CLOSE

Do it ourselves! 汗をかき、手を働かせる…株式会社TOKIO・国分太一のチーム共創論 (全3記事)

DASH村での耕作も、最初はやりたくなかった 国分太一氏が語る、TOKIOが一次産業に向き合い続ける理由

SmartHRが主催するイベント「SmartHR Connect 〜AIとHRテクノロジーが紡ぐ革新的企業への進化〜」が開催され、多様な分野のエキスパートたちがHRテクノロジーと人事戦略の未来について語りました。「Do it ourselves! 汗をかき、手を働かせる…株式会社TOKIO・国分太一のチーム共創論」と題したセッションには、国分太一氏と髙倉千春氏の2名が登壇。本記事では、創業3年目を迎える株式会社TOKIOの「これから」を国分太一氏が語ります。

前回の記事はこちら

TOKIOが一次産業に向き合う理由

髙倉千春氏(以下、髙倉):そうですよね。一歩一歩土台を築かれてきたから、今、相当できることがあるのかなと思いますけど。個人的に私のキャリアの最初が農林(水産)省なので、今日絶対に聞きたいことが1つあるんですが……。丸亀製麺さんも食なので農業に近い。DASH村もそうですけど、なぜ一次産業に取り組まれたんですか。

今、日本では2つの米が危ないと思っているんです。半導体という産業の米と本当の米。これはどうにかしないと、もう自給率38パーセントかな。年齢がわかっちゃうんですけど(笑)、私が農林省にいた40年前と変わらないんですよ。国分さん、これはやばいです。

国分太一氏(以下、国分):なるほど。

髙倉:一次産業に早く目を向けられて、ここまで持ってこられたTOKIOはえらい!

国分:いやぁ、実はそこは胸を張れないところもありまして。(そこに)注目していたわけでもないですし、そもそも『ザ!鉄腕!DASH!!』でDASH村が企画として上がったのも、もともと日本列島にDASH村という村を本気で載せようとしていたことがはじまりで。そのためには住所を変更して人口を5人増やせば「村の申請ができる」と。実はそこから企画が始まったんですよ。

それで「村で何をするのか」となって、畑を耕すという企画だったんです。でも僕はぜんぜんやりたくなかったんですよ。歌を歌いたかったんです。

DASH村で畑を耕すことも、最初はやりたくなかった

髙倉:(笑)。そうですよね。歌を歌っているかっこいいTOKIOが、畑なら(まだ)いいけど山奥のなんにもないところでサバイブするんですもんね。

国分:そうです。ぜんぜん楽しくなかったです。だから当時は反抗して、途中から髪の毛が金髪になったりするんですよ。それはスタッフに対するメッセージでもあって、「こんなことやりたいわけじゃないんだ」「こんなことをするためにエンターテインメントしているんじゃない」という。

でもその時に出会った福島県のじいちゃん、ばあちゃんが、まあかっこよかったんですよ。例えば普通「綱を切っといて」と言ったらハサミで切るじゃないですか。でも違うんです。揉んで、その後に勢いよくパーンってやると切れるんですよ。

髙倉:へえ。

国分:60~70歳ぐらいのじいちゃんが、それをやっちゃうんですよ。

髙倉:へえ。

憧れが「事務所の先輩」から「福島のじいちゃん」に

国分:あと石を割るのはいいんだけど、どうやって割ったら平らになるかを計算して「この角度から入れると割れるぞ」とパンって割るんです。

「こんなに人間力の高いじいちゃんはいないな」と思って。(それまで)僕が憧れていたのは同じように芸能界で活躍している先輩だったんですけど、そこから福島のじいちゃんに変わっちゃったという。

髙倉:(笑)。

国分:「便利なハサミがなくてもできるんだぞ」という、こんなかっこいい人間力の高い人になりたいと思ったんです。さらにそのおじいちゃんのかっこいいところは、やった後に「どや!」という顔をしない。僕らはやってできた時に「どや!」という顔をしてしまう。ここはまだ自分の成長がそこまでいってないところだなと思うんですけど。

そういう出会いから、もう一度ちゃんと(仕事と)向き合うようになって「こんなにすてきな仕事はないな」と思ったんです。(一次産業が)大変な仕事だということも、もっともっと伝えていきたいなと思うようになりましたね。

髙倉:その方にお会いになったのが、一番大きなきっかけだったのかもしれないですね。

国分:めちゃくちゃ大きいです。

髙倉:私たちは毎日いろいろな人に出会っている。その出会いを活かせるかどうかは、その土台があるかどうかだと思うんです。自分に土台がないと出会いは実らない。意味をなさないんですよね。だからきっと国分さんの中にも、その福島のおじいちゃんに会う前になにかがあったんでしょうね。

国分:ああ、それはそうですね。ある方から「知識を頭の中に入れて『はい、わかりました』ではなく、生活の中でそれをどうやって活かせるかが(本当の)知識なんだ」と教わったことがありました。

創業3年目を迎える株式会社TOKIOの今後

髙倉:なるほど。これも人事領域では深い話でございまして。一応SmartHRなので、そっちに持っていかないと私は帰れないので(笑)。

今みなさん、リスキリングという言葉をお聞きになっていますよね。リスキルとはスキルをもう1回洗い直すこと。現代の変革の中で企業が生きられるようにと、リスキリングサミットなどもやっているんですけど。私はスキルは武器だと思っています。でもそれを状況に応じてどうやって使うかには、知恵が大切。

(国分さんは)人間力とおっしゃいましたけど、人間の思考力がないと研修も学校の授業も活きないんですよね。

国分:そうですね。

髙倉:さて「残り時間10分です」と言われたので、ここからTOKIOさんはどういう活動をやるのかを、ぜひ聞きたいと思います。エンターテインメントと農業だと、エデュテインメント(教育的要素を盛り込んだ娯楽)ですか。

国分:エデュテインメント。

髙倉:そう、これにもすごく関心があるんですけど。会社を作られて今年(2024年)3年目ですね。創業3年ぐらい経つと、次の段階を考えるんですよ。

国分:おぉ~。

髙倉:1・2・3年目はスタートですから、丸亀製麺といろいろとおやりになったじゃないですか。(今)「次はどうするか」というステージに来ているんじゃないかなと思っておりまして。「こんなことをやりたい」という今後の抱負や今の問題感など、ちょっと教えていただきたいなと思います。

国分:そうですね。継続することも必要かなと思ってはいるんです。でも先ほども言いましたが、エンターテインメントの中でいろいろな経験をさせてもらったことを、後世に伝えていくことが一つの役割かなぁと思うので。

いろいろな人たちと共創することで変換して、また新たなかたちで人に伝わっていくといいのかなと思っています。

(僕らは)そんなに頭のいい3人ではないので、体を動かして本物を伝えていく。自分たちのやってきたことだけは自信を持って伝えられる気がするので、そういうことは今後もやっていくのかなと思っています。

自分たちの“本当の強み”がわからないと、新規事業はできない

国分:正直、僕らは会社に社員を増やそうとは思っていないんですよ。先ほどの話にもちょっと通ずるんですけど、ドラマをやった時にチームTOKIOができて、歌をやった時にまた違うスタッフが加わって、今までのTOKIOがあった。

これからも共創というかたちのパートナーを探しながら、プロとプロが組むことで新たなチームができ、チームが解散する時もある。また違うところとチームを組んで……を繰り返していったら、得意分野で社会の役に立つのかなと思っています。

髙倉:いやいや、すばらしいです。今のお話で2つぐらい「これはもらえる」と思いました。日本企業が新しい事業を始める時に、コアコンピテンスというのがあるんですよ。自分たちの本当に強いところは何なのか。それがわかってないと新規事業はできないんですよね。

自分たちと違うところに飛んでいっても勝負にならない。ただ今のお話を聞いて、TOKIOさんが見つけていこうと思っているのは、ミュージックという表面的なところじゃないんですね。歌を歌う、楽器を弾く、踊ることじゃなくて「TOKIOのコアコンピテンスはエンターテインメントだ」と深掘りをしたところが、私はすごいいいなと思いました。

これをやらないとほかと協働ができないんです。表面的に「音楽です」というと、音楽の人しか集まらないじゃないですか。それではDASH村には広がらないんですよ。

国分:そうですね。

髙倉:新しいものと新しいものを結合させて「次の世界を……」と日本企業はやっていますけど、「自分の強さが何なのか」が大事。

これは人間一人ひとりもそうです。「私はITが強い」とかおっしゃるけど、自分の強さとはそんな表面的なことじゃないですよね。ものすごく偶然かもしれないけど、大変な芸能界の中でTOKIOさんは、その深堀りをされてきた気がしています。

国分:なるほど。まったく考えずに進んできましたね。

「正社員」にこだわらないシリコンバレーの働き方

髙倉:それがすごいと思うんです。あと確かミッションの1つに思いを重ねるという……。「別に正社員じゃなくてもいいじゃないか」というのも、意外に今の人事制度では話題になっています。

私もけっこうミーハーなので、好きでアメリカ西海岸のシリコンバレーに行くんですね。(シリコンバレーは)すごく変化が激しいから、もう正社員を何人とかで採用しないんですよ。

国分:へぇー。

髙倉:経営理念や思いが一緒なら、別に正社員になってもらわなくてもいい。だけどプロ同士として一緒にやろうじゃないかということなんですね。だからインド人のシステムエンジニアで「5~6社を持っています」という天才が出てくるんですけど。

日本の大企業がいたら怒られちゃいますけど、これだけ変化が激しいから「別に正社員とやらなくてもいいかもしれない」と。もちろん正社員もいるんですけど、プロジェクトベースで副業・兼業で集まればいいじゃないかと。

前職のロートではずいぶんやりましたけど、本籍は置きながらもプロジェクトベースで一緒にやる。それは企業側も本人の成長にもなる。TOKIOさんの思考は、相当われわれにとって勉強させていただく要素があります。

国分:なんか調子に乗っちゃう。すみません(笑)。ありがとうございます。

髙倉:まず今年(2024年)から来年(2025年)の活動の抱負をうかがわせていただければ。

国分:そうですね。ほかの2人もいろいろなことに挑戦したいという熱い思いを持っていて。これからも僕らはいろいろな人たちにやりたいことを聞いてもらおうと思っています。

自分のやりたいことや思いを人に伝えることで、(もちろん)まったく気にならない人もいるけれど、どっかで気にしてくれる人、アンテナをずっと立てててくれる人もいる。(その人たちに)「今、そのチャンスが来た」と思ってもらいたいからこそ、僕はこれからも言葉にしていきたいなと思っています。

髙倉:すばらしい。

国分:正直いつかここにいるみなさんとも、どこかで共創できたらいいな思っています。

髙倉:ぜひぜひ! SmartHRさん、来年はTOKIOさんの農家体験に。私も行きたいので「プログラムを作ってみんなで行きましょう」と申し上げたいと思います。

国分:ぜひ、よろしくお願いします。

50歳で会社を立ち上げた城島茂氏

髙倉:ありがとうございました。今日の私の学びからちょっと申し上げると、やっぱり純粋な気持ちでなにかに取り組んでいる人は輝いている。「まず成長しよう。ここで終わりじゃなくて、もうちょっとやってみよう」と、ここのジャンプがすばらしいと思います。

そういう人の純粋な気持ちは感動を呼ぶし、子どもたちや次の世代の人も、その背中を見ながら成長するんだなと思います。われわれも、そういう方々からいろいろな学びをもらえるんだなと、今日この短い時間で感じました。最後に太一さんから今日の感想をよろしくお願いします。

国分:そうですね。こういうかたちで登壇してしゃべるのは、今回が初めてに近くて。逆に言うと(はじめは)正直「絶対にアウェイだな」と思っていました。僕は今年(2024年)50歳になるんですけど、50になってこんなチャレンジができるのは、今まで自分がやってきた経験がつながったからなのかなぁと思っています。

会社を立ち上げた城島社長は50歳の頃、会社を立ち上げているんです。リスクがあるから50歳で会社を立ち上げることは、なかなかできないと思うんですよ。でも僕はそんな城島さんの背中をずっと見てきた。

それから企業さんと共創する時には「自分たちの思いを伝えたい」という松岡の思いがある。そんなふうに今、新たなステージをものすごく楽しんでいます。ここにいるみなさんには変換力があると思うので、僕らがやってきたことを自分の仕事に変換し、役に立ててもらえたらいいなと思っています。どうもありがとうございました。

(会場拍手)

髙倉:ありがとうございました。

続きを読むには会員登録
(無料)が必要です。

会員登録していただくと、すべての記事が制限なく閲覧でき、
著者フォローや記事の保存機能など、便利な機能がご利用いただけます。

無料会員登録

会員の方はこちら

関連タグ:

この記事のスピーカー

同じログの記事

コミュニティ情報

Brand Topics

Brand Topics

  • “退職者が出た時の会社の対応”を従業員は見ている 離職防止策の前に見つめ直したい、部下との向き合い方

人気の記事

新着イベント

ログミーBusinessに
記事掲載しませんか?

イベント・インタビュー・対談 etc.

“編集しない編集”で、
スピーカーの「意図をそのまま」お届け!