2024.12.10
“放置系”なのにサイバー攻撃を監視・検知、「統合ログ管理ツール」とは 最先端のログ管理体制を実現する方法
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大室正志氏(以下、大室):(現場から業務フロー改善の提案をするのは)上の階層であればあるほど、効果がありますので。今、働き方改革としてたぶん、「やれ」と急に言われている人事の人など、キーマンのところにそうしたフローを行う。
あと、とくに日本の大きな会社の場合、上に通すときに効果的なやり方としては、そういった事例を言いながら「みんなやってます」と言うのが一番いいです。
質問者1:あー(笑)。
大室:ほかの会社もやってます(笑)。これで50枚の資料が1枚になる。
(会場笑)
僕が昔行ったある会社の後輩が、「産業医や産業医保健の予算がうちはすごく少ない」と言っていたんです。毎年のようにすごいプレゼン資料を作って、予算を確保しようとしてもいつも流されていた。
しかしある年、ワードで1枚だけ作って、競合他社数社と並べて「うちがこれだけ遅れています」と伝えた。その1枚で予算が下りたと言います。だから「みんなやってます」は、そのやり方はいいとは思いませんが効果があると思います。
質問者1:わかりました。ありがとうございます。
(会場拍手)
西村創一朗氏(以下、西村):非常にいいご質問をありがとうございます。「みんなやってますソリューション」が超大事ですよね。日本企業に効果てきめんですね。
質問者2:本日はありがとうございます。いろんな現場を選んできた中で、ストレス耐性が高い人や弱い人にはなにか特徴のようなものがあるのでしょうか?
大室:ストレスといってもですね、なんですかね。人間の中で、どんな側面においてもストレスがない人はほぼいないと思うのですよね。ストレスの種類にもいろいろあるのではないかなと。
例えば、強く上司から圧迫されものなど、いろいろなタイプのストレスがあります。これはたぶん自分のセンター試験の点数のようなもので、ここは強いけどここは弱いといったような。
だからたぶん……全体的にやっぱり、なにをやったってどこへ行ったって大丈夫な人はたぶんいるのですよ。どこへ行ってもなかなか続きにくい人もいるのです。
そこでまずは、そのストレスの傾斜配点を見極めるということですよね。例えば、センター試験だって、国語だけが苦手な人でも、別に国語が科目に入っていない大学を受ければ急に偏差値が上がるわけですよ。そうすると、その中の人は強く見えるという。
まずは、傾斜配点を考えることですよね。自分がなんのストレスに弱いのかということをちゃんと考えて、そのストレスがないようなポジショニングにいればストレス耐性が高く見えます。というのが1つですね。まずは自分の傾斜配点を考えると。
そして、ストレス耐性自体はですね、たぶんあります。会社のストレスに限るととくに、だいたい7割くらいがやっぱり上司、部下の関係なのですよね。その1つは上司のコミュニケーションに対してです。
メールなどでも、言ってきたことに対して必要以上にその言葉を強い調子で受け取っちゃう人はいるのですよね。上司は大したつもりはない。それを0.7掛けくらいで済ませるスキルをたぶん持っていたほうがいいのではないかと思いますね。
大室:上司の言葉の裏読み分析というのがあります。僕はこれをやるべきだと思っています。
「この人が強い言葉を言うその理由はなにか」という場合、だいたい1つ目はマウンティングですね。「俺の方が偉いんだぞ」と示すため。これには、マウンティングしたいわけだから、別に腹を見せておけばいいわけですよ。半年くらいですぐ飽きます。
(会場笑)
マウンティング上司というのは、「俺の方が偉いんだぞ」ということを示したがるのです。俺の方が偉いんだぞという立場が確定すると別にもう楽なんですよ。吉本芸人でいうと、サバンナの高橋(茂雄)さんのような感じで、最初から舎弟感というか、腹見せをしまくっていた。そうすると先輩は安心します。
そうやって俺の方が偉いという関係ができたら、あとから失礼なことを言ったりしても許されるのですよ。
あともう1つはですね、これもよくあるのですが「このハゲ〜~!!!」と言う感じですね。あれはどちらかというと、不安の表れなのですよ。自分が不安。この人自身が不安なのだなという。たぶん社長から「あれはどうなっているんだ?」と来たら、今度は自分が「どうなってるんだー!」と倍付けでくる。
そうであれば、不安の要因を知る。「この人が今なにを不安に思っているのか」ということを先回りして「あっ、これはこうで、この件については〇〇さんの了承をとっています」とするのが有効です。
ようするに、目の前の人が、マウンティングしたいのか不安なのかなど、同じ言葉1つとってもそうやってちょっと自分の中で変換経路を作って、少し衝撃をやわらげる。これはよく感情労働者という人がやるのですが。
特にマウンティングしたい人に部下が対抗すると、ますますマウンティングしてきます。本来はいい行為ではないかもしれませんが、身を守るためには早めに腹を見せて、上司を安心させた方が無駄な体力を使わずに済む場合も少なくありません。
今現場で起きている事象に関しては、「そもそも論」「原理原則論」は無力だったりしますので、やり過ごす方法も選択肢に1つに持っていく構えは大事ではないかと思います。
看護師さんや旅行の添乗員さんもそうですね。いきなり人の感情をボコーンッとぶつけられるでしょう。コールセンターもそうですね。そのときに、いちいち(ストレスを)もらっていたら耐えられないじゃないですか。飛行機の中でもCAさんにめちゃくちゃクレームを言ってくる人がいますよね。
そういうときにはベテランのCAさんはそのまま感情をもらってしまうのではなく、「この人は、どうして今このことを言っているのだろう」と頭で考えるそうです。感情に感情で対応するとロクなことはないので、「あ、この人は今不運が強いのかもしれないな」、またクレーマーでも「この人はこういうことがあったのかな」と。
やっぱり理性で物事を考えると、感情的な脳は一時的にシャットダウンしますので。それがまず1つかなと思います。
大室:あとはまあ、違う側面から言うと……。「かっこいい自分」「自分はこうあるべきだ」ということで、社会的に自分を上から下に抑圧する力をプライドと呼びます。これは自分を律するといういい側面もあるのですが、その一方けっこうしんどいんです。自分はこうあるべきだとかっこよくいたいということですから。
自分を下支えする力のことを自信と呼びます。なにがつらいといかというと、自信もないのにプライドの力だけが強まるとだんだん落ちていっちゃうんです。プライドの重石が強すぎる、だけど自信がそんなにない。というときに落ちてしまう。
この状態を脱するための1つのソリューションは、成功体験の積み重ねです。そして、下支えする自信を回復すること。
もう1つは、プライドの重石をとることですね。このプライドの重石をとるという作業においては、昔の研修医のように、最初にプライドをズタズタにされるような手法は効果的です。
電通の「お前の仕事なんて価値ねえよ」的な物言いもこれも、プライドの重石をとるという点においては、ある程度は効果があったのだと思います。そういう意味ではプライドをとると、それで救われるし、楽になるという側面もあります。
ですから、そうした部分もあるのですが、体罰と一緒です。体罰は小学生に対しては効果があるのですが、でもやっぱりだめなのですよ。だから、効果があればいいといった話ではないですよね。「乱暴な手法」って時として効果的なんです。
けれど、それを肯定する時代ではないですし、それとは違う新たななにかが必要です。プライドの上手いソフトランティングの仕方を考えていかないといけないんだと思います。
最近だと、やっぱり僕が見ている若い人なども、プライドを上手く取り除くことに苦労をしているなと感じることが多々あります。
逆に電通のようなことを言わない会社も増えている。それでもやっぱり30歳くらいになっていろんなことを一人前に任されると、今までプライドを傷付けられるような局面がなかったことがアダになって、今度はプライドを取り除けず、恥をかけずに苦労している人が多い。それは現代の「課題」かもしれません。
西村:今の話ですね、すごく実感値があって、1つ目のストレス耐性が高い人は、どんな人なのかなと。僕もこのような仕事をしていて感じることは、共通しているのはメタ認知能力が非常に高いということなのです。
今おっしゃっていたとおり、バァーッと言われていることも、言われている内容も実はほとんど聞いていなくて「この人はなんでこんなことを言っているのかな〜」みたいなことを考えて言葉を捉えている人は、その言葉による攻撃のようなものをスルスルッと受け流せるので強いのですよね。
自分もまたしかりで、なにかこう、感情がブワーッと湧き上がったときに、その自分の感情の湧き上がりを「なんで俺、今こんなことを考えているのかな」と別の自分が自分を見ているような、第2第3の自分のようなものがいることで、感情を上手くコントロールできている人もいます。そういった人も、ものすごくストレス耐性が高いなという感じました。
僕自身、追い詰められてギリギリのところで重石を取り除いた経験があります。でも、もっと健全な重石のとり方というか、プライドの捨て去り方はあるのでしょうか?
大室:健全に上手くプライドをとるというのは、なかなか難しいですよね。
西村:難しいですよね。
大室:でも、ここでもけっこうあるのがね。これもさっきの「みんなソリューション」と一緒ですが、これも意外と効果的で。まあ「みんなできないから大丈夫だよ」ということを言って(笑)。
(会場笑)
「みんな」に弱いですね、日本人は(笑)。
西村:みんな(笑)。
大室:あとはもう、僕とかもよく相談中に、「私みたいな人(メンタル休職)ってめずらしいんでしょうか?」と心配そうに聞かれることが多いんですが、「正直、最近はどこの会社でもたくさんいますよ」と言うと、けっこうみなさん「あ、そうなんですかぁ」と言うんですよ。
自分だけじゃないんだと少し安心するのだと思います。
西村:あーわかります。
大室:自分にとっては確かに一大事。そのとおりなのですが「僕、産業医として同じような人毎日たくさん見ているから」と言います。そう伝えた方が、救われる人が多いなという経験則があるので。だから、これもある種のメタ認知ですね。
大室:ただ、メタ認知ができなくなったときは追い込まれていますね。
西村:ということですよね。逆に言うと。
大室:逆に言えば。
西村:黄色信号だということですよね。そういうときに、かなり大事だと思うのが、もっと心療内科のようなものです。
精神科を心療内科と言っているのは、ハードルを下げるためだなと思っていたのですが、未だにに心療内科に行く人は限られています。もっというと、社内の産業医やカウンセラーに相談することですら、自分で自分にダメという烙印を押しているかのようでなかなか行けないという人がいます。
僕は日々相談事で「いや、それは絶対。僕はいいけど、専門家に相談にのってもらったほうがいい。良くなるから」と話をすると「いやーちょっと」というような感じで、なかなかそこに一歩踏み出せない人が多いと感じています。もっとそこのハードルが下がればいいのになと思っているのですが、それはどうですかね? やっぱり「みんな行ってるよ」アプローチですか?
大室:ただですね、例えば高名な精神科医の斎藤環さんという人などは逆の立場なのです。精神科の敷居はある程度高いほうがいい論者なんです。
よく外国の映画などを見ていると、上司がなにかあったら「じゃあいいカウンセラーを紹介するわよ」などということが出てくるわけですよね。そうしたものが当たり前に根付いている。
ただ、日本の場合だと上司から「いいカウンセラーを紹介するよ」と言われたら「あれ、俺なんで病んでると思われた?」と邪推してしまう(笑)。専門家を勧めるアプローチも、勧める相手との関係など「文脈」が重要になります。
あともう1つ、日本で保険診療でクリニックを受診する場合、医師による診察になるので、精神科はある意味で薬の処方なのですよね。
西村:投薬になるのですよね。
大室:そう。例えば睡眠不足。深夜2時間に床に入っても寝られない状態が3週間続いているなど、そうした身体症状がある場合なのですが。ある程度、その前に、認知の話などは精神科の外来などではゆっくり相談する時間がとりにくい。
そういう日本の場合はですね、友達に愚痴る。新橋の居酒屋で愚痴る。たいていここまでで済ましたきた方が多いです。しかし、最近だと心療内科も増えている。
愚痴レベルと投薬レベルの間のカウンセリングなど、適応領域のインフラが少ないような気がします。もちろん心療内科、精神科に行くこともすごく大事なのですが、カウンセリングなどももう少し気軽に利用するようになるといいなと思います。
ただ日本人は初対面の人に悩みを相談する「訓練」を受けていません。外国だと教会の暗いところで「僕は罪を犯しました」などという、懺悔などがあるわけですよ。日本の場合は、寺に行っても瀬戸内寂聴さんのような話のうまいお坊さんの説法を「聴く」というスタイルですね。
だから、そこでも聞き役なのです。知らない人に相談するという文化があまり社会的には根付いていない。
西村:ないですよねー。そこをもうちょっと、精神科医はちょっと行き過ぎかもしれませんが、かかりつけのカウンセラーのような?
大室:その間だね。あってもいいのかなと思います。
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