刑務所の職員の数が圧倒的に足りない--堀江貴文氏が国会で受刑者の再犯防止策について語る

刑事訴訟法改正案・国会審議 #2/3

刑事訴訟法改正案・国会審議
に開催

取調べの可視化の義務化や司法取引制度などを柱とする刑事司法改革関連法案を審議する衆院法務委員会に7月10日、元ライブドア社長でSNS株式会社ファウンダーの堀江貴文氏が参考人として意見陳述を行いました。証券取引法違反事件で実刑判決を受けた経験を持つ堀江氏が、自身の経験をもとに刑事司法制度の問題点を語りました。

受刑者の再犯防止策について

國重徹氏(以下、國重):続きまして、受刑者段階における刑務所生活。そこにおいても、入ったものしか分からない様々な支障とか課題とかもあったかと思います。また堀江参考人が入っている時、周りの方の中に再犯を繰り返している方とか、組織に入っている方もいらっしゃったかと思います。

今、堀江参考人は見事に社会復帰をされておりますけれども、そういった受刑者の方々が再犯を繰り返さず、また社会復帰できるようにするために、刑務所生活における運用においても、様々な改善点。このようにもっと改善していけばいいんじゃないかと思うところがあれば、お伺いしたいと思います。

委員長:堀江参考人。

堀江貴文氏(以下、堀江):それにつきましては、私、文藝春秋社から『刑務所なう』っていう本を出しておりまして、そちらに詳しく書いてありますので、是非読んで欲しいんですけれども。端的に申し上げますと、1つは刑務所の職員の数が圧倒的に足りません。今回、どっかの刑務所で、炊場といってご飯を作る係を外注するみたいな話がありましたけれども。

これは受刑者の質もあって、ご飯作る係の人って、割と能力が高くて、体力もあって、若くてみたいな人しかできないんですけど、そういった受刑者が非常に減ってきておりまして。

むしろ高齢の受刑者、障害者の受刑者がすごく増えてきているような現状があります。私が入っておりました長野刑務所の第15工場というのは、いわゆる障害者と高齢者をお世話する工場なんですね。

私はそちらのお世話係で、衛生係というのをやっておりましたけれども。この人達はほとんど大体満期出所で、身寄りもなくて、更生保護施設にも入れない方々なので、恐らくまた再犯を繰り返すのではないかなと。

そういった累犯受刑者の方々の対策をするには、根本的にその生活を建て直すような、例えば研修とか職業訓練といったものの改善が必要です。

職業訓練に関しては、いわゆるガテン系の職業は、割とあるんですけど、それもエリート受刑者しか受験できないと。本当に必要なスキルの低くて再犯を繰り返しそうな人達っていうのは、中に入っててもそういった研修を受けられないような人達なんですよ。

そういった人達に対して、少なくとも現代社会に則した形で、プログラマーのようなIT系の仕事のエンジニアであったりとか。こういった研修を受けさせるとか。

少なくともパソコンを使えるようにするとか、あるいは少なくとも自動車運転免許ぐらいは。特に、地方に行ったら、自動車運転免許がなかったら採用されなかったりしますので。

よく知らないですけど、玉掛けとかフォークリフトとか大型自動車とか、そういうのを免許取らせるのに、普通自動車運転免許を刑務所で取らせるのは、まかりならん、みたいな形になっているのも。

実際に再犯をさせないような支援をする意味では、職業訓練というのも、なんかちょっと古くさい。全然変わっていないような状況が、私はあると思います。この改善も求めたいと思います。

すべての事件で裁判員制度を選択可能に

堀江:職員の数が圧倒的に足りないのは、予算が足りないからなんですよ。だから、それは再犯防止のために、予算をたくさん使って、再犯防止をすることが、社会にとって僕はいいことだと思いますので、予算を増やして欲しいです。国民はなかなか認めないかもしれないけど。

受刑者になんでそんな贅沢をさせるんだということで、なかなか認めないかもしれないですけど、そうではなくて。

再犯をさせないため、つまり社会に彼らは絶対帰ってくるんですね。帰ってきた人達をいかに再犯させない方向に持っていくのかが、非常に重要だと思います。

最後にもう1つ言っておきたいんですけれども、私がいた刑務所の中で、性犯罪をたくさん繰り返して、懲役6年の受刑者がいたんですけれども、彼が僕に何を言ったかというと「助かった」と言ってたんですよ。

彼は極悪人ですよ。社会的にいうと。なんで助かったかって言いますと、彼は強姦罪ではなくて、強制わいせつ罪で収監されてたんですね。でも実際に、彼が私に言ったのは「強姦を何回もやっている」と。

なのにもかかわらず、強制わいせつで起訴されて、懲役6年であると。そこは皆さん分かると思いますけれども、なんでそうなっているかっていうと、これは裁判員制度の制度的欠陥なんですよ。

というのは、裁判員裁判になると、被害者が裁判員の前で証言をしなきゃいけないんですね。この線引が、強制わいせつ致傷と強制わいせつの間になってるんですね。なので、被害者が一般の裁判員の前に出て証言をするのがイヤだということで、強制わいせつにするケースが結構あるようなんですね。

それによって、本来はもっと長い間、社会から断絶されるべき人が、たったの6年で世の中に出てきてしまうと。社会に出てきてしまうという制度になっていることが、僕は非常に問題だと思います。

これはいくつか改善案はあると思うんですけれども、僕は全事件に対して、裁判員裁判を選べるような仕組みが必要なのではないかなというふうに思ってます。

そうしないと、そうやって本来はもっと懲役を長くすべき人が、短くなってしまうというような状況。彼は多分、氷山の一角だと思いますので、これを直さないと、恐らく彼は再犯をしてマックス6年でいいのかとなというところも憂慮しております。以上です。

委員長:國重君。

國重:以上であります。ありがとうございました。

検察官による取調べはすべて録音・録画すべき

委員長:次に、階猛君。

階猛氏(以下、階):民主党の階猛です。私も弁護士ですので、そんなに厳しいことは言わないと思います。先ほどのお話の中で冒頭、司法制度改革は期待していたほどではないと。あるいは冤罪防止は後退しているということでした。

そうしたことから考えると、堀江さんは、この法案には反対というふうに理解したんですけれども、それで間違いないでしょうか?

委員長:堀江参考人。

堀江:いや、一部反対で、一部賛成。特に、証拠開示請求に関して言うと、かなり前進したと思いますので。もっと良くなって欲しいんですけれども、一部賛成ということです。

委員長:階君。

:一部賛成で、一部反対。反対の部分というのは、先ほどのお話だと、司法取引のところとか、保釈要件のところが出てきたかと思います。他に何かございますか?

委員長:堀江参考人。

堀江:僕は、証拠開示請求以外の部分っていうのは、基本的にあまり前進していないと思います。むしろ、後退している部分が多かったように感じます。

例えば、捜査の可視化であったりとか。そういった部分も独自捜査事件であったりとか、そういったところに限るみたいな話もありますし。

なんか機器の問題で、コストがかかるからとか言ってますけど、そんなこと多分ないと思いますので。もっと安い機材を使って、安く保存することは、今の技術を使えば、僕は可能だと思いますので、全事件に対して、被疑者だけではなくて、任意で取調べをしているような、周りの人達の取調べのほうが、実は重要だったりするので。

それこそ、検察官が取調べているのは全部録音、録画すべきであるというふうに私は感じます。もっと言うと、弁護士を全部同席させてもいいように、制度改革をすべきだと思っています。

あと、通信傍受の問題に関しても、例えば、オレオレ詐欺であったりとか、そういったところの通信を事前に傍受して、捜査をすることっていうのは良いと思います。けど、その範囲があまりにも広すぎるなと。これは全てに拡充されてしまう恐れがあるので、ここに関しても憂慮しております。以上です。

堀江氏による「保釈」と「司法取引」に関する改善要求

委員長:階君。

:我々も悩んでおりますのは、この法案って、方向性としては正しいものと冤罪防止という意味でマイナスに働くものと。玉石混交といいますか、いろんなものがまとまって1つの法案で、それで賛否を決めろと言われているわけですね。

私たちはそうじゃなくて、1つ1つテーマを分けて賛否を決めるべきだと。法案も分けて、賛否を決めるべきだと言っております。しかしながら、今現状を前提としますとね、一括した法案について、賛成か反対かと決めざるをえないわけです。

今、堀江さんのお話を聞いてますと、「問題点は多々ある」ということをおっしゃったわけでございまして、そういうことからすると、全体として仮に「どっちか選べ」と言われたら、どっちなのかということを、改めて教えていただけますか?

委員長:それは誘導尋問のようであって、あんまり芳しくないですね。堀江参考人もう率直に言ってください。

堀江:ここで審議を尽くされて、少なくとも私は、保釈と司法取引について、私が言っているような形で保釈については、刑事訴訟法第89条の第4項の部分の修正をちゃんとやればいいと思いますし。

司法取引に関しては、すべての被疑者、被告人というか、共犯者や主犯格も含めて、その制度を利用できるようにすれば私はいいと思いますので、そこさえ修正すれば私は賛成ですね。そこさえ修正すれば。

司法取引制度の改革案はフェアじゃない

委員長:階君。

:ちょっとテーマを変えますけれども。マスコミが注目していないと。国民生活に関わることだけど、注目されていない理由の1つに、司法取引という制度を導入するんですが、法案上は証拠収集等への協力及び訴追に関する合意制度と。聞いてもなんだかよく分からないようなネーミングがされていることが、1つ理由にあると思うんですね。

私はもっと分かりやすい。つまり国民にとって「これは危ないよね」「ちゃんと考えなくちゃね」というふうな、注意喚起できるようなネーミングにすべきではないかと。

例えばですよ、1つの案として密告奨励型司法取引だとか、何か国民の耳目を引き出しやすいようなネーミングにすべきだと思うんですけれども。堀江さんは発信力があるので、もしこの司法取引、今回のタイプの司法取引について新たなネーミングを付けるとすれば、どんなことを考えられますか?

委員長:ゆっくり考えてくださいよ。堀江参考人。

堀江:それはなかなか難しい話なんですけれども。だから、一方通行なんですよね。一方通行型の司法取引制度なんですよ。これは本来の司法取引では、多分ないと思うんですね。フェアではない司法取引制度であります。これは圧倒的に主犯格が不利になります。

そこを、より強調した形で言うべきかなと思います。なんでこんな話になったのか、僕はちょっと理解しがたかったんですけど、そちらに関しては、もうちょっと厳しく詰めるべきなのかなと。多分、多くの人達が理解していないので、こんなことになっちゃったんじゃないかなと私は思ってます。

委員長:階君。

:一方通行型とかフェアではない司法取引とかいうことは、堀江さんの言葉として出てきたと思います。で、仰るとおりでして、7月7日のこの委員会の、政府参考人の答弁で、「今回この司法取引は、組織的な犯罪等の解明を図るために利用されるものでございまして、末端の実行者をはじめとする下位の関与者から首謀者等の上位の関与者に関する供述等を得ることを主眼とするものである」という明確な答弁がされているんですね。

まさに一方通行型で、主犯格にとってみると、特に身柄拘束化において、末端の人から見ると、自分がやったかやらないかということですら、本当はやっていないのにやったと言いたくなるような状況であります。

なおさら主犯格がやったかやらないかということについては、自分とは関係ないことですから。多少、良心の呵責はあるにせよですね、自分がやっていないということをやったということよりはハードルは低いと。

つまり虚偽の供述がなされる可能性が高く、冤罪の可能性も高いというふうに考えるんですけれども、その点いかがでしょうか?

委員長:堀江参考人。

堀江氏が感じる司法取引制度の危険性

堀江:その通りだと思います。現状でも、そういう状況に、起訴便宜主義なんかを使って、そういう状況になっておりますが、それが助長される。これは実はすごく危険なことで、私はブログであったりとか、メディアを通じて、そういったことをずっと訴えてきましたが、誰も聞いてくれません。

主犯格は悪者だというふうに思っているのかもしれないですけど、僕の事件はとりあえず置いておいて。

村木さんの郵便不正事件に関して言うと、元係長の彼は、司法取引制度が無いにもかかわらず、全く事実無根のことを検察官に誘導されたにせよ、それを証言してしまって、供述調書を取られたわけですけれども。

それが、「罪一等を減じるよ」「あなたは執行猶予になるよ、不起訴にするよ」とか言われたら、ホイホイみんな。特に逮捕されると、あるいは、逮捕の危険をチラつかされると、ほとんどの人達はコロっと言ってしまうと思います。

特に、ホワイトカラーの普通の労働者、社員みたいな人達っていうのは、そういう状況には非常に弱いので。だから、私はセットだったらいいと思うんですよ。

ターゲットとされてる人達も、「じゃあ、執行猶予にするんだったら認めますよ」とか。攻められたら、防御できない。じゃあ、実質的に被害がないという状況であればいいかなと。

車の両輪なんで、片方がないと多分これはかなり危険なことになると思うんですが。自分は絶対、主犯格になることはないっていうふうに、皆さん思われていると思いますが、例えば自動車運転をして、人を轢き殺しましたっていうことは、誰にでも可能性としてはある。

そういう状況で、自分はそんなに悪くないのに、周りの道端で見かけてた人達とか、同乗者の人とかあるいはそれにかかわった人達が、例えば、飲酒運転じゃないのに、「あいつは酒飲んでた」という人が、もしかしたらいるかもしれないし。

特に、経済事犯というのは、言った、言わないというのが、非常に大きなところで。私の事件でいうと「堀江に指示されました」か「自分が独自に判断してやりました」というのは、大きな違いなわけですよ。

そういったことっていうのは、ほとんどのケースでありえます。私はよく言われました。ライブドア事件の時は、ライブドアの社長なんだから責任を取りなさいと。

その責任は、こういったことになって上場廃止にもなったんだから、責任は取るべきだとは、私は思いますよ。だからといって、じゃあ指示していないことを指示したというのは、それはウソでしょって話になるわけで。

でも、企業の代表者として、責任を取らなきゃいけないよっていうところを明文化するといいますか、そういったのが、司法取引なんだと、僕なりに解釈してるんですよ。

部下がやったことに対して、トップが取る責任というのは、当然あると思います。だけれども、じゃあ自分が計画をして、自分が部下に指示をして、犯罪行為をやらせたということを、指示をされていないのに指示をしたというふうに言ってしまいかねない制度なんですよ、これって。だからちょっとおかしいんじゃないかなと思います。

委員長:ありがとうございました。

:これで質問は終わりますが、今回の司法取引、いいネーミングがありましたら、教えていただきたいと思います。ありがとうございました。

制作協力:VoXT

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