まだ「何者でもない」ことに焦らない

大池知博氏(以下、大池):みなさんにも、いろいろとお聞きしたいと思うんですけども。まず1つが、どういう学生さんが欲しいか。どういう学生を自社で採用したいかについて、お一人ずつお聞きしたいなと思います。

まずは森さんから。どういう学生を求めているか、教えてください。

森泰輝氏(以下、森):今、いろんなテクノロジーが発展していることもあって、企業のライフサイクルがすごく速くなっていると思うんですね。できたサービスがすぐ廃れるみたいな。

サイクルが速くなっちゃって、一つの仕事やサービスに一生携わっていくことが難しい状態なので。そういう意味で、「変化に耐えられる」っていうことは、月並みかもしれないけどすごい大事かなと思っています。そんなベースを持っているような、柔軟な方を求めています。

室山真一郎氏(以下、室山):座っている順番でいいですかね? 正直これは、自分自身がそうだったことを踏まえての話なんですが。ここにいるみなさんも、みんながそうだとまでは言いませんが、おそらく大多数の方は、悪い意味でなく「何者でもない」と思うんですよ。これからだと思うんです。

なので、「何かできる」と変な意気込みを持ってても、お互いの期待値的にミスマッチになると思うんです。「何者かにとっととなってくれ」っていうか、どんだけ急な成長曲線で、仰角どんだけ立てていけるんだ、みたいなね。そこで自走できる人。そんな人がいるとうれしいなと思います。

加藤信介氏(以下、加藤):決めたらとりあえず全力でがんばる。それでポジティブな人に僕は尽きるなと思っております。

大池:はい。ありがとうございます。

正規軍による行進ではなく、ゲリラ戦術の時代に

真田哲弥氏(以下、真田):じゃあ、僕もちょっとくらいまともなことを言おうかな。

(会場笑)

大池:お願いします!

真田:先ほど森さんが「企業の寿命が短くなっている」っていう話をしましたけど、昔と今とで何がどう変わってきて、今どういうトレンドになってきているかっていう全体感の話をします。

戦争の形態がすごい変わってきているって、みんな気づいていますよね? 戦争って、いわゆる軍事行為で、第二次世界大戦では陸軍10万人とかが行進して攻めていくっていうのが、ヨーロッパの大陸では行われたりしたんです。

いまの戦争って、非正規戦と言われています。要はゲリラが、どっかにスパイとなって潜り込んだり、一般人の振りをして入りこんでテロを起こすとかです。どんどんそうなっていきますね。軍事の世界ではそうなっていってるわけですけれども、ビジネスでもわりとそうなってきているんです。

昔は正規戦で、正規軍が大量生産によって1つのものをたくさんつくることによって、スケールメリット活かして安くしていた。それをマーケティング部隊や営業マンが、数字のノルマを追っていろんなところに営業に行っていたと。そういう正規軍展開っていうのが主力だった時代っていうのが、もう20〜30年前ぐらいです。

1990年代くらいからトレンドが変わりはじめて、今はどこの会社もそういうトレンドになってるわけです。要はゲリラ戦ですね。正規軍の場合は上意下達で、ピラミッドの上から下に命令が下りていって、その命令に沿ってぴっしり規定通りに働ける人が有効なわけです。

この命令式系統で成立しているスポーツが多いです。こういうヒエラルキーの中で、ピラミッドの上から出た命令をしっかりこなすことができる人を養成するのに、体育会系ないしは集団スポーツは非常に向いてますね。だから、そういうところで養成された人っていうのが昔は大人気だったわけですよ。

自分で考えて動ける自走型になれ

真田:ところが、もはや正規戦をやらなくなっています。大手企業といえど、ゲリラ戦がいろんなところで展開しつつある中で、やっていけなくなってきました。

ジャングルに6人のチームで、ポトンと落下傘かなんかで落とされて、あとはそこの目的地を破壊して無事に生還しろって言われたときにどうしたらいいか。

次の命令なんかいちいち待っていられないから、その場その場で判断して、自分たちで考えて戦って生き延びて、食べものがなくなったら近くの動物を殺して食うとかしながら生き延びて、目的を遂行しないといけない。

ゲリラ戦ってこういうものですよね。そのときには自分で考えて、臨機応変に対応しなきゃならない。持ってきた食べものがなくなったら、罠を仕掛けて動物を捕まえて食うとか。

その都度、それなりに考えながら動いていくことに、全体のパラダイムが変わってきているっていうのが大きな流れですよ。

どこの会社であれ、多かれ少なかれ、こういうパラダイムシフトが起きています。正規軍で10万人の陸軍部隊が一斉に行進しながら戦いに行くみたいな時代は、もう30年前くらいに終わっています。

だから、求められる能力っていうのは、教えられたことを教えられた通りにやるとか、命令されたことを命令された通りにやるとか、そういうのではないと。自分で考えて動ける自走型で、どうやってやっていきますかということです。

今後、どんどんAIなどのテクノロジーが進化して、いずれは車に運転手のいらない時代が来るわけですよね。勝手に車が走って、勝手に目的地まで届けてくれると。カスタマーサポートセンターも、昔は一人ひとりが考えてやっていたのが、AIが答えてくれるようになる。考える人がいらなくなる。

昔は職人が熟練の技でつくっていたものが、どんどんロボットに置き換わって、工場のラインでもロボットがはんだ付けしているような時代になって、職人っていう職種が日本からぐっと少なくなったみたいに。

次はオフィスワーカーも同じように、AIとかに置き換わっていきます。そういう人はいらなくなる時代っていうことで。自分で考えて動けるっていうことが、おそらくこれからの時代、どこの会社であれ一番求められることなのかなあと思っております。めっちゃ長い話をしてしまいました(笑)。

大池:さすが総代!(笑)。ありがとうございました。

仮説思考力があるかを試す「水平思考クイズ」

前田:えっと、僕からは3つ話していいですか? 1つは、すごい大事にしているんですけど、仮説思考力ですね。「頭がいい」っていうのにもいろんな要素があると思うんですよ。すごい知識量が多いとか、芸人みたいに、当意即妙で気の利いたことが言えるとか。いろんな頭の良さっていうものがあります。

うちの会社がすごい大事にしているのは、仮説思考力が高いっていうことです。「仮説思考ってなにか?」っていう話なんですけど、それこそ面接とかで、たまに僕が出したりする「水平思考クイズ」って知ってます?

大池:すみません、存じないです。

前田:知ってる人います? 最近は最終面接に来る前に仮説思考が高くない人はドロップアウトすることが基本になっているのですが。話をしていて、「あれ? この人、仮説思考弱そうだな」って思ったときに限り、出題しています。試しに大池さんにやってみていいですか?

大池:あ、僕に。すみません、僕、苦手そうだ(笑)。

前田:一番簡単なのを言ってみます。たぶん知ってる人もいると思うんですけど。いまから僕があるストーリーを話すので、それがなぜかっていうことを考えてほしいんですけど。

なぜかっていう答えを見つけるにあたって、僕になんでも質問をしていいです。僕はイエスかノーかだけ答えるので、その質問の答えを聞いて、早く答えにたどりつけるかどうかっていうのがクイズのやり方なんですけど。

大池:はい。

前田:「ある男がバーに入りました。そこで『お水をください』と言いました。『お水をください』って言ったんですけど、店員さんは男に銃を向けました。男は『ありがとう』って言ってお店を出ました。なぜでしょうか?」

っていう問題なんですけど。なんだと思いますか?

高速でいくつもの仮説を立てられるかどうか

大池:難しいですね……。その男の人の服装が変だからですか?

前田:んっ、変ですか? いや、違います。

大池:違います? なんだろうなあ? 

前田:もし変だったとしたら、どういうストーリーなんでしょう? 仮に変な服装だとして、なぜ「水がほしい」って言ったっていうストーリーになるんですか?

大池:あ、えっと、すみません。そこまで深く考えてなかったです。

前田:これが仮説思考力がない人の典型的な答えです(笑)。

(会場笑)

大池:ごめんなさい、バカなんで(笑)。

前田:いえ、ぜんぜんぜんぜん(笑)。このクイズが何かっていうと、その男が「水をほしい」って言ってる理由が「もしかしたらこういうことじゃないか?」と、ストーリーを高速に組み立てられる人が「仮説思考力の高い人」っていう話なんです。

例えば「その男は喉が渇いていました」って、単純に思うじゃないですか。喉が渇いていて水がほしいって言っているのかと。それは違うんだと。じゃあ、そのとき植物を飼っていて水をあげたかったのかと考えるかもしれません。もしかしたら外で火事があって、水をかけたいのか、とか。

なんでもいいんですけど。こうやって高速に何個も仮説が立てられるっていうことがすごく大事だと思っています。