IVS 2014 LaunchPadを制したのは「WHILL」

藤田功博氏(以下、藤田):札幌で開催中のIVS Spring2014インタビュールームにゲストをお招きしてお送りしております。今回のテーマは、Launch Pad入賞者インタビューということで、記念すべき優勝を飾られましたWHILL Incの杉江様にご登場いただきたいと思います。どうぞ。

(会場拍手)

杉江理氏(以下、杉江):こんにちは。どうも。

藤田:優勝おめでとうございます。

杉江:ありがとうございます。

藤田:率直なところ、今の気持ちをお聞かせ下さい。

杉江:嬉しいですね。

藤田:もともとやっぱり、優勝というものを狙って出場された?

杉江:そうですね。優勝狙ってました。

藤田:あらためて、この番組をご覧の皆さまにこのプロダクトの説明というか、紹介をしていただければと思うんですが。

パーソナルモビリティ「WHILL」とは?

杉江:はい。これはですね、WHILLといいます。次世代パーソナルモビリティを作っております。特徴としましては、3つありまして、1つはスタイリッシュなデザインであると。もう1つは、走破性と言っているんですけど、ちょっと見にくいですかね。

藤田:じゃあ前に来ていただきましょうか。

杉江:私たちは、新しいテクノロジーを開発したんですけども。前輪が24個の小さいタイヤから成り立っていることによって、その場でこのように回転することが、小さい細かい回転を早くできるんです。これは室内での細かい動きに対応できます。且つ4WDになっているので……。

杉江:雪道でも、砂利道でも、色んなところに、アクティブに出掛けて行いくことができる。

藤田:8cmまでの段差も……。

杉江:そうですね。8cmまでの段差を乗り越えることができる、室内も外もアクティブに効率良く動ける、というような機能性も兼ね備えております。

藤田:その場で回転できるというのも、ありそうで意外とないのかなと思うのですが。

杉江:そうですね。本当に特徴的なのは、その場で回転できて、且つ4WDで外でもいける。中でも外でもしっかり使えるというのが特徴的ですね。

藤田:デザインもすごいかっこいいですね。

杉江:レッド・ドット・デザインアワードだったり、アメリカのI.D.E.Aという、世界最大のデザインアワードで2つの賞をいただいていて、非常に良い評価をいただいております。

藤田:素晴らしいですね。もともとこういうプロダクトを開発しようと思われたきっかけというのはどういうことだったのでしょうか。

杉江:このプロダクトの開発のきっかけは、ある車いすユーザーの人が、「100メートル先のコンビニも行きたくないな」みたいなことを言ってたんです。これは何かというと、やっぱりすごいトラディショナルな形で、あんまり車いすユーザーに見られたくなかったりとか、途中に溝とかあったりして、はまったりしたら動けないみたいな話が結構あって。じゃあなんか作ろうか、みたいな話をしたんです。

当時、本当に週末クラブじゃないですけど、週末に、一つのアパートに集まって、みんなでものづくりをするというようなことをやっておりまして。その色んなものを作った中の1個としてWHILLというのは生まれたんです。

この1年ぐらいに、そういうプロダクト、WHILLを作って。これは、メディカルデバイスじゃないかな? 東京モーター賞にでも出そうといって2011年に出したんです。そうしたら、ものすごい世界中から反響があったので、これはすごいやる意味あるのかな、ということで決めました。という経緯です。

プレゼンでの心境について

藤田:そうですか、なるほど。今日のプレゼンテーションのお話に移るのですけども、当日会場に入られてどういうお気持ちでしたか?

杉江:最初、シェラトンと違う場所にあるのかなと思ってたんですけど、3階にあって、シェラトンは、本当にあるんだと思ってびっくりしました。

藤田:なるほど(笑)。

杉江:ずっと練習してました。外でずっと練習していて、そろそろ行こうかなと思ったら3階にあるんだと(笑)。

藤田:トップバッターでしたよね、プレゼンテーションが。ある意味もう割り切れるというか、すぐ出番ですよね。そっちのほうが逆にやりやすかったとかあるんですか?

杉江:できたらトップじゃないほうがいいなあ、とは思ったんですけどね。トップをやるのが結構多くてですね、こういうので。でもなんかそういう時だいたい勝っていたので、あれまた勝てるかな?と、ゲン担ぎみたいな感じでやってたんですけど。最初……まあ、できたら違うほうがいいんですけどね。最初よりは、やっぱり後ろのほうですけどね。

藤田:壇上に上がられている時、そして、プレゼンテーションされてる時、どことなく緊張されているような感じも……。

杉江:最初、画像が出てなかったので、「画像が出ない!」と思って。

藤田:ああいうの、ちょっと焦りますよね。

杉江:めちゃくちゃ焦りましたね。10秒15秒と、どんどん過ぎていったので、これ終わるんじゃないかこのままと思って(笑)。そうしたら、田中さんがもう1回やりましょうと。優しいなと思って。

藤田:けど厳しいコンテストだったら、あれで「残念ながら」となったりしますもんね。

杉江:ずんずんずんずん過ぎていったので、うわーっと思ったんですけど。

藤田:頭真っ白になりますか?ああゆう時って。

杉江:いや、なんかもう……。

藤田:「Bプランどうしよう」ってなりますよね。

杉江:「プランB」ですよね。速攻プランBを考えながら、何削ろう何削ろうと、どんどん過ぎていって、うわっーとなって、うわーっとそのまま焦っていったという……でしたね、最初。

藤田:その中でも、映像がとりあえず流れて、なんとか自分のリズムとペースを取り戻そうと、冷静さを取り戻そうということで、結構落ち着きを、また取り戻そうと思いながらやってはるな、というのは伝わってきましたけどね。

杉江:本当ですか、めちゃくちゃ焦ってました。

受賞者を推理するロジックとは?

藤田:実際、そのプレゼンテーションが終わった瞬間というのはどういうお気持ちだったのですか。「ああ」ってなります?

杉江:終わったし、いいかなという…。あとは……終わったし……終わったなというぐらいですかね。

藤田:なるほど(笑)。実際に表彰式になりまして、5位、4位、順番に呼ばれていって、もう後は呼ばれるか、全く呼ばれないかどっちかですよね。ああいう時っていうのはもう、どっちの気持ちなんですか? ある程度確心が……。

杉江:すごくわかりやすかったのが、カメラマンが呼ばれる人の目の前で、カメラ写すんですよね。こうやって。

藤田:ああ。

杉江:わかってたんですよ。すごくわかりやすいなと思って。

藤田:わかりやすいですね。

杉江:最初の5位のとき、僕のほうを向けてたんで、ちょっと避けてたんです。やだなぁと思って。

藤田:写らないように。

杉江:写らないようにしてたんです。違った人で良かったなと思って。最後に僕を写したんで、僕だなと思って。

藤田:そうですか。わかっちゃったんですね、最初から。

杉江:ロジックがわかったんですよ。この人が写している人が呼ばれるなってわかったので。

藤田:その瞬間でも、もしかして、いったのか? みたいなことですよね。これは!って。

杉江:最後に2位の人に呼ばれた時に、カメラマンの人がどこか行っちゃったんです。ああ、どこか行っちゃったなと思ってこれはないのかなと思ったら、順番順番に写していって、最後に僕のところで止まったんです。ずっと止まっているから、僕かなと(笑)。

カメラマンの人がずっと待ってるなと思って「あ、これはきたな」と。カメラマンで察知していました、僕は。カメラマンの動きを見てました。ずっと(笑)。

藤田:そうですか、冷静ですね、ある意味。

杉江:そうですね。すぐわかりましたね、この人が写す人かと思って。

藤田:そこでじわじわと喜びというのは来るものですか? 事前にちょっとそういうのがあると、もう爆発みたいにはならないわけですか。

杉江:もちろん嬉しいですよね。嬉しかったですし、小澤さんが買ってくれるって言っていたので、ダブルで嬉しくなって。そうしたら、そっちをどうやってクロージングしかかろうかと、これからどうやって1台でも買ってもらおうかなっていうのを結構考えてましたけどね。

藤田:言った以上はね、ぜひ買ってもらおうということで。

to Bを中心に販売していきたい

藤田:実際終わった後に、たくさん色んな方が近くに来られたかと思うんですが、今のところで、つながりそうな手ごたえというのは、ありますか。

杉江:そうですね、今回の目的としては2つあって、1つはマーケティングですね。こうやって優勝することによって、いろいろなマーケティングとなるので。日本で販売開始するので(マーケティングに)なると。

もう1つは最後にプレゼンテーションにも話したように、B to Bの販売だったりとか、そういった(ことに)つなげていきたいなと思ったんです。そういう意味では、最後名刺交換させていただいた中ではそういう話もあって、この目標2つに対しては、まあ達成……もうちょっといろいろ頑張りたいんですけど……なんとかできつつあるかなというようなことは感じます。2つの目標をもって、今回やりました。

藤田:個人的にはすごく可能性のある商品だと思うんですが、今後の目標というか、どれぐらいのスパンでビジョンを描いておられるのでしょうか。

杉江:ハードはソフトウェアみたいに、ものすごい早い、どんどんどんどんやっていけるというわけではないので。そのハードウェアの中でも重たい分野、モビリティだし、メディカルデバイスだし、というところでいくと、時間もかかるし、粘らなきゃいけないフェーズってまだあるんです。

僕らはカリフォルニアから始めて、次は東海岸へ行って、日本へ行って、全米にと徐々に徐々にstep by stepなんですけど、グローバルな手段を高く持ちつつも、やっぱりやってることってかなり地味で、かなりタフなんです。タフで地味で、計算高く粘っていくという最後になると思うんですね。今後チームを増強してメンバー入ってきますけど、コツコツ地道に。爆発ポイントは来るので、それまでちょっと、もっと粘つきますけど、やりたいなと思います。

藤田:実際、今日のプレゼンテーションでもインターネットというかGPSの活用であるとか、そういうWebサービスとの活用というのもお話しされたと思うんですが、そういうものもイメージとしてはもう?

杉江:ものすごいありますね。よくハードウェアとソフトウェアと言われてますけれど。そうですよね、もうソフトが入っていないハードはない。僕らの場合は、ハードをしっかりまず作ろうというところから入っていって、しっかり作りましょうっていう、大体そういうことが見えてきて、これからそういう方向に走っていきますけども。本当にそのソフトウェアで面白いこといっぱいできますし、色々まだお話しできないことありますけど、楽しみにしていただけたらと思いますね。

藤田:すごく楽しみですね、これからが。

杉江:歩道を走っているセンサーですからね、これただ単に。色んなやり方があると思います。

藤田:実際今回のプレゼンテーションの作り込みにあたって、結構フィードバックというか、IVPの皆さんからもコメントというのはあったんですか。

杉江:そうですね。面接みたいな機会も2回あって、このブラッシュアップという形でここまできましたね。ちょっとずつブラッシュアップして。結局プレゼンテーション、今回は6分と短いので、そんなに文字とか入れても意味ないし、インパクトをボンボンボンボンボン、というようなスライドを心掛けてやりました。

藤田:なるほど。ありがとうございます。では最後に、この番組をご覧になられている皆さんに向けて、メッセージということで、プロダクトのアピールでも結構ですし、例えば採用、今こういうことしているので、こういう人にぜひ応募してきてほしいですとか、さまざまな、どの内容でも結構ですので、あちらのカメラにカメラ目線でお話いただければと思います。

杉江:はい。さっきお話しした、今回の目標で出た2つの1つですね。これから日本で本格的に販売というのを開始いたします。どちらかというと、B to Cよりもですね、エンタープライズだったり空港だったりとか、ゴルフとかそういったB to Bの方面を、販売中心にやっていきたいなと考えております。

WHILLは、本当にバリアフリーのイメージもものすごくいいですし、新しい、というブランドイメージも植え付けることができると思います。ですので、ぜひ興味ある方は、ご連絡ください。よろしくお願いいたします。

藤田:ありがとうございました。ではまたさっそうと、ご退場いただきまして。

杉江:ありがとうございました。(WHILLに乗って退場)

(会場拍手)

藤田:札幌で開催中のIVS Spring2014インタビュールームに、ゲストとしてLaunch Pad入賞者インタビューということで優勝された、WHILL Incの杉江様にお越しいただきました。おめでとうございました。

【IVS 2014 Spring Launch Padのドキュメンタリー動画はこちら】

制作協力:VoXT