ネガティブな動機でキャリアチェンジするとうまくいかず、悪循環に

鈴木麻希氏:今日は、キャリアチェンジの前に考えるべきことについてお話します。「今の仕事、おもしろくないな」とか「もっとこんなことしたいな」と思った時に、異動や転職などキャリアチェンジという選択肢が頭をよぎった経験はないでしょうか?

キャリアチェンジの動機は2つあります。ポジティブな動機か、ネガティブな動機か。ポジティブな動機とは「もっとこんなことをしたい」という熱い思いがあったり、自分のやりたいことが明確だったりするのに、今の状況ではチャンスが与えられないというケースです。こういった自分の成長を目的とするようなポジティブな動機であれば、特に問題はないかなと思います。

一方でネガティブな動機とは、今の職場に対して何らかの不満や不安が根底にあるパターンです。今日はこんなネガティブな動機で、キャリアチェンジをする前に考えておきたいことについてお話します。

このネガティブな動機は短期的なものと長期的なものがあります。短期的なものは「今の上司がどうしても嫌」とか「同僚と価値観が合わなくて居心地が悪い」とか、あるいは「お給料がぜんぜん上がらない」といったものです。

一方、長期的なものは「会社の業績や将来性が不安」とか、「そもそも今の仕事に情熱が持てない」などがあります。

どちらの場合でも、「これが嫌だから」とその状況から逃れるためにキャリアチェンジをすると、たいていは上手くいきません。なぜかというと、新しい職場で「こんなことがやりたい」という思いが明確ではないためです。結局キャリアチェンジができたとしても、いい結果を出すことができずに、また嫌になって職を転々とするという悪循環に陥ってしまいます。

ネガティブな動機をポジティブな動機に変える2つの方法

こういった状況に陥らないためには、ネガティブな動機をポジティブな動機に変えることが必要です。具体的におすすめの方法は2つです。

まず、計画を立てて行動を起こしてみることです。今は「これが嫌だから、もうどうにかしてキャリアチェンジできないか」としか思っていなくても、「自分はこれからどういうことをしたいと思っているのか」とじっくり考えてみましょう。

そもそも自分はどんな職場で、どんなことをしてみたいのか。この問いにじっくり向き合ってみると、どんどん明るい未来が思い浮かんできて、けっこうワクワクしながらいろんな考えが出てくるかと思います。やりたいことをやるために、自分は今の状況をどうしたら変えられるだろうか? そのためには、自分にはどんな経験やスキルが必要か? こんなところまで想像を膨らませてみると、計画を立てやすくなるかと思います。

あとは計画を立てて行動を起こす際、いつまでに何をするのかという期限を設けることをお勧めします。例えば5年後、3年後、1年後、半年後とバックキャスティングで、理想状態をそれぞれ言語化してみるのもお勧めです。

そこからさらに、半年後にこうなっているためには、3ヶ月後までには何をすべきか。そのために来月は何をするか。それに向けて明日からは何をしなければいけないか。このようにどんどん言語化してみると、いつまでに何をするのかがクリアになってきて、明日からでも行動を起こしやすくなるかもしれません。

エージェント登録は、自分の市場価値を理解することに

2つ目は、自分の市場価値を知ることです。そのために今すぐ転職する気がなくても、転職エージェントに登録だけしておくのがお勧めです。「こんな仕事に興味があります」と登録しておくと、いくつかオファーをもらえます。

自分のスキルや経験を踏まえた、今の市場における選択肢がそのオファーになりますので、今、自分が市場でどんな人材だと見られているのかを知ることができます。また、他の選択肢と比較して、今の仕事を振り返る機会にもなります。意外と今の仕事に満足している自分に気づいて、今の仕事により打ち込めるようになるかもしれません。

エージェント登録というのは、別に今の会社に対する裏切り行為ではありません。自分の市場価値を理解しておくために非常に大切だと思います。

今日はキャリアチェンジの前に考えるべきことについてお話しました。計画を立てて行動を起こしてみる。転職エージェントに登録して、自分の市場価値を知る。この2つをお伝えしましたが、先に転職エージェントに登録することをお勧めします。

なぜかというと、さまざまな情報を入力して登録するという過程で、自分はどんなことがしたいのか。何が行動を起こす上でクリアになっていないのかが、少しずつ見えてくるからです。

今日の話が少しでも自分らしいキャリアに向けて、計画的に行動していくきっかけになったらうれしいです。