ブロックチェーンが変える経済のあり方
信用は無価値になり、“共感の時代”が始まる

馬から車。手紙からメール。銀行、国からブロックチェーン。 #2/2

Blockchain EXE #9
に開催

2018年2月14日、Blockchain EXEが主催するイベント、「Blockchain EXE #9 ブロックチェーンが築く経済圏 将来展望と課題」が開催されました。あらゆる産業への応用が期待され、仮想通貨を火付け役に注目を集めるブロックチェーンの動作原理や基礎・応用、最新技術の共有に重きを置いたエンジニアコミュニティ、Blockchain EXE。第9回となる今回は、ブロックチェーンを用いて挑戦を行う3名をゲストに招き、最新事例を語っていただきます。

国が信用を担保することの問題点について

河崎純真 氏(以下、河崎):あと10分くらいしかないので少しまとめると……おもしろいのは、さっき「国が信用を持ってる」という話だと何が問題かと言うと、不正ができて、改ざんができて、耐障害性が弱いんです。

ちなみに僕は、仮想通貨に個人資産の90パーセントを入れてるんですけれど、それには2つ理由があります。そのうちの1つが耐障害性です。国だけがこのデータを管理してる状態だと、例えば俺が国の役人と仲が良くて、「伊藤さんを騙したいからちょっと協力してよ」「騙してお金盗ったら半分あげるからさ」と、不正ができます。

もう1つが改ざんですね。例えば豊洲と立川にあるデータセンターをハッキングして、国土交通省の土地管理局のデータを書き換えれば、俺のものになります。気付かないけど改ざんができる。

最後に1番問題なのが、このデータは国が持ってるんですよね。でも日本にテポドンが落ちてきたら、このデータ消えるんですよね。なので、誰か1人が管理してるデータは、そこに問題があると全部消えてしまう、ということが多いです。

ブロックチェーンは、「ここの土地を私が持っている」というのを証明する方法があって、ここの土地の権利が生まれてから誰のところに渡ってきたか、っていうすべての取引履歴がデータとして積み重なって残っていれば、「今ここの人が持っている」というのがわかります。

さらに言うと、ここで例えば伊藤さんと河崎が取引をしたら、みんなが持っているそのデータに上書きされる。そうするとみんなが同じデータを持っている状態に常になる。例えばここに、「このデータを河崎が持っていた」とあれば、河崎が事故で死んでしまったとしてもみんながデータをカウントしてるので、まったく問題ない。

日本にテポドンが落ちても、中国にあれば大丈夫。中国にテポドンが落ちても、ユーロにあれば大丈夫。とりあえずブロックチェーンの説明、長くなっちゃったんですけど、「わかった」という方。

(会場挙手)

河崎:あっ、ちょっと手が増えました。ありがとうございます。この説明、だいたい鉄板でウケる……わかってもらえるな、って思ってるんですけど。ちなみに今日この説明を聞いて、なんとなくブロックチェーンの可能性がわかったきたな、という方。

(会場挙手)

河崎:ありがとうございます。それは良かったです(笑)。なので、ブロックチェーンというのはそういう、新しい信用のかたちというのを実現しました。

実務的に1つ特徴的なのは、ブロックチェーンというのは非常に安全なんですよね。例えばテポドンが降ってきても、消えないデータ。これを担保するのに今まで非常に高いコストを払ってました。数十億、数百億とか。

NTTのデータセンターって、Googleのエンジニアに「Beautiful!」と言わしめたくらい美しい設計になってるんですけど、それって数百億とかふつうにかかるんですよね。テポドンが落ちてきても大丈夫なように設計されてるんですけど、ブロックチェーンってそれがすごく簡単に、安い値段でできるようになります。なので、非常にコストが安くそれができるって話ですね。

実体のない富を支えているのは誰か?

河崎:具体的な事例として、例えばエストニアとかグルジアとかドバイとかイギリスとかシンガポールっていうのは、実際にブロックチェーンを導入した社会システムの実装を試みようとしています。

ちなみにあと基軸通貨っていうのは、実は信用がどんどん変わっています。みなさんご存知のとおり、20世紀はドルが基軸通貨です。でも19世紀ってポンドでした。18世紀はグルテンでした。17世紀はダカットでした。なので、実際基軸通貨って1世紀ごとくらいでゴロゴロ変わってます。ちょっと違うんですけど、あんまり何世紀も続いてる通貨というのはそうそうないんです。

それで言うと、次の基軸通貨になるのはデジタルカレンシーだろうと我々は考えています。

この図も説明したかったんですけど、この図が何かって言うとですね、世界のお金の総量です(参考:All of the World’s Money and Markets in One Visualization)。

これも紹介ができれば。ちょっと先に進めながら。

ブロックチェーンに個人資産の90パーセントを入れている理由の2つ目が……要するに日本円は国が破綻すると全部なくなってしまうので怖い、というのが1つのリスクです。

もう1つ、そもそもまだ仮想通貨バブル・ICOバブルは始まっていないと私は考えています。この図がその説明になるんですけど、世界のお金の総量のグラフです。

古いデータなんですけど、2013年時点のビットコインは、5000億円くらいでした。今20兆円くらいですね。銀の価値の総量が1.4兆円です。ビル・ゲイツの個人資産が8兆円くらいです。Appleの企業価値、だいたい70兆円くらいです。なので、今ビットコインってこのブロック2個分くらいのサイズがあります。

その次にでかいのが、連邦予算ですね。アメリカの連邦予算、500兆円くらいです。日本もそれくらいです。400兆円くらいですかね。全世界の現金預金の総量って、500兆円くらいです。全世界の不動産価値の総量は800兆円くらい。全世界の金の価値の総量も800兆円くらい。

ここまでは「Narrow Money」、つまり実体のある経済ですね。実体経済の2.5倍あるのが「All Stock Market」、株式市場です。これは7000兆円くらいあります。半分はアメリカのですね。ここまで合わせて、「Broad Money」、一般によく流通してるお金、ということになります。

これの2.5倍あるサイズのマーケットは何かと言うと、これです。これ、ご存知の方? ……これは、国債です。国の借金です。2京円くらいあります。ちなみにアメリカの2008のファイナンシャルクライシスで、国の借金が30パーセントくらい増えました。なので、国の借金を返すためにはスティーブ・ジョブズがもう200人くらいいないと全部返せないんです。けっこう高いです。

さらにこれよりデカいのが何かって言うと、これです。どれくらいデカいかって言うと、これくらいです。

(しばらく画面スクロールが続く)

はい、これ何でしょうか? ご存知の方。……これは、みなさんご存知の「Derivatives」ですね。金融商品です。保険やローン、使われている方もいらっしゃると思いますけど。

全世界の富の総量を客観化するとこんな感じになっていて、金融商品ってこれくらいデカいんです。ビットコインはこれくらい、この2ブロックぶんくらい。でもこの図が何を表してるかって言うと、富の格差って話もあるんですけど……それ以上に大事なのは、このデリバティブと国債と株式って、土地や金ならまだしも、実体がないじゃないですか。

この実体がない経済って、誰が支えてるかって話なんですよね。誰だと思いますか? ……伊藤さん。

伊藤:それを信用してる人間。

河崎:はい。その信用を担保してるのは。

伊藤:金融機関……いや、国。

河崎:国ですね。ありがとうございます。今この架空の経済って、国が担保してるんですよね。でも国って、テポドンが落ちてくると消えるじゃないですか。でもブロックチェーンって消えないんですよね。例えば、イーサリアム上にスマートコントラクトで格納されて信用を担保された証券、土地の権利書、ローン、そういうのが出てきたら、何が起こると思いますか、って話です。

テポドンが落ちたら消える証券。一方でテポドンが落ちても、絶対に消えない証券・権利。そういったものが次にブロックチェーンに向かってくると、どうなるか。……というのが、変化ですね。

なので、これからもう爆発的な勢いで今の経済システムは変わっていく、と我々は考えています。

ブロックチェーンは何年で世界を変えるか

河崎:そうなると信用に価値がなくなるんですよね。みんなブロックチェーンで信用がイーブンなので、信用に価値がなくなります。そうなると、最後に価値があるのは「共感」です。さっき、アイリッジの川田氏が言っていた「阪神が好きだから阪神コインを使う」みたいな、そういった時代がやって来る。

今作ってるのは、「COMMONS OS」という「社会をつくる、仕組みをつくる」をテーマに、電子政府システムを作っています。実際にブロックチェーンによる独自通貨、税・条例・住民の管理、共同体IDの財布やメッセンジャー、そういった電子政府システムの基盤になるものを作っています。

これはライフルの井上(高志)さんや孫泰蔵さんと一緒に、実際に北海道の南富良野町で実証実験をさせていただいたりしました。それから石川県の加賀市です。実際にソリューションとして実証実験を、今年度調査、来年度実装、というかたちで提供させていただいています。

先ほども言ったように、実は国内と言うよりも国外でメインに攻めています。モザンビーク、マニラ、エチオピア、そういったところも今ほかに、「こういった電子政府システムを使わないか」っていうのを提案させてもらっています。

オチとしては……「鉄道は100年で世界を変えた。インターネットは50年で世界を変えた。ブロックチェーン何年で世界を変えるだろうか」と。信用から共感の時代へ、というお話でした。ありがとうございます。

(会場拍手)

司会者:河崎さん、ありがとうございました。それでは質問コーナーを設けたいと思います。質問ある方、手を挙げていただけますでしょうか。

(会場挙手)

質問者1:お話ありがとうございました。すごく規模の大きい話で、素晴らしいなと思ったんですけど……1つだけ気になる点は、「どうやってマネタイズするんだろう」と(笑)。どうやって儲けるんでしょうか、という点をおうかがいしたいです。

河崎:はい、ありがとうございます。この資料にはその辺が書いてないんですけど、電子政府システムを実際に導入させてもらっていて、その導入費をいただいているのと……数千万くらいですね。

(会場挙手)

質問者1:ブロックチェーンを活用した政府を作りたいというお話が最後にあったと思うんですけれども、そことICOといった取引所はかけ離れてるかなと一瞬感じました。目指すビジョンとマネタイズっていうのは、もう別の論点として考えられてるんでしょうか。

河崎:そうですね。我々のプライムは行政とか自治体なんですけど、目指すビジョンとあまり乖離してはいないかな、というところですね。日本円も地域通貨ですよね。日本でしか使われないので。ドルも元も、全部おなじです。世の中、実は共感経済しかないんですよ。信用経済っていうのは、その共感の一部。あくまでも、その地域経済が回っている。

その地域経済の中で地域活性を促す。それは日本の中でやってもあんまり変わらないので、そこのソリューションを提供して、エストニアのような良いガバナンスシステムを提供する。それはロジックとして乖離してないかな、と考えています。

質問者1:よくわかりました。ありがとうございます。

河崎:はい。

司会者:それでは河崎さんも今回、懇親会に参加いただきますので。その場でまた質問いただくかと思います。改めまして河崎さん、ありがとうございました。

(会場拍手)

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このログの連載記事

1 2044年、国家の数は数十万に––河崎純真氏が予測する、“ブロックチェーン後”の世界
2 ブロックチェーンが変える経済のあり方––信用は無価値になり、“共感の時代”が始まる

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