。

和田:そうなんです、そこが難しいと思いました。

磯村:もはや説明しようと思っても聞いてくれないじゃないですか。

河上:ははは!(笑)。その夫婦の感じみたいに(笑)。

一同:(笑)。

磯村:こっちが言いたいことを聞いてくれない時ってないですか?

和田:興味を持ってもらえない時はあるかもしれないですね。

河上:そうね(笑)。

女性視点で女性向けのサービスを開拓する余地はある

和田:本当に女性って、なにか探すことの喜びを感じているとか、ウィンドーショッピングも好きだから、やっぱりいろいろ見て回るのが大好きなんですね。それに幸せを感じるような。

磯村:でも、それは男性にとっては苦痛なんですよね。

河上:苦痛だねぇ。

和田:タスカジさんを毎日検索して、「この人もいいなぁ、あの人もいいなぁ」と思いながら半年間過ごしている人もいるんですよ。

河上:へぇ〜。女性で?

和田:女性。楽しみながら。やっぱり、検索できることが1つの価値だったりするんですけど。

磯村:目的が違いますよね。この間も、旅行の話をしていると男性はデートプラン、ここに行って、あっちに行ってって場所を決めていくけど、女性は連れて行かれるところのお店とか、お店の雰囲気とか、すごくいろんなところへ行って周辺にも楽しみを見つけるという。それはたぶん男性にはないという。

和田:うんうん。

河上:うーん、ないかぁ。そうねぇ、まぁそうやなぁ〜。

和田:だけど、今ビジネス界ではやっぱりけっこう女性の比率が上がっていて。なので、女性はまだまだ女性視点で女性向けのサービスを開拓する隙間はたくさんあるなぁという感じはしますけどね。

女性起業家に共通する特徴

河上:最近、友人の女性起業社長たちの中で、今思いついたことが2つあるんですけど。1つは和田さんのように、やっぱり自分の思い入れがめちゃめちゃあることに対して、普通に猪突猛進的に事業に入っていくサービスが多い。例えばアクセサリーの話だったり、なんとかっていうのも、全部過去の体験の中でガッと入っていくパターンが多いということ。

もう1個は、女性の経営者の方がシビアだということ。人を切るのも、女性経営者のほうが圧倒的にシビア。

和田:あっ。そうなんですか? へぇ〜。

河上:男は情が入ったりとか、なんとなく信じてる気持ちみたいなものとか、ロマンチックなんだかわからないけど……。

一同:(笑)。

河上:まぁ、事なかれ主義? どっちかわからない。男性のほうがわりとなんとか帳尻を合わせていきたいという感じだけど、そのへんは、女性のほうが合っていなければ即、対応がドライ。そういうのは、特徴的に最近すごく感じる。

磯村:恋愛と一緒かもですね。

河上:あっ、そうね。女って引きずらないじゃない? 男はけっこう引きずるからさ。写真も捨てないし、番号も捨てない。2年後ぐらいにもう1回会える可能性を残しておこう、みたいなね。

一同:(笑)。

磯村:女性は全部捨てちゃいますからね。

河上:そうだね、急に切り替わるじゃない。ぜんぜん、「えっ、もう居留守?」みたいな。「もうノーレスになっちゃうの?」みたいな。「その心の切り替え感、なんなの?」みたいな。それはなんかあるよね。

ビジネスを推進するリーダーのキャリアを経験したい

河上:ちょっと後半戦になってきたから、もう少し未来の話をね。さっき1年後ぐらいの計画予定は聞いたけれど、ちょっとそれも含めて、10年後の和田さんのありたき姿みたいな。例えば10年後みたいなことで言うと、どんな姿になっていたら理想的な感じですか?

和田:うーん、そうですね。私はなぜ起業したかというと、もちろんいかに(家事を)お任せできるかという(笑)。

河上:(笑)。ガツンと行ったっていうね。

和田:ガツンとしたのもあるんですけれども(笑)、やっぱり自分のキャリアとしても、やっぱり、なんて言うんですかね。ビジネスを自分で推進するリーダーをやってみたいと思ったんですよ。

当時、会社員をやってたんですけど、やっぱり会社だとなかなか出世していくという段階が必要で、なんかまだまだ時間がかかるじゃないですか。いきなり事業部長になりたいとか、社長になりたいとかできないので。

なので、いきなり社長になってしまって、小さくてもいいから自分の事業を立ち上げて、推進していくような、トップのキャリアを積んでみたいと思ったんですよね。今ようやくそれにサービスを立ち上げて、ようやくその組織を作って、やっているところなんですけど。

もう少し組織の規模も大きくなってきているでしょうし、そういうビジネスを推進するリーダーのキャリアを体験してみたいなぁってすごく思っています。

河上:だって10年後ではなく、今でももうリーダーを5年もしっかりとやられているし、15人のスタッフメンバーを引き連れているわけだから、実現できているんじゃないですか?

和田:でも、やっぱり5人と10人じゃ規模が違いますし、やり方も違うし、15人と100人でもぜんぜん違うと思いますね。