2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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石見陽 氏(以下、石見):自分の会社は今90名くらいですが、20名くらいの規模のときに、社長直下に置いていたときにはお互いけっこうよくないところがありました。
「社長直下の人」が独り歩きしてしまって仮に実績が出ないと、お互いにいい気もしませんし、周りともマッチしないので、人員を定期的に必ず回すということが決まっているとすごくいいかもしれないですね。
岡島悦子氏(以下、岡島):いいですよね。組織設計の肝は「揺らぎ」なんですよ。
ヘルスケアなんかもそうだと思いますが、イノベーションを起こしていくときには固定化したら終わりなんですよね。そこから組織が陳腐化していくので、「いかに組織力を確保しながら人を入れ替えるか」や、ブラウン運動じゃないですけど「液状化」させるといった、「ちょっと人を動かす」とか、そこが肝です。
わたしは丸井グループの役員もやっているんですけれども、丸井ではたぶん40パーセント以上の人が機能をまたいで異動していますね。お互いのことをよくわかっているから。
井手直行 氏(以下、井手):それが「揺らぎ」ってやつですか?
岡島:「揺らぎ」です。これは札付きの組織設計のようなものですが、要は新しいものを作っていくときにはなるべく遠くのものと遠くのものを掛け合わせることがイノベーションを生むので、そういう意味ではどこかで揺らがせておかないといけません。きっちり固定化すると、そこでたぶんもうその組織は朽ちていきますね。
井手:ぼくらも最初30人40人くらいのもっと小さい規模のときは、とある人が異動しちゃうと事業に大幅な支障をきたしてしまう状態でしたが、段々150人くらいに増えてきたところで、短い人は2年くらい、多くはだいたい3年くらいで異動するようにしています。
加えてこの異動は、本人の希望を尊重しながら、製造部門からいきなりマーケティング部門だとか、マーケティング部門からいきなり出荷部門だとか、大胆に行っています。
私たちのおもしろいところは、その仕事に就くとだいたい2年から3年はその仕事がメイン業務となりますが、業務のうち7割ぐらいは通常業務で2割ぐらいはプロジェクトに充てているんですよ。
石見:おぉ~。
岡島:すごいいいですね。
井手:そのプロジェクトもぼくらのやり方でいくと、会社の全体戦略がこうあるわけですよね。その方向をみんな見ていくわけなんだけれども、どうも自分のチームだけでは人数が足りないとか、いろんな人の知恵を借りたいっていうときに、誰かが課題を感じたら、「こういう課題があって、これを解決したいので一緒にやってくれる人いますか?」って言いますと、「はい!」「はい!」「わたしも!」「わたしも興味がある!」なんて誰の承認も得ずにプロジェクトチームがぶわーっと発足し、解決したらばっと解散するんです。
岡島:すごくいいと思いますね。おそらくみなさんもOKRやMBOといった目標管理をやっていると思いますが、ついついやっちゃうのは「20パーセントルール」と言って、時間の20パーセントを手挙げの隙間にしようとすると、実は80対20にならずに100に乗せて、全体で120パーセントになっちゃうということがすごく多くて。
岡島:とくに今、井手さんが言っていた「手挙げの文化ができる」ことが非常に重要で、「手挙げをやったほうが得だ」というストラクチャーにできるか次第です。
石見:長く経営された中で、ご経験された「人が辞めていったタイミング」ではそうではなかったかと思いますが、どのタイミングでみんなが一斉に手を挙げるようになったんでしょうか?
井手:社長になってチーム作りをしたときに、当然手は挙がらないしお通夜みたいな感じだったんです。中途入社の人間が全体朝礼やっているときに言っていた「うちの朝礼、お通夜みたいですね」という言葉がトラウマになっているんです。
そのときは、仕事が大きくなっていくと「これ3人ぐらいでやって」「5人ぐらいでやって」とぼくが指名していたんですが、うまく機能しなかったんです。その理由が、「やりたくない人間」が指名されていたからでした。
岡島:やらされ感でしょ。
井手:そうなんです。仕事が滞るだけでなく、「やりたくなかった」からか、さまざまな理由をつけて邪魔をする人が出てきたんです。邪魔をするんですよ、仕事を。妨害し始めたんです。
スキルの観点で上から「1、2、3、4」と4人集めてその4人に仕事を頼むのがいいと思っていましたが、1人でもそこで機能しない人や反抗する人が出てくると、まったく機能が止まってしまうことに初期のころ気付いたんです。悩みでした。そこで「スキルはないけどやる気はある人のほうがいいんじゃないか」と考えついたんです。
やる気のあるやつはスキルないけど、頑張って勉強するんですよ。頑張って問題を解決しようと終わるまでやるんです。それを繰り返していくときっとこの人のスキルは誰よりも上がっていくのに加えて楽しい。なので、1回手を挙げるように仕向けてみたんです。
「今まではぼくが指名して一番わかる人にお願いしていたけど、問題意識を持ったから変えてみようと思う。スキルも経験も関係なくやりたい人でやってみようと思うんだけど、どう? やりたい人いる?」なんて言ったら、ぽつぽつと手が挙がったんです。
石見:はじめからいきなり「わー」じゃなくて、はじめはぽつぽつと。
井手:ぽつぽつと。
井手:「手を挙げたいんだけど、今ぼくが手を挙げると自分のチームの人に迷惑がかかるから、どうしよう」みたいな顔がわかるわけです。だから事情を聞くんですね。
「君はみんなのメンバーの動きが気になって手を挙げてないんだ。大丈夫。その分の仕事は周りの人にサポートしてもらおう。君がこの仕事に2割3割ぐらい使うんだったら、そこはぼくが確保するから大丈夫だよ。そういう会社にぼくはしていきたいんだよ」と声をかけるところから始めました。
今はもう、本当は5人ぐらいでいいプロジェクトなのに「はい!」「はい!」「はい!」なんて、20人ぐらい手が挙がっているんです。
岡島:丸井グループでも、中期経営計画を作る勉強会や委員会の応募倍率は10倍なんです。すべての応募先から送られてきた論文を名前を隠して読むんです。そこに選ばれることがすごくよいというストラクチャーになっています。
石見:やりがいは当然だと思うんですけれども、なにかしらインセンティブはついてきたりするんですか?
岡島:給与のインセンティブはつけていないです。ですが、みなさんから承認されて「あのプロジェクトに選ばれたんだね」みたいな波及効果もあって、ここで井手さんの話のすばらしさがわかるんですが、「やる気」での突破力が一番大事だとわたしも思っているんです。
とくにベンチャーステージとかって絶対失敗するじゃないですか。「失敗するかもしれないけど突破する」というときには、やりたい人にしかたぶん力が出ないんですよね。だからそういう人を集めて横串のプロジェクトをやるのはすごく有効だと思います。
井手:ちなみにぼくの11月までのアシスタントの「ピーピー」という女性、ニックネーム制を採用しているのでそう呼ばれているんですが、入社1年目にしてアシスタント業務で全国を飛び回っているんです。うちは11月が期末なのでその少し前に全社員研修を行ったあと、同日の夜に「裏宴」という大懇親会を開いているんです。
余談ですがファン向けには「宴」っていうイベントもあります。それで、彼女あんなに忙しいのにその社員向けイベントで「わたし、リーダーやりたい!」って言うんですよ。「大丈夫か」と。あんなに忙しいのに。
岡島:いっぱいいっぱい(笑)。
井手:「やらせてください!」なんて言うんです。後半ぼくの仕事も忙しいのに一生懸命で、今日も「うわー、うわー」なんて言いながらやっていました(笑)。
岡島:若いから倒れないですよ(笑)。
井手:ですが本当に感動モノのイベントを作ってくれました。
岡島:すばらしい!
井手:過去トップレベルの非常にいい社内イベントを、リーダーとしてやってくれたのでかなり達成感があると思います。
岡島:やる気が凌駕しますよね、そういう意味ではね。
石見:採用のときに、パッションを一番にみるんですか?
井手:いや、採用はまた少し違っていて、簡単に言うと「優秀であること」と「僕らの経営理念にすごく共感してくれること」の2軸なんです。
優秀かどうかはぼくらの評価制度をそのまま採用面接のときに適用していて、うちの社内で評価するときと同じように3次面接まで面接官が評価をつけているわけです。
それは、社員と同じ評価軸でさまざまな質問をして、プレゼンさせて高得点を出す人はおそらく入社後も絶対に高得点を出してくるからです。あとは経営理念にすごく共感してくれる人ですね。
だいたいみなさん理論武装してきますが、そんなものはぼくからしてみれば2、3個質問するとぺらっとした薄い皮がばっとむけてしまうんです。「こいつ本当に共感しているな。すげえ!」という人しか採っていません。
岡島:やっちゃいけないシリーズでいうと。
石見・井手:シリーズ(笑)。
岡島:そうそう、シリーズいっぱいあるんですけど(笑)。
スキルが高いかどうか・優秀かどうかという軸はもちろん会社独自のものがあるので、石見さんのところと井手さんのところでそれらの軸は違っていて当然です。
もう少し踏み込んだ話をすると、「うちの会社にとって優秀」をどれくらい固有に確認できるか、なんです。そのうえ将来に向けての伸びしろがあるかどうかみたいなことも含めて、です。これが見抜けるかどうかが非常に大切です。
ただし「やっちゃいけないシリーズ」というのは、ここ(スキル)だけが合致していて理念みたいな部分に共感できない人を採ってしまうと絶対辞めますよね。セプテーニさんやAIGさんは今、ここを全部見抜けるようになってきています。
さらに言うと、「誰の下に入れると何年で辞めるか」というのがわかってきているんです。2、3年目の社員の育成がものすごく早いんですよ。戦力化が著しい。農耕民族系の上司の下に狩猟民族系の人とか入れるとすぐ辞めちゃう、といったパターンがわかるところが肝でしょうか。
井手:岡島さんの言っていることは、ぼくの経験からして「まったくそのとおり」なんです。数年前は軸が3本あったんです。ぼくらの評価軸で「優秀」、「経営理念に共感している」、あとビール屋なので「ビールが大好き」というのを入れていたんです。
そのうちの2つをとれたら合格にしていたんですよ。そのときの2つのバランスのときに完全にダメだったのが「経営理念の共感」がなくて、「ビール好き」と「優秀」があるという組み合わせ。みんな辞めていきました。
岡島:それでもほかのビール会社にいきますよね。
石見:そうですね。
井手:ビール会社に行ったり行かなかったり。
岡島:ヘルスケアもまったく同じで、「ヘルスケアが好きで大好きで」みたいなところだと辞めていきますもん。もっと成長するところや給与がいいところにみんな行ってしまいます。
井手:結局その「ビール好き」というのはあったらいいんですが、それよりも「経営理念に共感する」というのは、そもそもなにやらせても好きな人です。
例えば「ビール好き」を軸のひとつとしていたときにすこし厄介だったのは、ビールを造る仕事はするけれど、「バックヤードの出荷とか受注とかやったらもうわたし辞めます」となる人が出てきてしまったことなんです。
「ビール好き」であることに越したことはないですが、今はもう評価には入れていないです。
岡島:ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用っていうのがあって、これが難しいんですね。「ビールが好き」とか「ビール販売が好き」というのはジョブ型なんですよ。さっきの丸井グループでいうと「ファッションが好き」なので「丸井で働きたいです」みたいな感じです。
メンバーシップ型というのは「よなよなエールという会社が好きです」という型。この型でなおかつ「会社の理念に共感しています」という人なら、どの部門に行ってもできるんです。
井手:そうです。まさにそのとおりです。
石見:「会社が好き」というとき、基本的には長い間は過ごさないで1時間とか面接でやっぱりその辺判断するじゃないですか。実際にヘルスケアの領域って人の命にかかわることなので、理念が立てやすいんです。
岡島:たばこ会社とかに比べるとね(笑)。
石見:そうなんです(笑)。見分ける魔法の言葉みたいなものってないんですか?(笑)。
岡島:もうレファレンスを取りまくるしかないですよ、今の時代。本当に一緒に働いたことがある人に、「この人の働きぶりはどうなのか?」っていうレファレンスを、とくに上のほうのポジションは取らないとダメですね。
わたしはこれまで何万人も人材を見ていますし、相当目利きだと思いますが、1時間の面接くらいで「この人アルハラかな?」とか絶対わからないですね。みんなで飲んだりすればわかるのかもしれないですけど(笑)。
だからわからないこともたくさんあるので、8割方は見抜けるかもしれませんが、2割の見抜けない部分については、神様ではないので、そこはある程度仕方がない。なので、本当はちょっと助走期間があるといいんですよね。
例えば、経営者でCxOで入ってもらうときは、最初は社外のコンサルタントとして1年ぐらい一緒にやって、「この人とだったら絶対共感できるよね」となってから入ってもらうといったケースが多いです。現場の人は面接での採用で問題ないと思いますが。
石見:はじめは自分らも数名で始めて、優秀な人にしばらく手弁当で手伝ってもらっていました。いいタイミングになったらCxOとか役員として入ってもらう。それは確か聞きますし、いい形のテイクオフの仕方かなと思います。
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