お店もタクシーも大切なことは「People First」

司会者:これより、「トークセッション~お店もタクシーも大切なことは『People First』~ITと共に歩む、これからの『おもてなし』」を開会いたします。

こちらのプログラムには、モデレーターとして、ジャーナリストの林信行様をお招きしております。それでは、早速、ご登壇いただきます。みなさま、拍手でお迎えください。

(会場拍手)

林信行氏(以下、林):みなさん、こんにちは。ただ今、ご紹介に預かりました、フリージャーナリストの林信行です。今年で3周年を迎えたAirレジなんですけれど、私は、最初にAirレジを見つけた時からずっと、応援団として全国のAirレジのツアーのモデレーターとして参加させていただいています。

今日、これから1時間ほどお時間をお借りいたしまして、先ほどお話されていました大宮さん、それから、日本のタクシー界のプリンスと呼ばれている川鍋さん、よくみなさんよくテレビでもご覧になっていると思います。

このお2人と、People Firstをテーマにお話していきたいと思います。そもそもAirレジがなぜ作られたかというと、顧客体験を大事にして、飲食店にしてもなににしても、本来のすばらしさを取り戻していこうといった思いがあると、大宮さんもいつも言ってらっしゃいます。顧客中心主義とは、いったいどういうものなのかを、お話していこうと思います。

まず、私からすこしだけお話させていただきたいと思います。

10年で世界を変えたiPhone

昨日、Appleの子会社のBeatsというヘッドホンの会社のパーティーがありまして、そこでもAirレジの話が何度か出ました。たった1本のiPadのソフトウェア、今はAirレジシリーズになっていますけれど、それでこれだけ大きい会が開けるということは、本当にすごいことですね。Apple関係の人たちも、みなさん、驚いていました。

この年の瀬の忙しい中に、これだけ大勢の方が集まってくれたことは、非常にびっくりすることなんですけれど、間もなく2017年です。年が明けて、2017年1月を迎えますが、僕は、2017年1月を非常に大きな感慨をもって迎えようとしています。

なぜか、みなさん、おわかりになりますでしょうか?

2017年1月は、ちょうど10周年にあたります。なんの10周年かというと、10年前の2007年1月、サンフランシスコのモスコンセンターの壇上に、今は亡きスティーブジョブズが立って、「時折、革命的な製品が出てきて、すべてを変えてしまう」、こういうふうに言って、iPhoneを発表しました。

これが、どういうことかというと、11年前は、LINEもなければ、もちろんAirレジもなかった。みなさんが日々、どれだけスマートフォンを使っているかということを思い返してもらうと、それらがすべて、わずか11年前にはなかったということに、みなさんも驚かれるんじゃないでしょうか。

iPhoneが発表された2007年1月から3年後の2010年にiPadが出まして、世の中の風景は本当に一変してしまいました。みなさんも、今日の会場がある有楽町のあたりや、職場の近くの飲食店に行くと、実際にAirレジやメニューや、いろんなかたちでiPadが使われているのをご覧になっていると思います。

「デジタル機器は、自転車だ」ジョブズの言葉

このiPhone、iPadの生みの親でもあるスティーブジョブズ。実は、ジョブズは日本にもしょっちゅう来ていまして、日本のアルプス電気の工場の人も、ジョブズからこう聞いたと言ってらっしゃいましたけれど、ジョブズは若い頃に、パソコンなどこういった「デジタル機器とはなにか?」と聞かれ、「デジタル機器は、自転車だ」と言っていたそうです。

これは、どういう意味かというと、人間は自分の仕事のためになにかを成し遂げたいんだけれど、成し遂げるための手順が非常に面倒くさくて、ついつい本来やりたかったことがおろそかになっていってしまう。

でも、そうじゃなくて、人間は道具を発明することができる。例えば、自転車という道具を発明すると、目的地にたどり着くまでに非常に短い時間で行ける。最近は、電動アシスト自転車もありますけれど、そういったものを使うと、すーっと行けて、爽快に楽しみながら、本来の目的を達成できる。

今日の午前中の講演でご紹介ありました、Airのシリーズ。僕はとくに、「Airウェイト」が大好きなんですけれど、これまで混雑時には寒空の下で人を待たせなければいけなかった。でも、たぶん飲食店の方々ってそういうことはやりたくなかったと思うんですね。

それでも、よい方法がなかったので、これまでは紙にぐちゃぐちゃと名前を書かせて、自分の順番が来たかどうかを毎回見てもらわなければいけなかった。それが、Airウェイトというたった1つの“自転車”によって、周りのお店を自分のペースで好きに見てもらっていても、スマートフォンにパッと通知が来て、自分の順番待ちの状況がわかる。そういったことが可能になってきました。

漁協の現場でも使われる“魔法の板”

10年前のiPhoneの登場によって、本当にいろんな業界が変わってきました。そもそもなぜ僕がAirレジに出会ったかというと、2010年、iPadがどういう業界を変えているのかということを、ほぼ3日に1回のペースで全国を回って講演していました。

日本新聞協会から始まり、教育関係、医療関係、いろんな講演をしてきたんですけど、そのなかで、僕がとくに好きだった事例が2つあります。

1つは、北海道の公立はこだて未来大学でやっている漁業でのiPadの活用。

漁師さんとiPadって、みなさんもまったく想像つかないかもしれませんけれど、例えば、ナマコ漁で、ナマコを1か所で取りすぎてしまうと、翌年ナマコが獲れなくなっちゃうんですね。それをどうしたらいいかということで、最初はパソコンを渡していたらしいんですけど、キーボードが付いているようなパソコンを船上で使うことは、「こんなの無理だ」と漁師さんたちは言って断ってしまっていた、と。

そのあとに、iPadを渡したら、「魔法のような板だ」と言って、それを使って、どこでナマコの漁をしたかを記録に取って、生態系を守ることが可能になってきた。これが、大好評を得て、実は今、エビ漁やイカ漁など、さまざまなかたちで展開されています。

21世紀のテクノロジーというものは、20世紀の不器用なテクノロジーによって、ついついおろそかにしてしまっていた顧客との関係や大量生産・大量消費的なものを、もう一度、本来のあるべき姿に揺り戻していくものなんじゃないかなと感じていた時に、Airレジさんと出会いました。

Airレジがまさにやろうとしていることは、今回のこのセッションも「People First」と題していますけれど、顧客中心主義。本来、飲食店を始めた人は、自分が作った料理をサーブして、お客さんに楽しんでもらう、そういったことをやろうとしていたはずです。その本来のよさを取り戻していこうというのが、まさにAirレジの根幹にあると大宮さんからうかがって、こういったセッションに毎回出させてもらっています。

ゲストは“Airレジ未体験”

ちょっと話が長いんですが(笑)、「Airレジ カンファレンス」、今年で2回目なんですけれども、僕が担当するセッションは非常に変わっているセッションです。本来こういったセッションだと、Airレジをすごくうまく使いこなしている事例紹介を、みなさん期待すると思います。

ところが第1回目、去年のゲストは、どなただったか、みなさんご存知でしょうか? 「Soup Stock Tokyo」や「PASS THE BATON」を運営してらっしゃるスマイルズの遠山さんがゲストだったんですけど、僕がそれを知って、「遠山さんは、Airレジのすごいユーザーなんですか?」と聞いたら、実はそんなことはなかったんですね。

Airレジを使ってもらう方々に、もう一度、顧客との関係をどう築いていくかということを、知っていただきたいと、リクルートさん、とくに大宮さんが思って遠山さんをお呼びしたとおっしゃっていて、それにますます僕は感銘を受けました。

そこから予想できるように、今日これからお招きする、川鍋さんも、とくにAirレジのユーザーということではなく、さっき10分ほど前にようやく到着して、そこから打ち合わせを開始して、「あ、AirレジってiPadで動くんだ」ということを知ったという方ではあります。

ただし、これから2020年の東京オリンピックに向けて、公共交通機関での最高のおもてなしを考えているのが、川鍋さんですので、このあとは、そういった話もぜひ聞こうと思います。

それでは、ゲストのお2人に登壇していただきます。大宮さん、川鍋さん、よろしくお願いいたします。みなさん、ぜひ盛大な拍手でお迎え下さい。

(会場拍手)