「考えが浅いよ」

ナレーション:前回、自己PRや志望動機の準備不足が露呈し、井坂、水谷の両名から厳しい指導を受けた安達くん。今回は藤野が、今後についてのアドバイスを贈る。

藤野貴教氏(以下、藤野):自分で自分にもう少し問いかけてあげてほしいなって思うんですよ。あの、少し質問しただけでわーってなっちゃうでしょ?

安達氏(以下、安達):はい。

藤野:だから1回、自分の中で「自分はこういうことが大事だ」と思ったら、そこに対して「本当にそうか?」っていう問いかけをする。もしくは「なんでそうなの?」っていう問いかけを自分で自分にするクセをつけてほしいんですよ。

安達:はい。

藤野:浅い。

安達:浅い……。

藤野:うん。今自分が言ってることはこれだとして、それに対して1つほじくり出されたら、もうわわわーってなってる。それは、考えてないからじゃないですか。

1回、自分が考えたことに対して「なんでそう思うんだろう」って自分で自分に問いかけるクセができたら、ここまでいけるわけだよね。そうしたらここまで言われても、そこは考えてありますって。考えが浅い。もう一回自分自身がなぜこだわりを持ってるのかってことを一生懸命考えてみるってことをしたほうがいいんじゃないかなって。

安達:はい、ありがとうございます。

さっと答えられる人は「常に考えている人」である

ナレーション:そして水谷からは藤野のアドバイスに加え、より具体的な手法が伝えられた。

水谷健彦氏(以下、水谷):例えば、ビール業界志望するんだったら、まず最初に「なぜ僕はビール業界を志望するのか」を紙に書いてほしい。できればね、パソコンとかじゃなくて紙がいいと思うんだよね。

紙に書くわけ、なぜ自分はビール業界を志望するのか。そうすると、文章を書くじゃない。3行ぐらいでいいから。それくらいで書くようにするの。そうすると、いかに自分がそれを考えていなかったかとかがわかる。書けなかったりするから。

時間かけて、その3行ぐらいの文章を書くじゃん。そうするとまた突っ込めるキーワードが出てくる。「なんで自分はこの多様性にこだわるんだろう」とか。またここから質問を書いて、やっていくの。

それをね、1つの質問からつなげていって、10回くらいやってみて。……今言っていること、わかる? 

安達:はい。

水谷:うん。そうすると自分がなにを考えていなかったのか、自分がもうこれは考えているのかがわかるから。

社会人と出会って、なにを聞いてもすごいしっかり答えるなとか、なに聞いても説得力あるなみたいな人と出会ったりするじゃん? これからも出会うと思うんだけど、その人たちは瞬発的に言われたことに対して解を導き出して答えてるんじゃなくて、これまでの生きてる時間のなかで、考えてんのよ。いろんなことを。

考えてるから、聞かれたことに「ああ、それはこうだよ」と答えられるわけ。能力の違いじゃないの、考えてる量、蓄積の違いなの。

面接もそうじゃん。「なぜうちを志望するんですか」「君はどういう人間なんですか」「仕事でどういうことをやりたいんですか」。これは、考えていれば答えられる。考えていなければ、その瞬間にぺろーんとなんか言って、だいたいそれは見破られるし内容が浅いから今日みたいな感じになるわけよ。

もうそれに尽きる。準備不足。

安達:はい。

「準備不足を痛感しました」

いやもう、まず自分、準備不足だっていうところをまず本当に深く痛感しましたね。

正直やったつもりにはなっていたんですけど、1つ質問されるともうそれに対しての自分の考えがまとまってなくて、あまりうまく答えられなかった。ちょっと準備不足は痛感しました。

藤野:嫌われないタイプかなって思います。ビール会社でいうと誰か人と接して仕事をしてくわけで、その第一印象のときに「こいつなんかムカつくな」はなくて、その第一印象の柔らかさはとてもいいところだったかなと思いますね。

水谷:言われたことをちゃんと受け止めてるな、という感じは伝わってきましたよね。アドバイスしてても、「あ、そう思ってないな」みたいなときがあるじゃないですか。そういう感じはなかったですよね。「受け止めてるな」みたいな。

藤野:素直さは、ちょっとあるかもしれないですね。

井坂智博氏(以下、井坂):若い人って、人間関係がけっこう苦手じゃないですか。でも彼は人と接すること、かつ多様性みたいなことまで言葉に出していた。そこにウソはあまりないんじゃないのかなと思ってるので、むしろ人間関係が良好にいけるんですっていうことをPRしたほうがいい。

水谷:めずらしいかもしんないですね。

井坂:はい、それが強みじゃないかなと思いますけども。