経営理念への共感がない人は絶対採るな
「◯◯が好きだから」を採用の軸にしてはいけない理由

先輩起業家に学べ #2/3

Health 2.0 Asia - Japan 2017
に開催

2017年12月5日・6日の2日間にかけて、医療・ヘルスケアにおける最新テクノロジー(ヘルステック)を活用した先進事例を紹介する「Health 2.0 Asia Japan 2017」が開催されました。プログラム「先輩起業家に学べ」では、メドピア・石見陽氏、ヤッホーブルーイング・井手直行氏、プロノバ・岡島悦子氏の3名が、スタートアップが事業を継続するうえで直面するハードルについて語り合いました。

組織設計の肝要となる「揺らぎ」について

石見陽 氏(以下、石見):自分の会社は今90名くらいですが、20名くらいの規模のときに、社長直下に置いていたときにはお互いけっこうよくないところがありました。

「社長直下の人」が独り歩きしてしまって仮に実績が出ないと、お互いにいい気もしませんし、周りともマッチしないので、人員を定期的に必ず回すということが決まっているとすごくいいかもしれないですね。

岡島悦子氏(以下、岡島):いいですよね。組織設計の肝は「揺らぎ」なんですよ。

ヘルスケアなんかもそうだと思いますが、イノベーションを起こしていくときには固定化したら終わりなんですよね。そこから組織が陳腐化していくので、「いかに組織力を確保しながら人を入れ替えるか」や、ブラウン運動じゃないですけど「液状化」させるといった、「ちょっと人を動かす」とか、そこが肝です。

わたしは丸井グループの役員もやっているんですけれども、丸井ではたぶん40パーセント以上の人が機能をまたいで異動していますね。お互いのことをよくわかっているから。

井手直行 氏(以下、井手):それが「揺らぎ」ってやつですか?

岡島:「揺らぎ」です。これは札付きの組織設計のようなものですが、要は新しいものを作っていくときにはなるべく遠くのものと遠くのものを掛け合わせることがイノベーションを生むので、そういう意味ではどこかで揺らがせておかないといけません。きっちり固定化すると、そこでたぶんもうその組織は朽ちていきますね。

井手:ぼくらも最初30人40人くらいのもっと小さい規模のときは、とある人が異動しちゃうと事業に大幅な支障をきたしてしまう状態でしたが、段々150人くらいに増えてきたところで、短い人は2年くらい、多くはだいたい3年くらいで異動するようにしています。

加えてこの異動は、本人の希望を尊重しながら、製造部門からいきなりマーケティング部門だとか、マーケティング部門からいきなり出荷部門だとか、大胆に行っています。

私たちのおもしろいところは、その仕事に就くとだいたい2年から3年はその仕事がメイン業務となりますが、業務のうち7割ぐらいは通常業務で2割ぐらいはプロジェクトに充てているんですよ。

石見:おぉ~。

岡島:すごいいいですね。

井手:そのプロジェクトもぼくらのやり方でいくと、会社の全体戦略がこうあるわけですよね。その方向をみんな見ていくわけなんだけれども、どうも自分のチームだけでは人数が足りないとか、いろんな人の知恵を借りたいっていうときに、誰かが課題を感じたら、「こういう課題があって、これを解決したいので一緒にやってくれる人いますか?」って言いますと、「はい!」「はい!」「わたしも!」「わたしも興味がある!」なんて誰の承認も得ずにプロジェクトチームがぶわーっと発足し、解決したらばっと解散するんです。

岡島:すごくいいと思いますね。おそらくみなさんもOKRやMBOといった目標管理をやっていると思いますが、ついついやっちゃうのは「20パーセントルール」と言って、時間の20パーセントを手挙げの隙間にしようとすると、実は80対20にならずに100に乗せて、全体で120パーセントになっちゃうということがすごく多くて。

積極的な挙手文化で「やらされ感」を構造的に解決

岡島:とくに今、井手さんが言っていた「手挙げの文化ができる」ことが非常に重要で、「手挙げをやったほうが得だ」というストラクチャーにできるか次第です。

石見:長く経営された中で、ご経験された「人が辞めていったタイミング」ではそうではなかったかと思いますが、どのタイミングでみんなが一斉に手を挙げるようになったんでしょうか?

井手:社長になってチーム作りをしたときに、当然手は挙がらないしお通夜みたいな感じだったんです。中途入社の人間が全体朝礼やっているときに言っていた「うちの朝礼、お通夜みたいですね」という言葉がトラウマになっているんです。

そのときは、仕事が大きくなっていくと「これ3人ぐらいでやって」「5人ぐらいでやって」とぼくが指名していたんですが、うまく機能しなかったんです。その理由が、「やりたくない人間」が指名されていたからでした。

岡島:やらされ感でしょ。

井手:そうなんです。仕事が滞るだけでなく、「やりたくなかった」からか、さまざまな理由をつけて邪魔をする人が出てきたんです。邪魔をするんですよ、仕事を。妨害し始めたんです。

スキルの観点で上から「1、2、3、4」と4人集めてその4人に仕事を頼むのがいいと思っていましたが、1人でもそこで機能しない人や反抗する人が出てくると、まったく機能が止まってしまうことに初期のころ気付いたんです。悩みでした。そこで「スキルはないけどやる気はある人のほうがいいんじゃないか」と考えついたんです。

やる気のあるやつはスキルないけど、頑張って勉強するんですよ。頑張って問題を解決しようと終わるまでやるんです。それを繰り返していくときっとこの人のスキルは誰よりも上がっていくのに加えて楽しい。なので、1回手を挙げるように仕向けてみたんです。

「今まではぼくが指名して一番わかる人にお願いしていたけど、問題意識を持ったから変えてみようと思う。スキルも経験も関係なくやりたい人でやってみようと思うんだけど、どう? やりたい人いる?」なんて言ったら、ぽつぽつと手が挙がったんです。

石見:はじめからいきなり「わー」じゃなくて、はじめはぽつぽつと。

井手:ぽつぽつと。

しっかりサポートすることで「やる気」の突破力を引き出す

井手:「手を挙げたいんだけど、今ぼくが手を挙げると自分のチームの人に迷惑がかかるから、どうしよう」みたいな顔がわかるわけです。だから事情を聞くんですね。

「君はみんなのメンバーの動きが気になって手を挙げてないんだ。大丈夫。その分の仕事は周りの人にサポートしてもらおう。君がこの仕事に2割3割ぐらい使うんだったら、そこはぼくが確保するから大丈夫だよ。そういう会社にぼくはしていきたいんだよ」と声をかけるところから始めました。

今はもう、本当は5人ぐらいでいいプロジェクトなのに「はい!」「はい!」「はい!」なんて、20人ぐらい手が挙がっているんです。

岡島:丸井グループでも、中期経営計画を作る勉強会や委員会の応募倍率は10倍なんです。すべての応募先から送られてきた論文を名前を隠して読むんです。そこに選ばれることがすごくよいというストラクチャーになっています。

石見:やりがいは当然だと思うんですけれども、なにかしらインセンティブはついてきたりするんですか? 

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