座して死を待つつもりはない

司会者:それではただ今から、石原元東京都知事の記者会見を始めたいと思います。今日は一応こういう手順でいきたいと思います。最初に石原さんから、ここに来るにあたっての思いをまず話していただいて、そして、それからこの問題についての、私がいくつかの質問をして、それから会場のみなさんから、いろんな角度から質問していただくと。

こういう感じで進めたいと思います。今朝、石原さんは、果たし合いに出かける侍。「昔の侍のような心境で、ここに行くんだ」というお話をされていましたけども、まあ誰が果し合いの相手か、わかりませんけれども。私たちも今日は、真剣勝負でこの豊洲の問題についてできるだけ真相を明らかにするべく、いろんな角度からご質問したいと思ってるんですけども、どうか石原さんも、もうすべて、洗いざらいお話をしていただくということにしたいと思います。

それじゃあまず最初に、今回の記者会見に際しての、石原さんご自身のお気持ちを、まず最初にお話し願いたいと思います。

石原慎太郎氏(以下、石原):みなさん、本日、この機会を与えていただいていただきまして、本当にありがとうございました。私が、3月18・9日ですか、百条委員会なるものに呼ばれているようですけれども、とてもそれまで待てない心境なんです。座して死を待つつもりは私ございません。

昨年の9月にですね、小池知事が、豊洲の問題の住民訴訟の判決をひっくり返して、新しい弁護団によって、もう1回民事訴訟をすることに切りかえられたようですけども、まあこれは論外にしてですね。とにかくその……、それ以来ですね、私の家の周りに、小池さんのランニングドッグのメディアが終結しましてね。プライバシーは侵される。近所迷惑する。警察にも時々来ていただいて整理をいただくみたいな、混乱が続きましてね。

とにかく生活が生活にならない状態が続いてまして、私自身も2年前に軽い脳梗塞をやりまして、奇跡的に早期発見されて、一命をとりとめたんですけども。

おかげさまで、その患部が右のジョウトウヨウ(注:前頭葉や頭頂葉などの言い誤りか)ですか、だったおかげで、言葉もしゃべれるようになりましたし、入院中も物を書くこともできました。たまたま私がそのあとに書いた田中角栄さんの『天才』って本がおかげで評判になったんですけど。

私は田中さんが脳梗塞で倒れられたあと、あのロッキード裁判というまったくインチキの冤罪の裁判ってものにですね、憤懣やるかたなく、一言もしゃべらずに、亡くなるまでの10数年過ごされたあの心境等を本当に想えば想うほど痛ましい気がしましてね。

私自身がそのザマでとてもその死ぬまで生き続けるつもりはないし、そのことをはっきりさせるために、この機会を設けさせていただきました。

行政の責任の所在

行政の責任というものは2つ種類があると思います。それはですね、作為に対する責任。それからもう1つは不作為にする責任です。これすべきことをしなかったことの責任があると思いますね。私はこのことをあえて今日あとで申し上げますけど、小池現知事に問いたいと思います。

私は、当時の最高責任者として、審議会なり専門会だった特別委員会なり、あるいは議会も調査権を持っていろんな調査もして、委員会でもきわどい採決で可決されたわけですけども。それを踏まえてですね、私はあの最高責任者として、とにかく豊洲の移転に裁可を願いたいということでそれ承諾して裁可しました。

ということで係りの者が、判子を預かっている課長さんが私の判子を捺してことが決まったわけですけどね。

ともかくね、行政の責任って裁可した最高責任者にあると。これは私も認めます。しかしやるべきことをやらずに、いろんなことを看過し、しかも日々築地で働く人を生殺しにして、ほったらかしにして。しかもランニングコストにべらぼうなお金がかかる。築地の方々への保証についてもべらぼうな金がかかる。こういった混迷、迷走に対する責任は、私は今の都知事、小池さんにあると思いますね。

私はこの問題について発言された米田さんっていう京都大学の最高権威の学者のお話を直に聞きました。また、彼から紹介された、女性ですけれども、中西さんですか……最高権威の女性の、今ある組織の最高権威者としていらっしゃる方ですけど、その方の意見も「豊洲の現況というのは、まったく危険はない」と。「なんで豊洲に早く移さないのか」と。

そしてこの風評に負けて豊洲がこのまま放置されるっていうことは、結局科学が風評に負けたということになる。これはまさに国辱だと。日本が世界で恥をかくことになるという忠告をいただきました。コメントをいただきました。

私は、小池さんは今権限を持って豊洲に移転をすべきだと思いますし、しないならそれを告発すべきだと思います。要するにそれは不作為の責任だと私は思います。

そういうことで、それも含めて申し上げたいと思ってこの機会を持たせていただきました。

それから、たまたま私のスタッフが綿密に、時系列に沿って、どういう時点でどういう報告があったか、それを調べてくれて。

それから記者会見で私が決して豊洲の移転に全面的に賛成でないし、ある意味でリラクタントだということで、その音声の記録も映像も出てきましたので、これも後でみなさんにお見せしますが。

私の思いといいますか、時系列に沿ったいろんな時点でのあるべき報告書、あるべき答申。本来それは都庁が持ってるわけですから、いちいち私個人に知事が責任の追求ないし質問をしなくとも、都庁がその責任を持って調べたらわかることですし。

それからまた、あの百条委員会で、都議会の責任で、いろんな調査権があるわけですから、それを調べれば自明にわかることはたくさんあると思いますけれども、そういったことも私はその機会に申し上げたいと思っております。