お笑い芸人のライブイベントの客が減っている

のぶみ氏(以下、のぶみ):でも、人と会う必要がなくなっている世の中だから、小谷さんとかは、人に会って、逆に信用を勝ち取っているのは、すごい納得だよね。

山口トンボ氏(以下、トンボ):納得。

のぶみ:時代に合ってるっちゃ、合ってるんだよね。

西野亮廣氏(以下、西野):ほんとに、あいつはむっちゃおもしろいです。芸人ですね、芸人でそういうの出てきてほしいですけど。

トンボ:たしかにね。

西野:おもしれーやつ。「ギャラとか、いらねー」って言っちゃうやつ。

トンボ:それこそ信用で客が集まるので、食ってく、芸人さんは。

西野:僕は完全にそっちでふるんですけどね。

トンボ:今、ほんとに人こないっすよ。

西野:ホントに? ライブ?

トンボ:お笑い芸人のライブイベント。入る人ももちろんいるんですけど。やっぱりしんどいと思いますね、集客という意味では。

西野:ずっとライブやってる?

トンボ:僕は、定期的にはやってますね。

西野:やっぱり、そう。

トンボ:いろんな、すべての芸人さん見てるんじゃないんで。

西野:全体的に減ってる?

トンボ:僕はそう思いますけどね。

西野:なんなの? 考えうる原因は。

トンボ:だから、おんなじことずっとやってるっていう、もう。

のぶみ:同じこと、ずっとやってる?

トンボ:同じこと、ずっとやっちゃているっていうこと。

のぶみ:それは内容がってことじゃなくて?

西野:それは細かくは内容、違うんですけど。たしかに、わかるわかる。

トンボ:僕はそう感じますけどね。これを見にくる理由が、あまりにも少ない。

西野:うん。たしかに。

トンボ:まあ、もちろん企画によって、客がバンとくるとかあるとは思うんですけど。全体的にみると、そうなんじゃないかなとは思いますけど。

西野:なってるよね。もう、こんなこと言ったらアカンのかなー。芸人全員、コーナーライブやめたほうがいいわ。

のぶみ:コーナーライブってなんですか?

西野:コーナーライブって、わかんないですけど。コーナーをつくって、自分たちで。それがよかった時代もあった気もするんですよね。機能していた時代もあった気もするんですよ。

今、ライバルがYouTuberとかだったりするし、いろんな人が出てきたときに……。コーナーライブって、わかんないですけど。芸人がゲームやっているところを見てもらうんですけど、でもそのコーナーライブと、じゃあ、世界をまわって「殴られ屋をやります!」ってYouTuberと、どっち見たいかと思って。もう、負けちゃう気がするんだよね。こねくり回したコーナーと、完全に生き様でいってるやつと。

トンボ:そうなんですよ。

西野:お笑いの量、笑ってる量でいったら、こっち(コーナーライブ)のほうが多いかもしれないけど。

のぶみ:技術的にはね。

西野:最終的には、どっちのほうがおもしろかったっていったら、こっち(殴られ屋)の気がするんですよ。そこって、芸人はなかなか、その洗脳が解けないんですよ。

のぶみ:リアルだからでしょうね。けっこう覚悟決めてやってるから、YouTuberの人たちは。それで、わざわざ(会場に)行かないといけないという。コーナーライブっていうのは、ゲームやるとか、コントも入るんですか?

西野:あったりもするんじゃないですか? うち1回はネタ入れたりは、するかもしれないですけど。つまるところ、ボケてないってところ、コーナーライブは。

トンボ:なるほど。

西野:ボケてないから、そりゃボケてる人にくらべると、集客は負けちゃうよな。ボケたほうがいい。

自撮りをするかしないか問題

僕、最近、1つ境地に達しましたよ。自撮りをするか、しないか問題。自分の顔をこうやって(スマホで)とる。

トンボ:やっぱ、抵抗がある。

西野:ありますよね。結論、俺は「自撮りしたほうがいい」ってなりました。

トンボ:そのこころは、どういうこと?

西野:最近、僕インスタに自撮りあげてるんです。

トンボ:たしかに。

西野:で、逆に、これまでなんで自撮りをあげなかったかっていうと、「どうなの?」って。

トンボ:もちろん、そう。

西野:自分のいい顔を、何枚も撮りなおして。で、あげるのって、どうなの?

のぶみ:(笑)。

西野:って、あるじゃないですか。

トンボ:ありますね。

西野:でも、自我に耳、傾けてみてくださいよ。僕ら、鏡の前にいったときって、たぶんいい顔してない?

のぶみ:(笑)。するよ、するする!

西野:一番いい顔してますよね。一番いい角度で。風呂あがりで鏡いったときって、誰も見ていないのに。

のぶみ:自分しか見ていない。

西野:お腹、ひっこめたりしてないですか?

のぶみ:してる、してる。

トンボ:してます。

西野:してますよね!

トンボ:少し斜めにこう。

西野:我々の、本来の姿ってそうじゃないですか。

のぶみ:かっこつけたい。

西野:それが自我ですよね。じゃあ次に、なんでインスタグラムに……、だってこれが一番いいと思っているのに、なんでインスタグラムにあげないかっていうと。こんなことをあげてしまうと、「お前なにしてんの?」って。「なんでお前、自分の一番いい顔を撮って、お腹へっこまして、なにしてんの?」っていう。

トンボ:「なに、かっこつけとんねん!」。

西野:っていうのが予測できるから。要は、自主規制で。絶対くるのわかってんだから。

トンボ:そういうことです。

西野:自主規制で、引きますよね。それで、そうなったとき、僕の人生の判断力を誰が握っているかっていうと、外側の人ですよね。

のぶみ:(笑)。

トンボ:そういうことです。

西野:ってなったとき、コイツ(自分を指して)の応援の仕方がよくわからなくない?

トンボ:なるほど。

西野:コイツ(自分)が、コイツ(自分)を応援したいのに、コイツ(自分)のハンドルは、全然違う人が握っていたら、応援の仕方がわからない。

トンボ:なるほど。

西野:それで、そこを明確にしたほうがいい。で、最近、絶対自撮りするんです。しかも、鏡の前の西野をちゃんと出してるんです。

トンボ:なるほど。

のぶみ:(笑)。

トンボ:いい顔をした。

西野:いい顔の西野を。そうしたときに。

のぶみ:大事だよ。

西野:あの、わかりやすいですよ。インスタグラムでいうと、「いいね!」とかが、これまで自我を解放せずに、他人様にあわせていた僕と、自我を解放した、クソナルシストの僕は、やっぱ、クソナルシストの僕のほうが応援してもらえるんですよ。

のぶみ:そうなんだ!

西野:応援してもらえるんです。っていうのは、ほとんどの人がもはや、わかってるんですよ。「そんなことをするのは恥ずかしいのに、あなたもそっち背負ったんですね」っていう。

トンボ:そこすらも。

西野:もはやわかっている。女の子とかも、みんなわかっている。「これ盛ったでしょ」とか。全部わかってる。

トンボ:そうですよね。わかった上で、ってことですよね。

西野:そうそう。で、「応援しましょう!」って。

応援してもらって生きている人間は、背負わなければいけない

トンボ:自我の解放か。

西野:自我の解放。もっというと、こんなことが最近、自分の脳みそのソロバンにはいっているのが、すごく悔しくてしかたないですけど、ナルシスト写真を撮っていたほうが、『ゴッドタン』に喜ばれるっていう。

(一同笑)

西野:そこなんです。

トンボ:そこの返りもある。

西野:ゴッドタン先生は、それを待っているんですよ。

トンボ:そりゃそうです。

西野:「なにやってんの? お前」みたいな。

のぶみ:(笑)。

西野:「でも、好きなんです、この僕」っていう。

トンボ:いや、すごいです。winwinな話になってる。

西野:ってなってくると、絶対自撮りしたほうがいいじゃないですか。

トンボ:それはすべての人に対して、言えることですか?

西野:あー。

のぶみ:そうだよね。

西野:僕だけじゃなくて?

トンボ:はいはい。みなさんに適用することなんですか。

西野:でも我々のような、応援してもらってそれで生きている人間は、もう、ここ背負わなきゃいけないんじゃないかな。

トンボ:なるほど。

のぶみ:そうかもね。

トンボ:とくにそうだよね。芸人なんて、本当そうですよね。

西野:ツッコまれることも、あげ足をとられることも、「ナルシストかよ!」って言われることも、すべて背負わなきゃいけないんじゃないかと。で、ガッリゴリの最近のインスタを見ていただきたい。

トンボ:そうですね。

西野:最近、ぜったい自撮りしか、せんとこうかと思ってる。

のぶみ:(笑)。

西野:インスタ始めた頃は、僕のインスタ、なんかアートっぽいんです。

トンボ:完全に僕は。

西野:絵しか。

のぶみ:見たものが、綺麗な建物とかね。

トンボ:アートグラムでしたもんね。

西野:アートグラムでした(笑)。1週間くらい前から、「ナルグラム」になりました。

(一同笑)

西野:昨日も新幹線の中で7~8枚、バシバシ撮りましたから。

のぶみ:それは、やっぱ選んで。

西野:選びました。

のぶみ:(笑)。

西野:これが僕の、本当だから。

のぶみ:そうだよな。

トンボ:NSCでしゃべるべきだ。

西野:「自撮りできるか?」って言うの。

トンボ:「あなたは、自撮りできるんですか? 自撮りできないのであれば、芸人なんてやめちまえ」。

西野:やめちまえ。それいいな。自撮りできないやつなんか、やめちまえ。

のぶみ:だって、前に出るんだからね。

西野:背負えないんだからね。

のぶみ:うん、そうだよな。

トンボ:それは確かに、境地ですね。

のぶみ:だって、誰を応援するかっていったときに、顔が浮かんだほうがいいもんな。

西野:たしかに。

のぶみ:「あの人を応援してるんだな」ってなるし。「あれ? 体調がちょっと悪いのかな?」とか「髪切ったんだ!」とか、「髭がはえたんだ」とか、そういうことでね。やっぱ、やったほうがいいんじゃないかな。