立ち上げ1年目で倒産しかけた
家事代行サービス「タスカジ」和田社長が語る失敗談

株式会社タスカジ 代表取締役社長 和田幸子 氏 #2/5

経営者マッチングアプリCOLABOが運営する、ライブ配信スタジオ「COLABO LIVE CHANNEL」。さまざまな起業家の想いを定期的に発信していくなかから、今回は2019年2月1日に公開された、株式会社タスカジ代表の和田氏による講演をご紹介します。本パートでは、インターネット上でハウスキーパーを探して依頼できるマッチングプラットフォーム「タスカジ」の概要や立ち上げの経緯などを語っていただきました。

怒りから生まれたビジネスが周囲に感謝されるサービスへ

河上純二氏(以下、河上):5年やってみて、今の気持ちをぶっちゃけるとどうですか?

和田幸子氏(以下、和田):そうですね、まぁコツコツやってきて。やっぱり、世の中の課題を解決するんだと思って起ち上げたんですけれども、う〜ん、なんだか、あんまりこう、視野がそんなにもともと広くなかったというか、「ビジネスを大きくしよう」とかはそんなに考えずに起ち上げたんですよ。もう、目の前の怒りに対して……(笑)。

河上:ははは(笑)。

和田:「この怒りを誰にぶつければ!」みたいな。

一同:(笑)。

和田:「なんで女性ばっかりがこんな虐げられているんだ!」みたいな。そういうのをなんか、安倍首相にもぶつけてもしょうがないなぁと思って。

河上:ははは(笑)。

和田:怒りを起業にぶつけながら立ち上げたので、「ビジネスを大きくする」とか、なんかこう、「世の中をこう変えるんだ」というよりは、怒りで立ち上げたんですね。

河上:なるほど。

和田:でも、実際サービスインしてみると、利用する方からすごい感謝の言葉をもらったりとか、働いてるタスカジさんからも、「こんなに楽しい仕事があるなんて、知らなかった」って。

河上:最高だね。

和田:「人生が変わりました」っていっぱい言ってもらえるようになって、「あれ? これ、ちょっと私が思ったより公共性が高い」というか、なんか私がこう……。

河上:ははは(笑)。あとで気づいたみたいな。

一同:(笑)。

和田:そうです。なんだか、私のものっていうより、ちょっとみんなのものになっちゃったなみたいなところがあって、まぁそれがちょっとひとつの驚きでしたね。サービスを立ち上げるって、こういうことなんだなって。

「タスカジ」は利用者と働き手の両方を支援するサービス

河上:なるほど。もう最近だと、「働き方改革」「女性進出」みたいなキーワードの中で、いわゆる政治の領域というか、そっちの方々とも交流があるのかもしれませんけれども。まさに主婦、また女性が社会に復帰するためのインフラの一つになり得る可能性って十分あるわけじゃないですか。

和田:そうですね。そんなふうになればいいなと思ってやってます。

河上:たぶんその期待もあるから、そういうところからのお声がけだったりとかも増えてるんですよね、たぶんね。

和田:そうですね。やっぱり利用する側が家事代行を利用することによって、もっともっとキャリアを作っていったり、自分がやりたいと思っている人生を送ることができるようになるので、まぁそういう意味でのキャリアの支援っていうこともあるし。

働き手の方も、やっぱり今まで主婦として働いていて、世の中にちょっと一歩出ようと思った時に、なかなかいい職場っていうのが今の雇用制度だと難しいんですよね。フルタイム雇用というようなことだと、働き手のニーズにも会わないし、雇用する側のニーズも合わない。

でも、そういう時に今までの主婦のキャリアを使って働けるし、働いたあとも、さっきの出版じゃないですけど、いろんなキャリア展開の先があって、なんかそういうキャリアを、働き手も利用する側も、両方で支援してるサービスっていうことで紹介していただけることが多くて。

河上:本当にメディアによく取り上げられてますよね。

和田:そうですかね、う〜ん。

河上:ある意味、類に稀を見る? 稀に類を見る? ははは(笑)。

「COLABO LIVE CHANNEL」では初の女性経営者

及川真一朗氏(以下、及川):起業家系とか、スタートアップ系の何かを見ると、だいたい和田さんが出てくるっていうんですよ。

河上:けっこう崇高なやつにも出てるから。

及川:そう、打ち合わせに行って「これ、僕出てるんですよ」って言われた表紙っていうかね、最初のほうのページが和田さんだったとかね、よくあるんですよ(笑)。

河上:呼んじゃまずいんじゃないかと思って。怒られるんじゃないかと思って。

和田:そんなことないですよ(笑)。

磯村尚美氏(以下、磯村):実は今日めっちゃ緊張していて。昨日から「どうしよう、何話そう?」って。「純二さんどうしたんだろう?」って。

河上:「ご迷惑をかけたらどうしよう?」と思って。初めて、今回は。今までは……怒られちゃうね(笑)。迷惑かけていいっていうわけじゃないんだけど、今までは別に、男の人だしね。今回はけっこう……。

和田:あっ、女性は珍しいんですか?

河上:ここは初めてじゃないですか?

及川:初ですよね。

和田:すごいすごい、ありがとうございます。へぇ〜、うれしいなぁ。

河上:初めて。初めてだし、さっきの社会的貢献の話も、けっこうそういう堅い業界の人たちとの対談だったりとか、握手のシーンとかもよく見たから。そういう人に、「なんか適当なこと言ったらまずいな」とか……。

及川:ははは(笑)。

磯村:滑舌回ってますもんね。

和田:(笑)。

河上:今日は迷惑かけないように、ふざけないようにしないと。飲んでいるけれどキリッとしている。

一同:(笑)。

サービスを立ち上げて1年目で倒産しかけた理由

河上:じゃあこの5年間で、社長として本当にしんどかったなぁっていうエピソードとか思い出ってありますか?

和田:そうですね。しんどいことはいっぱいあるんですけど、自分でびっくりしたこととかで言うと、サービス立ち上げて1年目ぐらいで、倒産しそうになったんですよ(笑)。

河上:えっ、1年目から?

和田:そう、1年目から。もうすごい簡単な話で、売上が上がる以上にお金を使っちゃったんですよね。そんなの倒産するに決まってるじゃないですか。

河上:キャッシュがなくなっちゃうからね。

和田:はい。そんなの今から思えばもう当然なのに、なんか売上以上に費用を使う計画を立てちゃったんですよねぇ。それってやっぱり、もともと線を引いてた売上の予測と、実際の売上の予測がぜんぜん違ってたというのもあるし、やっぱり大企業にいたので、そういう売上の予測がちょっとぐらい違っても「投資だ」って言って、費用はそんなに下げずに、そのままいくわけですよね。そういう感覚でビジネスをやり始めたら、あっという間にお金なくなっちゃったみたいな(笑)。

河上:けっこうゆるい感じでやってしまっていた感じですかね?

和田:どうなんですかね……。私はちゃんと事業計画を引いたつもりだったんですけど。引きました、引きました。でもなんか、どっかでこう、ネジが緩んじゃった(笑)。

月1万円のシェアオフィスを解約して自宅で面接

河上:ははは(笑)。なんだろう、たぶん、熱量が上がっちゃってアレじゃない? 「これもやりたい、あれもやってあげたい」と思っていたら、いつの間にっていう。

和田:そうですね。ちょっとお金の感覚もちょっと麻痺してたというか。やっぱり大企業のお金の使い方って「時間を買う」というようなところがあるじゃないですか。自分で手を動かしてやるんじゃなくて、その時間をお金出して買うみたいな。すごくそういう発想があって、若い時からそうやって育成されているから、なんだか「使わなくちゃいけない」ってすごく感じちゃうんですよね。

それで、これをやるにはこのお金を使う、これをやるにはこのお金を使うって一生懸命に使う計画ばっかり立てるんだけど、「あぁ、これは違う」と。「全部自分でやらないといけないんだ」みたいな。当時シェアオフィスを月1万円で借りてたんですけど……。

河上:安っ!

和田:安いですか?(笑) でも、それもダメだと。もう、自宅に1回引きこもりのように……。

河上:ははは(笑)。

和田:そこからもう、打ち合わせは全部自宅でやりましたし、タスカジさんがデビューするまでの面接とかも全部、我が家のリビングでやりました。

河上:すげぇ〜。自宅って、まさに和田家ですか?

和田:はい、和田家で。

一同:(笑)。

家事代行のイメージを変えた『逃げ恥』ブーム

河上:なるほどね。そっかぁ。どれくらいで軌道に乗ってきたというか、ほっとして、安心してこの推進体制に入っていったのはどれくらいからですか? 1年、2年……。

和田:うーん、3年目ぐらいでしょうかね。だんだん認知度が上がってきて、マーケティングみたいなことをしなくても口コミでどんどん広がるようになってきたんですよね。

特に利用する側のニーズがググッと増えてきて。やっぱり時流というのもたぶんあると思うんですけど、当時、なんだっけ、えーっと……。名前を忘れちゃった。ドラマで、ガッキーが家政婦さんになるやつ。あっ、「逃げ恥」だ、逃げ恥。

河上:あっ、すごい有名な、ねぇ! あの、ダンスのやつでしょ?

和田:そうそうそう、ダンスのやつです。逃げ恥の視聴率がけっこう高くて、ブームになって。それで、利用する側の主人公の人がシステムエンジニアのサラリーマンだったんですよ。それで、家事代行って、今まで富裕層のお金持ちしか使っちゃいけないみたいな感じだったんですけど、「あっ、サラリーマンでも使っていいんだ」というイメージで湧いたり。

河上:あぁ〜。

和田:あと、家政婦さんのイメージも、市原悦子さんみたいなイメージだったのが……。

河上:ははは(笑)。『家政婦は見た!』の? あぁ、なるほどなるほど。

和田:それが、「ガッキーみたいなイメージもあるんだ」みたいな。けっこう振れ幅大きいんですけど、そういう感じで、あの番組によって、かなり家事代行のイメージが変わってきたかなって。

河上:なるほどね。それは大きかったですね。でも、それって数年前じゃないでしょ? あれ、だって……。

和田:2〜3年って感じですかね。

河上:そんな前なの? 時は経つなぁ。あっという間に過ぎちゃうんだよ。どうしよう。危ないよ、もう。なるほどね。けっこうコメント来てますね。

及川:「タスカジさん、今登録してみました」とか。

和田:今登録したの? すごーい。ありがとうございます。

河上:「今タスカジ登録してみました。妻が育児と家事でいつもテンパってるので、興味あります」とか。

及川:すばらしい。

掃除が9割だった家事代行で、料理のニーズが増えた背景

磯村:私、家事っていったらやっぱり掃除がメインだった気がしますね。今、食事で利用されてる人が多いんですかね?

和田:タスカジの利用の中で言うと、一番多いのはやっぱり掃除なんですけど、今、それと同じぐらいの比率で、料理の作り置きが増えてきていますね。

磯村:さっき聞いていて、それは目から鱗でした。だって、食事は「作ってもらう」という感覚がまずなかったです。

和田:サービスイン当初は、9割方が掃除でしたね。それで、途中で料理の得意な方が登録してくださったんですよ。

ほとんどメインが掃除で、ついでに料理してほしいというくらいのニーズしかないので、「掃除ができなかったら、たぶんあんまり仕事入らないですよ」と言ったんですけど、「でも、ちょっと料理でやってみる」とおっしゃったので、「じゃあちょっと登録してみてください」というふうに始まったんですね。

そしたら、当時は家事代行でお願いするんじゃなくて、自分でやる作り置きが流行っていたんです。たぶんご自身では作りきれなかったんでしょうね。それをタスカジさんにお願いして、そのレビューが上がり始めたんですよ。テーブルの上に(作り置きが)15品ぐらい並んでいる、写真付きのレビューがどんどん上がり始めると、その人にザーッと依頼が集中して。

河上:へぇ〜。

和田:それで、作り置きの依頼がすごく増えたんですよ。

磯村:バランスよく食べられる、という話ですよね。

河上:えーっ、俺お願いしようかな、本当に。

和田:健康にいいじゃないですか。

河上:無添加のやつを、1週間分ぐらい作り置いといてくれるっていうことなんでしょ?

和田:そうなんです。

磯村:あとは自分で冷凍して、小分けにするとか。

栄養士や調理師、飲食店での勤務経験がある主婦の手料理

河上:そうだよねぇ。それ、もっとサイトも前面に出したほうがいいですよ。「1週間分の無添加の食材の作り置きを冷蔵庫に入れておきませんか?」と言ってあげたら、「あっ、そうしてほしい」ってなるって。ほんっとに。

磯村:野菜食べたいもん。

一同:(笑)。

河上:俺、週3ぐらい食ってるもん。

磯村:でも切ってあるしね。

和田:調理しなくていいから。

河上:俺、だから筑前煮とかを食べたいわけよ。肉じゃがとかさぁ。それが冷蔵庫に入ってて、無添加。

和田:あと、季節の食材を使ったお料理を作ってくれるから、おいしいんですよ。

河上:筍とかさぁ!

和田:そうそう、旬で食べたいですよね。

磯村:家庭料亭になってますね。

河上:そこにもう八海山かなんか出してさ、こう、クッとやりたいわけさぁ。

磯村:誰か突っ込んでくれないの?

一同:(笑)

磯村:でも、おいしい料理ってなかなか食べられないですよね。

和田:そうなんです。中には栄養士とか、調理師とか、資格を持ってる方もたくさんいるので。レストランで働いてた方もたくさんいらっしゃるから。

河上:なるほど。

磯村:旦那さんがほめてくれてないしね。そのスキルを認めてくれないじゃないですか。「もう食べ飽きた」とか言って。そしたら、こうやって喜んでくれる人が……。

河上:俺、すごく喜ぶと思う。じゃあちょっと1回頼んでみようかな?

和田:ぜひに。

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