「発明できないなら、真っ先に買えばいい」 孫正義氏が語る、世界に通用する競争力の取り方 ソフトバンクワールド2014【全文】

孫正義氏・基調講演 #2/3

Softbank World 2014
に開催

産業界が悲鳴をあげている日本の「労働人口の減少」。孫正義氏が、この難問を一気に解決させるという壮大なアイデアを語りました。7月15日に行われたソフトバンクグループ最大の法人向けイベント「SoftBank World 2014」にて行われた、孫正義氏による基調講演の書き起こしです。

"世界最大の複合企業"GEとともに、ビッグデータの収集を狙う

孫正義氏(以下、孫):全世界の産業用のエンジンの6割くらい、圧倒的なシェアを持っておられるGE(ゼネラル・エレクトリック)さんと業務提携をすることになりました。世界中の飛行機のエンジンが、あるいはトラクターのエンジンが、その様々な企業、産業のものがGEと繋がっております。これらのビッグデータを集めるためのセンサーを導入し、それを通信をして、我々がクラウドに集めて解析をする、ということを開始いたしました。

全世界でこれをこれからやっていこう、ということですけれども、例えば自動車の状況。リアルタイムでブレーキの状況がどうなっているのか、バッテリーがどうなっているのか、タイヤがどうなっているのか。ということを、リアルタイムでデータを集め、そしてクラウドに格納し、分析をし、お客様に「見える化」をして、このデータ解析をした結果をお客様にピンポイントで、リアルタイムでお伝えする。

つまり、「あなたのタイヤは、空気圧が今現在どのくらいで、後どのくらい減ると危険です。そろそろタイヤを交換しましょう」というようなことまで、お客様に提示できる。このような形でビッグデータを活用しよう、そしてお客様の来店を促そうと。それが売上の拡大にも繋がるし、お客様への安全にも繋がる、ということであります。

ちょっとビデオメッセージがございます。GE社、世界最大の複合企業、エジソンが作った会社ですね。このGEのCEO、私の友人でもありますジェフ・イメルト(Jeff Immelto)さんからビデオメッセージをいただいておりますので、ちょっと見て、聞いていただきたいと思います。

(以下、ジェフ・イメルト氏のビデオメッセージ)

「マサさん、すいません。ちょっと今回は日本に行くことができません。非常に素晴らしいソフトバンクワールドが開催されているということで。GEは日本の経済と非常に緊密に連携しています。多くのお客様を日本に持っております。そして孫さんとは、大変長きに渡って、個人的にも交流を続けております。

本当にまさに今、世界を改革していっていると思います。非常に大胆な戦略で、既にこの業界を変えていると思っております。そして新しいパートナーシップを組めるということで、大変私も期待しております。我々の信念としては、すべての産業界というのはソフトウェアの企業になる、というのが私の信念です。すべてのスマートアセット、例えばネットワーク、あるいはキーパフォーマンス、私たちはこれを促していけると思います。

ソフトバンク・ジャパンと連携することによって、アジアを始め、グローバルで展開できると思っております。我々の産業界のお客様が、世界で成長していくための切り札となると思っております。このパートナーシップに大きく期待しております。ソフトバンク様、これから先のパートナーシップについても期待しております。

グローバル経済というのは、非常に素晴らしく、起業家にとって常に広げられております。本当に未来を見据えて、未来を切り開いていく力を持っています。トーマス・エジソンが創って134年になるわけですけれども、孫さんはそれだけのイノベーターだというふうに思っております。まさに世界の牽引役になっていけると思います。友人として、ソフトバンクの皆様とコラボレーションできるというのは、非常に私にとっても大きな期待です」。

:彼とはですね、まだ彼が次のCEO候補として最後の5人に選ばれている時に会ったことがあります。GEの元CEO、ジャック・ウェルチ(John Francis "Jack" Welch Jr.)さんが、「世界中の主要な友人と会ってみてほしい」ということで、5人連れてきました。そのうちのひとりが彼でした。5人ともに挨拶し、少し会話をしましたが、ジャック・ウェルチに「僕はジェフだと思うよ」と勝手に僕なりの無責任な意見を言っておきました。

で、彼がCEOになった後に「ほら、俺のひと押しが効いただろう」と冗談で言っておりましたが(笑)。彼がCEOになる前から大変親しい間柄で、日本に来る度に一緒に会食したり、またオーガスタで一緒にゴルフしたり、そういうふうな遊び仲間でもありますが。でも実際の仕事として、今回GEさんと、このビッグデータを集めると。そして様々な企業にそのサービスを提供するという、業務提携できることになったことを大変うれしく思っております。

最先端機器を買うだけで勝てるのに、ナゼしないのか

ということで、最先端テクノロジー。これが生産性を向上させると。生産性の向上を実現するためには、情報武装しなければいけない。最先端のこれらの機器を、自分で発明しなくたって、それがavailable(可能)であると。織田信長が鉄砲を発明したんじゃないですね。信長が天下を取ったのは、自らが鉄砲を発明したのではなくて、発明されている世界で最も進んだ文明の利器を、最大限に、最も早く活用したと。そして天下を取ったわけですね。

ですから皆さんが、自分がAppleでなくても、自分がスティーブ・ジョブズじゃなくても、自分がマーク・ザッカーバーグでなくても、それらを発明していなかったとしても、発明された世界最先端の技術、これをいち早く!

このなかでさっきお聞きしましたね。ソフトバンクグループ以外では先ほどの3種の神器、スマートフォン、タブレット、クラウド、これを3つとも100%使っているという会社は、このなかで1%もいなかったわけですね。

そんなに難しいことじゃないです。もう、最先端の情報機器が何であるのか、ということは皆わかっているわけですね。ただそれを実行さえすればいいわけです。発明しなくても、買ってきて使えばいい。それだけで最先端になれるならば、それだけで競争力を取れるのならば、なぜしないのかと。いつやるのかと。「今でしょ!」と(笑)。どっかの誰かが言っていましたよね。思い立ったらすぐやると、いうことではないかと思います。

「1%の人にだけ信じてもらえればいい話」とは?

ここまでのところは、私が申し上げて当然だよね、と頷けると思います。ここからの話は、おそらく9割以上の人が?マーク、「え? なんだそれは?」というふうに思われる話だと思います。つまり、もうひとつの難しい問題。労働人口を増やす。これってできるのか、ということですね。

日本の労働人口はどんどん減っていくと。これは小学生でも知っている事実です。このままいけば、日本の労働人口は減る一方なんです。少子高齢化、これをどうやって解決するのか? 難しいですよね。そんな難しい問題に解決策はあるのか……ということですが、ここで私は嘘のような、"ほら"を吹きたいと思います。

"ほら"ですから、半分以上の人、9割以上の人は「そんな無茶な」と、笑って聞き逃していきたい。笑って「それは無茶だよ」と聞き流していただきたい。でも1割ぐらいの人、あるいは1%くらいの人は、「なるほど、そういう解決策があるな」と。「本気でそれはやるべきだ!」と思っていただける人が1%でもいれば、私は、今日はもう大成功だというふうに思います。

それほど突拍子もない話でございますから、まず最初に、言う前に、事前に申し上げます。聞いて、忘れてください(笑)。

(会場笑)

でも1%の人だけは、ぜひ忘れないで、「もしかしたらこれが日本の解決策かもしれない」ということで心の中にしっかりと留め置いていただいて。残りの99%の人がいつか気付くまで忘れずに、このことを思い続けていただきたいというふうに思います。日本の競争力復活のために。

前半戦は、誰もが、99%の人が聞いて「なるほどそうだよね」と。実行している人はまだ1%もいませんが、99%の人は「なるほどそうだよね」と。僕の話を今日聞いたら、すぐやらなきゃいけないと、おそらく納得いただける話と思いますが、ここから先は、99%の人が「それは無茶だ」と笑って済ますという話で、聞いていただきたいと思います。

汎用型のロボットが普及すれば、日本は再び世界一になれる

テクノロジーの進化は、この労働人口問題をも解決させることができる、という話であります。急に子どもは増えません。でもテクノロジーの進化でこの問題は解決できる、という話であります。

つまり、先ほどから申しておりますように、日本の労働人口は少ない。人件費が高い。だから人件費がより安い国、労働人口がより多い国に負けて当たり前だ、というふうに諦めている。ほとんどの人が諦めている。だから日本の経済は成長しなくても仕方ないんだと。

仕方がないんだ、と自分を納得させてしまったらもう終わりです。それを納得しない、ということ。納得せずに「いいや、そうじゃない。復活させるんだ」という思いが私は大切だというふうに思います。

つまり労働人口において、たとえば製造業の労働人口は、中国には7000万人います。アメリカ1000万人、インド1000万人、日本も1000万人弱。これ四捨五入していますけれども、実は日本は700万人くらいです。つまり千万単位でいうと、7000万、1000万人、1000万人、1000万人と。

本当は日本は「ものづくり大国世界一」という状況だったわけですね。ついこの間までは。しかし人件費が高くなった。そして労働人口が、ついに製造業の分野でも一気に抜かれてしまった。ということで、日本の経済が停滞してしまった、ということですね。

もうひとつの問題は人件費が高い、ということであります。労働人口が多くて、しかも人件費の安い国。その国に製造業は一気に抜き去られるというのは、これは当たり前の話ですね。

じゃあどうやってこれを解決するのかと。なぜできないか、という話ばっかり言ってもしょうがないですね。じゃあ解決策は何かと。私なりの答えを申し上げます。これです、ロボットです。

ねえ? ソフトバンクは最近ロボット発表しましたので、そうかと。そういうことなのねと(笑)。自分の発表した事業をこういう形で宣伝したいのかと(笑)。こういうふうに思われるでしょう。

(会場笑)

でも僕は真剣にそう思っているんですね。じゃあ今までの、単純生産型のロボット。これは、日本は世界一です。製造業における、単純生産型のロボット。ファナックさんだとか、安川電機さんとか色々あります。こちらの分野では既に日本は世界一です。しかし私はこれらでは足りないと思っています。汎用型の生産ロボット。自動車でいえば、T型フォードですね。

今までのような手作りの単純生産型のロボットだけではなくて、汎用型の、安くて高性能で、しかもありとあらゆる用途に使えるようなロボット。これを一気に普及させようではないかということです。しかもこれらが100%クラウドに繋がる。100%人工知能を搭載する、ということであります。

つまり、知恵と知識のない単純生産のロボット、これを日本は今まで得意としましたが、これに知恵を与えよう、知識を与えようと。そして汎用的に活動できるような能力を与える。これがあれば、日本はもう一度、世界最先端の生産技術、これを手にすることができる、ということであります。

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