オール・イン・ワンの車載システムを開発

林信行氏(以下、林):今日は(メインのお客さんが)飲食関係の方だから、川鍋さんがなにをやっていらっしゃるのかをくわしく知らない方も多いと思いので、もう少しだけご説明をすると……。

川鍋一朗氏(以下、川鍋):一応、タクシー会社をやっております。

:こういうことをやって、すごくIT化を進めていらっしゃるので、「川鍋さんは、すごくITの人なのかな?」と思ったら、実はぜんぜん……。

川鍋:それはもう光栄です。もともとは祖父が創業した日本交通という、日本で一番売上規模の大きいタクシー会社の3代目です。ところが、一番大きいと言っても、全国シェアで見ると5パーセントぐらいしかないという業界で、やはり小さいんですね。

そうすると、今後、フランチャイズしていきたいとか、業界の再編をしていくという意味で、その時の武器はなにかというとブランドになるんですよね。当社のブランドをつけていただく。セブン-イレブン、ローソン、ファミリーマートとかをつけていただいてコンビニになる、みたいなものですね。

その時に、もちろんお客さまも大事ですけど、やはり商品開発力や、店員さん、アルバイトさんの教育を短期間で上げるノウハウとか、そういったものが非常に重要になります。

そのために、今ここ(スライド)に出てるようなタクシー会社が使いやすいシステムをいくつも開発しています。残念ながら、Airレジさんみたいにクールでスマートではないんですが(笑)。

どちらかというと、コテコテのBtoB製品です。ただし、車載製品ですので、耐熱・耐塵・耐震、ほこりとか熱とか、そういったことを非常にきちっとしなければいけない。最初は市販の製品を使っていたんですけれど、すぐ壊れてしまったりするので、今は専用品を開発しています。

もちろん専用の開発のメーカーさんもたくさんいらっしゃるんですが、例えば、ドライブレコーダー、無線配車システム、ヘッドレスト広告と、それぞれを別々の会社が開発すると、それを軸にそれぞれの会社が発展しようとする。なので、これにもSIMがついていて、これにもSIMがついていて、これにもSIMがついていてと、「3本SIMがあるぞ」みたいな状態になっちゃうんですよ。

その重なりをどうやって排除して、統合的なシステムにしていくのかということを、BtoBの目線で、自分たちで統合していきたいと思って、今、6割ぐらい終わっているところです。

妊婦の3割が登録する安心の「陣痛タクシー」

:こういったIT系のサービスばかりを出してくるのかなと思ったら、実はけっこう人間味があるサービスもいくつかやっていらっしゃいますよね。

川鍋:そうですね。たぶん過去5年で一番好評だったのは、陣痛タクシーですかね。

もともと妊婦さんの陣痛が始まって出産される時にタクシーを呼んでいただくケースがけっこうあったんですけれど、例えば、年末で雨が降ったりするとタクシーがなかなか捕まらない。妊婦さんも(普通のお客さまと)同じように捕まらなかったんですね。

これはなんとかしなければ、と思いまして、登録制度を設けようと。妊婦さんにコールセンターに登録いただく。登録いただいた方の出産予定日から前後1ヶ月だけは、一番プライオリティを高くして絶対に取る電話番号に指定するんです。

実際に登録された方の中で、このサービスを使う方は3人に1人ぐらいなんですけれど、すごい人数の方にご登録いただいています。都内の妊婦さんの約3割が当社にご登録いただいていて、とくに営業していないんですけど、それだけ安心感につながった。東京消防庁からも、救急車の適正な利用に貢献したと表彰していただきました。

でも、これも実は、まったくITじゃなくて、もともとあったコールセンターのCTIで優先順位を変えているだけです。

ある時、コールセンターに入っていて、急に目の前のオペレーターの女性が緊迫した表情で配車をして「ふ~」という感じで終わったんですよ。「今、なんだったの?」「いや、陣痛なんですよ」というところから実は始まっています。

やはりこれも先ほどの話のように、お客さまにとっても、すごく安心なんですけど、乗務員にとっても……。そのオペレーターと話した時に、「陣痛ってあるの?」「いや、あるんですよ」と。でも、「陣痛です」と乗務員に言うと、乗務員もびっくりしてドキドキしちゃって、いつもならわかる有名な病院の場所が、急にわからなくなったりして(笑)。

「だから本当は事前に、ある程度行き先を、○○病院とかって登録できればいいのにね」という話をして、「あ、それならいいんじゃない」と言って。

行き先も全部登録しておいて、乗務員に「陣痛です」と言うと、登録しておいた病院までビビビっとルート案内が出て、乗務員がカチンコチンになっても行ける。

どちらかというと、妊婦さんの場合、後ろの席で「う~」となって苦しいので、「大丈夫ですか? 今、最速で向かっていますから安心してください」とサポートしてあげられる。だから、そのコンビネーションでしょうね。

タクシー乗務員も当社全員、助産師さんの講習を受けて、こちら側も、それに対する備えもやるし。

10年でタクシー業界は大進歩

大宮英紀氏(以下、大宮):そこまでやられてるんですね。

川鍋:そこまでやらないとやっぱり受ける乗務員も。正式なサービスとしてやるからには、ある程度はしっかりと。やはり4年やっていますので、車の中で産まれちゃったこともあるんですよ(笑)。

年に3回ぐらい。本当にあるんですよ。

:そうなんですね。

川鍋:今まで全員無事です。そういった時に、すぐコールセンターから病院に電話を差し上げて、お医者さんに出てきてもらうんですよね。

もし赤ちゃんが出てきちゃっても、乗務員は絶対赤ちゃんに触っちゃいけないんですね。そのかわり、「お母さんの背中をポンポンと叩いてあげてください」「暖かく包んであげてください」とか。お母さんも動転しちゃいますから、ある程度、指示してあげる。

登録する時とか呼ぶ時のために、陣痛タクシーもこれからアプリにしていこうかな、と。リアルなオペレーションをある程度研ぎ澄ました後でアプリ化したほうが、やっぱり効率的ですので。

:これまでずっと100年間進歩がなかった……進歩がなかったって失礼かな(笑)。

川鍋:いやいや(笑)。

:タクシー業界が、この数年間で本当にここまでいろんな。

川鍋:そうなんですよ。本当はあまりやりようがなかったんですよね。乗務員がどういうサービスをしているかとか、どこを通ったかとか、10年前までは捕捉できなかったんですよね。

だから、タクシー会社のやることは、朝出て行く時に「いってらっしゃい!」と元気よく送り出す。帰ってきたら、お茶を出して「どうだ? 奥さん元気か?」と。

大宮:(笑)。

川鍋:いや、本当にこれをして「労務管理」と呼ぶんですけれど、これぐらいしかなかったんですね(笑)。10年前から全部それがいきなりわかるようになって。

今、これからさらに進歩しなければいけないのは、データはありまくるんですけれど、まったく使っていないと(笑)。もったいないですよね。どんどん捨てちゃっていますので、これを今後は使って、乗務員とお客さま、両側をサポートしていければと思っていますね。

お店の方のわずらわしい業務をできるだけ減らしたい

:テクノロジーのおかげで、より人間味のあるサービスができるというところは、本当にAirレジとの共通点を感じますね。

今日いらっしゃっているお客さんはみなさん、Airレジのサービスについて、午前の講演を見て知っていらっしゃると思いますが、そもそもどうやってAirレジのサービスが今の状態に発展していったのかを、簡単に。

大宮:先ほどお話ししたように、3年前にスタートしたんですけれど、iPhoneやiPadなど世の中にいろんなテクノロジーが出てきている中で、やはりお店の方々の業務は大変だな、と。本当に今、軽く「大変だな」と言ってしまったんですけど。

僕はもともと「じゃらん」をやったり、「ポンパレ」というサービスを立ち上げたりしたんですが、例えば「広告を出しましょう」「人にいっぱい来てもらいましょう」と言うんですけれど、とくにネット予約が増えると、人を増やすためには「登録してください」ってことを言わなきゃいけないんですね。

「登録してください」ということ自体がやはりお店の方にとっては負担なんですね。なので、できるだけお店の方々の業務を減らしながら、登録もできて、予約もできるように、どうしたらいい状態にできるか。

まずは、そういうことをきっかけとして、「iPadを使ってお店の中にそういった仕組みを入れればいいんじゃないか?」というのがスタートです。

:なるほど。Airレジから始まって、今やこんなにたくさんのサービスになって、この「Airレジ カンファレンス」も3年目に。僕は、その前からおつきあいがあるので、見るたびに進化していて、顧客をより快適にできる、サーブする人も快適にできると進化していますよね。

実は今日、Airレジを実際に使ってみるとどういった体験ができるのかということを体験できるコーナーが、隣の部屋に用意されているんですよね。

川鍋:え、そうなんですか?(笑)。

:そうなんですよ(笑)。それで、そこと今、中継が。

川鍋:中継ですか?

:ええ。できるそうなので、呼んでみたいと思います。準備大丈夫ですか? では、爲澤さん、そちらの体験コーナーをご紹介していただいていいですか?

Airレジを実際に体験してみよう

レポーター:はい。爲澤です。私は今、お隣の会場に開設されています、Airシリーズを体験できる、1日限定ストアに来ています。ここでどんな体験ができるのか。さっそく取材していきたいと思います。

まずは、お店の入り口にiPadがあります。ここで受付ができるということなので、試してみます。

はい。すぐに番号券が出てきました。これで行列に並ぶことなく、連絡が来てから入店すればいいので、待ち時間を有効活用することができるんです。

では、お店に入っていきたいと思います。

大宮:これが先ほどご紹介した、Airウェイトです。

レポーター:テーブルの上にメモ帳とタンブラーがあります。私は今回タンブラーにして、会計カウンターに進みたいと思います。

こんにちは。お願いします。

店員:いらっしゃいませ。こんにちは。お預かりいたします。本日はこちらのAirシリーズのサービスを使って、さまざまな決済体験をしていただくことができます。まず、こちらからお好きなお飲み物をお選びください。

レポーター:では、コーヒーをお願いします。

店員:はい。かしこまりました。商品はこちら(iPad)をタップしていただくと、このように注文を簡単に取ることができます。タンブラーもお預かりいたします。タンブラーについているバーコードもこのように読み込むと、注文を取ることができます。

本日はLINE Pay、Alipay、Pontaカード、クレジットカードとSuica、ご希望の決済をお選びいただくことができます。なにがよろしいでしょうか?

レポーター:こんなにたくさんの種類があるんですね。では、今回はよく使うSuicaにしたいと思います。

店員:かしこまりました。Suicaの場合は、電子マネーのところから入っていきます。それではカードをこちらの端末にピッと鳴るまでかざしてください。

レポーター:はい。ではお会計をします。

店員:こちらで決済完了です。どうもありがとうございました。

レポーター:カンタンにスマートに決済を行うことができました。みなさまもぜひ、このAirシリーズが体験できる1日限定ストアにいらしてください。

では林さん、メイン会場にお返しいたします。