授業の前の確認事項

まきちゃん先生(以下、まき):では、これから第4回世界史の授業を始めます。でも、その前に出席を取ります。やすやす君。

やすやす君(以下、やすやす):はい。

まき:おおたに君。

おおたに君(以下、おおたに):はい。

やすやす:それと、まきちゃん先生ですね。

まき:そうです、全員揃ってますね。それでは今日の授業を始めましょう。授業を始める前に確認事項があるけれど、覚えているかな?

おおたに:確認事項?

まき:ここにいるみんなは歴史の専門家ではなく、むしろ素人ですね。なので授業で取り扱う内容も専門的ではなく、どちらかというと浅い表面的な歴史を取り扱いたいと思います。

また、先生も人間なので間違えている箇所も多々あるでしょう。

やすやす:という先生こそ、そんなに歴史に詳しくないですよね?

まき:静かに(笑)。ということで、ここにいるみんなも歴史を知るというよりかは、歴史を楽しむというスタンスで授業を聞いてくれればいいなと思います。それでは授業を始めます。

まきちゃん先生の出演情報

やすやす:まきちゃん先生!

まき:はい。

やすやす:実は、この授業にお手紙が届いています。

まき:本当ですか?

おおたに:お! いいね。早々と。

やすやす:早いですね(笑)。

まき:ありがとうございます。

やすやす:評価するには、まだ早いと思いますけどね(笑)。なので、ここで紹介させていただきたいと思います。

おおたに:ぜひ聞きたいですね。

まき:お願いします。

やすやす:お名前、はるさんという方からです。題名「まきちゃん先生」。

まき:お、私ですか?

やすやす:そうですよ。名指しで来ていますよ。

まき:私?

おおたに:何だろう。

やすやす:「まきちゃん先生って、ウーパールーパー研究所の人ですか? 笑い声にめっちゃ癒されます」。

まき:あ……ありがとうございます。

おおたに:ウーパールーパー研究所って何ですか? 聞いたことないですけど。

まき:なんですかね(笑)。

おおたに:何かあるんですか?

やすやす:別の番組で、ウーパールーパー研究所の人にゲストとして出てもらったことがあるのですが、その方に似ていらっしゃるのでしょうね。

まき:その方に似ているんですかね? はるさん、ごめんなさい。私、その方ではないんですよ(笑)。すみません。

おおたに:今、その方がそういう人なのかと思いました(笑)。

まき:私もウーパールーパー研究所の方のお話を聞いてみたいですけどね(笑)。

やすやす:本当ですか。「世界直送インタビュー」という番組のドイツ編に出ていらっしゃいますね。

まき:そうなんですか!

やすやす:本当に研究者の方ですね。

おおたに:ああ〜。思い出しました。

やすやす:ドイツで研究されている方なので、日本の大学生のまきちゃんとは全然関係ないですね。

まき:はい。ちなみに自己紹介しておくと、旅々プロジェクトで、「つながり。」のインタビュアーとして出ているので、そちらも聞いてみてください。すみません。宣伝です(笑)。

やすやす:はい。別の番組で「つながり。」というのをまきちゃんがやっていらっしゃいます。

まき:笑い声に癒されるとか言ってもらって、すごく嬉しいです。ありがとうございます!

読者からのリクエスト

やすやす:ありがとうございます。それともう1通いただいていまして、ナカムラさんという方ですね。「『旅々ニュース』を聞いてから世界史に興味を持つようになり、オーディオブックを買ったりするようになりました。天然っぽいまきちゃん先生と、冷静なおおたに君が、『旅々ニュース』を思わせるバランスで、とっても聞き心地がいいです」という感想をいただいていますね。

おおたに:嬉しいですね。

まき:ありがとうございます(笑)。

やすやす:天然っぽい、らしいですよ。

おおたに:「ぽい」じゃないですね。

まき:よくわからないけど、まわりの人いわく、天然らしいですね(笑)。

やすやす:質問というか希望も出していただいていまして、「ユダヤ人について取り上げてほしいです。ユダヤという国名はないのに、なぜユダヤ人というのでしょうか?」。

おおたに:なかなか広い、深いテーマですよね。

やすやす:おもしろいテーマですよね。

おおたに:イスラエルですよね。

やすやす:そうですよね。ユダヤ人について取り上げる=イスラエルでしょう。ということで、これは勝手にこちらでイスラエルのリクエストをもらったという判断をしまして、毎回やっているビンゴでイスラエルという国の票を増やそうと思っています。

おおたに:確率アップですね。

やすやす:そうです。

まき:ということは、今度はイスラエルは2票になるんですね。

やすやす:はい。出る確率が2倍になる。といっても、0.5%だったのが1%になるのかな? という感じでリクエストをもらうと1票ずつ増やしていこうかなと思っています。

おおたに:いいですね。

やすやす:ただ、最終決定権はビンゴにある、ということですね(笑)。

まき:このビンゴ、いつもドキドキするんですよね(笑)。

おおたに:どれに当たるかわからないという。

やすやす:ということで、ナカムラさんからお手紙をいただきました。ありがとうございます。

おおたに:ありがとうございます。

国土620平方キロメートルの小さな島国

まき:ありがとうございました。ということで、さっそく今日の授業を始めましょうか。みなさん大丈夫ですか?

やすやす君・おおたに:はい。

まき:では、おおたに君。今日の授業内容を覚えていますか?

おおたに:どこだったかな? 中東のほうだったかな……。すみません、どこでしたっけ?

まき:さあ、中東のどこでしょう?

おおたに:バーレーンかな?

まき:正解です! では、今日はバーレーンの歴史について取り上げます。まず「バーレーンってどこだろう」と思う人が多いと思うので、まずバーレーンの地理から説明したいと思います。バーレーンという国は、本当に小さな島国ですかね。

島国ら辺で、サウジアラビアのすぐ近くにありますね。ペルシア湾の近くにあって、隣がサウジアラビアで、上にクウェートがあって、あとカタールとアラブ首長国連邦が下にありますね。

やすやす:バーレーン。またもや僕はいったことがない国ですが、地図を見て驚いたね。「ここにあるんだ!」という。

まき:そうなんですよね! バーレーンって島なんですよね。

おおたに:どのくらいの大きさですか?

まき:大きさは南北48キロメートル、東西19キロメートルに広がっていて、国土面積は620平方キロメートルらしいですよ。

やすやす:日本でいうと、1つの県くらいでしょうかね。

まき:大きさはそれくらいでしょうね。

おおたに:48キロメートル、19キロメートルって県でも小さいですよね。すぐに行けちゃいますよね。

やすやす:地図を見て一番驚いたのが、島国なのに道路でつながっているんですよね。

まき:そうですね。道路でつながっていますね。

やすやす:これを見て、どうしてここに国ができたんだろうという興味がすごくわきました。

まき:それは私もわきました。バーレーンは、1986年に全長25キロメートルのキング・ファハド海上道路によってアラビア半島とつながったらしいですよ。

やすやす:なんですって? 1900……。

まき:つながっているといったじゃないですか。1986年に全長25キロメートルのキング・ファハド海上道路によって、バーレーンはアラビア半島とつながったのです。

やすやす:僕らの年からしたら最近だね。僕らの年からしたらというか、おおたに先生と僕らの年からしたら、けっこう最近ですね。

おおたに:はい。つい昨日です。

まき:はい。それまではつながっていなかったらしいですね。

やすやす:あ、そう! 最近なんだ。

おおたに:たぶんそれまではフェリーとかそんな感じだったんですかね。

まき:フェリーとか、そんな感じだったんでしょうかね。

やすやす:二十何キロメートルもあるんだ。なかなか長い橋だね。

まき:そうですよね。すごく長い橋ですよね。

バーレーンの国名の由来は?

まき:バーレーンという国の由来は、2つの海だそうです。バハルが海で、レーンが2つということで、バーレーン、2つの海ということですね。

やすやす:そうなんだ。それはアラビア語ということだね。

まき:そうですね。アラビア語ですね。

おおたに:2つに見えないんですけど。ペルシア湾1個にしか見えないんですけど。

やすやす:本当だ。これはどことどこだ?

まき:本当だ。意味を調べたらそうだったんです。これは推測でしかないのですが、ペルシア湾とバーレーン、サウジアラビア。

おおたに:内側ね。

まき:内側に小さな海があるので、その2つではないかなと思います。(訂正:2つの海は、ペルシア湾とサウジアラビアとバーレーンの間にある小さな海だとお伝えしたのですが、正確には、島に出る真水と、島を囲む海水という意味だそうです)

やすやす:内海と外海くらいの感じだ。

おおたに:日本海も太平洋の一部だといえばそうなんですが、「日本海だぞ」といっているしね。

やすやす:そうね。海は1つかどうかというところになるね。

まき:とりあえず2つの海という意味だそうです。国旗が白と赤でジグザグになっているのですが、国旗の白の部分は平和を表していて、赤の部分が血を表していて、ジグザグは戦闘を表しているんですね。

あとで紹介するんですけど、元々バーレーンはすごく真珠が獲れる街で、あと交易でもすごく栄えた街だったので、ほかの帝国に取られた歴史があるので、平和だの血だの戦闘という意味になったんじゃないかと思います。

やすやす:なかなかほの暗い歴史がある国なんだね。国旗も9割が血だもんね。平和は1割しかなくて、血におされているもんね。

まき:そうですね。けっこう血におされていますね。

バーレーンは暑さと湿気が厳しい

まき:気候は、夏は蒸し暑く、冬は比較的涼しくて、一番暑いのが7月だそうで、最低29度で最高37度。日本と同じくらいですかね。1月は最低が14度で最高が20度で、年間通してちょっと暑い感じで、湿度は、夏で72%から82%あるそうです。

やすやす:それは日本と比べても相当暑いんじゃないですか?

まき:そうですね。たぶんけっこう暑いですね。

やすやす:このあたりは、世界最高の記録をするエリアですよ。

まき:そうなんですか!?

やすやす:バーレーンから、イラク、クウェート、イランのペルシア湾側は、相当だと思いますよ。僕、イラクに行った時に、イラクのペルシア湾の海に向けて1つ街があるんですよ。この街に行った時に、気温計を見るじゃないですか。テレビの天気予報を見ると、毎日50度になっていましたからね。

まき:え! 熱中症で倒れそうですね。

やすやす:毎日50度だから、上下はするだろうと思ったんだけど、50度以上だからそれ以上の表記はしないんだって。テレビも、現地の方が言うには「50度までしか表示しませんよ」と言っていましたね。

まき:ということは、もっと暑いのかもしれないということですよね。

やすやす:それ以上表示すると人間もまいっちゃうから、テレビでは出さないんだって。というくらいの地域だったけどね。

まき:ということは、本当に酷暑というか暑いんですね。

やすやす:と思う。このあたりはね。

おおたに:聞くのは、暑くても日本みたいに湿気がないじゃないですか。でも、今聞いたところによると、バーレーンは湿気もあるので厳しそうですね。

やすやす:海の真ん中ですもんね。

シーア派が多数のめずらしい国

まき:国土は小さいですが、人口は80万人、首都はマナーマというところだそうです。けっこう移民の人も多くて、1990年代は33%の人が移民だったらしいのですが、たぶんもっとその割合は増えていると思います。

言語はアラビア語が共通語で、宗教が70%がシーア派で、30%がスンナ派なんですけど、30%のスンナ派の人たちがすごくいい仕事についたり教育に恵まれていて、70%のシーア派の人が貧しい環境で、そことの争いがあるそうですね。

なぜスンナ派が優遇されるのかということなんですけど、ここの政府の首相とか国王とかがスンナ派なんですよ。なのでスンナ派を優遇した政策とかが多かったので、スンナ派の人はその分いい教育を受けられるので、いい役職についたりすることはあるらしいですね。

やすやす:人数の上では少数だけど、実権を握っているのはスンナ派だということだね。

まき:そうですね。それで時々シーア派の人が不満を持ってデモをやったりということがあるそうです。

やすやす:世界的に見てもシーア派というのは、たしか少数派なんだよね。

まき:そうですね。どこの国もスンナ派のほうが多いですね。バーレーンのシーア派は珍しいパターンかもしれないですね。

やすやす:シーア派が多数派というのは、イランくらいじゃない? 隣のサウジアラビアはがっつりスンナ派だから、そこと道路もつながっているし、経済的にもタッグを組んでいくんだろうから、やっぱりスンナ派がメインになってくるんだろうね。

領土問題について国際司法裁判を経験

まき:そうですね。政治なんですが、今は立憲君主制です。憲法や議会をちゃんと持っています。

やすやす:立憲君主制ということは、王様もいるということですね。

まき:そうですね。あとで説明しますが、前はアル・ハリファの専制政治だったんですけど、2002年から憲法を改正したり首長制を廃止したりして、国会議員選挙が行われて立憲君主制になったそうです。

やすやす:じゃあ、それも最近なんだ。

まき:つい最近ですね。たぶん首長が変わったので、それに伴っていろいろと改革が進んだらしいですね。対外問題としてカタールと領土紛争を抱えていたんです。バーレーンとカタールは隣同士ですね。でも2001年の司法裁判所で、争っていた領土はバーレーン側になったらしいです。

やすやす:国際司法裁判をやったんだ。

まき:国際司法裁判までやったらしいです。

やすやす:裁判はやったほうがいいよね。というか、難しいところだよね。

まき:そうですね。けっこう難しいところではあると思いますが、日本もいくつか領土紛争を抱えていますから。でも、こちらはちゃんと裁判にかけています。

やすやす:でも、自分らで解決できなかったんだね。

まき:ということでしょうね。なかなか解決するのも難しいでしょうね。

やすやす:でも、個人的には、領土問題は国際司法裁判をやられても難しいなと思うんだよね。まったく事情を知らないやつが第三者の目線でああだこうだいうのは、やっぱり本当は好ましくないよね。

まき:そうですね。どうなんでしょう。だけど、逆に第三者だからこそ客観的な立場で見られるというよさがあると思いうんですけど、そこは難しいところでもありますよね。

やすやす:そうだね。

おおたに:両国が裁判に応じないと成立しないわけでしょ。

やすやす:韓国と日本の件では、そう言っていましたね。

おおたに:だから「本来領土問題は存在しない。ここは我が国固有の領土だ」となると、司法裁判にすらならないんですよね。

やすやす:日本の普通の裁判だと、出てこないと自動的に負けになっちゃうんだけれども、この領土問題に関する裁判はお互いに出席しないと勝ち負けがなくなっちゃうということだね。

おおたに:ここはちゃんと二国が出て、裁判にしたわけですね。

やすやす:そうですね。バーレーンとカタールは。

中東ではドバイ、カタールに継ぐ金融大国

まき:あと、バーレーンは医療費が無料だそうで、保険がちゃんとあって、それぞれの家庭が特定のドクターを持っているらしいです。それは裕福な人だけかもしれませんが、一応バーレーンでもがんと心臓病が問題になっているそうです。

これはニュースで見たのですが、バーレーンの大学と日本の大学が共同でがんの治療プログラムを行なっているらしくて、尿を使ってのがんの検査やがんに効くカプセルの開発を今行なっているらしいです。

あとバーレーンは、以前は石油が採れた国なんですが、今は金融に力を入れていて、中東の中でも金融大国になりつつあるらしいです。2010年英国のシンクタンクのグループによると、バーレーンは世界第42位の金融センターと評価しており、中東ではドバイ、カタールに次ぐ第3位だそうです。

やすやす:今、石油は出なくなっちゃったの? そういうわけではないよね。

まき:1970年頃から石油が枯渇し始めて、このままいくとあと20年あまりで完全に枯渇するという問題に直面したらしいのです。たぶん今でも少しは出ていると思うのですが、それでビジネスの拠点、金融センターを目指して、石油でお金が入ってくる時期にインフラ整備を始めて、観光とか貿易とか新規事業を積極的に展開しました。

確かに、日本人でバーレーンの観光に来る人はあまりいないそうですが、欧米のほうからけっこう観光客は来ているみたいですね。

やすやす:そうなんだ。日本で中東の国というとドバイだよね。

まき:そうですね。ドバイですね。金融に関しても観光に関してもドバイというイメージがすごく強いんですけど、バーレーンに旅行する人も多いらしいです。

女性の就業率や進学率も高い水準に

まき:女性の社会的進出も他の諸国に比べると進んでいて、女性の就業率は23.5%、大学進学率もけっこう高い数字を誇っていて、政府の要職に就く女性もめずらしくないそうです。日本に比べると、そのへんはちょっと進んでいるのかなと思います。

やすやす:サウジアラビアとかのほかのイスラム圏の厳しい国に比べれば、ずいぶん進んでいるんだろうね。

まき:そうですね。教育の機会も恵まれているみたいですね。大学進学する女性が多いという話は聞いたことがありますね。

やすやす:この間、サウジアラビア関連のニュースを見てびっくりしたのが、女性は車の免許を取れないんだってね。

まき:そうですよ。取れないんですよ。取ると逮捕されるんでしたっけ? 車を運転すると逮捕されるみたいな話を聞いたことがあって。それは日本人にも適用されるのかわかりませんが、そういう話を聞いたことがあります。

やすやす:サウジアラビアはすごいなと思ってね。バーレーンはもう少し開けているほうかもしれないね。

まき:バーレーンはけっこう開けているほうかもしれないですね。