テクノロジーが“倫理”を超えたとき、人はどのように振る舞うか--メタップス佐藤氏の予測

テクノロジーが変えるビジネスの未来 #4/5

G1カレッジ2015
に開催

2015年11月23日、次世代のリーダーを担う大学生・大学院生を対象とした「G1カレッジ2015」が開催されました。第3部分科会D「テクノロジーが変えるビジネスの未来」にヤフー・小澤隆生氏、メタップス・佐藤航陽氏、フォトクリエイト・大澤朋陸氏の3名が登壇しました。本パートでは、テクノロジーの弊害や宇宙事業に関する質問にメタップス佐藤氏が回答しました。

テクノロジーの有効活用

岩瀬大輔氏(以下、岩瀬):今日は質問をたくさん取ろうかなと思うので、みなさんバンバン質問お願いします。どうでしょう。じゃあ、一番前の方から。

質問者1:ありがとうございます。東北大学理工学研究科の○○と申します。今、とくに大学のテクノロジーとか、人のために使われてないテクノロジー、テクノロジーのためのテクノロジー、例えば学会で新しい発見、発表をするために出して、実際に人に見られていないテクノロジーがあまりに多すぎると思っています。

結局、商業にならないと言われているんですけど、そういう問題は今後どのようなかたちで変わっていくのか、あるいは有効活用されていくのかというのを、教えていただけないでしょうか? 小澤さん、兄貴に聞きたいと思います(笑)。

小澤隆生氏(以下、小澤):別に兄貴ではないんですけど(笑)。

(会場笑)

小澤:いい技術がたくさんあると思いますし、そのほとんどを私は知りません。結局、そのテクノロジーを誰が見るかによって、どう活用するかだと思うんですね。

例えば、キュウリというものに対して、浅漬けにしたいと思うか、そのキュウリを活用してフォアグラとくっつけてすごい料理に仕上げるのか、そのまま丸かじりするのか。

1つの素材に対する見方は、見る人によってかなり違ってきます。その技術を誰に見せるか、誰に料理させるかということが、必要なんじゃないでしょうかね。少なくとも私は見たことないからね。佐藤さんみたいな人が見たらいいんじゃないの(笑)。

岩瀬:はい、ありがとうございます。

テクノロジーと金融の未来

質問者2:慶應大学大学院の○○と申します。佐藤さんのブログを拝見させていただいて、未来のあり方というものが、人の感情のあり方と、お金のあり方と、テクノロジーのあり方との3つで規定されているとおっしゃっていました。

今回、まだお金に関するところがおうかがいできていなくて、テクノロジーとお金のあり方の未来に関しておうかがいしたいと思います。

佐藤航陽氏(以下、佐藤):けっこうざっくりしていますね(笑)。

(会場笑)

佐藤:お金の未来でいうと、難しいとは思うんですけども、たぶんテクノロジーが進化していって、小澤さんが言うようにもっと便利になっていくとと、相対的に今の貨幣の価値は下がっていくのかなと思っているんですよね。

例えば、40年前とか50年前の方々って、けっこう価値観が統一されていて、もう札束積み上げよう、お金持ちになろう、それで成功しようという。わかりやすいというか、シンプルな概念で、いろんな人たちが頑張っていたんですけど、今はみなさん、けっこう多様化していますよね?

必ずしも「お金持ちになりたい」ということだけで動いている人は、あんまり増えてはいないんじゃないかなと思っています。むしろ減っていて、自己実現だったり、「自分ってなんなのか?」ということを考えたりすると思うんですけども。

けっこうバラバラな価値観ができあがってしまっているので、たぶんその価値というのが、お金とか通貨だけのものじゃなくなってきていて、違うもので代替できるようになってきちゃっているのかなと思っています。

なので、時間が経てば経つほど、必ずしもその価値というのを資本というものじゃなくて、例えばTwitterのフォロワー数なのか、Likeの数なのか、たぶんそういったものでも感じられるようになっていくのかなと思っています。

ヤフー小澤氏が感じる人生への不満

質問者3:ありがとうございます。大阪経済法科大学の○○です。小澤さんに質問なんですけれども、私は将来宇宙に関係するビジネスがやりたいなと思っています。

今、法学部に所属しているんですけど、「宇宙に関するビジネスをやるんだったら、なんで航空系とか理学部に行かなかったんだ?」みたいな批判を、ものすごくネットに書き込まれるんですよ。

(会場笑)

質問者3:先ほど法学部出身とおっしゃっていたと思うんですけど、なにか後悔したこととか、違うものを専攻しておけばよかったと思ったことはありませんか?

小澤:ぜんぜんないです。

(会場笑)

小澤:もうあんまり学部とかは関係ないですね。例えば、宇宙に関するビジネスをそこで学べるというのは、100パーセントのことが学べるわけでもありませんから。

法学部でも学べることは、ビジネスという領域だったらたくさんありますし、大学で学べることというのは多いけども、全部じゃないですからね。

全部じゃない、そっちのほうがわりと重要ですからね。なるべくその書き込みを全部無視するようにしてください(笑)。

岩瀬:はい、ありがとうございます。じゃあ、どうぞ。

質問者4:愛媛大学の○○といいます。小澤さんにお聞きしたいんですけれども、先ほど「技術によってどんどん不愉快さが解消されていって、効率化されていく」というお話をされていました。

我々はまだ20代が多いと思うので、例えば携帯電話があるのが当たり前であったりだとか、こういったテクノロジーがあるのが当たり前というので、不愉快さを経験しない部分もたくさんあると思うんですよ。

なかでも、今まで経験されてきた不愉快さのなかで、「こういった不愉快さは逆に経験しておくとためになるぞ」というものを、いくつか教えていただければなと思います。

小澤:すばらしい人生を歩まれているね!

(会場笑)

小澤:僕はいっつも「時間がない」と思っているし、「お金がない」と思っているし、「人に断られたくない」とも思っているし、「あの人に会いたくても会えない」と思っています。それを全部解消したら、本当にハッピーだと思っています。

「なんであの人より僕は知識がないんだろう」とも思っているし、「新しいアイデアを思いつきたいのに、思いつけない」とも思っているんです。

ただ、インターネットがあるおかげで、さっき話したプロ野球チームが作れたように、きっとインターネットがなかったらできなかったことが、僕にはできるようになってきたんですね。

でも、まだまだ困っている人を救えないし、自分のやっている事業が成功しないし、日本で一番成功している事業家にもなっていないから、ダメなことだらけなんですよ。

基礎体力は上がっていると思うけど、その応用がぜんぜんできてない。自分の人生にそこまで納得しているんだったらいいけども、俺は自分の置かれている境遇が不満で不満でならない。

岩瀬:不満な小澤さんでした(笑)。

倫理を飛び越えるテクノロジーの弊害

質問者5:慶應大学の○○と申します。お話ありがとうございました。食う、恋する、寝るという人間の根本が変わらないなかでのテクノロジーは大したことがないという一方で、そういう根本すら変えうるのがテクノロジーなのかなとも思ったりしています。

物事には良い面と悪い面があるとしたら、テクノロジーがもたらす弊害であるとか、そこらへんについてなにか考えていることがあればお聞きしたいです。佐藤さん、お願いしてもいいですか?

佐藤:あるとしたら、倫理を飛び越えるときですかね。例えば、人をもう1個作るとか、コピーしてしまうとか。はたまた、時間を飛び越えるみたいな技術がもし可能になったとしたら、倫理を飛び越える瞬間というのはくるのかなと思っていて。

ただ、人間というのは、一方で畏れがある生き物だと思うんですよね。あまりにもすさまじい力を手にしすぎると、おそらく最初は使ってみたいと思うんですけども、時間が経つと規制してくるんじゃないかなと。

核爆弾なんかまさにそれで、人が得ていい能力じゃなかったはずなんですよね。でも、試してみたかったと思うんですよね。試してみて、その結果を見て反省をして、「みなさん、使わないようにしようね」というのを、世界中でいろんな人が考えるようになってきました。

なので、たぶんいったん倫理を超えてしまうというときがくると思うんですけども、50年とか30年とかスパンが経てば、また社会全体が「そのシステム自体を使わないようにしよう」ということに収束していくのかなと。人間はけっこうバランスを取っている生き物だなとは思います。

岩瀬:おもしろいですね。ありがとうございます。後ろの方、どうぞ。

メタップスの宇宙事業への参入

質問者6:○○と申します。佐藤さんに質問させていただきたいんですけれども、近く、宇宙ビジネスにも参入されるというリリースを拝見させていただきまして、そのときに思ったことは、衛星のリモートセンシングというかたちで地球観測画像を集めることによって、よりリアルな場所の、例えばGoogleアナリティクスみたいなものができますと。

そういった分野に手を出していかれようとされているのかなと思ったんですけど、とくに僕は宇宙がとても好きだったので、衛星リモートセンシングといった事業に対して、先が見えたからこそ参入のプレスリリースを出されたかと思っています。

ですが、今後そこの部分って、宇宙業界だと「うまくいかねーんじゃねーか」みたいな話がよくされていて、ぜひ佐藤さんの今後の衛星リモートセンシングの未来について、ちょっとお聞きしたいなと思います。

佐藤:これけっこう具体的な話ですよね(笑)。衛星のビジネスとか宇宙のビジネスで言えば、さっきおっしゃっていたようにハードルがすごく高いんですよね。

コストがものすごくかかるので、今まで通常の企業では参入できない領域だと言われていたところが、たぶんコンピュータの性能が高くなってコストが安くなってくると、私たちみたいなベンチャー企業でもすぐに参入できるというような領域になってくるのかなと。

とくに衛星のデータとかであれば、今であれば食わせて分析するのにけっこうなコストがかかりますけども、おそらく5年後であればぜんぜん、今のコストの10分の1以下で分析できるようになっていると思います。

なので、そのタイミングで地球上でなにが起こっていて、次になにが起きるんだっけという予測までは、すごく簡単にできるようになっているかなと思っています。かつ、リモートセンシングの領域でいうと、ほとんどがやっぱり国なんですね、お客さんって。

軍事で使われているんですけども、例えば、天候がどうなるかって予測できるようになれば、じゃあ穀物がどうなるかというのも、将来的には予測できるようになりますし、あとは衛星って温度もわかるので、じゃあ次どこらへんに魚が来そうかというのもわかると、漁業に生かせたりするので、まだまだ活用ができてない領域なんですよね。

なので、私は宇宙産業というのを見ていると、テクノロジーが足りないんじゃなくて、アントレプレナー、企業家が足りないんだな、というのはよく感じましたね。

なので、逆に言うと、ビジネスのセンスがちゃんとわかっている人間が1人でもいれば、けっこう大きな市場を作れるだろうなと感じました。

岩瀬:ありがとうございます。

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