今日のゲストは小泉進次郎氏

平将明氏(以下、平):みなさん、こんにちは。「カフェスタトーク エピソードⅡ しーずんⅠ」、司会の平将明です。そして本日のコメンテーターは築地魚河岸三代目、魚屋こと著述業の生田よしかつさんです。

生田よしかつ氏(以下、生田):生田でございますー。はい!(笑)。

:相変わらずですね。そして、アシスタントは慶応大学現役ユニドルの大澤咲希です。

大澤咲希氏(以下、大澤):はい。よろしくお願いします。ちゃんとおしゃれしてきましたよ。はい!(笑)。

生田:「はい!」もお上品だね(笑)。

:全然違うじゃないか、いつもと。お上品なお嬢さんですね。ということで、今日のゲストは自由民主党農林水産部会長ですね。

小泉進次郎氏(以下、小泉):違います。農林部会長です。

:農林部会長ですか。水産は別なんだな。

生田:そうだ。水産は別だわ。

小泉:自民党は農業と林業は1つなんだけど、水産は別なんです。

:ということで農林部会長の小泉進次郎さんです。

(一同拍手)

小泉:よろしくお願いします。テンション高いですね。

:今日は特別テンションが高いね。

生田:いやいや、そんなことないよ。いつもと一緒だよ。

「月曜カフェスタトーク」はチャンネル内では長寿コーナー

:もうこれね、150回やってるんだよ。

生田:156回やってるよ。

小泉:何年間ですか?

:自民党が野党になってからすぐ。小泉さんが初当選してすぐぐらいから。

生田:ああ、そうだ、そうだ。

小泉:156回?

:156回。

生田:5年やってるから。

:他のCafeStaの中でも圧倒的長寿番組ですよ。

生田:圧倒的! 意外と真面目な平将明(笑)。

:CafeSta版「徹子の部屋」だから。意外と真面目でしょ? 俺(笑)。

小泉:純粋ですからね。意外と真面目がよくわかるのは、平先生は純粋なんですよ。真っすぐなんです。

:小泉さんに真っすぐと言われたら、どれだけ真面目なんだか(笑)。

生田:鋼鉄の真っすぐっていう感じだよな(笑)。

小泉:この2人で特区をやっていたときは、なにか「グイグイ行こうぜ!」って感じでやりがいがありましたよね。

「もう一度チャンスを与えてくれる環境」として日本はかなり遅れている

:今日は「こども保険」の話もしたいと思いますが、実は安倍(晋三)総理のときに石破(茂)大臣、平副大臣、小泉進次郎大臣政務官で地方創生と国家戦略特区をやっていたんです。とくに国家戦略特区とか、平と小泉でグイグイやっていたんですよ。

それで今、加計学園の件があって、「特区ってなにかおかしいんじゃないの?」「総理の意向がどうのこうの」とかいって、僕らから見るとどんどん論点がズレてきていますね。「総理の意向があったらなんなんだよ」って僕は正直思うわけですよ。

例えば、特区というのは岩盤規制でしょ。安倍政権ができたときに総理がダボス会議で「岩盤規制を、私はドリルの刃先になってこの2年間で穴を開けていきます」と言って、そのドリルの刃先になって岩盤規制に穴を開ける政策オプションが国家戦略特区なんですよ。

だから各役所規制省庁、例えば文科省とか厚労省とかね。「ああ、これはもう時代が変わったから変えましょうっ」て自主的に変えてくれるんだったら、特区を使う必要はまったくなくなるんです。

各規制省庁が「こんなの絶対ダメですよ」っていうけど、「いやいや本当にそうなの? 違うんじゃないの?」「じゃあ場所限定でやってみようよ」っていうのが特区なんです。だから、総理の意向っていうと、いろんな答弁の積み重ねがあるから、どこまで言っていいかわからないけど、特区諮問会議が司令塔で決めるわけですよ。特区諮問会議で。

その特区諮問会議の議長は総理だから。特区諮問会議の意向は間接的には議長である総理の意向であるので、総理の意向というのがだめなら、特区諮問会議の意向って言い換えれば終わるような気がする。なにかズレてるよね、最近の。

小泉:そもそも特区っていうのは、役所が抵抗してにっちもさっちもいかないから、特例的に施行的にもね。やっぱりトライアンドエラーっていうのは大事ですよね。「やってみよう」ってことですから。

生田:そうだよね。とりあえずやらなきゃね。

小泉:日本は1回チャレンジして失敗したときに、もうやらせないという抵抗力がすごく強く働くじゃないですか。だけど、何度も何度もトライして失敗を繰り返して。その経験値とかいろんなものを練り上げていくのがもっと必要です。それがなかったらイノベーションが生まれないですよね。

生田:だから、会社経営なんかもそうだよね。今の制度だと、借金して命かけて商売やるじゃん。それで失敗したら立ち直れないだろ。

小泉:アメリカはドナルド・トランプさんが大統領になったじゃないですか。日本だとたぶん無理ですよ。トランプ大統領って、何度も自分の事業は失敗している。けれど、それでも大統領になるというのはアメリカの失敗に対する許容量ですよ。これは大きいですよ。もちろん、トランプ大統領の言っていることとかやってることの良し悪しの部分はいろいろありますよ。

生田:それは置いといて。

小泉:置いといて。日本では自分の事業とか、過去のことで失敗をした人に対して、もう一度チャンスを与えてくれる環境とか世の中の空気とか。これは、日本はかなり遅れてますよ。

「お医者さんを増やしたい」「でも将来的には余るからダメ」医学部議論

生田:なんでこんな話をしたかというと、俺も先週、バブル崩壊の整理が全部終わったんだ。なんと25年。25年かけてやっと終わったんだよ。

:それはすごいですね。お疲れ様でした。

生田:弟に全部任せて、俺は抜けみたいなさ。

:だからトランプさんなんかは僕らが大学卒業した頃はバブルでね。日本も。トランプさんみたいな人は日本にもいっぱいいたのよ。トランプさんも破綻したけど、日本もみんな破綻したんだけど、その人たちはもう2度と表には出てこれてないよね。

生田:そうだよな。山っ気があるやつはいっぱいいたよな、勢いのある人が。そういう目も全部潰したんだよ。あの時代が。

:私だって、バブル崩壊の後の連帯保証から抜けたのが5年ぐらい前ですよ。国会議員になって7年目で、ようやく連帯保証から抜けたという。

生田:15年ぐらい頑張ったんだ。それじゃあ。

:大変ですよ。それは。

生田:俺も25年だもん。

:……ちょっと、特区の話に戻していいですか?

生田:ごめんね(笑)。

:それでね、総理の意向云々は問題じゃなくて、加計学園がお友達で特別便宜を図ったらそれは問題だよ。ましてやお金をもらっちゃったら問題だけど、そうでなければね、私の感覚で言えばあの獣医学部を作る前に医学部を作る・作らないという問題があったんですよ。特区でね。

そのときの医学部はお医者さんの数を全体でコントロールしているから、新設はダメだという言い方と、一部ではお医者さんが足りないっていう議論があったし。しかも、お医者さんが足りないなら医学部を作ればいいじゃないかと思うけど、医学部を作ったらさらに足りないお医者さんが先生で取られる。だから医学部に、足りなくなっちゃうよねっていう話。それと、将来的にはお医者さんが余るから作らせないっていう。

どちらに転んでも、需給の話でいくと反対なんですよ。でも、本当は立派なお医者さんはちゃんと残ってもらって、不適格な人は退場してもらったほうが僕はいいと思っていて。だから医学部もそういう議論があって、獣医学部っていう話になったんだよね。

雨の中、近未来技術実証特区でドローン実験をした話

1つ言えるのはね、我々は小泉さんとかなり難しい岩盤規制の改革に特区を使って取り組んだんですよ。そうしたら大変。反対勢力とかプレッシャーとか。僕とか小泉さんって比較的プレッシャーに強いタイプの議員なんだけど。

生田:図々しいんだよな(笑)。

:そうじゃない議員もいるからね。

そのとき、総理から「この案件やれ」「あの案件やれ」と言われたことは1回もない。「加計学園やれ」って言われたことも1回もない。ただ実は総理には報告として「ここでこういう反対論があって」「ここでこういう慎重論があって」「こういう偉い先生がこう言ってるんですよ」って言うと、「あっ、それは大変だな。でもどんどんやれ」って言うんですよ。

そういう意味では、僕は特区担当副大臣としては総理から勇気をもらったよね。だって総理が「やれ!」って言ってくれれば、やりやすいじゃない。

だからと言ってね、ここの党本部で族議員のみなさまを説得するときに、まかり間違ったって総理の意向なんて言いませんよ。「お前、なに言ってんだ。総理の意を借りてこの場を収めるなんてとんでもない話だ」って言ってね。逆に炎上しちゃうもんね。総理の名前なんて出したらさ。

生田:でもあれだね。近未来技術じゃなくてさ、特区やってたときさ。

:近未来技術実証特区ね。

生田:俺さ、ドローンなんて絶対に飛ばせないと思ってたよ。俺、一応パイロットなのよ。ライセンスも持ってるの。だから、航空法で考えていくとあれは絶対に飛ばせないんだよ。だけど、あれもこれだけ飛べるようにしたというのは大したもんだよ。その2人だよね。

小泉:おもしろかったのは、僕らドローンの実証で手を挙げていてくれた秋田県の専門家いるでしょ。あれでドローンを現地で飛ばして、現地で会議をやるっていうときに大雨なんですよ。せっかくドローンを飛ばすときに。だけど、やってみようと。

生田:雨の中でやったんだ。

小泉:そうなんですよ。「飛ばなかったら飛ばないで、これぐらいの雨だとダメだねっていうのもわかるしいいじゃないか」って言ってやってみたら、まったく問題なく大雨の中でも飛行の実証をできたときに、むしろ晴れより良かったじゃないかというかたちになりましたね。

生田:「これ、晴れたらもっと大変だぜ」みたいな話だもんね。

小泉:晴れてダメなら、もうダメだろうと(笑)。

生田:そりゃそうだ(笑)。

:けっこう悪天候だったよね。

生田:すっごく前向きだね。偉い!

特区に関しては政治主導でがんばらないと進まない

:やっぱり小泉さんとか、我々の発想がないとイノベーションは進まないし。役所というのは失敗を恐れるというか、失敗をしてはいけないと思っている。けれど役所がお墨付きを与えたら、各省庁は保守的で「できません。止めておきましょう」ということになるわけ。

そこに穴をあけるのが特区だからさ。「お前、失敗したらどうするんだ?」「いやいや失敗のリスク込みでやってるんだ。こっちは」っていう話なんだよね。だから、特区でエリア限定でやるし、主体のほうもリスクとってやってるわけですよ。

でも、そのリスクを取って手を挙げたやつを、みんなで叩いて潰してね。

生田:本当だよ。やる前からね。

:というのは、私はどうかと思いますけどね。

生田:やる前から潰すのなんか最悪だよ。だから移転しろっていうんだ早く。まったくもう。

:私もそう思いますけどね。

大澤:平さん、小泉さんがいたとき、特区はめちゃめちゃ急進的に進んでたのが、今この問題って2人とも離れちゃって。「特区が危ない」とかはないんですか?

:特区というのは役所もがんばるけど、やはり政務三役ががんばらないといけない。政治主導でがんばらないと進まないわけ。あとは、お互いにそうなんだけど、政治家がある程度は守ってやらないと戦えないよね。

生田:そりゃそうだ。

:そう思いますよ。そういう意味で、ちょっとまずいなと思っているんだけど。

さらに近未来技術実証特区を進めて、ハイパー近未来技術実証特区。いわゆる、レギュラトリーサンドボックスをやろうということを、今回、自民党の経済構造改革に関する特命委員会で僕がここで解説したでしょ。あれを政府の成長戦略に入れてもらいますので、どんどん進んで、また平、小泉が政策決定のほうにいってやりますので。

生田:そうだよね。そっちのほうにいってやりなよ。そのほうがおもしろいや。見てて。

:特区ができる政治家って何人もいないんですよ。というのは先輩議員に呼びつけられても、ある程度は上手く体を交わしたり、跳ね返したりできる人。あと各種団体の人に怒られても「まあまあ、そこをなんとか」って上手くいける人じゃないとできないわけ。だって、みんな大変だもんね。平場いったらね。担当政務は。

小泉:農業だってそうですよ。

生田:農業はすごいでしょうね。