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動画配信メディアの未来(全3記事)

CA藤田晋氏×C CHANNEL森川亮氏 時代を牽引する2人が語る、動画メディアの現在と未来

楽天社長・三木谷浩史氏が代表理事を務める新経済連盟主催「新経済サミット2017」。セッション「動画配信メディアの未来」では、動画メディアを牽引するAbemaTVとC CHANNELからサイバーエージェント代表取締役の藤田晋氏、C CHANNEL代表取締役の森川亮氏が登壇し、未来の展望などについて語りました。

AbemaTVの視聴習慣を

吉田浩一郎氏(以下、吉田):みなさま、こんにちは。今、業界的に最も注目されている動画の領域です。その動画領域の2巨頭にこの貴重な新経済サミットに集っていただきました。

新経済連盟の理事をしております吉田が、モデレートをさせていただきます。実は2人とも大先輩でございます。このなかでどれだけ切り込めるか、みなさまの反応にかかっていますので、ぜひ一体となって進めればと思います。よろしくお願いします。

では、さっそくお2人から簡単にサービス紹介をお願いしたいと思います。まずはAbemaTVの藤田代表からご説明いただければと思います。動画をお願いしていいでしょうか?

(動画が流れる)

藤田晋氏(以下、藤田):みなさま、サイバーエージェントの社長です。けれど、今はもう自分の時間の9割5分くらいをこのAbemaTVに使っていますので、ほとんどAbemaTVの社長みたいな感じです。今日はどうぞよろしくお願いいたします。

吉田:よろしくお願いします。

藤田:今、動画が流れましたが、AbemaTVは去年4月11日に開局してちょうど丸1年たち、来週から1周年記念スペシャルで特別編成を1ヶ月もやるんです。そのような時期です。

1年やってきまして、アプリがちょうど1,500万ダウンロードを突破しました。去年1年間、アプリとして日本のなかで一番ダウンロードされたのが、AbemaTV。

毎日毎日、新しい番組を調達したり、自分たちで作って放送しているので、そこで出演するタレントのファンや、サッカー、将棋、麻雀といった種目のファンの方、番組のファンの方がそれに気づいてダウンロードするサイクルができています。安定的にユーザーを伸ばすようになってきている感じです。

AbemaTVがスタートしてから、自分がプロデューサーとしてこのサービスを作ってきたなかで、どうがんばってもこの映像のダイナミックさ、クオリティの高さを伝えるのは、横画面での視聴だと思って完全に横でスタートした。

1年かかって、内部事情的には非常に大変でしたが、縦でも見られるほうがいいということになり、今週の頭に、この縦型をリリースしました。

なぜ縦型にしたかというと、AbemaTVの視聴習慣を(作る)。家に帰ったらテレビをつけるとか、朝起きたら新聞を読むとか、そういうマスメディアを目指す上で、視聴習慣を作りたいと強く思っております。

スマートフォンでの視聴習慣とはなにかというと、TwitterやFacebookを開くのと同じように、手癖のようにスマートフォン上で開いてもらいたい。

そう考えるとやはり、縦でスマホを操作している合間に横画面で映像を見るというのは、ちょっと障壁というか、心理的障害がある。なのでクオリティを少し犠牲にしてでも縦型にしようとしたんです。

進化し続けるAbemaTV

1年間やってきたこともあって、コンテンツが充実している。縦でも十分なコンテンツ・クオリティにできたというか、非常に好評です。もう「縦すばらしい」と今週けっこう褒められてたんです。不便にしておけばしておくほど、褒められるんだなと、よくわかった(笑)。

実は、今しゃべってる最中にリリースするかどうかという「Abemaビデオ」がこの右。ちょうど18時までにリリースするという話だったので、たぶんもう出ていると思います。

AbemaTVはテレビと一緒で、リニアで放送されているものを無料で見ることができて、CMモデルもあるものです。しかし、編成が弱い時間帯であったり、自分の見たいものがないときに、そのまま「録りためていたビデオでも見るか」というタイミングで、ビデオに遷移(せんい)してもらいたいということで、「Abemaビデオ」を用意しました。

この1年間、AbemaTVをやってきて一番多かった問い合わせが「録画できないんですか?」ということ。実はタイムシフトという機能は有料でしたが、それを開放するようなかたちで、このAbemaビデオを本日リリースしております。

また話のなかでいろいろご紹介していきたいと思います。以上です。

吉田:ありがとうございます。この一番右側が、新しく今日出る画面ですね。アニメとかドラマとか。

藤田:そうです。

吉田:これは同じアプリのなかで?

藤田:テレビにすると、今の放送しているものが30チャネルぐらい流れています。

吉田:もともとのものが?

藤田:ビデオに行くと、ちょっと言い方はあれですけど、AmazonビデオとかNetflixのようなものです。

吉田:UIですね。

藤田:オンデマンドのものが並んでいる。

吉田:なるほど。

藤田:ここに並んでいるのは当然、映画やアニメなどもあります。しかし、やはりテレビ局もあるので、我々が作ったバラエティとか、過去に放送した麻雀の番組、ドキュメンタリーとか、そういったものが並んでいるというような構成になっています。

吉田:ということで、同じアプリから遷移(せんい)できますので、ぜひみなさま、このあとアクセスいただければと思います。私は個人的にはAbemaTVで麻雀をよく見ますので、そのときは横じゃないと牌がわかりにくい(笑)。

藤田:まあそうです(笑)。

吉田:なので、横もニーズあります。続きまして、C CHANNEL森川さんのほうからご紹介お願いいたします。

これからはユーザーに番組を作ってもらう時代

森川亮氏(以下、森川):よろしくお願いします。私は以前LINEの社長をしていまして、2015年3月に退任をしてから、2年前の4月にこのサービスをオープンしました。

コンセプトは、今ファッション雑誌がどんどん売れなくなっているなか、そのファッション雑誌の置き換えとしての動画版を目指しています。

どうしても女性の知りたいメイク、ヘアアレンジ、料理とか、そういったものが写真と文字だとなかなかわかりにくい。この部分を動画で紹介することによって非常にわかりやすく、女性の知りたいことを動画で解決する、そういったメディアをスタートしました。

特徴としては今、藤田さんからもありましたが、縦長というところです。実は女性の場合は手が小さいので、けっこうスマートフォンを横にすると両手じゃないと見れない。なので、最初から縦長で展開をしました。

あとは弊社のほうは自社のアプリ以外に、LINE、Facebook、Instagram、Twitter、YouTubeといったソーシャルメディアで展開をしていますが、そこでのエンゲージメントが国内最大級というところです。

エンゲージメントは、コメント、シェア、お気に入りといったところですが、やはりソーシャルメディアの場合、リーチ(注:広告の到達率)が高まってもエンゲージメントがないと効果がない。そこで、エンゲージメントを高める施策をいろいろとしています。

実は動画の多くを、「クリッパー」と呼ぶインフルエンサー(注:世間に与える影響の大きい人)の方々が自分で制作しています。これは専門のカメラアプリを作って、自撮りで撮ってもらい、編集をしてアップロードする。日本だと最近「ユーチューバー」という言葉が話題になっていますが、縦長のユーチューバーみたいなかたちで、自分たちで作る。

今、自社制作は全体の2割ぐらいです。8割はクリッパーと呼ぶインフルエンサーだったり、個人が制作をしてアップロードするかたちになっています。一方で、内部の制作は今スタジオがあり、そこで行っています。

日本だけじゃなく世界中、特にアジアへ展開をしています。韓国、中国、台湾、タイ、インドネシア、フィリピン、マレーシア、シンガポール。韓国、インドネシア、タイ、台湾あたりは、中国以外でその国のソーシャルメディア上の動画ナンバー1とかナンバー2まで来ています。

ちょうど中国も、昨年末からスタートしました。主に「微博(注:ウェイボー。中国のSNS)」を中心に動画を展開していますが、今年の1月は微博で影響力のある法人アカウント4位まで来まして、中国も売上が徐々に上がっている状況まで来ています。

ということで、再生数が急激に伸びていました。ちょうど2015年の春に開始した時は、最初Webだけしかなく、ソーシャルメディアもさほど使わずに非常に苦戦しました。2015年末からソーシャルメディア展開と、動画もハウツーに特化をして伸びました。その後、中国の展開で急激に伸びたところです。以上になります。

吉田:ありがとうございます。C CHANNELの場合は日本だけじゃなく、アジアも含んでいるということで、11月ぐらいが3億だったので、2ヶ月ぐらいで倍になっている。

森川:そうです。やっぱり中国が非常にアクティブで、すごく勢いがある国だと思います。

吉田:そのへんも踏まえて、今日はさらに掘り下げていければと思います。2つのサービスをご覧いただくとわかりますが、目指してる方向はぜんぜん違うということで、それぞれのこだわりをうかがっていくかたちで進めていきます。

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