大企業 vs スタートアップの二項対立ではなく「どう生きたいか」から考えるこれからの働き方

第2部 #2/2

2018年3月29日、株式会社DMM.com本社オフィスにて、大手IT企業からスタートアップへとキャリアを進めた3人の経営メンバーとDMM片桐孝憲氏によるトークセッション「DMM.com片桐社長とU-25経営陣が語る『今スタートアップに行く理由』」が開催されました。モデレーターを根岸奈津美氏にバトンタッチした後半部のパートには、DMM.comの片桐社長が登壇。前半に引き続き、Lovegraph吉村創一朗氏、Graffity大野将希氏、Flamingo牟田吉昌氏も参加の上、それぞれのキャリアについてトークセッションが繰り広げられました。(写真提供:ラブグラフ)

スタートアップのほうが実績を出しやすい

片桐:もっと言うと、スタートアップのほうが実績出しやすいから。

根岸:わかります。

片桐:超簡単だと思う。大企業で実績を出すよりも、スタートアップで実績出すほうがめちゃくちゃ簡単だから。というかもう基本的にダメだから。スタートアップはダメなことだらけだから。「なんでこれやってないんだろう?」「これなんでやってないんですか?」「えっ、そんなんあるの!?」っていう感じだよね。

万能でもなければ、経験もあんまりないし、なんかそういう中で自分の「これ普通こうじゃないですか」ということへの気づきだったり、経営の決定だったり、いろいろするから実績が作りやすいよね。「じゃあやってよ」ってなっちゃう。

根岸:確かにそうですね。

片桐:事業やっていると、こうやって説明会するじゃん。そうすると学生が、「これやったら勝てるのに、なんでやらないんですか?」って言われちゃう。

「俺もわかってる、それは」ってなって、わかってたり、気づかなかったりするんだけど、どっちもあるのね。「じゃあやってよ」「うち来て、じゃあやってくれたら、別にやってもいいから……」「事業を伸ばすんだったら、これなんでやらないんですか?」「うーん、じゃあやって」というのが簡単に言えるのがスタートアップだよね。

赤字でもOKとなるのがスタートアップの特徴

片桐:僕らとスタートアップの違いは、基本的には収支を見なきゃいけない。ここで、1億とか10億でも、使ったら3年後、5年後には絶対黒字化しなきゃいけない。

やるんだったら、その収支が合うような計画、やり方が必要だから、とりあえずぶっこんで膨らませてユーザー増やして、以上。それではダメなんですね。「そこからどうやって収益化するんですか」が問われてくるのが事業の難しさです。

例えばスタートアップの場合、下手したら、ユーザーが1億人いますっていったら、もうド赤字でもなんとかなると思う(笑)。

根岸:なります。「え、すごいじゃん!」とか言って。

片桐:うちはユーザー10万人でも黒字だったらそっちのほういいという。そういう考え方になっちゃうから、赤字でもOKとなりづらいのがスタートアップとの違いですよね。マインドの違いというか。

根岸:今日ここにいらしているみなさん、すごいラッキーだと思っていて、私ずっと大企業にいたので人と人とちゃんと向き合って、なにか事業を作ることがあまりないんですね。「スタートアップを見つけるの難しい」みたいな話してたんですけど、まさにそうだなと思っていて。こういう登壇してるみなさんの話を聞けて懇親会もすごいラッキーだと思うんです。

スタートアップに行くにしても最初から行くべきなのか

根岸:終わりまであとちょっと時間あるので、質問を受けて自由に答えてもらうみたいなのをやろうかなと思うんですけど。質問したい人、なんか挙手していただけませんでしょうか?

質問者1:お話ありがとうございました。今、私は大学4年生を休学して、スタートアップにジョインして社長と2人でやってるというステータスなんですけど。

根岸:すごい!

(一同笑)

質問者1:私の悩みとしては、大学にとりあえず戻るんですね。4月に4年生になるんですよ。大学行きつつ、スタートアップの正社員なので、そっちもフルに働きつつやっていこうかなと思ってるんですけど。

今みなさん3人とも大企業を経験してるじゃないですか。そのキャリアを聞いて、片桐さんも最初に「良いキャリアだね」っておっしゃったと思うんですよ。

私も、今スタートアップで最初働いていて、自分がどんどんめちゃくちゃな人間に成長してるんじゃないかみたいなのを思ったりして。「めちゃくちゃ」というのは、いわゆる常識みたいなものがあまりついてないような気はしていて、型破りな方法でずっとビジネスをやっている気がするので。

この状態で万が一スタートアップがうまくいかなかったとして世の中に放出されたときに、「自分どうなっちゃうんだろう?」みたいな不安があるんですよ。

(一同笑)

もしかしたら大学4年のときに大企業にもう1回就活みたいのをやるのも選択肢としてありなのかなというのを今考えていて。そのあたり、みなさん大企業の行かれてやっぱりよかったと思ってるのか、それとも行かずに最初からスタートアップ行ってればよかった、みたいな。

見た目の経歴だけでビッグオファーが来ることもある

片桐:本質的に難しいのは、生きていく力とそういうことはあまり相関関係ないんだけど、採用でいうとわかりやすい。だから、新卒で有名な会社に入ってスタートアップの経営陣に行くことは、キャリアパスとしては僕はすごいあると思う。

スタートアップにはとりあえずすごいキャリアの人、来ないから。

大企業で1回チャレンジしてみることにも価値がある

根岸:ちなみに、それなりの大学で新卒だったら、どこに行くのがおすすめなんですか?

片桐:僕だったら起業しちゃうからなぁ。

(一同笑)

根岸:答えてない(笑)。

片桐:DMMか……。そういう意味で言ったら、真っ当な人間に最近会うようになりました。本当にこんなにいい人がたくさんいて、頭がよくて、真っ当な人が多いなと思ったのはGoogleだね。

世界最高の会社ってこういう感じなんだなと思った。ちょっと感動したね。Googleはそういう人が多くない?

大野:すごい良い方多いし、本当にすばらしい人が多い。

片桐:多いよね。そう、ちゃんとしてるんだよね。普通に。

大野:なに聞いても答えられるみたいな。

片桐:そう。なんかもう「ああ、なんか、すごく!」みたいな。

大野:おっしゃるとおりですね。

質問者1:どうもありがとうございます。

片桐:(吉村氏に向かって)いや、今の質問に喋らなくていいの?

吉村:いやいや、もう大丈夫ですから。ぜんぜん。

片桐:答えておこうよ。立場もポジション違うから、そこはやっぱり言わないとおもしろくないから。

吉村:そうですね。僕は自分がLINEに入って正解だったなと思ってるし、それは人によっても違うかなと思ってます。

片桐:こんな金髪でピアスつけてる人はLINEにいなかったら信用できないですからね。マジでLINEの信用をもらいながら信用を作ってる(笑)。

(一同笑)

吉村:そうですね(笑)。僕の場合、人生1度は大企業やメガベンチャーで挑戦してみたいなと思って。自分で起業するかスタートアップにジョインして、世の中から自分や会社へのレピュテーションを掴んでいくほうが、下手したら、大企業の中で上司や経営陣から信頼を得るよりもわかりやすく簡単かもしれない。

それに関しては、LINEに入社してからなんとか築き上げました。2年くらい在籍して、やりたいこともバンバンやれたので「もうやることないな」と思っちゃったんですよ。

でも、IT企業の中ではイケイケだった会社がどういうやり方でプロダクトを作っていて、それこそ本当に最初にLINEを作っていたチームのメンバーの近くで座って仕事ができたんです。そこからどうやってこのMAU2億までのサービスに伸ばしていったのかというナレッジを学べるという意味では本当によかったですね。

片桐:それはいいですよね。スタートアップの人で、大企業というかLINEみたいな会社でも、そのレベルの人たちと一緒にできるんだったらめちゃくちゃおもしろいと思う。

吉村:そうですね。

自分が「楽しい」「気持ちいい」だけがキャリアではない

吉村:それ以外の会社だったら、今はDMM以外の会社はあんまりいく必要はないのかな。

根岸:(笑)。

片桐:おお、いいね!

吉村:自分の原体験をもとに「こういう会社行きたいです」という人は、大体は妄想で作り出しているだけかなと。真に強い原体験で「これやりたいです」っていうのはすごくわかりやすい。それはやるべきだと思う。

一方でまやかし、そこに入社したいがために作り思い込んだ原体験をうまく紡いでいくみたいな作業って本当にクソだなと思っているので、そうでなければ、広い事業ドメインを持っていて、それこそもう社長が「いいね。やれ!」「やって。何億!」っていうような会社以外は、正直行く意味ないと思っています。

根岸:ありがとうございます。

世の中を効率化するよりも豊かにする動きになる

質問者2:今みなさんそれぞれプロダクトやサービスをやってると思うんですけど、「写真」「AR」という技術ではなく、どういう要素があって、どういうモチベーションがあって、そういうの全部含めてキーワードだとします。

これから2〜3年以内に来るだろうと、個人的にみなさんが思っているキーワード、みなさんが今やっていることじゃなくても、思っていることがあればそれを聞きたいなと思います。

根岸:なぜそれを聞きたいのを教えてもらってもいいですか?

質問者2:それをどうしてそう思うのかという、そこの間の思考プロセスというか、それを知りたいというのと、単純に参考にしたいというか、気になるので聞きたいです。

根岸:それは例えば、転職するとしたらどういうキーワードのところへ行ったほうがいいな、みたいな感じなんですかね。

質問者2:本当に単純に興味関心です。好奇心です。

片桐:そういう意味で言ったら、普通に考えたら、普通というかうちもやってるんだけど、1個は「AI」ですね。スマートコントラクト、ブロックチェーン、あと二次流通市場かな。あとなにかありますか?

根岸:出張撮影。

片桐:出張撮影は、うちは実家が写真館だったので、それと重ねてしまうから難しさを感じちゃうかなぁ。

(一同笑)

もう1個は単純に世の中を効率化することじゃなくて、世の中を豊かにするような、そういうサービスや事業というのはより重要になってくるんじゃないかなと思っています。

「効率化する」「速くする」「安くてする」とかは、「そんなのはけっこうどうでもよくない?」という話に逆になってくるんじゃないかなというのはあって、効率化と関係ない、どうでもいいけど楽しいものに興味があるかなぁ。

根岸:(笑)。

エンタメの価値は上がるが、デジタルコンテンツの値段は下がる

片桐「生活を豊かにする」ってキーワードって、たぶん何年か前にシリコンバレーの経営者たちがそういうサービスを作ったことがあったと思うんだけど、日本の金持ちたちは、そういうところに目がいかなかったんだね。

むしろクリエイティブとか生活を豊かをするような、効率じゃなくて、安いとか速いとかじゃなくて、そうじゃないところに価値を見出してくることのほうが価値があるんじゃないかなって思っていて、それで今度試してみようかなという感じです。本当は速いやつでもいいからね。便利さの追求って、あんまり僕的にはおもしろくないと思います。

根岸:いかがですか?

大野:いろいろ注目している分野はあるんですけど、個人的にARに張っているというのもあって、1つはARというところです。それ以外でいくと、個人的には、余暇はそれこそ質の高い時間、めっちゃ楽しみたい、もう単純に楽しい時間を過ごしたいというのが今後大きくなっていくんじゃないのかなというのを考えています。エンタメという領域はすごく注目していますね。

片桐:ほとんど同じじゃん。

大野:いや、けっこう違う。

(一同笑)

そうじゃないんです。けっこう違います。人工知能が進んでいくというところで単純な作業であったり、今まで単純にマンパワーでやっていたところがどんどん置き換わっていくというのを思っていて。

そうなった余剰時間というのはどこに当ていくんだろうってなったら、友達と話して楽しい、映画見て楽しい、それこそDMMさんみたいなコンテンツがあってそれを紹介するみたいなところって、今後なんかいろいろできることがあるんじゃないかなというのを考えていて、そこですかね。

片桐:もう1個言うとね、情報やデジタルコンテンツというのはどんどん安くなっていっているから、価値は高まってるんだけど、値段は下がってるんだよ。

例えば、20年前だったら、1個の映画を家で見るのにレーザーディスクを買って、1万円とかしたんですよ。『Back to the Future』見るのにね。今はたぶん月2,000~3,000円払えば、1個じゃなくて無限に見れてしまう。

エンタメの価値は超高まってるんだけど、デジタルのコンテンツの値段がすごく下がってる。だから、どうそれを取っていくかは、価値は上がってるんだけど、値段は下がってるよね。

そのサービスに「Google Analyticsで見れない時間というのはどれぐらいあったんだろう」を考える

大野:なるほど。どうやってマネタイズとかしていくのがいいんですか? プラットフォームみたいのを作るのがベストみたいな感じだったり?

片桐:僕が注目しているのは、消費は時間の奪い合いですよね。クオリティが高いコンテンツは無限に出てくる。むちゃくちゃおもしろい。それはそれで儲かるんだけど、次なにやるかと言ったら人々はおもしろいものを見たら自分で作りたくなるのよ。

むしろ僕がpixivをやっていて思ったのは、単純にpixivの閲覧時間、MAU、そういうものだけじゃなくて、このpixivのために描いた絵ってあるじゃないですか。pixivのキャラクターやそれ以外に投稿しても意味がないものってたくさんある。そういうユーザーがこのサービスやそのブランドのために費やした時間も考えながら作りましたね。

大野:なるほど。

片桐:だから今あるものを適当に観察するんじゃなくて、なにかこのコミュニティ、このサービスに「Google Analyticsで見れない時間というのはどれぐらいあったんだろう?」って想像しながらサービス作っていく。そういうふうに作ってきたからデータじゃわからないものを見る。

でも、それはクリエイティブというか、投稿されたものを見たら「これってpixivしか通用しないよね」。通用するというか、仕事で書いた絵をアップするわけじゃなくて、「このために描いてね」って。僕が重要視したのは、ユーザーが企画して、「ハロウィン、魔女の絵を描きましょう」、ユーザー企画というのをすごく重要視してたのね。

ユーザー企画ってpixivに投稿することによって意味が出てくるから。。そういうものを、上手い、下手じゃなくて、それ描いてくれたユーザーどんだけいるか、その作品を作るのにどんだけ時間かかったんだろうなというのを想像しながら、描いてるユーザーはわかると思うんですよ。(描いた)枚数とか、そう見てくれる。

そういうユーザーが増えてくることのほうがサービス価値上がる。データじゃわからないものっていうのを重要視して作ってきましたね。大野:めちゃくちゃ勉強になりました。

片桐:(笑)。

お金ではなく心の動きやエモさで評価する時代

吉村:僕は体験の共有がこれからもっと盛り上げあると考えています。、USではAirbnbのエクスペリエンスは500パーセントぐらい伸びている。

なにが起きるかというと、エコノミクスは合理性と均質性を追求します。例えば旅行のパッケージを旅行代理店で申し込めば、だいたいどこでも均質なサービスを受けることができることに価値を感じる時代から、お金じゃ買えない体験を手に入れることに価値がどんどんシフトしていくと。

片桐:旅行いいね。旅行いいよ。

吉村:旅行が大好きなんですよ。40ヶ国ぐらいバックパックで旅してて、自分の家もAirbnbで60回ぐらい貸したりしてるんですけど、そこで出会って「おい、飲み行こうよ!」みたいな経験って、やっぱりお金じゃ買えないです。

片桐:めっちゃいい。

(一同笑)

吉村:合いの手が出ました(笑)。Airbnbなどの体験を共有するサービスが成功事例を作ってくれたから、それに乗っかって増えてくるものってたくさんあるなと思っています。宗教や科学みたいなものが生み出していった、近代的な自我や資本主義みたいなことが評価主義みたいなところで塗り替わっていく。

要するに「自分の心がどれぐらい動かされたか?」みたいのが大事。お金がたくさんあることだけが幸せじゃなくて、Lovegraphみたいなエモさで人の気持ちを動かしてるとか、そういったことのほうが大事になってくる。体験の共有は、例えばごはんを作って他人と食卓を囲むとか、、そういうのがもしかしたら当たり前になっていくんじゃないかなと思っています。

片桐:Lovegraph、今の話聞いて、成功するんじゃないかなと思ったの。

吉村:ありがとうございます(笑)。

片桐:旅行のクオリティを上げうる可能性があるよね。だから、普通に旅行行くときに、そこで適当に写真撮るだけじゃなくて、そこに呼んで動画でも画像でもちゃんと記録されるということをできうるサービスだから、なんかうまくいきそうだね!

吉村:ありがとうございます。

片桐:すごくうまくいきそうだね! そう考えると、単純にカップルが、写真撮り合うとかっていうのは、あんまり僕はやってたことないからピンと来ないけど、旅行に行ったということをよりパワースーツみたいな感じで、わかる? パワーアップさせる行動? 行動というか、なんだろうな、サービスだと思うと、めっちゃいいね!

吉村:ありがとうございます。

片桐:めっちゃいいよ!

吉村:ありがとうございます。Lovegraphをプレゼントさせてもらってもいいですか?(笑)

片桐:ちょっとそれは考えておくけど。

(一同笑)

吉村:はい。ありがとうございました。

入国管理局のデータよりも信頼できるものを求めて

片桐:例えば、友達と京都に行ったときに、Lovegraphを呼んで、適当にスマホで撮った写真じゃなくて、いい写真を撮ってもらったほうが、結果的におじいちゃんになったときに「あの時、俺たち若かったね」みたいな話になるから、すごくいいと思うなぁ。

吉村:ありがとうございます。

片桐:その会社もそうだけど、非日常はみんな写真撮るんだけど、日常は撮らないから。日常の写真をどうやって撮ってもらうかというのを考えたほうがいいと思う。むしろそっちのほうが思い出に残るからね。

吉村:ありがとうございます。あとで代表の駒下と話します(笑)。

牟田:僕はテーマ違うんですけど、社会課題を解消できるようにテクノロジーを使いたいと思っていて。日本にいる外国人って、ビザが謎の理由でrejectされるんですよ。そういうところでビッグデータを使って、もっと彼らが信頼されることを証明できることができればすごいいいなと思っています。

うちの会社は外国人の方が多いんです。謎にこのビザが降りないみたいな。だから帰国しなきゃいけない。それで、例えば彼らがFlamingoでデータを活かして、「彼らがちゃんとしてますよ」という証明するために、そういうテクノロジーを使って活かしていきたいなと思っていますね。

逆に今データも量もどんどん高まっていって、AIの話もそうなんですけど、不合理というと変ですけど、アナロジーな社会課題を解消していく。それとルールも変えていく。

変な話、「入国管理局の方よりもこのデータのほうが信憑性高いね」と。彼らのほうがいいから、この人がもっと長くいれるんだ。ということに興味がありますね。エンタメとは違った話なんですけど。

片桐:まぁどうでもいいや。

「10億円が欲しいか、10億人が使うサービスが欲しいか、どっちか選べ」

質問者3:来月、深圳行ってくるんですけど、「ここ行っておけ」みたいなおもしろい場所とか教えてください。

片桐:もうひと言でバーンと。

牟田:深圳のキャッシュレスを感じてほしくて、電車乗りまくってほしいんですよ。PASMOが小さいビーコンになってて、それをキーホルダーに入れるんですよ。それを使うとほぼほぼ(市内を回れる)……。

片桐:どこで買えるの?

牟田:駅に行ったら買えます。深圳の駅行ってもらって、電車乗って行ってほしいんですよ。財布持っていかないで、ただそれだけ使ってほぼ全部買えますから。

片桐:それはクレジットカードを利用するの?

牟田:連携してますね。

片桐:へえ。どうぞ、次。2個目、その。

質問者3:今19卒で内定先があるんですけど、その内定したときの1年間ってどう考えて過ごしてたのかなと思って。それをちょっと……。

片桐:じゃあGoogleの(笑)。

大野:僕は当時起業していたので、Googleに行くのか、起業した会社を続けていくのかでめちゃくちゃ悩んでましたね。結果、Googleを選んだんですが、そこに至るまでいろんな方にお会いしていました。

お会いしたあるGoogleの方に「お前、2つ選べ。」「10億円が欲しいか、10億人が使うサービスが欲しいか、いまどっちか選べ」と言われてかなり印象的でした。

片桐:かっこいいなぁ。

大野:その質問を投げられたときに、「僕は10億円よりも10億人が使うサービスを作りたい」という思いがあって、「10億人が使うサービスです」と言ったら、「であれば、お前はGoogleに来い」「世界中どこ見ても10億人が使っているサービスを何個も持っているのはGoogleしかない」「その組織の内側から見える世界がどうなのかを知らずして、お前が作れるわけがないだろ」。(大野氏は)「Googleに行こう!」って思いました。

片桐:行きます!

(一同笑)

肚が決まっていないならスタートアップには行くな

大野:ポジショントークだった可能性もありますよ。どちらを選んでも「Google来いよ」って言われた可能性はある。

根岸:はい。

片桐:今のいい話だった。

質問者4:今、学生の方は新卒で大企業に行くか、スタートアップにしょっぱな行くか、どちらか迷っている方がいらっしゃると思います。

お金の話はシビアなところで、今日の話だと大企業を経由したほうがいいと僕には聞こえたのですが、なにか腹が決まっていない学生の方にメッセージをいただきたいなと。

大野:腹が決まっていないというのは、スタートアップに行きたいけど、最後のひと押しが足りない?

質問者4:そうです。

牟田:腹決まってなかったら、たぶんスタートアップ行かないほうがいいんじゃないですか、個人的に(笑)。

片桐:そうだね。

牟田:そうだと思います。

片桐:あとね、大企業入るの難しいから。

根岸:そう。

片桐:スタートアップは簡単に入れるからね。その違いはありますよね。だから簡単に入れるところで実績作ってもっとやるか。そもそも、大企業入るの難しいから。

僕はスタートアップに行くのがすごく楽でいいと思うんだよね。簡単に入れるし。面接でたくさんするより、すぐ入れるところ入りたいという。

認識をすり合わせるというよりは壁打ちをして恐れず言い合う

質問者5:お話ありがとうございました。お三方とも途中で、もちろん創業から関わっている方もいらっしゃると思うんですけど、それからジョインしていると思っていて。その際に経営者層の方と認識のズレみたいのをしっかりと合わせる必要があったのかなと僕は思ったんですね。

これを質問した背景としては、今週リリースあったんですけど、担当してたサービスが事業譲渡しました。その際に前に担当してた人の業務を自分が担当する際に、どういうコミュニケーションを意識して、自分の担当する業務を引き継ぐようになったのかみたいな背景をうかがえればと質問させていただきました。

片桐:良い質問だね。

牟田:どう引き継いだのかっていう話ですかね?

質問者5:はい。単に引き継ぐというよりも、お三方ともボードメンバーなので、いわゆるビジョンとかアイデンティティみたいなところをしっかりと認識しないと絶対難しいと思うんですね。そのズレをどう埋めていったのか。あるいはそのビジョンを同じ方向に向かうためにどういうコミュニケーションを意識したのか質問です。

牟田:僕、答えになるかわからないですけど、過剰なコミュニケーションじゃないかなと思っています。認識を揃えるという意味ではけっこう量をこなしていました。

ビジョンに関しては、どちらかというとすり合わせるのではなくて、自分から考えていってそれを壁打ちしていくようなものかなと思っていて。「僕はこう思うんだけど、どう思う?」というのをひたすら壁打っていくことで、気づいたらそのビジョンもすりあわせていくだろうし。

たぶん自分が作っていくスタンスがすごい重要かなと思って。なんかすり合わせにいくのではなく、「こう考えてるんだけど、どう?」みたいのを聞きまくるほうが、今のご質問には、そういう答えになるのかなとは思ってますね。

基本的に「どうしたらいいのか」というのを考える前提じゃなくて、「僕は作るんだけど、これで間違ったらごめん」って言って、指摘してもらう。指摘を恐れないほうがずっといいとは思います。

吉村:僕も対面のコミュニケーションかなと思ってまして。ほぼ日刊イトイ新聞の糸井重里さんが、毎週全社に向けて1〜2時間ぐらい自分の思いやビジョンを伝える会をずっともう何十年か、持ち続けているらしいんですけど、それがあると現場の社員はぶれないのかなって。

ビジョンってすごく行動指針になるんですけど、それが絶対に正しい!というものさえあれば、現場や他の経営陣との認識がずれないなと思って。

僕自身も、ジョインした時もそうだし、自分がCPOとしてプロダクトに責任を持っているので、必ず代表のビジョンをひたすら聞く。週に1回ランチに誘ってるんですけど、定期的に飲み会に行ったり、全部さらけ出してもらっていて。ビジョンをシャワーのように浴びるというのはすごく大事かなと思います。

根岸:ありがとうございます。

分析と論理だけではコモディティ化する

質問者6:お話ありがとうございました。テーマ1にちょっとかぶるんですけど、キャリアって二元論で語れないなって僕も思っていて、スタートアップか大企業かベンチャーか日系大手か、みたいなのじゃないなと思っています。

例えば、大企業でいうと19時にあがって、そのあとの時間ってもう自由じゃないですか。そうすると副業もできるような時代になってきて、働き方の前にたぶん生き方を考えなきゃいけないなという気がしています。自分の信条みたいな、「俺はこう生きていきたい」みたいなものを、みなさんのお声をお聞かせ願いたいです。

吉村:そうですね。さっきの話とかぶるんですけど、1つや2つくらい大きいことをしでかしてやりたいなって思いはあって、僕自身の信条は「とにかくやりまくって言いまくって失敗しまくれ」イズムみたいなものをすごく大事にしています。

大企業とかもしかしたらスタートアップでもそうかもしれないですけど、役職やルールやいろんな壁に守られて生きていくのはすごく簡単だなと思って、それをブリーチして新しいことに挑戦するとしたら、分析的・論理的な思考だとコモディティー化してできなくなってしまう。

だから、論理的な思考に縛られないでなんでもアーティスティックに挑戦したりアクトするとか、あとはアートな思考回路を持ってる人と一緒に協業してこそ、価値観を生み出せるとすごく信じています。

自分がやったことないこととかに挑戦していくイズムみたいのはすごく大事だし、回答になっていない気がしますが、そういう信条を大事にしています。

大野:信条ですよね。なにをやっていきたいのか、薄くなっちゃうんですけど、「直感的にそれをどう感じるか」をすごく大切にしています。なぜなら僕が僕だからという。もともと人はそれぞれであるなかで、今思ったことをどう直感としてそれに従っていくかが重要かなと。

信条があるというところで、それを現実的にどう落とし込んでいくかというのでいくと、選択肢がそれぞれ、例えばやるかやらないかで迷ったら、僕は絶対「やる」という選択肢を取りますね。やって後悔する。やらないで後悔するよりもやって後悔したいと思っているので、「やる」という選択肢を取ります。

やるとなったら、仮に難しいほうと簡単なほうがあったら、絶対難しいほうをとって、それがどうであれ、難しいことに挑戦したということのほうが、僕の信条的には、僕として生きたという証になるかなと思うので、その意思決定で今までずっと積んできたのがありますね。お答えになってますかね。

わくわくすることに対して与信する

牟田:信条ですか。難しいですね。僕はわりと自分がわくわくすることに対してすごくひたむくタイプで、そこは論理じゃないんですよ。正直、外国人、自分がバックボーンもあって助けたいという話があったときには、それ対して信条があるとすると、僕は2つかなと思います。

1つが、伊勢谷友介さんという俳優さんがいらっしゃるんですけど、彼がいいことを言っていて、引用すると「挫折禁止」というのが彼の座右の銘で、僕もそれすごい素敵だなと思っていて。自分が決めたミッションに対して、目的を果たすまでは挫折はしちゃいけない。でも、手段はいくら変えてもいい。

ただ、目的に関しては、本当に自分がやりたいと思っているのであれば、疑わないはずだし、その手段に対して疑いをするならそれを変え続ければいい。成功するまで挫折しちゃいけない。というのはすごいかっこいいと思うし、僕もそうしたいなと思っています。

もう1つ、弊社の金村に言われるんですけど、「けっこう良くも悪くも人を見て仕事してるよね」って言われて、良くも悪くも周りの人たちに対して、どうやったらこの人たちが僕と一緒にいてハッピーになれるのか、どうやったらこの人たちがもう1つ違った気づきができるのかを含めて。基本的にPeter Thielがすごい良いこと言ってたんですけど、「永遠に生きれるとしたらどう考えますか?」みたいな。

明日死ぬんじゃなくて、ずっと生きるとしたらずっとこの人と暮らすことになるんだろうし、その人を裏切らずに誠実に向き合うことがすごく僕は大事にしたいなと思っています。

そうすることで、たぶん複利的な話が出てきて、事業も僕が思わないところでよくなるだろうし、僕らも新しい気付きができるだろうから、その2つをすごい大事にしています。

根岸:はい。ありがとうございます。

なぜそこにいるのかを言語化できるのがスタートアップのよさ

片桐:どうですか?

根岸:今の質問ですか?

片桐:信条。

根岸:要は結局、大企業とスタートアップという二項対立じゃなくて、どういう生き方したいかっていう話だよねっていうところで、どういう生き方したいんですかって。

片桐:こうやってね、スタートアップって普通にみんな若いでしょ? 若いから、普通の会社で信条を問われないんですよ。「どうやって社会を良くするつもりですか?」とか問われないんだけど、スタートアップのおもしろいところは、ここが問われまくるから、なんとなく思ったことを言語化しなきゃいけないという機会がめちゃくちゃ多いから。

結局、お金で人って来ないです。自分の会社で働いてもらおうと思ったら、一緒にやろうと思ったら、優秀なほど「年収いくら出すから来てよ」と言っても来ない。そうなると、社会とどう向き合うとか問題をどうやって解決する、自分自身がおもしろい、なにかを持たなきゃってなったときに、こうやって問われたときにちゃんと答えられてたら、こういうことをスタートアップだなと思います。

(一同笑)

根岸:めっちゃいい話(笑)。

片桐:だからスタートアップに行くというのもそうなんですよ。ある意味、今までの価値観で言ったら、違う価値観だと思う。お父さんお母さんに聞いても意味がわからないんだよ。

そういうときに「なぜそれをやるんですか?」っていう問いがあったときに、「俺はこうだからこうだよ」っていうのを言い続けられる。そういう問いがあったときに、「いや、ちょっと僕わからないので、ちょっとスルー」とかはない。言われたときにやっぱり向き合わなきゃいけない。

「向き合わずにスルーしてもいい」っていう空気になるけど、ここはやっぱりちゃんと全員がちゃんと答えているというのがスタートアップの良さですよね。そういうのが言語化できてしゃべれて、できるようになるのがやっぱり成長だと思うのね。だから、そういうのはスタートアップが多いね。

(一同笑)

「いやー、言われたのでやりました」じゃないと思うんですよ。やっぱり僕もDMM来るんだったら、世界一最高の会社に変えようって思って来てるから。

そういう自分と自分のやり方も含めて、「こういう思想でやっていく」「こういう感じで社会を良くしていく」っていうものがないと、やっぱり納得できないと思うんだよね。優秀な人ほどね。

根岸:うん。

片桐:スタートアップはとくに、そういうことを問われやすいですね。大手の広告会社にいて「なんで広告会社にいるんですか?」と問われても「いや、なんか広告めっちゃええやん?」みたいな。

(一同笑)

広告会社の人そもそもほとんど会ってもないから知らないですけどね(笑)。そういう感じになりがちだと思います。スタートアップのいいところは、そうやって「なぜ?」と1回1回問われる。そういうのはスタートアップの良さだよね。

根岸:いや、めっちゃいいお話でした。今日は皆さん、どうもありがとうございます。

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1 「大企業が事業をパクっても同じ未来は作れない」DMM片桐社長が語る、スタートアップの強み
2 大企業 vs スタートアップの二項対立ではなく「どう生きたいか」から考えるこれからの働き方

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