「人も金もコネもなかった」結果が出ない日々を、エウレカ・赤坂優はどう乗り越えた?

IVS DOJO 2016 Fall Kyoto #1/4

IVS 2016 Fall Kyoto
に開催

2015年にInterActiveCorp(IAC)へM&Aし、今も成長し続けているエウレカ。そこへ至るまでには、どのような道のりがあったのでしょうか。「IVS 2016 Fall Kyoto」のなかで、さまざまなチャレンジをしてきた起業家が、経験を元に得た“ベンチャーの掟”を語る「IVS DOJO」が行われました。「当時、人も金もコネもなかった」と語る赤坂優氏が、エウレカ創業8年で学んだこととは?

エウレカ創業当時、人も金もコネもなかった

赤坂優氏(以下、赤坂):めっちゃ緊張していまして……。先ほどもいろいろな方とお話していたんですけれど、最近は人のプレゼンを聞く機会は増えても、人の前でお話する機会はほぼなく、こんなにステージの上がアウェイなのか……と久々に感じております。

ちょっと吉田(浩一郎)さん、スマホを見ないで僕を見てください(笑)。いいですか?

(会場笑)

ありがとうございます。僕が代表を勤めていたエウレカは、2008年に創業しました。今日は8年間の学びをお話します。少しでもみなさまのためになれば、と思っています。

エウレカ創業当時、僕はスーツを着たサラリーマンで、メディアで広告営業をやっていました。それこそ、海老根(智仁)さんの会社にも営業に行かせていただいたこともありました。新卒の方としかほぼ話していないので、あの当時から考えると、社長さんと同じ場所でお話できるとは想像もできなかったのを、今感じています。

当時の僕はサラリーマンで、先ほどの海老根(智仁)さんの話とも近いんですが、なんにもなかったんですよね。「海老根さんがなんにもなかった」と言っているわけではないですけれど(笑)。

(会場笑)

人も、金も、コネもなかったというのが事実でした。僕も昔、こういうイベントに来たことがあるんですが、ほぼ誰とも目を合わさずに帰っていました。それはなぜかというと、「コミュ障」という理由も半分はあるんですけれど、相手が僕のことを知らないので「目を合わせても無駄だろう」と思っていたんですよね。

業界の友達もほぼ1人もおらず。今でこそ、そこのロビーを歩いていると知り合いに会ったりしますが、あのころは本当に厳しかったです。おまけにメディアも相手にしてくれません。当時、僕は新サービスを作って、TechCrunchなどに営業に行ったりしました。当時は西田(隆一)さんが窓口なんですけどね。

(会場笑)

とり合ってもくれないのが普通です。1回、お茶とかしてくれるんですけれど、「まあ、頑張りなよ!」と言ってもらえるのがせいぜいのところです。「頑張ります!」と言って、思いを噛み締めながら帰っていたのが8年前の僕でした。

あのときに感じたのが、「結果を出してない人間の話は、まず誰も聞いていない」「聞いていない=完全に無価値」ということです。心から「クソ食らえ!」と思っていました。別に西田さんに言っているわけではないですけどね(笑)。

(会場笑)

当時のメディアや社外の人など、成長している会社の人たちを本気で「呪ってやる」と思っていました。それは、自分の不甲斐なさに対する反発みたいなところです。

『8 Mile』という映画で、「Fuck!」と言っているシーンがあります。白人が差別されているデトロイトの街イメージして、本当に「今の僕にはなんの価値もないんだな」と噛み締めていました。

「やったことがないからできない」は生き残れない世界

事業計画を作るとき、みなさんはExcelなどで使っているじゃないですか。当時の僕にはそういった知識もなかったので、創業して間もなくはコピー用紙の裏紙に1〜5期までの売上目標みたいなものを書いていました。

これが、うちの会社の初期の事業計画です。下に赤文字で「B to B」「B to C」と書いてあるんですけれど、これは僕なりにロジックがあったりします。

まず、初期は儲からないのでB to Bなんですよ。3期目くらいから少しずつ結果が出てきてキャッシュが貯まってくる=B to Cにチャレンジできると、僕なりの目論見があったんですね。だから、3期目にはB to Cと書いてあるんです。

とはいえ、なぜ2.7億と設定したのかわからないんですけど……。だいたい2.7億くらいいくだろうと思っていたんでしょうね(笑)。そして、5期目には18億くらいいくんだと、売上が300万のころに書いていました。

この当時、僕と西川(順)という副社長がいて、その下に中途で採用した役員がいて、あと数名の社員がいました。僕と西川的には「どんなことでもやらないと前に進めない」と心から思っていたわけなんですが、もう1人の役員は「やったことがないことはできない」と言うんですね。こんな状況下でそんなことを言う人がいるんだ……と、このとき初めて思い知りました。

やはり途中から入ってきた人は「頭が凝り固まってるな」「ある程度、企業で働いたことがある人は採っちゃダメだ」と思いました。仮に無人島にいたとして「火をおこしたことがないから火がおこせない」「やったことないからできない」と言っているやつはスタートアップにいてはダメだな、と心から思ったのがこのときです。

(会場笑)

「経営理念なんて語っていられない! 潰れるぞ!」

そして、2つ目。中途社員の社員に「経営理念がほしいです!」と懇願されたことがありました。

当時、社員は2〜3人ですよ。今思えば、そんなときに「経営理念がほしい!」と言うのはおかしいと思うんですよね。ただ、当時の僕は起業して1年目なので、経営理念は必要なものだと思っていたんです。

「某企業も『21世紀を代表する会社を作る』と言っていますけれど、赤坂さんは何世紀を代表するんですか?」みたいなことを言われて。

(会場笑)

ちょっと意味がわかんないな、と思っていました。

ここに上位概念から下位概念があるんですけれど、当時は本当に戦術を考えることで精一杯で、ミッションや経営理念と言っている暇がないんですよ。「明日の売上がわからないときに、経営理念なんて語ってられない! 潰れるぞ!」というのがこのころの思いでした。

そして、会社が成長する見込みを立てて、従業員が5名の時に20名まで入れるオフィスを借りるんですけれど。そうすると、また社員の同じ人から「オフィスが広すぎて無駄なので、オフィスを貸しましょう!」と言われたんですよね。

(会場笑)

要するに、「家賃がもったいない」「賃料が無駄だ!」と言われたんですけれど、僕からすると「バカ野郎!」「こっちは1年後2年後にこの会社が成長していくことを逆算してオフィスを借りてるのに、貸すってなんだよ!」と思っていました。

そして挙句の果てに、……これはひどいですよ。うちの社員が、採用したばかりのインターンに言っている話が聞こえてきたんです。「あんたは本当にかわいそうだ」「こんな会社に入っちゃって、赤坂さんみたいな悪い人と出会っちゃって本当にかわいそう」と言っているのが本当に聞こえてきたんです。

「あ、なるほど。この社員は、うちの会社をヤバイと思っていて、入ってくる人が不幸だと思ってるんだな」と心から感じました。

つまり、メディアにも相手にされず、こういうイベントに来ても誰にも目を合わせてもらえず、社内からの信頼もない。

なぜこうなのか。「これは結局、自分自身に実績がないからなんだ」と気づいたのが創業1〜2年目です。

スタートアップはどうにかして自信を持たなきゃいけない

成長して実績を残していくしかないと思い、「心がけてきたこと7つ」をさっとご紹介します。

最初の2つが人物面です。僕は「人の話を聞けない人は伸びないんだ」を非常に感じています。自分の信念を固く持っていることはすごくいいと思うんです。しかし、それだけでは成長しないと感じながらやっていました。僕は、今でも人の話は限りなく聞くようにしているつもりです。

もう1つが、「小さな成功体験を自信に変える、自信がないと判断を誤る」です。結局、スタートアップは離陸したタイミングで、先ほどお話した僕のように「社内も社外も敵だらけだった」な感じで、自信がないのがふつうだと思うんですよ。

自信がないなら、どうにかして自信を持たなきゃいけないんですが、そのために必要なのが成功体験だと思っています。自分なりに小さく褒め続けることが大事だな、と。自信がないと判断を誤るので、すごく大事だと思っています。

次に商売的なところで言うと、僕はゼロからの創造は基本的にないと思っています。どんな事業も、既存の事業の掛け算や、既存の事業の改善から生まれていると思っています。マネから創造するのが大事。これをお伝えしたいです。

あともう1つ。これは当時の僕ですが、自分自身でボタンの1ピクセルだったり、マージンだったり、影だったり、文言の一言一句までチェックしていました。これくらい細部にこだわらないと、サービスやプロダクトはスケールしないと、信念として持っています。

Whyに対する説明がないと、会社は永続的に伸びない

今度は組織です。組織には2軸あります。

僕は、「会社は人がすべて」だと思っています。そのため、限りなく評価に時間を割くことが正しいと思っています。人間にはどんな人でも承認欲求があるので、働く人のすべて見ていることと、評価するだけではなく「どうやっていったらいいか」という未来の話など、常にコミュニケーションを取り続けないと人も組織は伸びていかないと思っています。

「会社は人がすべて」のもう1つは、エウレカは月1で全社での情報共有を行っています。会社が小さいときから、水道光熱費からオフィスの賃料、人件費の合計、移転したら、その敷金や内装費をすべて従業員に公開していました。

働いている人は人間です。ロボットではありません。会社がなにを目的に、どこに向かっているのかを理解できない上で働くことは、モチベーションがとにかく低下すると思っています。「今なんのためにやってる」というWhyに対する説明がないと、会社は永続的に伸びていかないと思っています。

最後におまけです。僕は、今でこそけっこう飲みに行っています。飲みに行っているんですけれど、創業当時は「飲み会は基本的に時間の無駄だ」と思っていました。

会社は社長がすべてなので、働かないと伸びません。飲みに行くのは時間の無駄なので行かない。これがなにより大事と思っていました。

「想像できる夢は確実に達成できるんだ」

そうした結果、今、pairsもCouplsも伸びまして、2015年にM&Aを行いました。今、未開拓のアジア市場を取ることを、Marchグループ(注:InterActiveCorp(IAC))の下でやらせていただいております。売上も、創業当時の走り回っていた代理事業や受託事業から初めて抜けて、pairsも伸びてきました。

これ、「あ、どこかで見たことあるな」ということなんですけれど。

(会場笑)

実はこれ、僕が紙に殴り書きした事業計画の数字です。この紙きれと実際に全く同じ成長をしています。3期目に「B to BからB to Cにピボットするぞ!」は本当にできると、このとき思いました。「想像できる夢は確実に達成できるんだ」と思っています。

ただ、まだなにも成していないので、会社も僕個人も、世界中の人々が作るもの・使うものを作りたいなと思っています。ありがとうございました!

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